差しウマ「エンドスコープ」の馬生 作:注釈n
ミスリード多めでお送りしております。
『いや、俺……僕は走れない』
『なにそれ。馬が走れないわけないでしょう』
『事情があるんだ』
『知らない、そんなの』
そりゃあ、俺にもわからないんだ。
『だから走れるはずよ』
『いやだから俺は……』
『いいからついてきなさい』
そう言って、彼女は歩き始める。ただの常歩。これなら俺にもできる。
『ちゃんとついて来てるじゃない』
『普通に歩くくらいはできる』
『そう』
すると、彼女の脚の動きが少しだけ早くなった。だが、まだ常歩でついて行ける範囲だ。俺は彼女の後ろにぴったりくっついて歩く。
『ほら、ちゃんとついてきなさい』
『ついて行ってるだろう。まだ文句があるのか』
『ついて来てるならいいの』
そのまま、彼女の後ろについて放牧場を一周した。
すると、なぜか厩務員が駆け寄って来る。
「よかったなヨド、走れたじゃないか!」
『走った? 俺が?』
『私、最後の方は普通に走ったのよ。気づいてなかったのかしら』
『いや、ただついて行こうと……』
『それが私たちよ。ついて行こうとするから走るの。さあ、忘れないうちにもう一回行きましょう』
「おお、サクラはまだ走りたいのか。すいませんが、もうちょっとお願いしてもいいですか」
「ええ、もちろんです」
『ほら。またついてきなさい』
彼女はまた走りだした。
俺も、またついて行った。
ふと、彼女の脚を見る。
家のテレビで、WINSの画面で、大井で、中山で、府中で。そこには、何度も見たあの「
まだゆったりではあるが、はっきりとそれだとわかる。
前脚は順々に地面を蹴り、後脚はほとんど同時に地面を蹴る。一瞬、身体のすべてが浮き、そしてまた同じ動作が繰り返される。
『すごいな』
『何が?』
『馬が』
『なにそれ、変なの』
きっと、俺の脚もそう動いている。つまり。
『走ってるのか、俺は』
『また「俺」って言った』
『はいはい、わかったわかった』
走れた。
これなら、きっと――
『もう一周走りたい』
『……やめときなさい』
『なんで――』
言いかけて、気づく。
身体が重い。ほんのわずかの間だったのに、全身がとてつもなく疲れている。
馬の身体はこんなにも疲れやすいものなのか。
『ほらね。さっさと帰って休む』
『……はい』
「いやあ、本当にありがとうございます。おかげでうちのヨドが走ってくれました」
「こちらこそありがとうございます。うちのサクラも気持ちよさそうでした」
重い身体をなんとか動かして、歩く。
『……ありがとう』
『どういたしまして。貸し一つね』
『貸しって言われても、僕に返せるものなんてないぞ』
『そうね。こっちだって、「手加減する」みたいな返され方は嫌よ』
言うと、彼女は立ち止まった。
『いつか、きっと出てくるから。その時に必ず、お願い』
『ああ、必ず返す』
「おい、サクラ、ちゃんと歩け」
『はいはい』
『……なんで立ち止まったんだ?』
『そんなの、決まってるじゃない』
彼女はキメ顔で言った。
『かっこいいからよ』
そういえば、他にも同期にウマ娘化されてない名馬としてシンコウラブリイがいるのですけれども、冠名同じなシンコウウインディがウマ娘化しているので、もしかして実装もワンチャンあるのでしょうか。
シンコウラブリイが実装あり得るとなると展開考えないとかもしれない。
それから、「ミサカサンクス」はこの世界でウマ娘化……されないだろうなぁ。