差しウマ「エンドスコープ」の馬生   作:注釈n

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なんとか書ききれました。


以下要素の説明とか。

久保村:騎手。元ネタは投げキッス魔。イケメンだから許されていたが、残念なことに(?)この久保村もイケメン設定である。エンドスコープちゃん攻略には田原成貴(若い頃のすがた)並の容姿が最低条件なのかもしれない。

エンドスコープ:一年くらいの間に「僕」の一人称が定着した。

TSモノで一人称はもっと擦られるべきだと思うんですよ。「まぁ、この人と話すときだけだから」と思っていた一人称が、簡単に自分の中のデフォルト一人称に化す感覚、めちゃくちゃ良いですよ。
とはいえそのあたりをねっとり書くとただのTSモノになってしまうので断念。


併走

「勝たなくていい」

 そう聞いて、他の馬だったらなんと思うのだろうか。

 僕は、簡単には答えを出せなかった。

 

 この1年間ほどの間(正確に日数を数えていたわけではないのだが、おそらくそれくらいだろう)で、自分が大切に扱われていることは嫌でもわかった。

 

 だいいち、最初に走れなかった段階で処分されてもおかしくなかったのだ。そして、見栄えのしない馬体だというなら、美浦トレセンの厩舎に入れたことも奇跡に近い。

 それでもって、新馬戦の鞍上が久保村である。マヤノトップガンの主戦で、トウカイテイオーの最後の2戦の鞍上を務めた、あの久保村。騎手引退後に薬物事件があったとはいえ、文句なしの名騎手だろう。

 周りがどうにもバブルが云々と言っているあたり、おそらく今はまだその前のようだが、それでもG1を何度か勝っていたはずだ。

 多くの騎手はG1どころか重賞すら騎乗もさせてもらえない。新馬戦や未勝利戦、条件戦などはそういった騎手が経験を積むための場でもある。期待馬でなければ、普通はG1ジョッキーなど乗せない。いや、乗ってもらえない。

 恵まれすぎている。だからこそ、どうすればいいのかわからない。

 

『ようやく新馬戦決まったのね』

 そういえば、これもだろうか。

『お前が走り過ぎなんだよ。サクラ』

 

 そう、いまでも併走の時はときどきミサカサンクス、僕の一人称を「僕」に変えた、あのサクラと走らせてもらっている。こっちの調教師が、昔向こうの調教助手をやっていた縁だそうだ。

「いまでも」と言ったのは、牧場に居たころもときおり併走していたからである。来るたびに厩務員は不満気にしていたが。なんでも、サクラの馬主は過激な地上げと土地転がしで儲けていたという。トレセンに来てから「バブル崩壊」の言葉を聞いた時は、「ざまあみろ!」と思ったものだ。

 閑話休題。

 僕は来週ようやく新馬戦だが、サクラは既に4戦も走っている。新馬戦から3連闘。そしてそこからろくに休養も挟まずに、先週もクローバー賞に出走していた。

 

『仕方ないでしょう。走るかどうかを決めるのは私じゃないもの』

『そりゃあ、そうだろうけども』

『それに、私が勝つとみんなが喜んでくれるの』

 みんな。あの調教師、厩務員。それから、馬主さん。このあたりだろうか。

 僕が勝てば、喜ぶのだろうか。

『だから、私にできるのは全力で走ることだけ』

『それにしたって、毎度毎度全力で走らなくてもいいじゃないか。そうでないと――』

 怪我するぞ。その言葉は、出てこなかった。

『だって、そっちの方がかっこいいじゃない』

 彼女はグイっと加速した。僕もついて行った。




史実のサンエイサンキューは
新馬→折り返しの新馬→札幌3歳Sの3連闘、そこから中3週でクローバー賞、さらに中3週で函館3歳S、さらに中4週でいちょうS、最後に中4週で阪神3歳牝馬S
です。
しかもこれ全部3歳時なんですね。信じられん。
ちょびっとネタバレですが、ミサカサンクスちゃんも同じ√を取ります。

あっ、ただし、地上げ云々やその他は基本捏造なので注意してください。
それから、もう30年前のことですし、史実の馬主さんとかについて批判するのはなるべくやめましょう。時効ってやつです(違う)

新馬戦描くって言いましたが、もうちょっとかかるかもしれない(予告詐欺予告)
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