一般バンドリーマーだったはずの俺がある朝目覚めたら最推しになっていた話 作:小説家やっさん
ここまで読んでいただきありがとうございました。
俺がモカちゃんの体を離れてからどれくらいの時間がたったのだろう。目を覚ますと元の世界の俺の部屋にいた。
「....そっかホントに俺、元の世界に戻ってきたんだな....あの数ヶ月のことがまるで夢のようだ」
目覚めたばかりでぼんやりしているまま俺は手元のスマートフォンを起動する。
「あれ?日付があの日のままだ」
スマートフォンの画面にはモカちゃんになるきっかけとなったあの日の日付が映し出されており、時間も1時間程度しかたっていなかった。
どうやら向こうの世界とここでの時間の流れは違っているらしい。もし今までいたあの世界と元のこの世界が同じ時間の流れにあるなら、俺が目覚めるのは自室のベッドの上ではなく病院のベッドの上になっているはずだ。
「ドラ〇ンボールの精神と時の部屋みたいな感じか」
そんな風に考えていると下から母親の夕飯が出来たから降りてこいと呼ぶ声が聞こえてきた。母さんの手料理か....久しぶりだな。数ヶ月振りに食べた母さんの手料理は懐かしさが込み上げ、少し泣きそうになった。
夕飯も取り終わり、俺は自室に戻り、壁一面にあるモカちゃんのポスターやタペストリー、本棚の横に作った祭壇を見つめていた。
「ほんのちょっと前までは俺はモカちゃんだったんだよな...なんか、戻ってきた今でも実感湧かないな...」
そんな風に考えていると急激に眠気に襲われた。今までのモカちゃんとしてなりきって生活していたことによる
心労が元の世界に戻ってきたことへの安心感で一気にやってきたのだろう。俺はそのまま目を閉じて深い眠りについた。
...あれ?ここ何処だ?俺さっきまで寝てたよな?なんでこんなとこに?というかこの場所どっかで見た覚えが...
あまりにも突然のことで困惑気味になっていると、何処からか声が聞こえてきた。
「お~やっと来たね~元の世界に戻してからずーっと呼び掛けてたのに全然反応してくれないから夢の中に呼んで来ちゃったよ~」
声のした方に振り向くとそこにはあの日、あの世界でモカちゃんとして生活することとなったきっかけとなったモカ神様がそこに立っていた。
「モカ神様?何でここに?」
「いやぁ数ヶ月もの間あの世界のモカちゃんの代わりでいてくれたことのお礼をまだ言ってなかったなーと思ってね~」
「お礼?それならあの世界のモカちゃんが言っていたから別に.....」
「それとは別にだよ~普通いきなり自分の身体が変わったことでパニックになったり、元の身体に戻せって言う人TS物だと多いでしょ~?それを漣くんはすんなり受け入れてくれて数ヶ月間モカちゃんとして生活してくれていたしさ~」
確かに、今思えばあの時、憧れの推しに俺がなったって気持ちが勝っててパニックになったり、元の身体に戻してくれなんて1度も思わなかったな。
「別に礼を言われる筋合いはないですよ。俺は人としてやるべきことをやったまでですし。」
「そういってくれるとあたしも救われるよ~」
それからしばらく、俺が目覚めるまでの間、俺はモカ神様とあの夢のような数ヶ月の思い出を語り合った。
「そろそろ朝か....モカ神様、俺そろそろ戻ります。」
「そっかぁ。じゃあ漣くんともお別れだね~」
お別れ?また夢で会えるんじゃないのか?
「役目を終えた以上、あたしもいつまでもこの世界にいられる訳じゃないんだ~神様だから色々やることが多いんだよ~」
そっか、モカちゃんや蘭ちゃん達と別れた次はモカ神様とも別れがやってくるのか....なんか寂しいな....
「モカ神様、お元気で」
「うん~漣くんも元気でね~?」
モカ神様との別れの挨拶を済ませ、俺は夢から現実に戻っていった。
あれから数ヶ月が経った。俺は元のしがない高校生としての生活を送り続けている。1つ変わったことがあるとすれば、あのモカちゃんでいたことの経験からコンビニのバイトを始めたことくらいだ。
モカちゃんとしてコンビニでバイトしていた経験もあってその能力を店長に高く買われ、同期や先輩からも慕われるようになり、今までの陰キャ生活から180度俺の生活は変わっていった。でも、俺には変わらないことが1つある。それは勿論、モカちゃんを推し続けていることだ。あの日から俺の部屋のモカちゃんグッズは種類を増やし続け、祭壇に飾りきれないほどになってしまっている。
おっと。こんなことを話している場合じゃなかった。今日からモカちゃん主役のイベントが始まるからイベランしなくちゃならないんだった。
「ブシモ!」
「クラフトエッグ!」
「BanG Dream!ガールズバンドパーティ!」
さて、イベラン開始だ!今日は徹夜するぞ!
俺はこれからもモカちゃんを推し続けていく。
ということで漣のモカちゃんの生活はここで区切りを迎えました。
至らぬ部分は多かったとは思いますが、楽しんで頂けたのなら幸いです。
近いうちに新作を投稿するつもりなのでその時はまたよろしくお願いいたします。