Infinite possibility world ~ ver Sword Art Online   作:花極四季

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よっし、一万文字切った。
話は進んでないけど、進んでいるという謎現象発生。
今月いっぱいはずっと忙しくなりそうだから、ネタが浮かびまくったこともあって、すぐに投稿しちゃった。てへっ。

か、勘違いしないでよね。今回だけが特別で、こんなに早いことなんて普段はあり得ないんだからねっ。


第六話

スケィスとかいう究極の初見殺しをフィリアと二人で必死こいて倒しました。

なんだよ、ここのモンスターって高くても40行くか行かないかだってのに、なんでボスだけ頭一つ抜きんでているんだよ。

本当によく倒せたもんだよ。いや、今思えばあれはイベントボスだったのかな。

だって、黄昏の腕輪が変形してなんかバビューンって音と共にスケィスがよわっちくなったんだもん。

アレを手に入れてすぐにあのボスが出てきたことも考えると、イベントボスだった可能性も捨てきれない。

まぁ、それを含めても二人で戦うようなボスではないことは確かだろうけど。

それにしても、フィリアのソードスキルもだけど、自分自身の身に起こったあの武器を自由に取り出せる感覚は一体何だったんだろう。

コンソールを操作せず、今はこの武器を使いたいと考えるだけでその武器が手に装備されていたのだから、驚くに決まっている。

とはいえ、その驚きもあの熾烈な戦いの中ですぐに忘れてしまったけど。

そして、今一番の驚きは――

 

「女の……人?」

 

フィリアの呟きは、口には出さないが自分と同じ驚きの孕んだものだった。

スケィスを倒した後に出現した扉の先にあった祭壇に、突如現れた薄紫髪の女性。

見た感じ、NPCなのかな?いや、単にここでログアウトしただけのPCという可能性も捨てきれない。

NPC特有のアイコンが出ないことも考えると、やはりPCなんだろうか。

分からないことだらけだけど、このままでは何も始まらない。

 

「んん……」

 

彼女に接触してみようと考えた矢先、身体を微かに震わせて瞼を開く。

固唾を呑んでその様子を二人で見守る。

そして、覚醒した壇上の女性と目が合った。

 

「あれ?二人ともどうしたの?」

 

「いや……どうしたのって」

 

「初対面の相手にその反応はおかしいだろう」

 

きょとんとした顔でそんなことを言い出した彼女の発言に突っ込まずにはいられなかった。

 

「ん~?あれ?」

 

「今度はどうしたの?」

 

「アタシ……誰?」

 

この女性は……さっきから爆弾発言しかしていないぞ。

 

「いや、私達に聞かれても」

 

「そっか。う~ん……」

 

腕を組んで思い出そうと必死に頭を捻っている。

というか、記憶喪失ってガチなんだろうか。

そういうロールプレイ、ってオチも十分にあり得る。

とはいえ、それを指摘するのは流石に気が引けるので、流れに身を任せることにした。

 

「……あ、思い出した!」

 

「何をだ」

 

「名前!私、ストレア!」

 

「ストレア……ね。私はフィリア、こっちはヴァルディ」

 

「よろしく、二人とも!」

 

跳ねるように飛び上がったストレアに向けて、握手をしようと手を差し伸べると――

 

「ぎゅ~っ」

 

「……へ?」

 

フィリアの間の抜けた声。そして、ストレアに抱き着かれる自分という構図が出来上がっていた。

もう、予想外の行動が多すぎるのこの人。

硬直して動けなくなった自分は、絶対に悪くない。

 

「ちょ、ちょっと何して――」

 

「フィリアにも、ぎゅ~」

 

抗議の声を上げようとしたフィリアにも、同じように抱き着く。

しかも背丈の関係上、フィリアの場合顔が胸に埋もれる形となり、何とも言い難い絵面となっている。

 

「わ、分かったから!良く分かんないけど分かったから離して!」

 

恥ずかしさと苦しさのダブルパンチで、かなり動揺しながらストレアを引き剥がすフィリア。

ストレアはそんな無理矢理な行動を前にしても笑顔を絶やさない。

 

「何故いきなりあんな真似を?」

 

「こうした方がいいかなって思って」

 

「どういう思考回路してるんだか……」

 

はぁ、と溜息を吐くフィリア。

そんな様子もどこ吹く風で、ストレアは本能的に話を進めていく。

 

「ねぇねぇ、ここってどこ?どうして二人はここに来たの?」

 

「待て。質問は構わんが……場所を移動するのが先だ。こんな場所に長居しても仕方あるまい」

 

「そうね。そろそろ落ち着ける場所に行きたいかな」

 

「アタシはどっちでもいいよ」

 

「なら、ストレアにこれを」

 

ストレアに転移結晶を渡す。

ストレアは興味深げに色々な角度から転移結晶を観察する。

 

「何これ?」

 

「転移結晶と言って、任意の主街区名を宣言することでその場所まで移動できる代物だ。今回は私が拠点にしているリンダースに飛んでもらう」

 

「リンダース……今の攻略組の大半が拠点にしている場所ね」

 

「街の中にありながら牧歌的な雰囲気が出ていることも相まって、人気の高い場所らしい」

 

「へぇ~、楽しみだなぁ!」

 

「それにしても、リンダースに拠点を置いてるってことは、やっぱりヴァルディって攻略組なの?」

 

「別にこだわっているつもりはない。まぁ、友人の言葉でしばらく下層に下りていたから、リンダースは久しくなるな」

 

もう一ヶ月はスキル上げしかしてない気がする。

まぁ、合間合間に出会いもあったから、決してつまらないことはなかったけど。

元気かなぁ、モグラさんやリリオさん達。

 

「そんなことはいいから、早く行こうよ!」

 

「そうだな。では――転移、リンダース!」

 

 

 

 

 

「うーん、これ美味しい!」

 

リンダースに転移した私達は、一息つける場所としてレストランに足を運んだ。

そして目の前には、ナポリタンに舌鼓を打つストレアの姿がある。

因みに私の手元にもパフェがあるのだが、実はその両方ともヴァルディの奢りだったりする。

ストレアはともかく、私はそこまでしてもらうほどコルが不足している訳でもなかったので断ったのだが、頑なに拒否されて今に至る。

しかも、コルを大量に持っている証拠として高級品である転移結晶を10個ほどオブジェクト化して見せられた時は、もう折れるしかなかった。

曰く「この類のアイテムはこれぐらい常に所持していないと落ち着かない」とのことだが、そんなポーションと同じ感覚で複数個持っていられるアイテムじゃないでしょうに。

ストレアの謎も大概だけど、ヴァルディも十分謎だ。

 

「それでストレア、あれから思い出したことはある?」

 

「全然」

 

即答し、すぐに食事に戻るストレアを見て、がっくりと項垂れる。

 

「もう少し考えて欲しいんだけど……」

 

嬉しそうにナポリタンを食べるストレアを見ていると、怒るに怒れない。

その洗練されたボディラインからは想像もつかない幼さを感じさせる行動。記憶喪失っていうのは、あながち嘘ではないのかもしれない。

あんな異様な場所にいたとはいえ、パーティを組めた時点でNPCであるとは思えないし。

でも、あんな場所にプレイヤーがいて、それでいて記憶喪失だなんて怪しさ満点過ぎて、疑うなという方が無理な話だ。

 

「そう急かす必要もあるまい。君の気だけが逸ったところで、彼女がこれでは意味もない」

 

「記憶喪失なんて重大な問題を前に、どうして彼女はこんなに呑気してるのかしら……」

 

「さてな。だが、記憶なんて形のないものをどうこうしようとしたとして、最も効率的な手段が確立していない以上じっくりやっていくしかあるまい」

 

「ヴァルディ、もしかしてずっと面倒見るつもりなの?」

 

「ずっと、の程度は分からんが、可能な限り助けになりたいとは思う。会ってしまったからには、そうする責任がある」

 

責任……ね。

その言葉を免罪符に、彼はどれだけの苦労を背負ってきたのだろうか。

無表情の裏に隠された情熱は、あの短い共闘の間で十二分に理解した。

バカでお人好しで向こう見ず――だけど、とても暖かい奴。それが、私が彼に向ける評価。

そんな嘘のない温もりに甘えてしまいたくなる。でも、それは決して許されることではない。

少なくとも、受けた恩を返さないまま頼ってばかりなのは、間違っている。

 

「……分かった、私も付き合うよ」

 

「いいのか?」

 

「正直、ヴァルディだけだと不安だからね」

 

これも本音だが、本当の理由は、きっと――

 

「ストレア、口にソースがついてるぞ」

 

「ん~?」

 

「ほら、拭いてやるから大人しくしていろ」

 

甲斐甲斐しくストレアの汚れた口を拭くその光景を眺めていると、微かに胸が締め付けられる感覚が過る。

 

「――記憶喪失とはいえ、子供じゃないんだからそこまでする必要はないんじゃない?」

 

無意識に少しだけ声色を強めて言う。

 

「いや、ついな。何故だかストレアが手間のかかる妹のように思えてな」

 

「まぁ、言いたいことは分からなくもないけど……」

 

無邪気ここに極まれり、といった感じでフォークで器用にパスタに絡ませるストレアを見て、無理矢理納得する。

 

「ヴァルディ、はい、あーん」

 

……無理矢理、納得、する。

 

「いきなり何だ」

 

「口を拭いてくれたお礼だよ?」

 

「律儀だな……」

 

「ちょ、ちょっと!流石にそれは――」

 

「えいっ」

 

問答無用、と言わんばかりにストレアはヴァルディの口に無理矢理パスタを絡めたフォークを入れる。

当然、レストランは貸し切りでもなんでもないので、周囲からの目はこっちに集中している。

幸いなのは、プレイヤーはいなかったことだろうか。それでも、NPCとはいえこの視線はキツい。

 

「美味しい?」

 

「ああ」

 

そのやり取りは、まさしく恋人がやるようなそれ。

完成された美貌を持つが寡黙なヴァルディ、そして顔立ちも美しくスタイルも良いが無邪気さが目立つストレアのコンビは、どこからどう見ても似合いのカップル。

だからこそ、だろう。そんな考えに至ってしまった自分が許せなかった。

そして、何故許せなかったのか。その理由は分からないままだった。

 

「じゃあ、アタシにもあーんして?」

 

「……やらないと駄目か?」

 

「駄目」

 

一拍置いて小さく息を吐いたヴァルディが、いざフォークを取ろうとするところに、私の手が伸びた。

掠め取るようにしてフォークを手に取った私は、そのまま乱暴にパスタを巻き付けると、そのままストレアの口に押し込んだ。

目をパチクリさせながらも、咀嚼して一言。

 

「ありがとう、フィリア」

 

笑顔で、お礼を言われてしまった。

そんな無邪気な返しをされた私は、自分が情けなくなる。

もどかしく疼く何かを払いたくて、感情の赴くまま行動に移した私の行動が、酷く汚れているようで、いたたまれなくなった。

 

「……私のパフェ、食べる?」

 

「え、いいの?」

 

「うん」

 

「やった、ありがとうフィリア」

 

「いや……うん」

 

……疑った私が、愚かだったんだろう。

ストレアはこんなにも純粋で、真っ直ぐで――こんなにも優しい。

それが例え、記憶喪失による弊害だったとしても、今この瞬間の彼女は本物だ。

この1と0で構成された世界で、唯一確かな心という概念。それさえ否定してしまえば、私達は本当にただのデータに成り下がってしまう。

だからこそ、信じられることだけでも無条件で信じていたい。

 

「それを食べたら、次に行くぞ」

 

美味しそうにパフェを食べるストレアを眺めながら、ヴァルディは告げる。

 

「次?次ってどこに――」

 

「決まっている。――武器屋だよ」

 

 

 

 

 

今度は私達は第50層アルゲードにいる。

彼持ちとはいえ、まさかこんな理由で回廊結晶を使用するとは思わなかった。

とっくにアクティベートしてあるんだから、【転移門】で移動すればいいじゃん、って意見したら、【転移門】に移動する時間も惜しいなんて言い出した。

流石に呆れた、というか……。それぐらい、私達のことを考えてくれている、と喜ぶべきか。

物持ちがいい癖に、平然と貴重品を使う辺り、思い切りの良さは評価する。

……それでも、普通こういうのってボス部屋前とかに登録するものでしょうに。というか、彼が知人に言われて下層に下りてきたのっていつの話?

この場所は、少なくとも一ヶ月前ぐらいに解放された場所の筈なんだけど……。

 

そうしている内に、ひとつの店の前に辿り着く。

武器屋の看板はないけど、本当にここなのだろうか。

 

「エギル、いるか」

 

「ん?――って、ヴァルディじゃねぇか!久しぶりだなオイ」

 

エギル、と呼ばれた黒人のスキンヘッドの男性が、ヴァルディとの再開を喜んでいる。

なるほど、彼はプレイヤーでありながら商人をやっているのか。そしてヴァルディとエギルは、友好的な関係にあると。

所謂ご贔屓にしている店、という奴なのかもしれない。

 

「ああ、最近は下層に居たからな」

 

「なんだってそんな場所に――いや、詮索はやめておこう。それより、何の用だ?後ろの彼女たちはツレってことでいいのか?」

 

「そうだ。フィリアとストレアと言う」

 

「フィリアよ」

 

「アタシはストレア!よろしくねエギルさん」

 

「ああ、よろしく」

 

エギルのごつごつとした手と握手をする。

ヴァルディの手以上に男らしい手つき。頼もしさがこれだけで伝わってくる。

 

「それでなんだが、今回の用は武器なんだ」

 

「武器、か。注文でも何でもないってことは、今ある奴の中からってことになるが、構わないか?」

 

「ああ。あくまで今日は、ストレアの使う武器を見極める目的でここにいるからな」

 

「ん?そりゃどういう意味だ?」

 

「実は――」

 

ヴァルディがエギルに事の経緯を話し出す。

そんな中、当事者は店の内装に興味深々と言った様子。

……まぁ、気にしていても仕方ないし、私も自分の装備を見つくろうことにした。

うん、流石50層にある店。そして、ヴァルディが信頼している店だ。ありあわせなのに私の装備以上のものが揃っている。

値段も吹っかけている様子もないし、かなり良心的な店だ。私もお世話になろうかな。

 

「俄かには信じられんな……。まぁ、あり得ないことはないだろうが」

 

「真実はともかく、彼女は無手の状態だからな。それに、武器を握ればそこから何か思い出せるかもしれないという思惑もある」

 

「なるほど、連想させるってことか。なら、全部の武器を試す必要があるな」

 

「頼めるか?」

 

「ああ。だが、貸すだけだからな?」

 

「分かっている。借りている間は、これが人質だ。持ち逃げしたり壊してしまったら、これで勘弁して欲しい」

 

そういってストレージから取り出したのは――ミスディレクション・リザードの肉という食材だった。

って、ミスディレクション・リザードですって!?

 

「――おいおいおい!これ、S級食材じゃねぇか!なんでこんなもんを持っているんだよお前」

 

エギルの驚愕も当然だ。

S級食材というのは、モンスター自体がレアで更にそのレアドロップに位置するお宝当然のアイテムだ。

その中でもミスディレクション・リザードは、カメレオンのように背景と同化することで知られるモンスターで、その上危険なモンスター蔓延る場所に生息していることも相まって、その貴重さを底上げしている。

肉の味もかなり美味らしく、リザードという先入観さえ取っ払えば、まさに究極の肉のひとつだ。

トレジャーハンターを自称している私でも、この目で見るのは初めてだ。

……なんか、自信なくしそう。

 

「偶然、な。とはいえ、料理スキルなんて習得していない上に、売るにしても貴重品だからなかなか手放せなくてな」

 

「……な、なぁ。武器なんか幾らでも持ってっていいから、それ譲ってくれないか?」

 

「そこまで欲しいのか。……だが、これだけあってもな」

 

「だったら、これから俺の店を利用する際はサービスしてやるぜ。値引きだろうがオーダーメイドだろうが、何でもな!」

 

エギルの必死さに思わず引いてしまう。

でも、分からなくもない。それぐらい貴重だということだ。

それに、S級食材の供給があった店という情報が広まれば、それだけで箔がつく。

エギルにとっては、名を売る為の看板にさえできるし、売れば大儲けできるという損のないこと尽くしになるのだから、必死になるのも当然と言えた。

 

「そこまでしてもらわなくても、譲るぐらい構わんぞ。他ならぬエギルの頼みだしな」

 

「うぅ……ありがとな!」

 

感動のあまり、涙さえ流している。

本当、ヴァルディはお人よしだと思う。

 

「あぁ、なら私じゃなくて二人にサービスしてやってくれ。フィリアも欲しいものがありそうだったしな」

 

き、気づかれてた。こっちを見ていた様子はなかったのに。

 

「い、いいの?」

 

「それぐらい、気にする必要もあるまい」

 

「だ、だってミスディレクション・リザード……」

 

「欲しい人がいれば、その人が使ってこと価値が出る。狙って欲しかったものでもなし、なら欲しがっているエギルに譲るのは別段おかしい流れでもあるまい」

 

「いやいやいや」

 

その理屈はおかしい。

 

「そんなことより、ストレアの武器だ。一通り揃えたら、フィールドで試しに行くぞ」

 

「は~い」

 

……本当に、私が一緒でよかったと思う。

今こそ問題はないが、二人だけにしていたら、間違いなくトラブルをあちこちで作っていたことだろう。

私がブレーキ役にならなきゃ。

 

 

 

 

 

フィールドに出るが否や、エギルに借りた武器をすべてオブジェクト化して、地面に並べる。

ヴァルディはそのひとつひとつをストレアに手渡していく。

 

「まずは片手剣だな」

 

「うーん、なんか軽い気がする」

 

「短剣」

 

「軽いし短い」

 

「細剣」

 

「突くって言う感覚がしっくりこない」

 

「なら槍も駄目か……。それ以外の武器も、片手剣と軽さは大差ないし、残りは……」

 

「あ、これいいかも!」

 

そう言って手に取ったのは、両手剣。

女性プレイヤーが使うには些か大振りな気もするが……大丈夫なんだろうか。

ここがゲームの世界だと言えど、筋力は基本的には個人のポテンシャルに左右される。

とはいえ、最低限の補正は存在するらしく、平等に武器を装備するぐらいは出来るようにシステム側で調整はしているとのこと。

だが、遠心力などといった慣性はリアルに再現されているので、当然ながら感覚の問題から得手不得手は出てくる。

その筈、なんだけど――

 

「えいっ!」

 

あろうことか、ストレアは両手剣を軽々と振り回すどころか、それを片手で扱うという暴力的な現実が目の前で広がっていたのだった。

 

「うん、いい感じ!」

 

「嘘でしょ……」

 

「これは流石に……驚いたな」

 

然しものヴァルディも、これには驚きを隠せずにはいられないようだった。

 

「ヴァルディ、これに決めた!」

 

「そうか。まぁ、今のを見れば適正有りなのは確実だろうし、記憶を失う前も使っていた可能性はあるな」

 

「そっか。でも、特になんも思い出せないなぁ」

 

「まぁ、それぐらいで思い出せたら苦労しないよ」

 

とは言うものの、足がかりぐらいになればと期待してなかったと言えば嘘になる。

それでも、収穫はあったし良しとしよう。

 

「さて、じゃあ次は実戦か。手ごろなダンジョンにでも――」

 

 

 

「――――ヴァル、ディ?」

 

突然、知らない女性の声が耳朶を打つ。

声の方に振り返ると、素朴な顔立ちながらも整った顔立ちと泣き黒子が特徴的な黒のセミロングの少女が立っていた。

 

「サチ……か?」

 

ヴァルディが想定外の来訪者の名前を口にすると、サチと呼ばれた少女は一目散に彼の元へ走り、抱き着いた。

 

「ヴァルディ、ヴァルディ……!!良かった、また、会えた……!!」

 

胸元で叫ぶサチの頭を、どこか慈しむように撫でるヴァルディ。

涙交じりの声で名前を呼ぶその姿は、どこか神秘的にさえ思えて。

私がその間に入る余地なんて欠片もないと思わせる何かが、そこには存在していた。

気が付くと、私は拳を爪が食い込むほどに握りしめていた。

 

 

 

 

 

運命の出会いを経て、私の人生は大きく変わった。

戦闘にも積極的に参加し、レベル上げも必死に取り組み、合間を縫って料理スキルといった私生活に携わるスキルも身に着けた。

自分に出来る精一杯をこなす。妥協せず、後ろを振り返る暇もないぐらい多忙な毎日を過ごして、そうしていたらいつの間にか――私は、ギルド【月夜の黒猫団】のリーダーになっていた。

仲間の間で一番駄目だった自分が、今ではリーダーだなんて、世の中何が起こるか分からないものだと、自分のことながら思わずにはいられない。

 

私は、運命を変えてくれた相手――ヴァルディに言われて使い始めた槍を今でも使い続けている。

彼の噂は人伝に耳に入っていた。

攻略組の中でもトッププレイヤーに名を連ね、彼のお蔭で命を救われた人も多いとも聞く。

そんな武勇伝を聞くたびに彼の姿を鮮明に思い出し、隣に立って戦う憧憬さえ浮かぶ毎日。

憧れは私の活力となり、より一歩を踏み出す力となってくれた。

臆病に毎日を過ごしていた頃が嘘みたいに、充実している。

今でも死ぬのが怖いことに変わりはない。それでも、自分に出来ることをせずに死ぬ方がもっと怖いということに気付けたから、私は後ろを振り向かないことに決めた。

 

そうやってヴァルディに近づく為に努力して、レベルだけなら彼に追い付いたと思った頃に、彼が前線から離れたという噂を聞いた。

ようやく届いたと思ったのに、またすり抜けていく。

死んだという情報は耳に入っていないし、彼が死ぬだなんて想像つかない。

だから、決めた。いつかヴァルディと再会した時、彼の隣に立つに相応しい存在になれるように、もっと強くなろうって。

その第一歩として、私達【月夜の黒猫団】も、遅い攻略組に台頭する決意をした。

そんな私の我儘に、メンバーのみんなは二つ返事で受け入れてくれた。

今でも最初のころと変わらない少数のギルドだけど、実力だけなら負けているつもりはない。

そう、決意したのが一ヵ月前。

 

その日、私はメンバーに自由を言い渡し、私自身も慰安目的で50層にあるとあるエリアに足を運んでいた。

そこは友好的なモンスターしかいない珍しい場所で、僻地ということもあって知っている人は恐らくいないであろう、最近知った私の安らげる場所。

静かで、人目を憚る必要もない。リーダーとしての重責を、こういうところで解消するのが最近のお気に入りだったりする。

そして、そこで色々と思い返す。その殆どが、ヴァルディと少なからず関係のあることばかりだけど。

もう一年は会っていない筈なのに、今でも鮮明に脳裏にあの雄姿が蘇る。

弱虫な私が、勇気を持って踏み出したあの日。気まぐれな神様がくれたご褒美。

勇気を持って踏み出すことがどれだけ大事かを、あの経験が教えてくれた。

だから私は、怖くても前に進むことが出来るんだ。

 

そしてようやく目的地に到着した時。

 

「――――え?」

 

遠巻きに、三人のプレイヤーらしき人影が視界に映る。

その中心にいる長身の人物。例え背中越しでも見間違える筈もない。

だって、私の始まりは、あの頼もしい背中だったんだから――

 

「――――ヴァル、ディ?」

 

ゆっくりと、しかし確かな足取りで近づき、その名前を呼ぶ。

私の声が届いたらしく、三人とも私の方へと振り返る。

そして、その中心の人物。その姿を目に映した瞬間、私は涙を流していた。

 

「サチ……か?」

 

ヴァルディの口から、私の名前が出る。

忘れられていなかった。一年も前の、彼にとっては些細な出会いでしかなかった私のことを、覚えてくれていた。

気が付けば、私は彼に向けて走り出していた。

脇目も振らず、彼の周りにいた人の存在さえ忘れて、彼の胸の中に飛び込んだ。

そんな私を、彼は優しく受け止めてくれて、あろうことか優しく頭を撫でてくれた。

それがまた嬉しくて――彼と別れてからずっと隠していた弱い自分が、とめどなく溢れてきた。

ああ、とても、安心する――

 

「ヴァルディ、ヴァルディ……!!良かった、また、会えた……!!」

 

強くなったのは、きっと勘違いだったんだろう。

取り繕ってきただけで、本当の私はこんなにも泣き虫で、依存体質で。

だけど、そんな自分を曝け出せるのは、きっと彼の前だからこそなんだろう。

せめて今だけ。初めて会った時の"サチ"でいさせて下さい。

きっとその後は、貴方の隣に立つに相応しい戦士になっているから。




Q:ストレア可愛い。
A:ある意味でロり巨乳だからなぁ。なのにpixivには画像が全然ないという。まぁ、それはフィリアもなんだけど。なんでや!

Q:モグラとリリオって誰や。
A:モグラはインフィニティ・モーメントとホロウ・フラグメントに出てくるモブ子の一人で、危険防止用の黄色ヘルメットにスコップ型の両手剣を使うキャラで、リリオはソシャゲのコード・レジスタに登場するレアリティ2の女性プレイヤーで、片手剣と身体の大半を覆う程のシールドが特徴。余裕があれば他にも出していきたいなぁ。

Q:ミスディレクション・リザードってなんぞ。
A:ただのオリジナルです。気にしてはいけない。

Q:サチ!サチ!サチ!サチぃぃううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!サチサチサチぃううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!サチの黒髪セミロングの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
小説2巻の外伝のサチかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
アニメ化されて良かったねサチ!あぁあああああ!かわいい!サチ!かわいい!あっああぁああ!
アニメ二期も放送されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!あ…小説もアニメもよく考えたら…
サ チ は す ぐ に 死 ん で 出 番 は も う な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!アインクラッドぉおおおおお!!
この!ちきしょー!やめてやる!!アニメ見るのなんかやめ…て…え!?見…てる?ホロウ・フラグメントのサチが僕を見てる?
ゲームのサチが僕を見てるぞ!サチと一緒に冒険できるぞ!サチとのイベントがあるぞ!!
アニメ三話のサチが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはサチがいる!!やったよキリト!!ソロでできるもん!!!
げ、ゲームのサチぃぃいいいいいいいいいい!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあアスナぁあ!!シ、シリカー!!リズベッドぉおおおおおお!!!ユイぃいいいい!!!アルゴぉおおおおお!!!リーファぁああああ!!!ユウキぃいいいい!!!シノンんんんん!!!フィリアぁああああ!!!ストレアぁああああ!!!
ううっうぅうう!!俺の想いよサチへ届け!!アインクラッドのサチへ届け!
A:うるせぇ(蹴)
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