まんまだけど、流石にちょっとは変えています。
NARUTOはNARUTOだけど、時代的に柱間たちが生まれる前あたり。馴れ初めは原作で有名な一族、衆が戦争中に接触する形です。
1964年、日本・東京都。
戦後、日本はどん底であった。経済も、国民も底に沈んでいた。第二次世界大戦の敗戦国の烙印を押されて以降、国民は皆その事実を受け入れる事が出来ない者が多かった。
玉音放送による、天皇の人間宣言と共に敗戦に報告。それが決め手に。
だが、時代は進んでいる…その中で日本はどん底から血反吐を吐きながらも立ち上がった。
池田内閣の主導の下、日本の立て直しに力を入れた。エネルギーを石炭から石油への転換、所得税倍増、米欧の技術導入・技術革新を行い設備開発と新産業の確立を図る。一方で物価の上昇、公害等の負の遺産を出しながらも…日本は、世界に並び立つほどにまで、建て直す事に成功。内閣は批判を浴びながらも、憎まれながらも成し遂げたのだった。
…そして、1964年。
東京オリンピックの開催日。それは前触れもなく、突如として起こった。
その日、オリンピックが開かれるとともに…赤坂にて巨大な門が現れた。かの花の都パリに建つ凱旋門が如く、大理石でできたような乳白色と壮大な装飾で飾られた門。徐々にそれは開き、その先に待ち構えていたのは甲冑姿の兵士たちだった。かつて、この日本にも同じような甲冑が存在していたが…彼らの身につける甲冑は何とも簡素で、動きやすそうなもの。似たような文化を持つが、彼らかは見れば異なっていた。
一人の兵士が、門の外へと足を踏み出す。
門の周囲を武装に身を固めた自衛隊と機動隊が取り囲む、武器と盾を構え…兵士の出所を伺った。緊迫した雰囲気が辺り一帯を包んでいる。
「貴殿らに問う」
足を踏み出した兵士は、神妙な顔と声で自衛隊たちに問いかける。
「ここは浄土、なのか?」
浄土、俗に死後の世界の一つとされ天国、という解釈が多い。
兵士の前に自衛隊の隊長とされる人物が現れ、その問いに頭を横に振る。ここは、日本という国だと言う事を伝え、兵士に向け正体を問いただした。
「我らは忍、千手衆と言う…。異界の者たちよ、ここを速やかに明け渡すがいい。事によっては貴殿らと殺し合わなければならん。我らも、それは不本意だ…我らは長きにわたり戦をしてきている。
これ以上、我が同胞の血を流させたくはないのだ」
その言葉に両陣は戦慄する。
血を流させたくないのは、どの陣営も同じことだった。この日は日本にとっては世界に、敗戦国ではない日本という国を再度認識させるための大事な日であった。それを、血に塗れた日にするのは…かつての日本に逆戻りだ。
日本としてはどうしても、それを避けたかった。
そして、忍の者たちも戦続きによる疲弊…道を同じくする同胞を多く戦で失ってきている。それはかつて、日本のさまを目の前で映し出しているかのようだった。
「待ってくれ…」
自衛隊たちを押しのけ、一人の細みの男が兵士の前へと出る。
入院服に身を包み、酷く痩せ細っており顔色も酷い。まるで、病に侵されたかのような男であった。
池田政人(イケダマサト)、元内閣総理大臣だった。そこから数人の男たちが、池田元総理の元へ駆け寄っていく。その中には池田元総理に後を託され、現総理大臣と成った佐藤詠作(サトウエイサク)とその秘書の姿が、そこにあった。
「池田さん!何を無茶な事を!!」
佐藤総理はそう、池田元総理に怒鳴りかけるも…彼はかすれた声を荒げ、兵士に向かって叫んだ。
「頼む、攻撃は止してくれ…!この日本は、今…世界に見せつけないといけないのだ。この国は、…日本は、負けた敗戦国。…俺たちは、汚れ役を買ってでも、この生まれ変わった日本を見せつけなければ…ゲフ、ゴホ!見下す米欧に、…ようやく…」
途中口元を抑え、酷くせき込む池田元総理。
抑えられた口元の隙間から真っ赤な血がドポリ、と勢いよく吹き出し、アスファルトに小さなため池を作る。在任時、冷酷とまで言われた男はその面影を無くし、酷く弱々しくなっていた。かの男も、病には勝てなかったのだ…だが、それでも精神は屈せず、国の為に命を投げ出す行為を平然とやってのけている。
そんな池田元総理に、自衛隊たちはかたずをのんでいた…。
吐血してもなお、兵士を見上げ食い入るように睨みながら更に叫ぶ。
「俺の命、くれてやろう!この国のトップであった俺の命くらい安い!!
だから攻撃は止めてくれ…それに、今は神聖なる祭典の日だ。多くの血で汚すくらいなら、この命だけにしてくれ。血を一滴たりとも流させたくないが、これ位…安いもんだ。
この祭典の為だけに、腕を磨き高みを目指す若者たちが多く居るんだ…それを、戦争なんかで汚させるものか。
ようやく…戦争が終わったんだ。
ようやく……ようやくだ」
「お前たちに良心があるならば、ここで手を引いてくれ…。さもなければ、どうか…、俺の命で手を売ってくれ!」
ごちり、と頭を打ちつけるように土下座をする池田元総理。
かすれそうな声で、頼む…と何度もつぶやいている。その隣では佐藤総理も、同様に土下座をしながら兵士に向かって懇願した。
情けない姿、だと思うだろう。
本来なら、武器一つで制圧すればいい…だが、今の日本はそれを許されなかった。なんせ今日は、東京オリンピックの開催…ようやく、この地にオリンピックを開催できるような国へと成った。それを、たった一つの指示…武力での制圧をしたくなかった。
この国の政治体制は未だ不安定の域だ、政界も真黒である。
戦争への引き金は、いくつも転がっている。目の前の兵士たちの戦力も未知数、いきなり蹂躙に至らなかったのが奇跡な部類だ。
それに、この取引は一方的とも言える。
命一つで、引き上げて欲しい…そう言っているのだから。
「……」
兵士は何も言わない。
しばらくの沈黙、それを終わらしたのは兵士からだった。
「今、行われている祭典は…どう言ったモノだ?」
「競技…人と人が競い切羽琢磨し…人の高みを超えていきまた、挑戦する祭典だ。人同士の殺し合いは禁じている。この祭典の間は…そうなっているんだ。
…一度、見て欲しい。
それから…答えを、聞いても遅くは無いだ…ろう?」
池田元総理は、ゆっくりと顔上げ…兵士を見つめる。口元は真っ赤に染まり、顔も更にひどくなっているが…その両目は、ギラギラとした眼差しでかつて、在任時のような意志の強いモノだった。
東京オリンピックの急きょ中止は無く、そのまま続行された。
会場の多くに、時間は短いながらも佐藤総理と共にかの異世界の代表である大名と兵士たちが見守り、選手たちの雄姿を見届ける様は全世界に配信された。この時、各国の代表の多くは祭典のさなか、外交を開始しようとしたが…異世界の代表とされる大名、兵士たちはそれを無視し、選手たちに釘づけと成った。
そして、東京オリンピック、それが閉幕と同時に…条約が交わされた。
日本と繋がった世界…忍界はこの祭典を終えると同時に、戦を求めず手を取り合う事を誓う条約だった。短い間で決まりまだまだ不備のある条約ながら、それでいてある男の意思が酷く反映された条約でもあった。米欧はこの翌年に、忍界への接触を試みるも…忍界はこれを拒否、いや正確には最低限の取引とオリンピックに限っての交流だけに留めると言った。
米欧はこの結果に不満を持つも、未知なる忍界の戦力を警戒しそれを渋々と承諾したのだった。しかし、それでも目ざとく機会を伺っていた。
無血へと導いたその男は翌年、眠るように息を引き取った。……その男の葬式の列には、かつてあの兵士だった男が花を持ち…供えたと言う噂が飛び交ったと言う。
とりま、千手を出した。
仏間は居たかも知れない、でもまだNARUTOが連載していないから描写無しにした。
これってどうなんやろね。