グルメ大陸のほとんどの動植物、魚類等は一度でもいいから食べてみたいですわ。
そんでクラスの闇案件をチラリ、と。
グルメ界、1976年モントリオールオリンピックの時にそれは発見された異次元世界。
なんでも繋がった世界の情報によるとその世界である地球の70%を占めるその大陸は、人間の文明が開始されていなかった原始時代そのもの。自然豊かで地球ではまずみられないような動物、植物といった種類が多く発見された。しかし、未知なる大地には環境の違いと危険も多くあり、どんな実力者であってもその大地を踏みしめるのには人の域では難解なものであった。
それこそ、人の域を超え…すべての環境に対応できるほどの領域、そこまで到達しなければならない程。
それ故に、外交を行う際に最優先で現地住民との接触および、交流を重点とした結果、見合った成果を持ち帰れるようになった。
現地住民である彼らは、美食家と呼ばれる冒険家であり料理人、研究者としてのあらゆる側面を持ち、その大地の特攻役職とされた。
そんな彼らの力の源、それはグルメ細胞と呼ばれる特殊細胞。
グルメ界のみに存在する細胞であり、それはグルメ界に適するような身体づくりには必須であり、それを得るにはグルメ界に存在する生物である『グルメクラゲ』を摂取しなければならなかった。また、細胞の力は他にも強靭な身体と体力、人間の身体において解明されていない未知の域を開放できると言う研究結果も発表されている。
現在、グルメ細胞はどうやらグルメ界に存在する動植物、食材たちに僅かながら存在すると言う論文が発表された。それでも、グルメ界はいまだ謎多き次元である為、確実な証拠となる結果は、まだまだ先の事であった。
グルメ界で発見された動植物は、こちらの世界でも流通している。
しかし、足が速くどうしても半日も持たないモノが多かった。その為、足を少しでも遅く、それでいて新鮮なうちに食べてもらうために、グルメ界の食材を使われる飲食店の多くの料理人は、美食家および彼らの弟子でしか扱えなかった。
その為、彼らの店は赤坂に集中している理由に。
美食家の弟子だけあって、料理人はグルメ界に赴き自ら食材を調達する事は日常であり、当たり前のこと。
そんな彼らが作るフルコースは富裕層のみならず、王族や皇室もその味に魅了されていた。しかし、料理人たちはまんべんなく多くの人に食べてもらうために日夜グルメ界の食材をいかに、浸透させやすくするかの研究が進められている。
…だが、その食材に関連する裏取引はもちろん存在する。
何せ、流通が非常に稀で危険伴う幻の食材、それこそ食いつきが良いのは間違いないだろう。
裏取引で流れる食材の多くは、偽物。それこそ、そこらで採れるような食材を加工したものが多く、彼らは美食家の間では下賤すら生易しい程のクズ、と呼ばれ忌み嫌っている。
─転生者の独白─
料理というのは結構、想像力豊かな内容が多い。
手順、過程もさることながらひと手間加える事で色々と味や見た目も変わる、七変化が如く、だ。俺だって料理、両親が不在の時は妹に振る舞うからその苦労や達成感、味についても理解している。
そして、目の前に並ぶ眩い、という言葉が似合う程の豪華絢爛な料理の数々。
満漢全席、まさにそれだ。
それもバイキングスタイル…いや、都会ではビュッフェか。おい、そこ田舎丸出しと笑っていやがるな、お前もその口だろちくしょう。
事の発端はフリーザ先生が担任になり、早1か月過ぎた頃。…いきなりDEVU(デヴゥ)こと廻沙流が、親睦会を開くと言う事を言いだし、実行したのであった。
意外だな、こう言った群れることは嫌って良そうなのに…その為、廻沙流同様セレブである片割れの楓も、この親睦会をいたく気に入り財力、持ち前の札束ビンタでさらに豪華にさせた。
やめろ馬鹿、お前たちセレブの感性に一般人である俺たちは付いて行けねぇんだよ。足がすくんで動けず、はては疑心に溢れるんだぞ…。
見ろ、白鷺なんて顔面蒼白だぞ…。口を動かし、なんかブツブツ言っている…ちょっと近づけば、ようやく聞き取れるくらいの声量。酷く怯え、ナニカに対し恐怖心を湧きあがらせている…ヤバくね。
「これは、あの男の罠…?私を更に、陥れる為の……」
ほらぁあ!!こいつのトラウマ無自覚で抉りやがってぇ!
……あとさぁ、中島お前…女性に優しくするのは良い事だよ。しかもトラウマ発動しちゃっている白鷺の介抱、率先するのは良いよ。俺たちだって心配してるさ、めちゃくちゃ震えているし…ラファも、オロオロしているからな。
あのマイペース野郎シンだって、心配している。このクラスのやつら、結構芯身で優しい性格多いよな、人の気持ちが分かると言うか…何と言うか。
「おい、大丈夫か…」
「へ、へいき…」
身体を震わす白鷺に、中島は着ていたレザージャケットを白鷺の肩へと羽織らせている。うん、別に悪い訳じゃないけどさ…俺が汚れているだけかもしれないけどさ…。
「……近くね?」
「どうした…って、お前なんつう顔してんだよ」
「何その顔、…まるでネットに転がっている宇宙を背景にした猫の驚きの顔にそっくりじゃない…」
「ナンデモナイデース」
「うむ、白鷺くん大丈夫かね?…顔色が優れんが」
「…平気よ、澁澤たちはそこまでの意図は無いと思っているから。単に、ちょっとね」
…めちゃくちゃあの傷害事件引きずってるやん。
そりゃあそうか、意図せず無理やり被疑者、容疑者と決めつけられ…これを引きずっていない、なんて出来ないわな。俺も今の気持ちに配慮が足りなかったと、反省する。
「フリーザ様にはちょっと物足りなかったでしょうか…」
「いえいえ、岩崎さん。
そんな事はございません。私としても貴重であり、ここまで信頼を寄せてくれる生徒を持てて幸せですよ」
「フ、フリーザ様…!」
楓のフリーザ先生愛、すげぇ重い…。楓が担当している部分全て、フリーザに合うようなグレードの高いやつばっかり揃えてあるし。もちろん、俺たちの事も視野に入れた配慮はあるが…いずれにせよ、フリーザ基準といった所。
恋は盲目、そんな感じだった。
テーブルに並べられた料理の中には、あのグルメ界で採れる食材も混じっていた。例え、食材の取れる危険度は低くも…それでもうん百万円くらいの値段。
緊張しすぎて味が分からなくなることもある人間の身体、それを無視しグルメ界の食材で調理された料理は…脳に焼き付けるほどの衝撃を与えた。俺はこの瞬間、このクラスの生徒でよかったと思うと同時にカエサルと楓には逆らえない、というヒエラルキーを突き付けられ、身に自覚した。
前菜の一つ、霜降り豆腐のサラダ。
グルメ界に生息し生産に成功した大トロ大豆という植物を原料とした豆腐。普通の豆腐よりホロホロ崩れやすいものの、しょうゆ無しでも美味い。委員長は豆腐が好きなのか、さっきからデカい声でうまい、しか言っていない。
うるせぇ。
他にも寿司だといくらの様なブドウらしく、名前もそのまんまないくらブドウを使ったしょうゆ漬けの軍艦、ストライプサーモンという綺麗なオレンジ色の肉を持ったサーモンのムニエル、味の変化が虹のように七変化するあさりの味噌汁もテーブルに並べられている。
デザートはマントル芋を使ったスイートポテトや大学いも。大学いもの方は白鷺が嬉しそうに頬張っている。
ラファは赤毛豚の生姜焼きがお気に召したらしい、デザートに目をやるかと思ったが…こっちの暮らしで、一番初めに食べた生姜焼きが好きになった理由からだと言う。
俺個人で好きなのは、捕獲度が比較的低いガララワニ、という食材を使った薄く切られたレアステーキ。これでも百万はくだらないと、廻沙流が言っていたので何が何でも味わう事にした。
和牛は食った事ないが、それ以上に脂ののったやわらかな食感。口の中で、うまみが滅茶苦茶広がる。もうこれ食ったら、一般流出されている牛肉なんて目が無いくらい…俺、舌肥えるわ。
楽しい時間と言うものはあっさりと過ぎ、俺たちの親睦会は終わりを告げた。
俺の知らない皆の素面を知れたし、好きな好物も知れた…廻沙流と楓には感謝の他ない。何で俺、このクラスに配属されたのか最初は疑問と不安でしかなかったが…、あいつ等は問題抱えてもこうやって笑えている。
辛気臭いだけのクラスなんて、楽しくも無いしな。
ただ、俺自身は…こいつらの抱えている問題を少しでも軽く出来ないかと、思っていたりする。
セレブーな二人は財力で物言わす、な感じですが基本は目立ったことはしません。
転生者はなんだかんだ良い奴です、気苦労しますが…何処にでもいる感じな奴です。