感想なども頂けるともしかしたら筆先がフルドライブするかも知れません。(するとは言っていない。)
21/07/08
その2に合わせてクロノに対する言及を一部修正しました。
構成改訂はまた改めて行います。
夕食を終えた小休止、カータが率先して食器の片付けをしている中、使い魔二人とその主人が密談をしていた。…無論、表面上は各々別の事をしながら…専用回線での思念通話にてだ。
内容は…先のカータが見せた姿勢。
第三者的に見れば…養女として迎えられた女の子が自制を働かせる大変美徳に溢れた有難いお話。
『そうか、あの子がそんなことを…ソフィアくんの死はカータのせいでは無いと、言ってあげたのだが。』
グレアムにとって、それは喜ばしい話ではなかった。
喪った親の代わりにカータには自分に甘えて欲しい、彼は本心からそう願っている。ソフィアと違い、彼は一人ではない。頼れる使い魔もいるのだから、彼女の二の舞には決してしないと断言できる。
しかし、それをどうカータに伝えるか…。
『一つ、提案なのですが…お父様が、カータにお願いする体で話をするのはどうでしょうか?』
アリアが出したのは…カータの夢をグレアムの想いにすげ替える作戦。
魔法の資質をしるグレアムが都合良く彼女に魔導師となる事を勧めるのだ。
都合よく事が運べば、カータはグレアムの思いに便乗する形で、己の夢を追う。グレアム達も、彼女の夢を遺憾なく後押しできる。
『余り良い手段とは言えんな、最悪の場合…
それは夢を追うのではない、行き過ぎた献身だ。
多感な時期の少女にそんなことをさせたいとは誰も思ってはいない。
『ではお父様…どうするおつもりですか?』
『キチンとあの子に向き合う。私があの子の父親になってあげるのに必要なことだ。』
『お父様が、そう仰るのなら。』
カータの様子を見てきます。その一言を最後に思念通話は打ち切られ、アリアは食器洗いを粗方片付けた妹分の元へ向かった。
お膳立ては彼女がするつもりなのだろう。
あの時、夕方にて自分を頼り泣いてくれた。それが親子の契りの様な物になったとグレアムは一人思っていたが、どうやら彼女の抱える物は相当根深い。ここは分岐点、今後自分達が彼女と向き合う上で一番大事なポイント。
まさか初日にこんな難題が降りかかるとは、流石の彼も予想外だった。
……ワガママ、か。
誰に聞かせるでもなく、グレアムは呟く。
カタリーナ・ウィリアムスは自由な少女であるが、決して母親に無理な駄々をこねたりはしない少女だった。寧ろ母親の言葉に従う分、自制が利いた子だったと言っても良い。
『お詫びに今度は私の家に招待しよう、ロッテとアリアも君に逢いたがっていたよ。』
『ほんと!?…ねえねえお母さん!』
在りし日のやりとりを思い出す。あの時は特別気にしていなかったが、アレすらもカタリーナの中では『ワガママ』に分類されていたのではないか。
そして今日、カタリーナはグレアムの家に迎えられた。それは彼女にとってどれだけの『負債』となったのだろう。
「お父様…?考え事ですか?…カータがお父様にお話があるみたいです。」
不意に聞こえたリーゼアリアの言葉に思考を打ち切る。これ以上は無意味、あとは直接本人から聞くほかない。
「少し考えごとをね…どうしたんだい、カータ。」
素知らぬ顔でカタリーナに微笑む。好々爺とした彼であるが、年端もいかぬ少女に悟られぬくらいの腹芸は造作もない。
そしてカタリーナも、これから話す事で頭がいっぱいか、それを見破る余裕もなさそうだ。
「おじさん…。」
ためらい、話して良い物かと視線を泳がせる少女。
その呼び方に一抹の寂しさを覚えるも、表には出さない。
「どうして、魔法使いになっちゃダメなの?」
想像とは違う切り口。そんな事を話した覚えはあっただろうか。
少しだけ、過去を振り返り思い出す。
「ダメ、とは少し違うな。キミの力を…無闇に話してはならないよと、言ったつもりだった。…この世界には、悪い人もいるからね。」
「悪い人…?」
「キミの力は普通より強い。自分のためだけに、キミを魔導師に仕立てあげるような人間も、世の中にはいるんだ。」
カータの顔が青くなる。余計に不安要素を抱かせてしまった、余計な恐怖を与えるのは、彼の本意ではない。銀の髪を優しく撫でて、微笑み掛ける。
「私の言葉で余計な事を考えさせてしまったね。…カータは、なりたいモノを目指して良いんだ。その上で必要なら、私達に協力させて欲しい。キミの事は大きくなるまで守ると、お父さん達と約束したからね。」
青い瞳を真っ直ぐ見つめる歴戦の勇士、その瞳に決して威圧感はなく幼子を見守る優しい色をしていた。
二つの視線が交わること数秒、カータがゆっくりと口を開く。
「……おじさん…魔法使いになるには、どうしたら良い?」
「士官学校に通って、そこで訓練と勉強をするのが近道だ。とても辛いよ?」
「頑張ります。いっぱい勉強して、強くなって、おじさん達のお手伝いをしたい。」
グレアムの聞いたことのない彼女の強い言葉、小さな決意を彼は無碍にできなかった。
「アリア、ロッテ、ちょうどクロノくんの指導をしているね、彼と一緒に面倒を見てあげなさい。
「はい、お父様。クロノにも手伝わせます。」
「クロスケも…だいぶ仕上がってきたしね。」
クライドくんの息子の成長は著しい。
彼が手伝ってくれるのなら、この子らの負担も多少は減るだろう。
アリアは少々カータに優しすぎるところがあるが…
クロノくんがいるのなら問題はあるまい。
「では二人にはこの子の指導を…カータは、先ずは家の片付けをしなければな。」
「はい、おじさん。」
ふむ、養女の良い返事に少しだけ顔を曇らせる。
昨日今日でいきなり…というのは難しいかも知れないが、
自分一人だけ「おじさん」呼びなのはやはり寂しい。
「……?」
僅かな機微を察したカータが小首を傾げる。
よくない、一番気づかれてはならない子に気づかれてしまった。
「カータ、そろそろお風呂が沸いてるし、久しぶりに一緒に入ろうじゃないか。」
「わ、ちょっ…お姉ちゃん、歩ける!自分で歩けるから!」
「聞こえんなぁ〜?さぁ、ゆっくりひん剥いてやるぜぇ…?」
助けてぇ!…おふざけ半分、本気半分の悲鳴が廊下の奥に消えていく。
間違いなく、先の反応を察しての行動だ。ロッテには感謝しなければならない。
「もう、あの子ったら。」
「良いんだアリア、今のは私が悪い。
早く、父と認めてもらわなければな。」
「きっと直ぐです。」
その言葉に慰めの色はない。本心からの言葉だと分かる。
そうだな、口元を緩め、アリアに一言だけ返す。
…数十分後、妙にお肌をツヤツヤさせたロッテと、綺麗に髪を整えられていながら妙にやつれた様子のカータに、当然二人からそれなりのお説教を受けることとなったロッテであった。
なけなしのギャグ調投入、ロッテはこう言う時に扱い易くいから助かりますねぇ!
さて…アンケートのご回答ありがとうございます。
色々考えましたが、3部構成だととてつもない話数になることに気付きました。
後から追うヒトの事を考えて、1話5000文字、多くなるなら、前後編に分けるくらいにしようと思います、
1話と2話は後日改訂しますので、よろしくお願いします。
PS.
話数ストックを使い切りました。助けてください(迫真)