皆様の暇つぶしになれて大変光栄です。
カータちゃんの相棒回
筆が乗ったので初投稿です。
私がグレアムを名乗り初めてから一年弱が経過。
初夏が始まり汗がじわりと噴き出る季節に私は八歳の誕生日を迎えた。
そのお祝いとして
私専用のデバイスを贈って貰った。
サイコロのような四角い青い宝石が、淡く点滅する。
『承認しました、マスターカタリーナ。
オペレートシステム、G.A.T.E.と申します。
お気軽にゲイトと、お呼びください。』
起動と共に、私のことを
「よろしくねゲイト。
私のことはカータって呼んで。堅苦しいのは嫌。」
『分かりました、ではこれよりカータとお呼びします。』
ゲイトをお姉様達から贈られた専用のペンダントに嵌め込む。
チェーンを髪に引っ掛けないように慎重に首から提げた。
「どうでしょうか、お父様。」
「よく似合っている。宝石の色を君の瞳に合わせたのは正解だった。」
「ありがとうございます。」
「ゲイトには、君に合わせたカスタムがされている。
スキルを存分に扱えるようにね。」
ゲイトに対する概略をお父様から教わった。
私の稀少技能…クロノ命名『詠唱破棄』、
多少の魔法なら工程を無視して発動できる私だけの力。
相棒にはそれを、補佐してくれたり、セーフティを掛ける機能があるみたい。
Genius
Advance
Trancelate
External
『先進型外部解釈式人工知能』
その頭文字を取ってゲイトと名乗っている。
小難しい事が書いてあるけれど、
私の無意識詠唱を感知して、術式に解釈する。
だから外部解釈式…という名前にというらしい。
一年前はスキルに頼り切った魔法をしていたせいで、
私は半人前以下の魔導師だった。
お姉様の『ありがたい講義』とクロノの『大変わかりやすい実践』
ついでにロッテお姉さ……お姉ちゃんの『楽しい楽しいトレーニング』のお陰で、魔力量がお飾りにならない程に、私は成長した。
今でも思い出すと、
『カータ聞いてるの?やる気がないなら打ち切りましょうか?』
『すみません!聞き流してました!もう一度お願いします!だから行かないでお姉様ぁ!』
とっても充実した…
『またイメージ頼ったなカータ!?
何度言えばわかるんだ!
入力すべきものをちゃんと把握するんだ!』
『あーもう!うっさいなぁ!ちゃんとやってるよ!
クロノの言い方は遠回しだしなんか腹立つの!
気が散るからだまってて!!!』
充実した………。
『これでへばるだなんて我が妹ながら情けないなぁ、
仕方ないからもうワンセットプレゼントしちゃおうかにゃあ♡』
『鬼!悪魔!リーゼロッテ!』
うん、充実した楽しい毎日だった!
因みに現在進行形で扱かれています。
主にロッテお姉ちゃんから毎日ボッコボコにされる形で。
ここまで来て予想出来るとは思うけど、
私の戦闘スタイルはお姉ちゃんに習ったクロスレンジ。
一応、魔法による遠距離攻撃もできるからオールレンジ型ともいえる。
お姉様とクロノ先生の教鞭が無ければちょっと遠距離魔法が使えるだけの二流拳士になるところだった。
そして楽しい楽しいトレーニングもそろそろ終わりを告げる。
来月から士官学校への編入が決まったからだ。手続きに時間がかかったと聞いてるけど、細かい事は聞いてない。お父様と「大人に任せる」と約束したから。
因みにクロノ一足先に士官学校に編入、私は半年遅れる形となった。
なので最近は会う回数がめっきり減っている。
お姉様曰く、執務官になるべく猛勉強してるって聞いた。
「来月からの士官学校生活、彼女と人機一体となって頑張るように。ゲイト、私の娘を頼んだよ。」
「はい、お父様。」『承知しました。』
私の娘…そんな風に言ってもらえるまで、半年程かかった。
その理由が、私がいつまでも「おじさん」と呼んでるせいだとクロノから言われるまで全然気が付かなかった。
呼び方を変えたは冬の季節だったと思う。
カッコいいアリアお姉様みたいになりたくて私もお父様と呼ぶことにしたし、礼儀正しい言葉に努めることにした。
まだまだお姉様のようにはいかないけど、だいぶ板についてきたとは思う。
魔導師として片足に突っ込めた、
一年前に私が抱いた願望は殆ど叶ってる。
だから…次の
「お父様、もし私が執務官を目指したら、反対されますか?」
「それが私達のためというのなら、私は反対する。
そうでなければ、理由を聞いてもいいかな?」
「クロノに、追いつきたいんです。」
これは建前、本当はお父様たちの名誉の為だ。
執務官は難関資格…キャリアを積んだ上級魔導師たちですら
実技・筆記共に合格率15%未満……ってクロノが言ってた。
そんな資格を、若年で取ったら…きっとそれは名誉な事。
私が褒められれば…お父様たちが、クロノが褒められる。
でもクロノに追いつきたいのも本音だ。
アイツは私の求める魔導師の一つ。
そんなアイツが目指している境地に、私も立ちたい。
背中を追うのではなく、隣に立ちたい。
「そうか、合格の末には私が顧問として見てあげよう。頑張りなさい。」
「ッ……、はい!頑張ります!」
嬉しい、お父様からの手解き…
お仕事の上だから、当然厳しく接されるのだろうけど、
それはきっと、いや絶対に親子らしい記録になる。
なんとしても、受かってやる。
その為にも、魔法に、勉強に、戦闘技能、もっと頑張らないといけない。
ーーーーーー
いつもの訓練所、今日は
一人で訓練に来ている。…というのも相棒の試運転をしようと思ったから。
「ゲイト、貴方の力見せてもらうから。」
『はい、決して落胆はさせません。
その前に…バリアジャケットの設定をお願いします。』
「デフォルト設定は?」
『汎用設定もございますが…。
折角ですから、固有の物がよろしいかと思ったのですが。』
女の子ですし、そんな締め括り。
もっとマシンと対話する感覚を想像していたのだけど…
インテリジェンスデバイスって凄い。
「専用のジャケット、作れるの?」
『イメージが必要です。それに併せ…私が自動生成致します。』
私専用の装備、なんだか特別な存在になった気分。
ベンチに腰掛けて考える。私の戦闘スタイルはクロスレンジ主体。
だからあんまりごてごてしたり、ひらひらしてるとめんどくさそうだ。
スカートよりパンツ、
ジャケットもなるべく気密性があった方がいい。
色は…白!全身真っ白がいい!
『独特なセンスですね。』
出会って1時間の相棒から辛辣な評価がくだされる。
白が可愛いのだから仕方ない。
『確認しました、少しばかり私の方で手を加えても?』
「いいけど、変なアレンジしないでよ?」
『ご安心を、カータの案より酷くはなりませんので』
「あれ?相棒?今私のアイデアがひどいって言った?」
『黙秘します。…セットアップ開始。』
全身に銀の魔力が灯る。
瞬く間に私の全身にジャケットが展開される。
上半身を銀のインナーが包んで、丈の短い白のジャケット。
両手には肘まで伸びる真っ白な手甲。
布の様に見えて実はすごく固い、防御にも攻撃にも使えそう。
下は銀のレギンスの上に白いショートパンツ。ブーツは少し重厚感のある見た目をしてるけど、これが驚くほど軽い。
もうちょっと可愛らしいのを期待したのだけれど、
これはこれでカッコいいからヨシとしよう。
不満があるとするならもっと白をあしらってほしかった。
『これでも十分奇抜だと思います。
カータの意向に合わせて調整はしましたが。』
「ゲイト、もしかしてバカにしてる?」
『とんでもありません。
敬愛するマスターにその様な評価をするわけがないでしょう。』
「ならいいけど…。じゃあ少し動いてみようかな。」
『はい、必要であれば調整いたします。』
訓練所の真ん中に移動して軽くストレッチ。
拳を軽く固めて、右足を下げ半身に構える。
「し…ッ。」
溜めた酸素を廃棄しながら拳を突き出す。
違和感はない、むしろいつもより動きやすいまである。
暫しシャドーを繰り返した後に、今度は脚を振り上げる。
ミドルキック、前蹴り、軽く跳躍しての踵落とし
色々試してみたけど、こっちも良好、問題なし。
『目立った問題は無さそうですね。』
「うん、必要になったらまた調整すればよさそう。
すごいね、びっくりしたよ、こんなにピッタリに作ってくれると思わなかった。』
『恐縮です。』
さて…ここまではいわば前座。
彼女の本領「解釈装置」としての性能を見せてもらおう。
片手を前に出して砲撃魔法を構える。
「シューティングスター」
イメージするのは流れ星。
速く、力強いが、距離が長く成る程、
燃え尽きる様に消失する牽制用の魔法。
掌から魔力スフィアが生成される事コンマ数秒、
放たれた銀の奔流は、いつもより何割増しにも力強く感じた。
『術式を一部最適化しました。
圧縮から射出までのプロセスに一部無駄を省いた事で
消費魔力の低減、また威力の増加に成功しています。』
「うわ、凄。」
『恐縮です。』
本当に私の魔法をよく解釈してくれてる。
相棒の性能が高い事は今のでよくわかった。
心なしか、返される言葉もどこか得意気にすら感じる。
「攻撃魔法以外も、試していい?」
『どうぞ。』
ジャンプ・ステップ
超短距離転移魔法。適用距離は精々数mだけど、
回数を重ねることで、超速移動も再現できる。
非力でスピードも乏しい私には必須とも言える撹乱魔法だ。
詠唱破棄ができる私ならではとも言える魔法。
燃費が悪いのが玉に瑕。
…だっただけれど、その場で数回ジャンプしたところで
燃費が段違いに上がっていることに気づく。
『良く出来た魔法です。
しかし座標特定と、現在地との距離算出に
かなりのロスがございましたので、算出式を修正しました。』
いかがですか?
私の反応を確認したうえで、随分と得意気に行ってくれる相棒。
この人本当にAIなんだよね?
「わかった、わかりました。
貴女の有能さはよく理解しましたゲイト先生。」
『恐縮です。ですが、驚きました。
マスターの魔法は想定した物より遥かに高精度です。』
「そ、そう?お姉様とクロノのおかげかな。」
『いえ、それはあくまで要素の一つです。
これらの魔法を生み出したのはカータです。
謙遜する必要はございません。』
なんだかこの人、凄い私の事を全肯定してくる。
こんなに褒められると少し恥ずかしい。
「…ありがとう。」
『事実を言ったまでです。
お礼を言われるほどではありません。』
バリアジャケットを解除して、訓練所を後にした。
お父様から頂いた
私に必要な物だからとお父様は与えてくださった。
これに見合うだけの魔導師になって、
お父様に恩返ししなければならない。
「お父様に報告しないと。ゲイトは優秀なマシンですって」
『その報告は必要ですか?』
何を当たり前な、
そんな雰囲気を感じ取れる彼女の言葉を真っ向から否定する。
「当然、使用感とか、ちゃんと報告しないとダメでしょう。」
『まるで上司と部下の様ですね。』
ハタ、と歩みが止まる。
これは彼女なりのジョークだ、笑って違うよと返せばいい。
でもドウシテ?
ドウシテソレヲヒテイデキナイノ?
『失言でした、撤回します。
申し訳ありませんマスター。』
相棒の言葉に意識を取り戻す。
今、自分はどんな顔をしていたのだろう。
「ううん、良いの。確かに上司みたいだね。
でも、使いやすかったよ、ありがとうっていうのは大事でしょ?」
『仰る通りかと、どうかお父上にご報告を。
「このデバイスは最高です。これさえあれば私は世界を獲れます。」
こんなところでしょうか?』
「自己肯定力すご!?…貴女本当にAIなんだよね!?」
『勿論デス。私ハ
Genius
Advance
Trancelate
External
OS 略称名G.A.T.E.』
「うん。それっぽくカタコトで喋っても誤魔化せないからね?」
しかも、正式名称だけやったら流暢に喋って
余計にマシンっぽい喋り方に聞こえるのがムカつく。
しかも、どこまで行っても「それっぽい喋り」であって
クオリティが高い訳ではない。
『AIにAIの真似事は難しいということですね。無念です。』
「ゲイトって本当はバカなの?」
『この様な例えがございます。バカと天才は紙一重。
つまり私は優秀ということです。』
「よかった。ちょっとポンコツでマスターは安心しています。」
天才は時に世界を滅ぼす。
この前読んだ小説にはそう書いてあった。
多分ゲイトもその類の人種…いやAI種だろう。
世界を滅ぼすAIってなに?終末かなにか?
『撤回を要求します、
私は断じてポンコツな振りをしたあざといAIではありません。』
AIと思えない程饒舌にペラペラ喋る相棒に適当な相槌を打って、
私はお父様の部屋へと向かう、
相棒の捲し立てに付き合う内に、
先程のおかしな妙な感情はどこかに流れ落ちていった事に私は気づいていなかった。
ゲイト『カータに対して家族弄りは地雷、覚えた。』
Q.こんなにペラペラ喋るデバイスがいるか!
A.レイジングハートも似たような奴だからセーフ
AIの癖にAIらしくないけど、
成果だけ見れば超優秀なAIというのが
作者の性癖なのでどうか見逃してください。