Infinite possibility world ~ ver Sword Art Online 作:花極四季
裏話だけど、ハイスクールD×Dとこっち、どっちを書こうか悩んで、こっちはお蔵入りになってたんだよね。
本当、ただでさえ更新滞ってるのに、また新作書くとか、死ねばいいのに自分。
VRMMO繁栄の先駆けとなった『Infinite possibility world』に新たにワールドが追加されたらしい。
名前は『Sowrd Art World』。
前情報によれば、魔法が存在しないVRMMOらしい。
VRMMOならば、身体を動かしてナンボというコンセプトの下制作されたようで、魔法はそのコンセプトに反するということらしい。
そして、何よりも注目すべき所は、デスペナルティの異常な重さ。
仮に自分がレベル10だと仮定して、その状態で死んだら一気に5ぐらいまで下がるのだ。
しかもそれでさえ低レベルが故の温情。レベルが上がれば上がるほど、そのシビアさは際立っていくとされている。
ゲームコンセプトの「これはゲームであっても、遊びではない」とは、その辺りの仕様を完結に表していると言える。
――何というか、凄く、惹かれます。
今僕がやっているワールドは魔法が繁栄し、逆に前衛が少ない所だ。
そういう意味でも、肩身の狭い思いをしてきた自分にとって、その間逆を行く『Sowrd Art World』はどうしても魅力的に映ってしまう。
しかし、あくまでこっちをメインに活動しているのに、それをおざなりにするのもどうかと思った。
思った、が――誘惑には勝てなかったよ。
一貫性の無い、というか、気移りの多い性格だと自分でも思うけど、仕方ないやろ!面白そうなんやから!
やりたいことやって何が悪いんや!俺は悪くねぇ!
――なんて、意味のない自己便宜をしてないで、さっさと始めますか。
やってきました、『Sowrd Art World』。
スタート地点が辺鄙な草原だったのは解せないが、別段問題はない。
幸いにも近くには街がある。色々と手探りするにしても、落ち着いた場所に行かないと。
……そう、思っていたんですがねぇ。
「グルルルル……」
豚なのかイノシシなのか、よくわからない風体のモンスターが数匹こちらに狙いを定めています。どういうことなの……。
装備を確認。片手剣と盾か。防具は皮装備一式。まぁ、初期装備らしいって感じだね。
見た感じ、強そうには思えないし、何とかなるかな。
そう楽観的に考えていると、背後から叫び声が上がる。
「危ねぇ!」
一閃。
豚イノシシはあっという間に叫び声の主に駆逐された。
「大丈夫か、お前」
「ああ、問題ない」
……あれ、普通に大丈夫って言おうとしただけなのに。
おっかしーなー。なーんか嫌な予感がする。
それよりも、まずは彼だ。
「モンスター三体を前に棒立ちなんて危険なんてもんじゃねえぞ。分かってんのか?」
「ああ、済まない。何分勝手が分からなくてな」
「勝手が、って。お前、始まりの街から出たばかりの奴か」
そうじゃないけど、似たようなものだから頷いて肯定する。
「つーことは、初心者だな。俺も前まで似たようなもんだったし、あまり強くは言えねぇな。……よし、俺が色々教えてやるよ」
「いいのか?」
「おうよ。俺もベータテストに参加していた奴と偶然知り合ってな。ソイツに教えてもらったクチだから、俺も似たようなことして手助けをしてやりたいんだ」
男性は、頼もしそうに胸を叩く。
……すっげぇいい人だ、この人。人間出来すぎでしょ、パネェわ。
つい口調がおかしくなってしまったが、それぐらい感動しているってことだ。
「じゃあ、頼めるか」
「おう。俺はクライン。よろしくな」
「私はヴァルディだ」
互いに握手をし、クラインへの師事が始まった。
これが、僕のこの世界の始まり。
……というか、これやっぱりこっちの世界でもヴァルディ化しているよね。
アバターデータを丸々引用したのが行けなかったのかなぁ。
ソイツは、不思議な奴だった。
ヴァルディと名乗った男は、男の俺が見惚れるぐらいの美丈夫だった。
デスゲームと化し、手鏡によって外見を現実と同一にさせられた俺達は、まさに第二の現実という形でSAOの世界にいる。
ゲーム内ではイケメンだった俺も、今やキリト曰く野武士面だ。
しかしヴァルディは、同じ人間とは思えないぐらいの美しさを持っていた。
こんな奴、すれ違っただけでも忘れないし、噂にだってなるレベルだ。
そんな奴を、今初めて知った。それはある意味おかしい話だった。
とはいえ、それ自体に特別意味はない。噂になろうとなかろうと、どんなに美形だろうと、この世界で生き残る基準には成り得ない。
話を聞く限りでは、完全な素人らしい。
レベルも1。確認済だ。
俺はキリトにしてもらったように、ヴァルディにも戦闘指南をすることに決めた。
口数は少ないが、悪い奴ではないことは分かってるし、手助けしない理由はない。
……そう、軽い気持ちで考えていた。
「どうだ?」
「あ、ああ。ばっちりだ」
――圧巻、と言えばいいだろうか。
ヴァルディは圧倒的なまでの強さで雑魚を薙ぎ倒していた。
知らなかったソードスキルも、一度覚えたら簡単に使いこなしていた。
自慢にもならないが、俺が初めて戦闘を行ったときなんか、へっぴり腰でへなちょこだったのを覚えている。
だが、コイツはどうだ?
この世界は今や現実世界と同じ。ゲーム内で死ねば、現実でも死ぬ。
その事実は、確実に人間の行動を鈍らせる。
当然だ。一歩間違えば死ぬのだ。恐怖しない方がおかしいのだ。
なのにコイツは、まるで死を恐れていないかのように立ち回る。
攻撃も紙一重で避け、カウンターも容易く決めてくる。
しかも顔色ひとつ変えない。
まともじゃない、という言い方は失礼か。
だが、実際レベル1だというのにこの胆力は普通ではない。
まるで、以前にも死線をくぐり抜けていたかのような――。
「しかし、お前スゲェな。俺は初めての時はてんで駄目だったってのに」
「……まぁ、慣れているからな」
やはり、か。
コイツは以前もこういう経験をしてきたのだろう。
それもゲームとしてでなく、現実世界で。
どんな状況だ、って話だ。
外見にしても、まだ俺より若い。それでいて戦争か何かを経験したってんなら、そんな悲しいことはない。
あんな美形が、まるで固定されたかのように表情を崩さないのも、そんな悲しい経験があってこそと考えれば、ある程度説明はつく。
死線から解放されたかと思えば、またこうして命を賭した戦いに身を投じるなんて、悲劇なんてもんじゃない。
「……そうか。まぁ、無理はすんなよ。どうせ攻略組が頑張っていればお前が頑張る必要なんてないんだからよ」
それが、コイツの為だ。
いつになるかは分からないが、攻略組がいずれSAOをクリアしてくれる。
それまでコイツは始まりの街で大人しくしていればいい。
そうすれば、コイツは戦う必要はない。
だが、自衛の手段を持つに越したことはない。
俺が教えることなんざあまりないだろうが、それでも教えると決めたからには、出来る限り付き合ってやろう。
ヴァルディです。レベルもそこそこ上がってきたので、クラインとは別れることになりました。
何でも次の街に行くらしく、僕はここで頑張っていろとのこと。
まぁ、初心者ですから。次の街に行くには少し早計かなと思っていたし、素直に言うことを聞くことにした。
クラインがリアフレと共に次の街に行ったのを見送った僕は、今までまともにしていなかった街の探索をすることにした。
そういえば、このゲーム世界はウィンドウが存在するんだよね。
リアル重視のメインの方とは違って、このゲームの中に潜り込んでいるって認識できるのがまたいいね。
今までがリアル思考で統一されたワールドばかりだったから、こういうゲームっぽさを残した雰囲気もまた乙なものだね。
分かり易いし、取っ付きやすさは凄い。NPCとPCの違いもきちんと区別出来るのもいい。
なんか周りの人がちらちら見てるけど、メインの方で慣れた。そんな珍しいことなのかね、実際。
取り敢えず、武器屋に寄った。
別世界ではあんまり沢山の武器を使ったりしたことはなかったから、折角だからこっちでは使ったことない武器も使いたいなーと思っていたりする。
そんな時、ふと目に入ったのは、戦槌――所謂鈍器タイプの武器だった。
斬る攻撃はやったことあったけど、殴るタイプはやったことなかったなぁ、とそう言えば思う。
ということで、早速購入。
片手にハンマー、片手に盾。なんか奇跡とか使えそうな装備だなぁ。ないんだけどさ。
早速試し切り、否、試し殴りしようと外に出る。
取り敢えずボコってみる。
……成る程、先端が重い仕様になっていることもあり、多少振り回される感はあるけど、悪くはない。
初期武器よりも性能が良いというのもあり、しばらくはこれでいいかな。
「キャアッ!」
突然、悲鳴が聞こえた。
何事かと悲鳴の聞こえた先に向かう。
そこには、女の子がモンスターにやられそうになっている姿があった。
慌ててモンスターを殴り飛ばし、女の子の前に立つ。
「大丈夫か?」
「え?――あ、うん」
女の子は何があったのか理解出来てない様子で、辛うじて頷いた。
「私が片付ける。君は回復を」
それだけ告げ、モンスターをボコり倒す。
あんまり強くないけど、強さはあまり重要じゃない。僕がメインの方で学んだことだ。
こうやって身体を動かして戦うゲームとかでは、運動能力が優れていた方が有利なのは確かだ。
言い方は悪いが、運動音痴な人が、滅茶苦茶動きが速いモンスターと戦う場合、レベルが互角ならフルボッコにされてしまうということだ。
この女の子も、多分その口だろう。決めつけはしないけどさ。
「あ、あの。有り難う」
「礼には及ばん」
「それにしても、強いんですね」
「そんなことはない。レベルもまだ4だ」
「それでも、私なんかと比べたら全然凄いよ。私なんてまだモンスターと戦ったこと自体あんまりなくて……でも、私どんくさいから、どうしてもみんなの足を引っ張っちゃう。だから、少しでも強くなろうって一人でここに来たら……」
身体が震えている。……怖かったのだろう。
無理はない。ゲームとはいえモンスターが自分を攻撃してくるなんてこと、経験のない人からすれば怖いのは当然だ。
ましてや女の子だ。荒事に慣れていないのも不思議なことではない。
「仲間がいるのか」
「うん。サークルのメンバーなんだけどね。その中でも女は私一人だから、余計に足手まといになっている感じがして……」
彼女は片手剣と盾という、スタンダードな武装をしている。
攻防のバランスが優れているとはいえ、使いこなすのは簡単ではない。
状況を常に理解し、相手の行動を予測し、安定した立ち回りをすることができなければ。、どっち付かずになってしまう。
初心者御用達の組み合わせとはいえ、必ずしも皆が使いこなせるという訳ではない。
彼女の場合、その典型的なタイプなんじゃなかろうか。
「……なら、私と一緒に組まないか?初心者同士、いい訓練になると思うが」
「いいの?」
「友人と足並みを揃えるにしても、一人は無茶だ。私がタンクを勤めるから、君は攻撃に専念してくれ」
「うん、分かった。そういえば自己紹介してなかったね。私はサチ、よろしくね」
「ヴァルディだ。短い付き合いになるだろうが、よろしく頼む」
こうして、僕達はパーティを組んで遊んだ。
こんな筈じゃなかった。
SAOにしても、デスゲームになるなんて誰も予想していなかった。
ただ、楽しい日々が過ごせる筈だった、のに――
最初、私は死ぬことを恐れて宿に引き籠もっていた。
それをサークルのみんなは受け入れてくれたし、それに甘えていた。
だけど、違うと思った。
宿に引き籠もって、永遠の恐怖を前に尻込みしていたら、腐ってしまう。
生きていても、それでは死んでいるのと同じだ。そう、気付いた。
だから、戦う決意をした。みんなも、それに応じてくれた。
とはいえ、戦線から離れていた私とみんなのレベルの差は歴然。足手まといになるのは、明白だった。
だから、一刻も早く強くなりたかった。
こんなんじゃ駄目だって分かっていたから、こうして一人で頑張って、追い付こうと努力しようとしただけなのに。
「うぅ……」
体力ソースは赤く染まり、瀕死状態に追い込まれている。
街より少し遠くに出てしまったばっかりに、身の丈に合わない敵に遭遇してしまった。
逃げることもままならず、防戦一方の戦いの末、今に至っている。
「(私、死ぬのかな)」
誰にも看取られることなく、誰にもその瞬間を見られることなく、静かに、無意味に。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
でも、幾ら否定しても、その現実は眼前に迫ってくる。
運命は、変わらない。
そう、介入者なくしてこの運命は覆らない。
「――――え?」
無慈悲な一撃は、私に届くことはなかった。
モンスターの苦悶の鳴き声が響き渡る。
その予想外の状況に、閉じていた目を恐る恐る開く。
私の前に立っていたのは、長身の人影。
漆黒の髪に戦槌と盾を携えた、現実とリンクしたこの世界には似つかわしくないほどの格好いい男の人。
「大丈夫か?」
その人は、振り返り訪ねる。
「え?――あ、うん」
状況が飲み込めずにいた私は、気の抜けた返事をしてしまう。
「私が片付ける。君は回復を」
それだけ告げて、その人は敵へと特攻していく。
私はただ、その光景を見守る事しかできなかった。
――強い。サークルのみんなよりも、ずっと。
身体の動かし方ひとつ見ても、私なんかとは比べものにならない程に洗練されている。
そして、私が苦戦していたモンスターをいともたやすく撃退してしまった。
「あ、あの。有り難う」
「礼には及ばん」
表情ひとつ変えず、彼は答える。
あれだけ圧倒的な強さを見せつけられたからには、その言葉に一切の嘘がないことはイヤでも分かる。
「それにしても、強いんだね」
「そんなことはない。レベルもまだ4だ」
嘘。サークルのみんなよりも低いのに、あんなに動けるなんて。
「それでも、私なんかと比べたら全然凄いよ。私なんてまだモンスターと戦ったこと自体あんまりなくて……しかも私どんくさいから、どうしてもみんなの足を引っ張っちゃう。だから、少しでも強くなろうって一人でここに来たら……」
自分でも、馬鹿だと思う。
一人で頑張ろうと躍起になって、結果的に空回りして。こうして助けられて。
どんなに決意しても、弱い私では意味がない。
そう思って頑張っても、結局無意味で。
こうして死ぬ直前まで、自分の愚かさに気づけなくて。
でも――彼のお陰で、その愚行にも意味が出来た。
目の前の青年に会えた。それだけのことなのに、命を天秤に掛けた甲斐があった、なんておかしい結論に至っている自分がいる。
「仲間がいるのか」
「うん。サークルのメンバーなんだけどね。その中でも女は私一人だから、余計に足手まといになっている感じがして……」
そう、さっきまでは思っていた。
男だとか女だとか、そういうのは関係ない。
ただ単に、私が駄目だったって話。
パーティでも足手まといだっていうのに、どうして一人で頑張ろうなんて思ったのか。
「……なら、私と一緒に組まないか?初心者同士、いい訓練になると思うが」
ふと、彼がそんな提案をしてきた。
「いいの?」
私にとっては願ってもない提案だった。
でも、彼は私と組むメリットがないんじゃないかと思う。
しかし、彼はそんな疑問に答えることなく、話はとんとん拍子で進んでいく。
「友人と足並みを揃えるにしても、一人は無茶だ。私がタンクを勤めるから、君は攻撃に専念してくれ」
「うん、分かった。そういえば自己紹介してなかったね。私、サチって言うの」
「ヴァルディだ。短い付き合いになるだろうが、よろしく頼む」
ほんの少しのしこりを胸に抱えたまま、私達のパーティは成立した。
「サチ、スイッチだ!」
「う、うん。【ツイン・スラスト】!」
ヴァルディの言葉に続き、私はソードスキルによる追撃を入れ、即座にスイッチでモンスターのヘイトを彼に移す。
彼の指示はとても的確で、無駄がない。本当に低レベルプレイヤーなのかと疑問に思ってしまうぐらい。
私の拙い攻撃でも、確実に一撃が入れられる。確実に強くなっている実感を得られている。
……いや、それもこれも彼のお陰だ。私の得た実感なんて所詮、彼の助力なくしては成り立たない儚いものだ。
否定する材料がない。先程の件が私の中でトラウマになっているのだろう。敵の攻撃に対して、
数回の戦闘を繰り返していると、ヴァルディに違う武器を使ってみることを提案された。
曰く、私は防御が主体になりがちで、攻め倦ねている感じが出ているらしい。
否定する材料がない。先程の件が私の中でトラウマになっているのだろう。
敵の攻撃に対し過敏に反応してしまうあまり、攻撃に転ずることを躊躇ってしまう。
一歩踏み出した先にある死の概念が、私の行動を鈍らせる。
そんな時、ヴァルディがそんな提案をしてきた。
天啓、なんだろうか。自分でも良く分からない。
ヴァルディは、私の為に自腹を切って武器を購入してくれた。
最初こそ申し訳なくて受け取れなかったけど、「こちらが提案したのだから、それぐらいするのは普通だ」という頑なな彼の言葉に、最終的には受け取ってしまった。
両手武器は盾を持てないという欠点を補える火力を持ち合わせているが、反面初心者には扱いづらい武装というイメージがある。
両手持ちの武器は、攻撃力が高い反面防御が疎かになりがちで、特にソードスキル発動後はそれが顕著に表れる。素人の私でも簡単に分かる理屈だ。
更に言えばただでさえ相手の攻撃に恐怖を覚えている自分が、防御を捨てた戦闘スタイルを使いこなせる自信なんて欠片もなかった。
しかし、それは杞憂だった。
ヴァルディが敵の攻撃の悉くを引き受けてくれる。彼の立ち回りの上手さも相まって、両手武器の私以上にダメージを稼ぐ為、滅多にこちらにターゲットが向くことはない。
万が一ソードスキルとかでこちらに敵対心が向いても、今のようにスイッチを行えば、私に攻撃が来ることはない。
彼は、まるでお城の壁だ。要塞と言ってもいい。
どんな攻撃に対してもどっしりと構え、一切の乱れを見せない盾としての立ち回りは、サークルのみんなと組んだ時以上の安心感与えてくれる。
みんなには申し訳ないけど、今の私はみんなと組むよりも、彼と組んでいる方が全力を出せている気がする。
一体、何が違うのだろうか。
分からないけど、分からないなりに今は彼の実力にあやかっておこうと思った。
とにかく今は強くなりたい。望みはでっかく、ヴァルディのように。
私より先にいるサークルのみんなといつか同じ速さで歩く為にも。
彼に、命を救われた恩を返す為にも。
「上手いじゃないか」
「そうでもないよ。全部ヴァルディのお陰だもん」
そう、全部彼のお陰。
私はおこぼれに預かっているに過ぎない。
今戦っているダイアー・ウルフというモンスターだって、私の実力じゃソロ討伐なんてまず無理な相手だ。
それも単体ならともかく、群れとなって襲ってくる場合もあることを考えると、まだまだ私単体での実力は低いと思わざるを得なくなる。
しかし、彼は三体のダイアー・ウルフに襲われた時も顔色ひとつ変えずに迎撃していた。当然、私の守りも怠ることなく。
……凄すぎる、としか言えない。同時に、彼のようになりたいという憧れの感情が、私の中で芽生えつつあった。
「そろそろ戻らないと。勝手に出てきたから、みんなが心配しているだろうし」
もっと一緒にいたい。でも、それも叶わない。
私は一人でこの世界で生きているのではない。
早く帰って、心配させたお詫びのひとつでもしなきゃいけない。
「そうか。では、名残惜しいがお別れだ」
そう言って、私に背を向けるヴァルディ。
そのあまりにもあっさりとした別れに、思わず手を伸ばしてしまう。
貴方も私達と一緒に来ないか、と言ってしまいそうになる。
まるで今この瞬間にも泡沫の如く消えてしまいそうな錯覚を覚えてしまったから。
しかし、それを自制し、彼の背中に語りかける。
彼は、私達なんかで縛れる存在では恐らくない。
むしろ、私達が彼の枷となってしまうのは火を見るよりも明らか。
だから、見送らなければならない。真に彼を思うのであれば、それが正しい筈。
「また、会えるかな」
「ああ。君がそう望むのであれば」
それを聞いて、何故か安心してしまった。
「じゃあ、また会おうね」
私達は、こうして別れた。
この広大な世界で彼と会うには、間違いなく強くならないといけない。
もう二度と会わないなんて選択肢は、私の中では最初から存在しなかった。
自分でもそうなっている理由は不明だが、嫌な気持ちではないことは確かなので、深く気に掛けることではないだろう。
彼はいずれ、SAO攻略における強力な戦力の一人となる。少なくとも、これだけは確信を持って言える。
彼が望まずとも、あれだけの能力を持つ存在を放っておく筈がない。是が非でも、そうなる運命にある。
だから強くなろう。
彼に会うだけにしても、恩を返すにしても、そうしなければならない。
彼に並び立つのは、並大抵なことではない。
さっきの窮地なんて目でもないほどの艱難辛苦を乗り越えて尚、届くかどうかさえ分からない。
それ程の差。それ程の高み。
だから待っていて、ヴァルディ。今はまだ無理だけど、いずれ同じ高みに登ってみせる。
その為には臆病な自分を投げ打って、新しい自分へと生まれ変わらなければならない。
その時はきっと、少しは貴方の恩に報いられるようになっているから。
サチが好きです。リズベットも好きです。
むしろ嫌いなキャラ(ヒロイン)はいないけど、絡みすぎると色々とアレだから、ま、多少はね?
Q:またヴァルディか、壊れるなぁ……
A:こういう使い回しが出来るから、こういう設定を考えたんだよ(ゲス顔
別にヴァルディが主人公じゃなくていいんだけど、みんなヴァルディ好きだっていうから……
そうして他の作品が投稿されなくなっていくっていうね。やりたいことやるとそうなっていくって言うね。申し訳ない。
Q:なんでカーディナルに認識されないん?
A:ソードアートオンラインとSword art worldは別物です。つまり、事実上の異世界召喚です。他作品の方もそうですので、気にしちゃいけない。
ナーヴギアが存在認証の照合に使われているけど、ヴァルディはその過程をすっ飛ばしている=つまり……?
そんでそれが本来の工程を踏んだ他のキャラとの差異となり、その結果原作が崩壊していきます。
Q:アニメ準拠な理由は?
A:そうしないと、また書きたいものが出来た→別作品の更新が止まる→マズーな流れが続きそうだから。
あれ、そういえばハイスクールD×Dの方もアニメの部分で今終わってるような――あっ……(察し)
Q:なんでサチはサークルのメンバーって言い方したの?
A:まだ月夜の黒猫団は結成されてないと作者が思っているから。細かい部分とか知らないんだよね。
Q:時系列はどうなってんの?
A:おおよそデスゲーム開始一ヶ月経つか経たないかに降臨しました。だいたいその辺りで一層攻略が始まった気がするから、それに参加させるつもりです。ヴァルディの脅威の成長スピードであっさり追い付きます。これも恐怖心のなさと、圧倒的戦闘経験が為せる技か。
Q:なんで戦槌使ってるの?
A:これから何でも使っていきます。それに伴うユニークスキルっぽいもんも出したいからね。
Q:サチ死なない?
A:彼女は死なないわ。勝手に強くなるから。
Q:ヴァルディはログアウト出来るの?
A:出来ます。ヴァルディのは『Sword Art World』というSAOに九割九分九里似た世界からシステムごとログインしているので、こっちにはログアウトボタンがきちんとついた仕様です。こんなんチートや!チーターや!