GATE オリンピックから繋がる異世界   作:イシグロ

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霊夢って言葉としては使わないよね。もっぱら東のゲーム主人公の方が有名だし。

全王の立ち位置についての話でもある。

深い意味はないよ、ほんと。そんなもん、な内容だからね…この小説。


総理、霊夢見たってさ(参加作品:ドラゴンボール)

 

 

「不思議な事が起きてる、のね」

「…それは、どういった意味でしょうか」

「君の惑星に現れた『門』の事だよ。門が繋ぐ世界は…ありえる話、なのね。例えば、シュレティンガーの猫ちゃん…生きているか、死んでいるか。どちらも開けてみないと解らない事だけど、この門も同じなのね。

どっちを取っても、ありえる話になる。それだけなのね」

「…あまり、分からないのですが」

「そう言うもの、と覚えておけばいいのね。君の目に映ることは過程も結果も、考えてみればあり得る話になる。

目の前で起こる現象はそんなものなのね、だから…気にしすぎても意味ないのね」

 

目の前の現象は嘘か真か、…少なくとも本当の事だろう。

…ふと、思い出す。あの東京オリンピックの出来事を経験し総理の座に就き、いざオリンピックの年となった際に何処か…異世界へと繋がった瞬間を見た際には、腰が抜け椅子から立ち上がれなかったあの日を、思い出した。振り返り考えれば、こうなることはあり得た話…それが、過去として思い出せるくらいになった。

 

そして、目の前に佇む不思議な存在…全王、と呼ばれる神格。

これ以上の情報は開示されていないものの…、それ以上知れば間違いなく俺の正気は失われるだろう。

人間が知ってはいけない情報を見れば、理解できず延々と悩み苦しむ…そうなるくらいなら、ビジネスな関係に留まる方が良い。

「君…朝生(アソウ)くんは、これからどうするのね?」

コテリ、と頭を傾げる。

見た目は可愛らしい印象の人形っぽいが、力はどの世界の神々よりも強い、と『公』が言っていた。勝てる見込みのない戦をするつもりはないが、…主義だけは変えるつもりもない。

神を目の前にしても、だ。

「…俺は国民を守り、陛下に殉ずる。神でもない、ただ…国民と陛下、家族の為にこれからを良くする。それだけだ」

「それでいいのね、私利私欲にかまけたら…消しちゃうとこだったのね」

ニッコリ、と可愛らしげに笑う全王。しかし、その笑みは何処か疑わしいと思える感情を湧かせるほどに、胡散臭かった。それでも、その言葉に偽りはないと見る…勘ではあるが、確かだった。

…どこかで、ぶつりと何かが切れる音がした。

 

「見届けるよ、どんな事が起きても…ぼくは見届ける。それが、ぼくの役目だからね」

 

 

『スリープモード解除…起床五秒前。…4、3、2、1…』

アナウンスと共に、カプセル型の機械がゆっくりと起動し始める。まるでSFジャンルに搭乗しそうな大型の精密機器だ。扉が開き、中には五十代と思わしき男性が一人、仰向けになって寝息を立てていた。男性はゆっくりと目を開け、身体を起こす…ぼんやりとしながらも、小さく口を開く。

「…なんつう夢だ」

起きて早々、忌々しく言葉を零す男性。

悪い夢でも見たかのように彼の顔は青白く冷や汗をかき、服の色がにじむほど背中は湿っていた。

この日本国における現総理大臣、朝生多郎(アソウタロウ)。東京オリンピックの出来事を経験した世代であり、歯に衣着せぬ態度と言葉ながらも、冷静に事を分析し決断が迅速であると評判な政治家として知られている。

忌々しくそのような言葉を零したのは、就寝中の夢にて各国でもごく一部の人間にしか、その存在を明らかにされていない全王を目の当たりにした事が切っ掛けであった。

全王、と呼ばれる存在は…秘匿中の秘匿。

その存在を知ったのは、1998年の長野オリンピックの際に繋がったある異世界からの情報によってだった。その異世界は、この世界の文明…特に、機械文明が発達しており、地球外惑星、生命体、宇宙との交流が進んでいた世界であった。

宇宙の始まりから存在し、永きに渡り生まれ滅んでいった惑星たちの一生を見届けている、と言われている。…そもそも、異世界の宇宙の存在である全王は、この世界の宇宙の支配者に当たるのか?

疑問視する問題だが…支配者であろうとも、なかろうとも…この全王の機嫌一つで、この世界も消え去ってしまうほどの技量持ち。それをわざわざ探りや喧嘩を売る必要性は、皆無であろう。

…要はゴルゴ13のように、探りを入れたら死ぬと思えばいい。

世界を牛耳、支配する存在たちは全王への干渉は皆無であった。我が身可愛さ、それもあるが、…それ以上の得体の知れない未知の恐怖が彼らを蝕んでいっていたのだった。

そんな朝生、何故全王と会い見えたのか…ひとえに、全王の気まぐれにすぎない。

元々、全王は余程の事がない限り一つの惑星、それもその惑星に住まう一個人への接触は皆無に等しい。…しかし、GATEという存在に対し全王は何かしら思う所でもあったのか、夢を通し朝生と短いながらも対談が実現したのだった。しかし、内容は朝生にとっては何とも釈然としないモノ言いで、知っている口ぶりながらも必要以上に喋らない。

ただ、言える事は…気にしすぎるな、それだけである。

単純にそれだけを汲み取ればいいのかもしれないが、朝生は引っ掛かりを覚えた。

しかし、未だGATEの所在が解明できない以上…全王の言葉はある意味魅力的だ。神自身が、それ以上気にしてもしょうがないと言っている…それでも、その言葉には何とも無責任さが伺えられる。

「…霊夢(レイム)なんざ、見るもんじゃねぇな」

ポツリ、と再度零す。

その言葉には、忌々しいと言う思い、困惑、悲痛な思い等が入り混じっていた。

 

 




意味深な感じだが、転生者はこんなことが起きてるなんて知りもせず高校生活エンジョイしてます。

振り回される役目ではありますが。
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