新世紀エヴァンゲリオン for Children ~全ての子供たちのために~   作:朝陽晴空

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【注釈】

今回出て来る使徒はセガサターンのゲーム「新世紀エヴァンゲリオン」(1st Impression)に出て来るオリジナル使徒です(公式名称は不明です)


第十五話 アスカの後悔、噓とゲンドウの沈黙(2022/04/26 11:30)

<ネルフ本部 初号機ケージ>

 

 相互起動実験で零号機に乗ったシンジは記憶喪失となってしまった。

 その原因はリツコにも分からないが、エヴァで喪った記憶はエヴァで取り戻そうと、シンジは初号機に乗せられる事になった。

 初号機とシンジのシンクロを助けると言う名目で、アスカとレイも一緒に初号機に乗り込む事になった。

 2人の本音はシンジに自分達の事を最初に思い出して欲しいと言う乙女心だった。

 

「あの、どうして僕はこのロボットに乗せられているんですか?」

「シンジ君、あなたは覚えていないかもしれないけど、あなたは初号機に乗って使徒と戦ったのよ」

 

 キョトン顔で初号機のエントリープラグのシートに座るシンジに、ミサトが通信で声を掛けた。

 

「アタシとレイがついているから安心しなさい!」

 

 シンジは両手をアスカとレイに握られて、両手に花状態だった。

 足元からL.C.L.が注入されるとシンジは驚いたが、レイもシンジを落ち着かせるように強く手を握った。

 全身L.C.L.に浸かったシンジと初号機のシンクロは問題無く行われ、起動実験を見守っていたゲンドウとコウゾウも落ち着いた様子だった。

 

「それでシンジ君、何か思い出したことは無い?」

「特に何もありません」

 

 ミサトの質問にシンジがそう答えると、方々から落胆の声が上がった。

 とりあえず初号機とシンクロは可能だと言う事と、シンジの記憶は時間を掛けて取り戻すしかないと言う結論に達したミサト達は、シンジを自分達の家へと連れて帰る事となった。

 

「シンジ君の実戦には不安があるから、ダミープラグの準備もしておいて」

「了解しました」

 

 リツコの指示を受けたカエデ達は引き締まった表情でそう答えた。

 初号機から降りたシンジは、アスカとレイの方を交互に眺めながら浮ついた笑みを浮かべていた。

 

「まさかシンジの素の性格ってチャラいやつじゃないでしょうね」

「絶対に元の碇君に戻す」

 

 零号機のコアから性格が移ってしまったのか、それともエヴァの呪縛の記憶から完全に開放されてしまったためなのか、アスカとレイにはシンジが自分がモテ男と勘違いしているおバカシンジになっているように見えた。

 ミサトが運転する車で帰る時、シンジは助手席に座らせた。

 アスカとレイが両隣に座ってシンジを甘やかすのは良くないと思ったからだ。

 

 

 

<第三新東京市 加持邸>

 

 ネルフでの初号機起動実験を終えてミサトの車で帰ったシンジは、初めて加持家に来た時のように自動で開く見た目が木製の扉に驚いていた。

 

「お邪魔します」

 

 そう言って家に入ろうとしたシンジを、ミサトが肩を掴んで引き留めた。

 

「そうじゃないでしょ、ここはシンジ君の家なんだから、言う言葉が違うでしょう?」

「ただいま……ですか?」

「その通り!」

 

 戸惑いながらもシンジが尋ねると、ミサトは満足した笑顔でうなずいた。

 シンジの記憶喪失の報を聞いたマナ達は玄関に駆け付けてシンジを出迎えた。

 

「お帰りなさい、シンジ君!」

「記憶喪失になったそうだな」

「オイラの事、覚えてないの?」

「うん、思い出せないんだ」

 

 押しかけて来たマナとムサシとケイタに戸惑いながら、シンジはそう答えた。

 

「じゃあ、あたしと抱き合った、熱い抱擁の事も覚えていないの?」

「僕が君と!?」

 

 マナがそう言うと、シンジは驚いて聞き返した。

 

「話を盛っているんじゃないわよ、アンタが強引にシンジの背中に飛び付いただけじゃない」

 

 アスカがそう言ってマナをにらみつけると、マナはペロッと舌を出して誤魔化笑いを浮かべた。

 

「霧島さん、碇君を調子に乗らせるような事を言わないで」

「そうよ、シンジってば記憶を無くしてから性格がリョウジさんみたいに軟派になってるみたいなのよ」

 

 レイとアスカがマナにそう声を掛けると、珍しく家に居たリョウジはおいおいそれは無いぜ、とジェスチャーで示した。

 

「お帰り、シンジ」

 

 エプロン姿のヨシアキが遅れて顔を出すと、シンジはヨシアキを見つめたままぼーっとしている。

 

「どうしたんだ、シンジ君?」

 

 リョウジが硬直したシンジを不思議がって声を掛けた。

 

「綺麗な人ですね」

「はぁっ!?」

 

 シンジがそうつぶやくと、アスカは思い切りズッコケた。

 

「この格好でも初対面の人に女の人と間違えられるのはショックだよ」

 

 ヨシアキは余裕のある態度で受け流したが、加持家のメンバーはやれやれとため息をついた。

 とりあえず玄関で立ち話を続けていても仕方がない、シンジ達が帰って来た事で楽しい夕食を、と言う事になったが、シンジはヨシアキがテーブルに用意した豪勢な料理を見て驚いた。

 

「凄い、僕の誕生日か何かですか!?」

「あたし達にとっちゃ、いつもの事なんだけどね」

「そうだ、人生の楽しさの半分は旨いものを気心の知れた皆と食べる事だからな」

 

 ミサトとリョウジはシンジの質問にそう答えた。

 自分達大人は勝手な都合でシンジ達チルドレンをエヴァに乗せている。

 子供達に美味しいものをたらふく食べさせてあげる事が、せめてもの贖罪だとリョウジとミサトは考えていた。

 

「シンジは僕と一緒に厨房で料理をしていたんだよ」

「そんな、料理とか家事とか僕には出来ませんよ!」

 

 ヨシアキの言葉を聞いて、シンジは慌てて否定した。

 これではシンジの料理は期待できないと、アスカとレイは残念がった。

 厨房に立つヨシアキを手伝う間に、シンジの料理も上手くなっていたのだ。

 

「それならシンジが記憶喪失の間に、君達が料理の腕を上げて驚かせると言うのはどうかな?」

 

 ヨシアキの提案を聞いて、アスカとレイは見つめ合ってうなずいた。

 明日からはアスカとレイがキッチンに立つ事になるだろう。

 

「シンジ君のお袋さんの味を再現できれば、シンジ君がショックで記憶を取り戻すかもしれないな」

「それは無理ね、アタシはシンジのママの料理なんて、食べた事が無いもの」

 

 リョウジの言葉に、アスカは悲しそうな表情をして答えた。

 アスカとシンジが出会ったその日に、ユイとキョウコは悲運な事故に遭っている。

 

「ナイスアイディアよ、リョウジ。碇司令ならユイさんの味を知っているはずだわ」

 

 ミサトはそう言うと、電話を取り出した。

 

「私にユイの味がする料理を作れだと!? 無茶を言うな加持三佐!」

「シンジ君の記憶を取り戻すためです。明日学校に行って、シンジ君の記憶が戻らなければ、明日の加持家での夕食は碇司令に作ってもらいます。大丈夫です、碇司令のエプロンはヨシアキが縫っていますから」

 

 ミサトはそう宣言をして、ゲンドウとの通話を切った。

 

「いつも思うが、良くもまあ司令相手に物怖じせずに意見が言えるな」

「そう言うリョウジだって、上手い事司令をおだてて木に登らせてるじゃない」

「司令はユイさんの尻に敷かれ続けたのかもしれないな」

「愛妻家って言えば良いのよ」

 

 リョウジとミサトはそう言って笑うと、お互いに肩を寄せ合った。

 使徒との長い戦いが終われば、こうしてシンジ達チルドレンが集まって同じ家で暮らす必要は無くなる。

 それはミサトにとって寂しいものだったが、その事を寂しがる事が出来ないのが最も寂しい。

 なぜならミサトは……。

 

「こんなに美味しい料理、初めて食べたよ!」

「ありがとう。明日は中東から良い食材が空輸で入って来るんだ」

 

 シンジとヨシアキのやり取りを聞いて、この食事会でもシンジの記憶は戻っていない事を周囲の加持家の家族は悟った。

 こうなれば、明日の学校生活に期待するしかない。

 しかしシンジの記憶の事はとりあえず置いておいて、この家族全員が揃った食事会を楽しもうと皆思うのだった。

 

「碇君、これ美味しいわよ。あーんして」

 

 レイはシンジに向かってスプーンを差し出すと、シンジは恥ずかしそうに口に含んだ。

 

「こら、シンジを調子に乗らせるような事をしちゃダメよ!」

「ごめんなさい」

 

 レイはアスカに対して口では謝ったが、あまり深く反省はしてないようだった。

 出し抜かれたと感じたアスカは揚げ出し豆腐を手で掴んでシンジの口に押し込んだ。

 

「ほらシンジ、この料理も美味しいわよ!」

「アスカ、止めて! 碇君が窒息しちゃう!」

 

 マナがあわてて2個目の揚げ出し豆腐を掴んだアスカを止める。

 そんな賑やかな食事を、リョウジとミサトは微笑ましく見つめていた。

 

 

 

<第三新東京市 第壱中学校>

 

 いつものように朝食を食べたシンジ達は、6人連れだって学校に登校する。

 シンジが手伝ったお弁当が無い分、アスカとレイにとっては残念だったが、その代わりとしてアスカとレイが愛情をこめて作ったシンジへのお弁当があった。

 どうして他の5人のお弁当と違うのかシンジは不思議がったが、アスカとレイに自分が記憶を失う前の大好物だから記憶を取り戻すためだと言われて、とりあえず納得した。

 

「あの2バカコンビに学校で会って、シンジの記憶が戻るのかしらね?」

「だけど試せる手段は、全て試すしかないと思うわ」

 

 疑問を投げ掛けるアスカに、レイはそう答えた。

 話をしながら通学路を歩く6人の前に、トウジとケンスケ、ヒカリの3人が現れた。

 

「やあシンジ、久しぶりだな!」

「なんや、間抜けなツラしてワシらの事見て」

「君達、誰?」

 

 シンジが尋ねると、ケンスケとトウジにもシンジの不思議顔が伝染した。

 

「シンジはね、記憶喪失になっちゃったのよ」

「えっ、碇君、大丈夫!?」

 

 アスカの言葉を聞いたヒカリは驚きの声を上げた。

 

「凄い、記憶喪失だなんて、映画の主人公みたいじゃないか!」

「アンタねえ……」

 

 ケンスケが目を輝かせてそう言うと、アスカは呆れた顔で頭をかいた。

 

「お願い、碇君の記憶を取り戻す手助けをしてあげて」

「よっしゃ、任せとき!」

 

 レイに頼まれたトウジは胸を張ってそう答えた。

 シンジは何かを企んでいる笑みを浮かべているトウジとケンスケに手を引かれて昇降口へと入って行った。

 

「あの2人に任せて大丈夫なの?」

「ダメで元々のショック療法よ」

 

 ヒカリにそう答えたアスカは、ヒカリの顔をじっと見つめて笑みを浮かべた。

 

「アスカ、何かイタズラを考えている時の顔をしているわ」

「そ、そんな事無いわよ!」

 

 レイに指摘されたアスカは慌てて否定したが、シンジが記憶喪失になった機会に、嘘を付いて試してみたくなった事があった。

 その嘘がアスカ自身の心を大きく傷つける事になるとは分かっていなかった。

 

「えっ、文化祭でバンドをやるって!?」

 

 教室でトウジとケンスケにそう言われたシンジは驚いた顔で聞き返した。

 

「そうや、3人でやろうって言うてたやんか」

「碇も凄い乗り気だったんだぞ」

「そんな、僕は楽器なんて何にも出来ないよ!」

 

 トウジとケンスケに畳みかけられて、シンジは困った顔でそう答えた。

 とりあえずやってみないと分からないと、放課後の音楽室で練習すると約束させられてしまった。

 

「ヒカリ、シンジの事で話があるんだけど……」

「碇君がどうかしたの?」

 

 教室の隅に連れて来られ、真剣な表情でアスカに相談を持ち掛けられたヒカリは、とても心配した表情でアスカに尋ねた。

 

「シンジってば、アタシと結婚の誓いのキスをした事を後悔して、記憶喪失になったふりをしているかもしれないのよ」

「そうだったの!?」

 

 アスカがそう言って泣き真似をすると、ヒカリはシンジとの仲がそこまで進んでいたと驚いた後、怒った表情となった。

 

「もし記憶喪失になった振りをして、アスカの責任から逃げようとしているのだとしたら、碇君を許せないわ!」

 

 ヒカリが自分の話に上手く乗ってくれたと心の中でほくそ笑んだアスカは、今度はシンジに近づいて声を掛けた。

 

「あの洞木って子、アタシの友達なんだけど、前からシンジの事が好きみたいよ」

「えっ、そうなの?」

「アタシがヒカリの背中を押しておいたから、ヒカリから呼び出しを受けるかもね」

 

 驚いたシンジに、アスカはそう言ってシンジを励ました。

 すると休み時間にヒカリは真剣な表情でシンジの席に近づいて言い放った。

 

「碇君、放課後に体育館の裏に来て、大事な話があるの!」

「委員長、碇は放課後に音楽室で俺達とバンド演奏の練習をするんだぜ」

「せやせや!」

 

 ヒカリの言葉を聞いて、シンジの席の側に居たケンスケとトウジはそう言い返した。

 

「そんなに時間は取らせないから、お願い」

「分かったよ」

 

 アスカからきっとヒカリからの愛の告白だと聞かされて信じ込んでいたシンジは、逃げずに約束した。

 昼休みはいつものようにシンジ、アスカ、レイ、マナ、ムサシ、ケイタ、トウジ、ケンスケ、ヒカリの9人で席を固めて昼食を食べた。

 トウジとケンスケとヒカリはシンジの弁当だけが違う事に気が付き、シンジはトウジとヒカリの弁当が同じ事に気が付いた。

 

「碇の弁当は惣流と綾波の手作りなんか?」

「羨ましいなあ」

「アタシ達の料理の練習台よ、ねえレイ?」

「う、うん……」

 

 素直になりきれないアスカとレイはトウジとケンスケの質問にそう答えた。

 

「その……鈴原君も、洞木さんと同じお弁当だよね?」

「これは、私が作り過ぎたから、鈴原にお裾分けしてるのよ!」

「そやそや、残飯処理や!」

 

 シンジに逆に質問されて、ヒカリとトウジは顔を真っ赤にして言い返した。

 

「分量が分からないなんて、洞木さんも料理の勉強中なの?」

「何やと、ヒカリの弁当にケチ付ける気か!?」

「止めなよ、鈴原君!」

 

 マナが腕を引っ張って、反射的にシンジに手を出そうとしたトウジを止めた。

 遠慮無しに率直に話すシンジが本来の性格なのかもしれないが、早く記憶を取り戻してほしいとマナはため息をついた。

 そして放課後、シンジはヒカリと体育館の裏で2人きりで向き合った。

 アスカは角に隠れて2人の様子をこっそりと伺った。

 

「碇君、あなたは記憶喪失の振りをして、アスカとの結婚の誓いをした責任から逃げようとしているの!?」

「はあっ!?」

 

 てっきりヒカリから愛の告白を受けるのだと心構えをしていたシンジは間抜けな顔で驚いた。

 そのタイミングでアスカは隠れていた物陰から姿を現した。

 

「シンジってば、アタシと交わした熱いキスの事も忘れてしまったのね、えーん」

 

 アスカがそう言って両手で顔を覆って泣き真似をすると、シンジは困惑して右往左往してしまった。

 

「碇君ってば最低!」

「酷いわ、シンジ!」

 

 アスカは怒って去って行ったヒカリとは逆の方向へと歩き出した。

 記憶を失ってもシンジは自分を好きになって追いかけて来てくれるか、アスカはシンジを試してみたくなったのだ。

 

「待って、洞木さん!」

 

 ヒカリの背中を追いかけるシンジの姿を見て、アスカは胸を両手で押さえるほどショックを受けた。

 

「碇君をからかったりするから、こんな事になるのよ」

「うるさいわね……」

 

 アスカはレイにそう答えると、よろよろと歩きながらヒカリとシンジの後を追いかけた。

 

「どうして、アスカじゃなくて私の事を追いかけたの?」

「洞木さんには僕の事、誤解して欲しくない気がして。あのアスカって子は嘘吐きだよ。洞木さんが僕の事を好きだなんて言うんだ」

 

 ヒカリの質問にシンジは怒った顔でそう答えた。

 シンジはアスカの事を疑っていたが、ヒカリの言葉を聞いて確信した。

 アスカはシンジだけでなく、ヒカリにも嘘を付いているほら吹きだと。

 

「碇君、誤解されないように正直に言うとね、私は鈴原の事が好きなの」

「そうだったんだ……」

 

 ヒカリの言葉を聞いたシンジはガックリと肩を落とした。

 

「そうだ、僕達がやるバンドに洞木さんも参加すれば、鈴原君も喜ぶよ!」

「えっ!?」

 

 そう言ってシンジはヒカリの手を引いて音楽室へと向かった。

 

「アタシ、シンジに噓吐きだって嫌われちゃった……」

「しっかりして、私も一緒に碇君に謝ってあげるから」

「そうそう、碇君も分かってくれるよ」

 

 そう言って頭をうな垂れたアスカをレイとマナが両脇から支えた。

 嘘を付いてまでシンジの気持ちを試そうとしたアスカの自業自得ではあるが、暗く落ち込んだアスカの姿を見るのもレイは嫌だった。

 音楽室からは、トウジ達が演奏するバンドの曲と、ヒカリの歌がアスカ達の居る廊下へと漏れ聞こえて来る。

 

「最高や! まさかお前さんにこんな才能があったとはな!」

「そ、そうかな? 小さい頃から歌は好きだったから」

 

 トウジに感激するほど褒められたヒカリは、顔を赤らめて答えた。

 自分もアスカほどスタイルが良ければアイドルのオーディションとか受けたかもしれないのに、とヒカリは思っていた。

 シンジは記憶を失っていたが、キーボードを普通に演奏する事が出来た。

 ピアノも習った記憶が無いのにどうしてなのだろう、自分は誰かにピアノを習った事があるのかとシンジは思った。

 

「これなら、今度の文化祭でのバンド演奏も成功間違いなしだな!」

 

 ケンスケが嬉しそうにそう叫んだ時、緊急避難警報が第三新東京市に鳴り響いた。

 

「碇君、使徒が来たわ。ネルフに行くのよ」

 

 廊下から中の様子を窺っていたレイは音楽室のドアを開けて、中へと踏み込んだ。

 

 

 

<ネルフ本部 発令所>

 

 使徒は今までと同じように日本の近海に出現したので、ミサト達は迎撃の準備を整える事が出来た。

 学校に居たシンジ達は使徒が最接近する前にネルフ本部に時間的余裕を持って到着し、それぞれ自分の機体に乗り込んで、使徒との戦いに備えた。

 

「アスカ、いつもよりシンクロ率が落ちているけど、大丈夫かしら……」

 

 学校で担任教師としてシンジ達の様子を見ていたミサトは、レイ達からアスカが起こした騒動の内容を聞いた。

 アスカがシンジに謝る前に使徒が襲来し、タイミングを逃してしまったわけだが、弐号機だけを出撃させないわけにもいかない。

 そうすればアスカは更に自責の念に押し潰されてしまうだろう。

 シンジの方は嘘を付いたアスカに対して素っ気ない態度を取っていた。

 声を掛けようとしたアスカの顔を見るなり、怒った顔でそっぽを向く。

 このままシンジの記憶が戻らなければ、その険悪な雰囲気は続くと考えられた。

 

「碇君も、同じパイロットなんだから仲良く協力して使徒と戦おう、ね?」

 

 紫電に乗るマナも気を遣ってシンジに声を掛けているが、シンジは頑なに表情を崩さない。

 これほどシンジが意地っ張りな性格だったとは、レイ達も驚いた。

 使徒は長い尻尾を持つ、直立歩行する灰色のカブトムシのような姿をしていた。

 

「恐らく使徒は尻尾を振り回して攻撃してくると思われるわ。全員一斉での遠距離攻撃で威力偵察するわよ」

「私のジェット・アローンの出番は無いのですか!?」

「残念ですが、今回に関しては無いと思います」

 

 シロウ博士に対して、ミサトは冷静に言い放った。

 紫電・雷電・震電がミサイルで、エヴァ3機がパレットガンで使徒を攻撃すると、使徒はアルマジロのような丸い球体になって攻撃を防いだ。

 

「A.T.フィールドは?」

「展開されていません」

 

 ミサトの質問にマヤがそう答えた。

 

「まさか、A.T.フィールド無しの装甲だけで攻撃を防いだと言うの!?」

 

 傷1つ無い今までの使徒とは段違いの防御力に、ミサトは驚きの声を上げた。

 エヴァと戦自ロボット達の一斉攻撃が止むと、使徒は元のカブトムシのような姿に戻った。

 使徒は両肩からA.T.フィールドを収束させたビームを放ち、反撃する。

 

「アスカ、危ない!」

「あ、ありがと、レイ」

 

 標的になった弐号機をかばったのは、初号機では無く零号機だった。

 いつもならばシンジがアスカを守るはず、レイが羨ましいと思う位に。

 マナ達も弐号機を守るのに零号機に後れを取った初号機の姿には違和感を覚えた。

 

「アスカ、気持ちは分かるけど、今は使徒との戦いに集中しなさい!」

「分かってるわよ!」

 

 アスカはミサトにそう言葉を返して、使徒へと接近戦闘を仕掛けようとした。

 いつものアスカならば安心して任せられるが、今のアスカは平常心を失ってしまっている。

 使徒は不用意に前面に出た弐号機に対して、尻尾を鞭のように振り下ろした。

 アスカのシンクロ率が落ちていた弐号機は厚いA.T.フィールドを張る事が出来ず、使徒の攻撃を防ぎきれなかった。

 大きなダメージを受けた弐号機は持っていた武器、ソニックグレイブを落としてしまった。

 丸腰になった弐号機を使徒は更なる攻撃を加えて痛みつけていた。

 助けられるのは零号機と初号機しか居ない、しかし零号機は動こうとしなかった。

 

「レイ、何をしているの!? 弐号機の防衛に回りなさい!」

「加持三佐、アスカは碇君が助けないといけないんです」

 

 驚いた声のミサトの通信に、レイはそう答えた。

 

「10秒だけ待つ。それでも初号機が動かなかったら、ダミープラグを作動させる。分かったな、レイ」

「ありがとうございます」

 

 ゲンドウの言葉に、レイはそう答えた。

 レイはシンジの事を完全に諦めて、愛のキューピッドになったわけでは無かった。

 しかし自分がアスカの立場になったとしても、記憶を取り戻したシンジに助けてもらいたかった。

 初号機に乗ったシンジは、馬乗りになった使徒に攻撃をされて苦しむ弐号機の姿を脂汗を浮かべながら見ていた。

 とても大切なものが悪い奴に傷つけられている。

 思い出せ、思い出せ、ともう一人の自分に急かされる事5秒間、シンジの心の中に怒りの炎が燃え上がった。

 

「碇のヤツ、MK5(マジでキレる5秒前)の顔をしてるぞ!」

「じゃあ碇君の記憶が戻ったの?」

 

 ムサシがそう指摘すると、マナが疑問を投げ掛けた。

 初号機は弐号機の落としたソニックグレイブを拾い上げると、使徒の背後から思い切り振り下ろした。

 

「このぉぉぉっ! アスカに酷い事をするなぁぁぁっ!」

 

 弐号機への攻撃態勢に入っていて、完全に不意打ちされた使徒が、身体を丸めて防御しようとした時は遅かった。

 初号機の握るソニックグレイブの穂先は、使徒のコアを貫いていた。

 

 

 

<ネルフ本部 シンジの病室>

 

 使徒を殲滅させた後、記憶を取り戻したシンジは念の為に脳の精密検査を再び受けるために、ネルフの病室に検査入院する事になった。

 病室のベッドで身体を起こしたシンジは、ミサトやリツコ、アスカ達に囲まれて質問責めにあっていた。

 

「シンジ君、ここ数日の事を覚えていないの?」

「ええ、零号機に乗って意識を失って、気が付いたら初号機に乗っていました」

「記憶が戻って、記憶が失われた。有り得ない事では無いわね」

 

 ミサトとシンジのやり取りを聞いて、リツコはそうつぶやいた。

 脳波に異常が無かったシンジは即日退院、ミサト達と家へと帰る事になった。

 

「アタシ、トイレに行って来る」

「じゃあわたしも」

 

 アスカとマナはトイレへ行き、ミサトは一足先に車を取りに、リツコは自分の研究室へと帰った。

 偶然が重なりシンジとレイが廊下で2人きりになったタイミングで、レイはシンジに尋ねた。

 

「碇君、どうして最近の記憶が無いなんて嘘を付いたの?」

 

 レイとしてはシンジに鎌を掛けたつもりだったが、シンジは素直に嘘を認めた。

 

「綾波には分かっちゃったか。僕はね、アスカに借りを作らせたくなかったんだ。きっと、僕がアスカが噓を付いた事を覚えていると知っていたら、アスカは僕を傷付けた借りを返そうとして、無茶をするに決まってる。だから、記憶喪失になった方が良いんだ」

「碇君、やっぱりあなたは優しいのね」

「シンジ……」

 

 トイレから戻ったアスカは、レイとシンジの話を偶然に聞いてしまった。

 いつものように振舞わなければ、話を盗み聞きした事がバレてしまう。

 アスカは熱くなった目頭を押さえるため、回れ右をして女子トイレで頭を冷やそうとした。

 

「あれアスカ、忘れ物?」

「そう、アレは何処へ置いて来ちゃったかな…」

 

 トイレから出て来たマナに聞かれたアスカはそう言って誤魔化した。

 シンジの優しさを無碍にしてしまう行為だが、次の使徒との戦いは自分が危険な先陣を切ると、アスカは心の中で決意を固めた。

 

「ミサトさんから聞いたよ、もうちょっと僕が早く記憶を取り戻していれば、弐号機を助けられたって」

「アタシもシンジに嘘を付いたんだから、お互い様よ」

 

 アスカはそう言ってから自分の失言に気が付いて思わず口を押えた。

 

「嘘ってどんな事?」

 

 それでもシンジはアスカを気遣って、とぼけた顔を作ってアスカに尋ねた。

 

「碇君をからかって、クラスのみんなの前でお笑い一発芸をやらせようとしてたのよ」

「もう、アスカってば酷いなぁ」

「ごめんねシンジ」

 

 機転を利かせたレイに、アスカはウインクをして感謝した。

 マナ達はそんな事あったか?と不思議顔になったが、レイは深い考えがあってそう話したのだと察して、その作り話を受け入れる事にした。

 

 

 

<ネルフ 司令室>

 

 使徒が殲滅された後、リョウジとミサトを交えて、司令室ではコウゾウとゲンドウの4人で反省会が行われていた。

 リツコは使徒の残骸からのデータ収集やダミープラグの調整で手一杯。

 情報をまとめるのはここに居るメンバーの役目だ。

 

「まさか使徒の襲来がシンジ君の記憶が取り戻す助けになるとは予想外でしたね」

「ふん、シンジの記憶が戻ったのは使徒の手柄ではない。レイが機転を利かせた成果だ」

 

 リョウジの言葉に対して、ゲンドウはそう答えた。

 

「レイの成長は素晴らしいものがあります。初号機で弐号機を助けさせて記憶を取り戻す作戦は、目先の事にとらわれていた私には思い付きませんでした」

「ミサトの作戦通り、エプロン姿で料理を作る事にならなくて良かったですね、司令」

「君達夫婦はもう少し上司に対する畏怖の念を持った方が良い。口が過ぎると減給するぞ」

 

 ニヤニヤと笑いを浮かべるミサトとリョウジに、ゲンドウはため息をつきながらそう答えた。

 

「碇、他の支部長達にはどう報告する?」

「ドイツ支部のダブルエントリーシステムも、我々本部のダミープラグも問題点に直面したと言うしかないだろう。ただし、初号機パイロットが零号機の中で『視た事』は秘匿する」

 

 コウゾウの質問にゲンドウはそう答えた。

 他の支部長が必要以上にシンジに興味を持ち、直接シンジを尋問させろと言われるのはゲンドウとしては避けたかった。

 とりあえず1つのダミープラグで全てのエヴァを動かすのは難しいと言う問題点を共有するだけで十分だとゲンドウは考えた。

 

「そう言えば、そろそろあなたの奥様であり、シンジ君のお母様でもあるユイさんの命日ですね」

「ユイは死んではいない」

 

 ゲンドウはリョウジの言葉を聞いてあからさまに不機嫌な顔になった。

 

「済みませんでした、この度は不肖の夫が失礼な言い方をしました。しかしシンジ君は零号機の秘密にまで触れてしまいました。いかが致しましょう?」

「だが加持三佐、シンジ君は零号機の全てを知ってしまったわけではあるまい」

 

 懸念を示す表情で尋ねるミサトに、コウゾウはそう答えた。

 

「シンジの君に対する接し方は以前と変わったか?」

「いえ、特には」

 

 ゲンドウの質問にミサトは真剣な表情でそう答えた。

 

「シンジがアレの正体に気が付いたのなら、君の事を警戒するはずだ」

「それはそうですが……」

 

 ゲンドウの言葉に、ミサトは反論しなかった。

 

「ユイの墓参りの時に、私が直接シンジと話す。それで良いな」

 

 有無を言わせない迫力のあるゲンドウの言葉に、ミサト達は司令室を出て行き、話し合いは解散となった。

 

 

 

<第三新東京市 共同墓地>

 

 第三新東京市の郊外、富士山を一望できる丘に、大きな墓地が存在した。

 セカンドインパクト関係で命を落とした、遺体の無い墓地だった。

 2000年9月15日のインド・パキスタン紛争をきっかけに世界に戦争が広まり、東京も同年の9月20日に核爆弾が投下され、多くの犠牲者を出した。

 武力を背景にした他国への強硬外交をするための、某国の大統領の凶行だった。

 日本への見せしめとして壊滅させられた東京の復興を政府は断念、第二、第三新東京市が建てられる事になった。

 ユイとキョウコが研究機関ゲヒルンで消失した日。

 その日はユイとキョウコの命日となっていた。

 ミサトの運転する車で、助手席にゲンドウが座り、後部座席にはシンジとアスカとレイが並んで座って居た。

 後ろからはリョウジやネルフSPの警護の車が続いた。

 ミサトは最強のボディーガードではあるが、念には念を入れての警備体制だった。

 シンジはゲンドウと仲違いしてから数年振りの、ドイツ支部に居たアスカにとっては初めての、レイにとっては毎年ゲンドウと2人きりで訪れていた墓参りだった。

 楽しいお出掛けという訳でも無く、車内に居たミサト達は一言も言葉を発さずに硬い表情となっていた。

 墓地に到着すると、ミサト達4人だけが無数の墓標が建てられた墓地の敷地内へと足を踏み入れた。

 墓標のほとんどに供え物はされておらず、無縁仏のようになっている。

 IKARI YUIと刻まれた墓標の前でゲンドウ達は立ち止まった。

 隣にはアスカの母親のキョウコの墓標もあった。

 

 (お母さん、魂だけだった私に身体を与えてくれてありがとう)

 

 シンジやアスカに聞かれるわけにはいかない心の声で、レイはユイに向かってお礼を言った。

 

「父さんは、どうして母さんのお墓をここに建てたの? まだ死んだわけじゃないのに」

 

 意を決したシンジがゲンドウに尋ねると、アスカは驚いた顔をした。

 ゲンドウとレイは、遂にその質問をされる時が来たと驚きもせずに落ち着いた表情をしていた。

 

「私がこの場所にユイの墓標を立てたのは、私の心の中でユイが生きている限り、ユイは死なないと願いを込めたからだ。『富士山』は古来より『不死山』と呼ばれているからな。人が本当の意味での死を迎えるのは、誰からの記憶からも消えた時だと思っている」

 

 ゲンドウの言葉に不思議そうな顔をする漢字の不得意なアスカに、ミサトは携帯電話で漢字変換して意味を教えた。

 

「そんな話で僕の追及を誤魔化せるとでも思ったの? エヴァのコアは誰かを閉じ込めるための『魂の檻』なんでしょう?」

「シンジ君……!」

 

 真剣な表情でゲンドウを見つめるシンジの言葉にミサトは息を飲んだ。

 今までシンジはゲンドウが母親のユイを危険な人体実験で殺したと思い込んでいて、それが仲違いの原因でもあった。

 

「お前も、ついにその事を知ってしまったか」

「零号機とシンクロした時、不思議なイメージが僕の心の中に流れ込んで来て、その世界に居た誰かに教えてもらったんだ。自分は14年間、ずっとコアの中に閉じ込められているって。影しか見えなかったけど、多分髪の長い女の子だった」

(あの子は寂しさに耐え続けているのね……本当に悪いのは私の方なのに)

 

 ゲンドウの問い掛けに答えたシンジの言葉を聞いて、ミサトは胸を痛めた。

 『あの子』が自分の前では見せない素振りを、シンジの前では見せたのかもしれない。

 シンジにはそう言う人たらしの才能があるとミサトは思っていた。

 

「ちょっと待って、それじゃあママは消えて居なくなったんじゃなくて、弐号機のコアに閉じ込められているって事?」

 

 やっと話について行く事が出来たアスカがゲンドウとシンジの話に口を挟んだ。

 ゲンドウが沈黙して否定しないと言う事は、肯定したも同じだとアスカは考えた。

 

「それならママを弐号機から出してよ! シンジだって、ママにハグしたりして貰いたいでしょう!?」

「アスカ、残念だけどそれは無理なのよ」

「魂だけでは人の形には戻る事は出来ない」

 

 ミサトとゲンドウは冷たくアスカにその事実を告げた。

 ゲンドウはレイの方にほんの少しだけ視線を向けた。

 

「ならアタシのクローンでも作って、そこにママの魂を入れれば良いじゃない。ネルフの技術力なら出来そうなものだけど?」

「アスカ、無茶な事を言うのは止めなさい」

 

 ミサトはそう言って、暴れるアスカの身体を肩を掴んで押えた。

 ゲンドウが重々しく口を開いて語り出した。

 

「ユイと君の母親であるキョウコ博士は、エヴァを使徒と戦うための決戦兵器として完成させるために、自らの意思でコアとなった。2人の意志を尊重するためにも、私は使徒と戦う決意をユイ達に誓うために私は毎年この場所に来ている」

「そうだったんだ、僕は父さんを誤解してた。ピアノも教えてくれてありがとう」

 

 ゲンドウの話を聞いて、父への憎しみは完全に誤解だったと分ったシンジは笑顔でお礼を言った。

 シンジを自分の膝の上に乗せてピアノを弾いていたのは、ユイが生きていた頃、シンジがとても幼かった頃の話だ。

 その記憶まで取り戻したとは、ゲンドウも驚いた。

 

「でも母さんの顔を思い出す事が出来ないんだ。父さん、母さんの写真とか無いの?」

「ユイと会うのは全てが終わってからだ。決意が鈍らないように、私はユイの記録を捨てた。シンジ、お前もユイの期待に応えられるほど強くなれ」

 

 シンジに尋ねられたゲンドウはそう答えた。

 その答えの半分は真実だったが、シンジにユイの姿を確認されては困ると言う事情もあった。

 レイの身体はユイのL.C.L.を14歳の少女として還元したものだった。

 ほんの少し他者のL.C.L.を混ぜているが、成長するにつれて若い頃のユイの姿に似て来てしまった。

 レイがシンジに恋心を抱いている状態で、もしシンジが自分とレイは血の繋がった兄妹ではないかと思い込んでしまうのは、とてもマズい事になる。

 他者のL.C.L.が混じっている事で、遺伝子的に問題は無いとリツコが説得しても、シンジはレイを意識してしまうに違いない。

 シンジはゲンドウの理由の説明に寂しさを覚えながらも、納得はしたようだった。

 耳を澄まして聞いていたアスカは、ゲンドウに向かって質問を浴びせた。

 

「それじゃあ、使徒を倒してエヴァが要らなくなれば、ママは帰って来れるかもしれないと言う事ですね!」

 

 目を輝かせて尋ねるアスカに、ゲンドウはまたしても沈黙を貫いた。

 使徒が居なくなっても、そう簡単にエヴァからキョウコをサルベージ出来る訳ではないが、アスカから希望を奪うのも忍びないと思った。

 

「よおし、張り切って使徒を倒すわよ、シンジ!」

「う、うん」

 

 アスカに軽くヘッドロックを決められたシンジは戸惑いながらそう答えた。

 

「そう言えば、どうしてミサトさんはここに? 父さんの警護ですか?」

「まあ、それもあるけど、あたしの未熟さのせいで沢山の人が命を落とした。その人達に謝るために、ここに来ているのよ」

「ミサトさん、戦略自衛隊に居た頃は世界各地の戦場に居たそうですからね……」

 

 シンジは勝手にミサトが戦場で奪った命、守れなかった命の供養をしているのだと思っていたが、ミサトの心の中の真実は違っていた。

 ミサトはもっと多くの人数の人間に向かって謝っていたのだ。

 

(……みんな、本当にごめんなさい。あたしも役目を終えたらしっかりと罰を受けるから)

 

 ミサトは声には出さずに、無数に立ち並ぶ墓標へと向かって、謝り続けるのだった。




【豆知識】

ゲーム「新世紀エヴァンゲリオン」(1st Impression)はTVアニメ版が完成する前に製作されたらしいので、TVアニメ版と設定が違う所があると言う経緯があります。

文章量少なめのハイペースで進めた連載ですが、補完した方が良いでしょうか? 最終話だけ別のアンケート(続編について)になります。

  • 本文は今の量が読みやすいので外伝形式で
  • 本文の量が増えても加筆修正が良い
  • 外伝で活躍させたいキャラ(メッセージで)
  • 第〇話の修正希望(メッセージで)
  • こんなifストーリーどう?(メッセージ)
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