差しウマ「エンドスコープ」の馬生 作:注釈n
弊肉体へのご心配ありがとうございます。今はほぼ復活しておりますのでご安心ください。
以下要素の説明とか。
岳寛:元ネタは天才。今年はどこかでG1勝って欲しいなぁ……凱旋門で勝ってくれてもいいぞ(無謀)。
久保村::元ネタは天才。もう一生G1に関われない……と思っていたら予想屋として関わって来やがった人。
西:元ネタはサクラスターオーの主戦。ちょっと扱いが酷くなるかもしれない。
カースタント:元ネタはスタントマン。皐月賞3着。
オフレコ:元ネタはオンエアー。過大評価かもしれないが、怪我してなかったらワンチャン皐月賞かダービー取ってたかもしれない。ただ騎手がな……
マチカネタンホイザ:ようやくウマ娘に登場するキャラが出たよ……なおウマではなく馬の模様。史実ではこのとき単勝1.8倍の1番人気だった。
いちょうステークス当日。
サクラが走る、というあたりで嫌な予感はしていたが、当然のごとく的中した。相手が強いのだ。
まず、4番人気がサクラことミサカサンクス。重賞2着の実績をひっさげて、なおこの人気である。もちろん、僕のような見栄えのしない馬体というわけでもない。上がすごいのだ。
3番人気はデビューから2連勝中のカースタント。2番人気は父セクレタリアト母父ノーザンダンサーというまさに世界の良血オフレコ。しかも3週前の新馬戦を快勝しての登場である。
そして1番人気はあのマチカネタンホイザ。父はノーザンテースト。前世でも知っている名馬だ。中長距離の重賞をいくつも勝ち、GⅠでも
とかく、新馬戦は6馬身差をつけての圧勝。鞍上も新馬戦に引き続いてあの岳寛。1番人気に推されるのも当然だろう。
ああ、それで、僕は9番人気だった。微妙な位置だが、一応、新馬勝ちが評価されている……ということだろうか。
けれども、今回は一つだけ自信を持てる点があった。
それはこの天気――大雨。またしても、だ。
どうやら僕は幾分重馬場に適しているらしい。その分の有利は期待してもいいだろう。
「相変わらず、みっともない馬体だわなぁ」
隣から声が聞こえた。
その声が背中に移る。
「ま、勝てないこともないだろ」
彼の太鼓判以上に信頼できるものなど、僕にはひとつもなかった。
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サクラが2つ隣のゲートに入り、その次に僕。後から何頭かが入って、最後に大外枠のタケヒロチャイルド。耳を澄ませる。
カチャリ、と閉まる音。来る。
息を吸う。
ゲートが開いた。
「スタートしました。6枠2頭絶好のスタート。そのまま先頭に立ったのはカースタントです。エンドスコープ久保村は手綱を緩めました。ぐいぐい押してレッドキングが前に行きますが、ミサカサンクス西も前につけました。そして1番人気のマチカネ、マチカネタンホイザーは中団につけています、岳寛」
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府中千六は直線から。出がよかろうと前に出ても得は少ない。久保村は長手綱で思い切り緩めた。馬もその意を汲んだのか息を入れる。
「よしよし、よーしよし」
先団をやり過ごしてから徐々に内に入れる。彼はラチ沿いを走り切るつもりだった。重馬場なら外。それが常識だが、常識を無視した騎乗こそが彼の真骨頂であった。そしてそれには――本人は知ってか知らずか、いつも裏付けがある。
彼が跨っているのは、まさに水を得た魚のごとく重馬場を走る馬なのだ。
つまるところ、それは最適解だった。
「さぁ第4コーナー、各馬外目外目に持ち出して、先頭はカースタント、内よりにミサカサンクス、マチカネはまだ後ろ」
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コーナーを曲がった瞬間。
他馬が一気に外に膨らんだ。耳を澄ませば、もっと後ろの蹄も外寄りに聞こえる。
前走のあの直線のような光景に、僕の脚が力んだ。
「ほら行けっ」
ぐちゃぐちゃになった馬場を進む。並ぶ、抜かす。並ぶ。抜かす。
しかし、次に並んだ馬は、抜かそうとした途端追いついてきた。
『勝つ……っ!』
サクラだった。
「先頭はまだカースタント、マチカネやってきた。大外からオフレコも来ている。内から、内からミサカサンクスだ。ミサカサンクスものすごい足!」
サクラがまた加速する。鞍上が鞭を入れる。最後のハロン棒が左横を駆け抜けた。
僕は必死に脚を動かす。いや、くらいつく。
「先頭はミサカサンクス、連れてエンドスコープ! マチカネは届かないか!」
「西さん、それじゃあダメだ」
「外ミサカサンクス、内エンドスコープ、内か外かわずかに外か!」
ミサカサンクス:元ネタは史実いちょうステークスの勝ち馬。