我々人類は太古の昔からこの地球で生活を続けてきた。これは遥かな昔この星の生命が誕生した時から連綿と進化を続けての結果と言うのが我々の常識だった。
しかしこの常識は新たなる常識によって打ち破られた。
ガミラスを含む星間国家との国交は新たな常識を我らにもたらした。そのうちの一つが謎に包まれた古代文明アケーリアスである。
かつて大マゼラン銀河と天の川銀河を股にかけた強大な星間国家が存在していたことは、マゼラン銀河において常識であると言う。
事実大小マゼラン銀河には多数の遺跡が残されている。
本講義ではそんな古代アケーリアス文明について学んでいくものとしたい。
さて地球の考古学者達ではマゼラン銀河側の遺跡調査はまだ行えていないものも多い。そんな中の一つがガミラスの使用しているゲシュタムゲートと呼ばれる遺跡だ。
軍事的、或いは科学的にも極めて貴重な遺跡である為調査許可はおそらく永久に出ないだろうが、この遺跡その存在は考古学的にも有用である。
何故ならばこの遺跡こそが大小マゼランのみならず天の川銀河すらも支配下に収め統治していたことの証明だからである。
何故か、と言うものも多いだろう。それは端的に言えばマゼラン銀河と天の川銀河との交通が頻繁に行われていたことを意味するからである。
例えばアケーリアス文明が遊牧民の様な移動国家であったと仮定しよう。その場合マゼラン銀河と天の川銀河を周回すると考えられるが、この時双方を行き来するのに現在の技術でおおよそ半年ほど時間がかかる。振り返って銀河を端から端まで一周し、それからもう一つの銀河へ移動を開始するとした場合、現在の技術では最低5年最長では30年ほどかかると試算されている。
さて諸君、この場合たった半年の移動を短縮するためにゲシュタムゲートを設置するのは果たして効率的なのだろうか?
もし、それが効率的であるならばもっと多くのゲートが両銀河にばら撒かれていることだろう。
そうならないのは何故か、ゲートの設置コストが高いからであろう。
現在確認されているゲートの数は8箇所。大小マゼランと天の川銀河の内にたった8ヶ所しか無いのだ。
とどのつまり、大マゼランと天の川銀河にはしっかりとした交通網が整備されていたと言う事になる。
また、ガミラス側のデータによれば中継拠点のバラン星に於けるアケーリアス文明遺跡規模から、アケーリアス文明の交通要所で有りながら限定的な居住部分しか存在しないことが確認されている。
コレらを踏まえれば大小マゼラン或いは天の川銀河の何処かに未発見のアケーリアス文明首都が存在したと思われる。
もはや何年前に存在した文明かさえ定かでは無いが、もし首都惑星とその遺構を発見できれば両銀河に住む知的生命体のルーツを知ることができるだろう。
我々のルーツを知ると言うことが古代アケーリアス文明を学ぶ意義なのだ。
基礎教養として受講している者も多いだろうが、宇宙考古学でも今一番ホットなのが古代アケーリアス文明だ。諸君にはその面白さの一端でも知ってもらえれば幸いである。
さてこの授業を始めるにあたっての前置きはこの辺にしておこう。
第一回目の講義ではあるがそろそろ本題に入っていこう。授業概要や単位認定についてはシラバスに記載しているので確認しておくよう求める。
本日の講義はガミラスによって編選されたアケーリアス文明の概略を学んでいきたいと思う。
現在確認されている中で最古のアケーリアス文明の史跡は凡そ15万年ほど前のものと推定されている。
資料1の写真を確認してくれたまえ。
小マゼラン中心付近で発見された構造物だ。
機能的なものが一切不明であり、また材質も未だ不明であるが恐らく金属に類するもので構成されていると考えられる。
内部には標準ヒューマノイドに適した空間構成がなされており、電源が一切喪失して機能停止したコンソールなどが残されている。
この遺跡がアケーリアスのものであると言う最大の証拠が内部コンソールに刻まれたアケーリアス古語と呼ばれる文字群だ。
これらはアケーリアス文明の史跡において最も古い時代に多く使用されていることが確認できている。
この史跡内部から採取された検体を調査したところ誕生から15万年が経過していることが判明した。
今現在大小マゼランそして天の川銀河において最古のアケーリアス遺跡と見られる。
現在の通説では凡そ20万年前にはアケーリアス文明の元となる種族が誕生したのではないかといわれている。
また史跡には大きな時代幅が存在しており最も近代に建造されたと思われる史跡は1万年程度前のものであると認識されている。
もしいずれの史跡も同じ文明が生み出したものとするならば古代アケーリアス文明は10万年以上もの間これらの銀河を支配した超巨大銀河間国家として君臨したと考えられる。
しかしそんなことがありうるのか?
これを調べるのが現在の宇宙考古学におけるトレンドだ。
さてではレジュメの三枚目を確認してほしい。
これはガミラス中央学寮収蔵の資料とそれの英語訳及び日本語訳である。
この古文書の由来は古くはイスカンダルから直接伝えられたものとされる。
この文書自体はガミラスにおけるイスカンダルの影響を考察するのに大いに有用であるが今回最も重要なのは記述された内容であろう。
訳文を要約すると遥か彼方の昔、宇宙に栄えたアケーリアスと呼ぶ文明が存在したという。
彼らはその頂上的な技術で宇宙を統治していたがある時播種船を宇宙全土に散りばめ文明の子供と言える生命の進化、その種をまいた。
今日宇宙にいるヒューマノイドはすべからくアケーリアスの残した同胞であり兄弟であると
以下しばらくイスカンダルの慈悲について修飾されながら綴られているが重要ではないので割愛する。
重要な点として、ガミラスイスカンダルを含む大マゼランでは基本的にこのアケーリアスこそが人類の祖であるという認識が一般的であるという点である。
では次に小マゼラン方面における認識であるがこちらは少し趣が異なる。
大ノルド方面惑星ゼラームにおいて保存されている壁画物語である。
これには大変興味深いものが残されている。
資料の図表5だ。古ゼラーム語と呼ばれる文書と共に空から迫りくる光、そして火を手にした人の絵図が描かれている。
これらは時代解析の結果先に壁画が描かれそののちに文字が書かれたことが判明している。
古ゼラーム語の和訳であるがそらから光が舞い降り我々、これはゼラーム人のことだが、が誕生した。ほどなくして火を使い始めた我々を見た空の光は星の世界へ帰っていったというものだ。
この様な伝説は小マゼラン全体で数多く残っており教導者という言葉で多くが語られている。
ガミラスの侵攻によって古代小マゼラン方面における史学は残念ながらいくらか消失をしており先ほど述べた15万年前のアケーリアス遺跡についても発見時のデータが失われ現物からとれるデータのみであるがそこは置いておこう。
また銀河間空間においてもアケーリアス史跡が発見される事例がある。
レジュメ6ページを
我々が知っているのは旧バラン星であるがそのほかにもマゼラン天の川銀河間でいくつか発見されている。
これは地球呼称DX1178ガミラス名称ベルム星近郊にある停止状態のゲートだ。
見ての通りバラン星他の亜空間ゲート史跡とほぼ同じであることが見て取れると思う。併設されているのは何らかのコロニーであると思われるが現在までその意図がはっきりとしていない、ベルム星からエネルギーをくみ上げる施設である、というのがガミラスにおける定説だそうだ。
この様に銀河間空間の何もない宙域にゲートとそれに付随する施設が建設されている例はこのほかに3件確認されている。
また旧バラン星鎮守府においてもテレパスあるいはそれに準ずる何かの設備が併設されていたという話だがこちらもヤマトが吹き飛ばしてくれたおかげで分からずじまいとなっている。実にもったいない。
さてでは我々の住む天の川銀河においてはどうか、これが現在においても確実な資料を発掘できていない。
すでに惑星探査局によって地球近傍の惑星にも何らかの古代文明史跡と思われるものが発見されているが、発掘調査を行えていないのが現状、だった。
2週間後より発掘調査の第一陣、その事前探査がついに行われることになった。詳しく述べることはできないが私もその調査に同行することとなるため来週は休講、再来週からはマーシャル大学のヘンリーウォルトンジョーンズ博士が受け持ってくださる、彼は日本語ができないため同時通訳機を持ち込むこと忘れないように。
それでは時間も良いようなので本時間の講義は終了とする
担当教員ロバート・レドラウズ