供養にお付き合いくださり感謝致します。
アニメ本編スタートまでの前菜にしては長いですが、よくある事なので気にしない!
21/07/08
クロノに対する言及を一部修正しました。
書き終えてから時系列を参照して大慌てで直すガバガバ二次創作作者がいるらしいですよ。
構成改訂はまた改めて行います。
私、リーゼアリアにとって、カタリーナは三姉妹の末っ子の様な存在だ。
血は繋がっていないが、そんな事は関係ない。あの子が私を姉と呼び、私があの子を妹と呼ぶのなら、誰が何と言おうと私達は姉妹、そう断言できる。
何をしても、何をされても可愛い妹だけど、1つだけ納得行かないところがある。
彼女からの評価だ。
ロッテから聞いたのだけれど、どうも彼女は私を「凄くかっこよくて素敵な女性」と憧れているらしい。
妹に敬愛される姉、この立場はくすぐったいけど凄く嬉しい事だし、叶うのならその理想は守ってあげたい。…これの何が不満かと言えば
私だって、ロッテみたいにスキンシップがしたい!
でも、私がロッテみたいにヨシヨシなんてしたら、あの子の持つ私のイメージが崩れてしまう。だからと言ってお高く止まっていたら近寄り辛くなってしまうなどなど…憧れてくれるのは光栄なのだけど、私にとって悩みの種でもある。
そんな愛する妹に突然の不幸が訪れた。お父様とロッテは心配されていたけど、カータは強い子だ。母親の死にも向き合える。私はそう信じていた。あの子がお父様に自宅の話をするまでは。
白い彼女の顔色はより色素をなくし、聞いたこともない静かな声色は震えていた。
彼女の強さが「母親」という拠り所で成り立っていた事を今更ながらに思い知る。母親の代わり、というのはおこがましいけど…その真似事くらいはしてやらねば。
真似事でもいい、家族らしさをと思い、私はカータを誘って夕飯の準備を始めたが、問題が発生した。
「お姉ちゃん、できたよ。こっちの野菜もやっつけちゃうね。」
「えぇお願い。カータの手際が良いから助かるわ。」
カータの炊事スキルが驚くほど高いことだ。聞けば最近では母親の代わりに作っていたから、自然とこうなったと言うけれど、それにしても凄い上達振りだと思う。これでは私の立つ瀬がない、いきなりこの子の理想のリーゼアリア像を破壊する危機に、私は僅かに戦慄いています。
「ほんと?私もね?お姉ちゃんと一緒にお料理できて楽しい。」
小気味良い音がまな板から響く、早速与えた野菜を一口サイズに片付けてしまう妹は嬉しそうに笑う。…笑うと凄く可愛い、ロッテなら勢いに任せて抱き着く所だけれど、刃物を置いて優しく頭を撫でてやる。
「ありがとう、後は私がやるから向こうでロッテと遊んでらっしゃい。」
「じゃあ、ここで見てちゃダメ?お姉ちゃんとお話したい。」
服裾を掴んで見上げられる。そんな殺し文句を言われてしまったらお姉ちゃん断れません。そつなく残りの作業を片付けて出来る女を見せてあげようじゃない。
「分かったわ、でも火を使ってる時は近付いてはダメよ」
「はぁい。」
鍋に根菜を転がして行く、熱心な視線を感じて少しだけ緊張する。
「そういえば、お姉ちゃんって魔導師なんだよね。魔法って難しい?」
「物によるわね、人によって向き不向きがあるし、資質が無いとそもそも使えないから。」
「資質?あるよ?魔力の大きさがだぶるえーなんだって。」
「あら、初耳ね………待って、AA??」
何気ない彼女の言葉に手が止まる。キョトン、と首を傾げる彼女を見つめた。
驚いた、この子にそんな資質があったなんて。
「そう…知らなかったわ。お父様はご存知なの?」
「うん、…ぁ、そういえば、ヒトに話しちゃダメって言われてたんだった…。」
魔法の資質持ちは貴重だ。聞く人が聞けば無理にでもこの子を魔導師に育てようとしたかもしれない。
お父様とソフィアはその辺りキチンと気をつけてたみたいね。
「大丈夫よ、誰にも言わないから。」
「ありがとう、おじさんに叱られたくはないから。」
冗談めかして言うカータとそれに合わぬ鬱屈した表情、叱られたくない…という表現にしては、表情が固い…過去にお父様から厳しく言われた事があるのか…。
「もしかしたら…魔法使いになれるかなぁって思ったんだけど。」
「…どうして?簡単な魔法なら教えてあげるわ。魔法使い、目指せば良いじゃない。」
「ううん、もうワガママ言わないって、決めたの。」
優しく、あまりに儚い笑顔。やっと彼女の心境を理解した。
カータは今、夢を捨てた。
本人は夢と認識していないのかもしれない。そして…以前のカータならこんな言葉も、笑顔も出すことはなかった。
やっぱりこの子は、母親の死を少なからず自分のせいだと思っている…。
それは違う。
その十字架はこんな小さな子供が背負うべきじゃない。
この子と母親を支えてあげられなかった私達が背負う物だ。
今ここで、彼女の
これを赦してしまったら、この子は一生我慢することになる。
「それじゃあ、お姉ちゃんが魔法をおしえてあげる。」
「……お姉ちゃんは忙しいでしょ?大丈夫」
「今だって一人教え子がいるもの、だから一人増えても変わらないわ。」
「おじさんには誰にも言っちゃダメって…」
「私が聞き出したことよ。」
「でも…でも…。二人分だもん…絶対大変だもん…。」
言葉を重ねる度に確信する。この子は怯えている。
自分の願望に大人たちが尽力することを、その果てに起こり得る悲劇に怯えている。そんな心配はいらないと、教えてやらねばならない。
そんな心配をさせてはいけない。
「大丈夫よ、何人の魔導師を育てたと思ってるの?お子様の一人二人の面倒くらい訳ないわ。」
「お、お姉ちゃん!大丈夫じゃないよ!」
「もう…心配しなくても」
「違うの!!お鍋!お鍋!焦げてる!」
「!?」
鼓膜に張り付く様な耳障りな音と微かな異臭、思えば最後に鍋の中を弄ったのはどれほど前だったか。加えてコンロの火も上げたまま…,
突然の事に反応出来ず慌てて、鍋に触れたのがまずかった。
ジュッ…!
「熱…!?」
「わぁぁ!お水お水!」
脊椎反射、樹脂加工されてない剥き出しの金属部分に触れた箇所は赤く腫れ上がる。捻られた蛇口から勢いよく飛び出す冷水に突っ込む。そうこうしてる間に鍋の中から響く具材達の悲鳴。応急処置の間にカータが鍋底を攫って鍋底にへばり付いた根菜達を剥がしていく。
「「ふぅ…。」」
漸く危うげな煙も落ち着いて、私たちは同時に溜息を零す。
「ぷッ…ふふ、あはは。ハハハハハハハ!」
目線が合う事数秒、静寂を打ち破るカータの笑い声がコロコロと響き渡った。
「そんなに笑う事ないじゃない。」
「だって…おかしくって…、あんなにカッコよかったのに、お鍋が…ふふッ…あははッ!」
そんな苦言を呈しながらも顔が笑っている自覚はある。楽しそうな笑い声に引きずられているのか、それとも妹の笑い声が嬉しいのかはわからない。そんな彼女はスイッチが入ったのか延々と笑いながらも、鍋の中身へのケアは怠らない。
救急箱から絆創膏を取り出して、指先に巻く。まだ多少の痛みはあるけれど数日中には治るだろう。
「カータ、ありがとう、もう大丈夫だから。」
「えぇ〜?また余所見して焦がしてしまわない?」
「意地悪言わないでちょうだい。…さっきの件は、後でちゃんと話しましょう?」
「…うん、わかった。」
少しだけ、カータの表情は暗くなる。でも先程のような頑くなさは感じない。
貴女には貴女のしたいようにさせてあげる。貴女のお母さんがそうしていたように、ね。
カータちゃんのお料理スペックですが、
はやてちゃんよりは劣ります。
作者の偏見だらけの評価点
はやて10
アリア8
カータ7
なお、アリアお姉ちゃんはデバフ「緊張」で6に低下する模様。
カータちゃんのお料理スキルは本編開始頃には、はやてちゃんよりちょい下くらいになるんじゃないですかね(適当)