新世紀エヴァンゲリオン for Children ~全ての子供たちのために~ 作:朝陽晴空
<ネルフ本部 実験場>
初号機が単独で使徒を倒したと言う事実は、他のエヴァパイロットの闘争心に火を付ける事となった。
特にエースパイロットを自称していたアスカ、命を懸けてシンジを守る事を誓っていたレイは戦闘訓練にのめり込むようになっていた。
「アスカ、レイ、自主練も結構だけど、休息を取る事も大切よ。学校の授業中も眠そうにしているじゃない」
「でもアタシは……」
見かねたミサトに説教されたアスカとレイは悔しそうに唇を噛み締めながら下を向いた。
「エバーのパイロットして戦功を立てたい気持ちも分かるけど、長い人生、学校で充実した生活を送る方が大切なのよ。目先の事にとらわれないで」
エヴァのパイロットで無かったら、シンジたちは平凡な中学2年生なのだ。
「アスカ、あなたは飛び級で大学に行けるほど頭が良い。別にシンジ君にコンプレックスを感じる事なんて無いのよ」
「別にアタシはシンジにコンプレックスなんて持ってない!」
アスカは怒った顔でミサトに言い返した。
図星を突かれてヘソを曲げてしまったアスカに、ミサトは別の方面からアプローチを掛けてみる事にした。
「それなら、エバーの武器開発に関わってみない?」
「えっ?」
ミサトの言葉にアスカは驚いた顔になった。
「パイロットの視点から、エヴァで使い易くて威力のある武器を開発するの。それこそ、アスカにしか出来ない事じゃない?」
「言われてみればその通りね」
アスカは腕組みをして笑みを浮かべた。
これでアスカががむしゃらにエヴァの戦闘訓練に打ち込む事は無くなるはず。
次の問題は、命を投げ打ってでもシンジを守ろうとするレイやカヲルだった。
レイは、シンジに振り向いて欲しいと言う強い気持ちから、カヲルはまだ自分の命の価値を軽んじている面がある。
このままではシンジを守るために無茶な特攻をしてしまうような嫌な予感がした。
「みんな、良く聞きなさい! これからは強力な攻撃をしてくる使徒が出現する事も考えられる。その場合はまず、自分の命を守る事を最優先にしなさい! 死んでしまったら、その先大事な人を守る事が出来なくなるし、大事な人を悲しませる事になるわ」
ミサトはシンジたちの顔を見回しながらそう言って、レイの所で視線を止めた。
「私はね、あなたたちがエヴァのパイロットの役割を終えた後も、充実した人生を送って欲しいと思うの。あなた達の人生はまだまだこれからよ。エヴァに乗る以上に辛い事もあるかもね」
ミサトはそう言って言葉を締めくくった。
そしてミサトは、まだエヴァに乗って日の浅いトウジとカヲルの指導に当たった。
2人は実戦はまだ未経験、戦闘シミュレーターで過去の使徒のデータに勝利しいてもやはり不安は残る。
次の使徒戦では最前面には立たせず、後方でシンジ達3人のバックアップになるだろう。
「シンジ君はこれまで単独で使徒を倒して来た事もあったけど、今回の件でさらに自信を持ったようね。訓練でも張り切ってマゴロクソードを振り回しているわ」
リツコはシンジの変身ぶりに感心している様子だが、ミサトは渋い顔をしている。
「あんまりシンジ君に天狗になられても困るのよね。スタンドプレーにならなければ良いけど」
シンジは自分の成長がゲンドウに認められ、トウジとカヲルの先輩としてお手本となろうと、根府川先生の道場へ積極的に訓練に行くようになった。
根府川先生は空手以外の武術にも精通していて、シンジの剣術の腕も上がって行った。
その熱中振りはカヲルがピアノの連弾が出来なくて寂しそうにするほどだった。
「碇君、何か変わったわ」
「何が戦いは男の仕事、よ! アタシ達を侮ってもらっちゃ困るわ」
レイとアスカも、熱に浮かされている今のシンジの状態は好ましく思っていないようだ。
戦闘狂になるよりも、心優しいシンジに戻って欲しいと願っているようだった。
<第三新東京市 第壱中学校 2-A>
シンジの変化は、アスカとレイの日常生活にも影響を及ぼした。
率直に言えば、シンジがお弁当を作ってくれなくなったのだった。
ヨシアキの作るお弁当は美味しいが、アスカとレイにとっては不満が溜まる一方だ。
シンジは朝早くから根府川先生の道場で鍛錬をして学校に直接向かう。
アスカやレイ、トウジやケンスケ、マナ達と一緒に登校する事も無くなった。
「シンジ、そんなに訓練して何が楽しいのよ」
「今日も新しい技を覚えたんだ」
「碇君、だからと言って授業中に居眠りをしてはいけないわ。訓練はほどほどにするべきよ」
「ごめん、綾波。でも実戦が楽しみで仕方が無いんだ、早く使徒が来ないかな」
シンジのこの言葉に、アスカやレイだけでなく、トウジ達も目を丸くした。
平穏な日常が自分たちにとって大切なものであり、この平穏な日常を守るためにシンジ達は使徒と戦っていたはずだ。
今のシンジは目的と手段が逆転してしまっている。
「これは熱病に侵されているようなものね。使徒にガツンとやられないとシンジの目は覚めないわよ」
「そうね、私達の言葉は碇君に届かない」
あきれてため息をつくアスカに、レイも悲し気に答えた。
「私、碇君みたいに強くなろうと憧れていました。でも、今の碇君は…」
普段は自分の気持ちをあまり口に出さないマユミも眉間にしわを寄せていた。
ミサトの授業でもシンジは居眠りをして、廊下にバケツを持って立たされたが、これも鍛錬になると喜ぶシンジに、ミサトもお手上げだった。
「こうなったら、お父さんに叱ってもらうしかないわね……」
<第三新東京市 第壱中学校 生徒相談室>
それから数日後、ミサトは担任教師としてシンジとゲンドウを学校に呼び出し、三者面談をする事にした。
「息子のシンジ君の成績は落ちています。挙句の果て授業中に居眠りをする始末です。このままでは志望校である名城学園へ進学する事は難しいです。お父様からもシンジ君にもっと勉学に力を入れるように言っては頂けませんか?」
ミサトは教師らしく、毅然とした態度でそう言った。
「しかし加持三佐、シンジの今の保護者は君だ。家族として同居もしている。シンジに勉学に励むように言うのは君の役目では無いのか?」
「あたしが言っても聞かないから、こうしてあんたに言ってるんでしょうが! まず、その手組みポーズを止めなさい! 手袋も脱げ!」
逆ギレしたミサトに言われたゲンドウは姿勢を正した。
争いの種であるシンジはこんな面倒な茶番劇、早く終わってくれないかなと思っていた。
ミサトやゲンドウに勉強しろと説教されても自分は考えを曲げない。
シンジは自信過剰になると同時に人の話に耳を傾けなくなった。
今まで頭が上がらかったゲンドウに対しても反抗的な目を向けるようになったシンジ。
平凡な14歳の中学生ならば、反抗期だと甘んじて受け入れられるが、ネルフでは上司と部下の関係だ。
ゲンドウはシンジが勉学を疎かにしているとして、BE-46を発令。
シンジは根府川先生の道場に出入り禁止となった。
<ネルフ本部 惣流博士研究室>
ミサトはアスカにエヴァの武器の開発をしないかと持ち掛けたが、それはその場しのぎのウソではなく本気だった。
リツコによりアスカにネルフ本部に部屋が与えられ、大切に保管されていた『惣流博士研究室』の看板が取り付けられた。
「これは、あなたのお母さんのキョウコさんが使うはずだったプレートよ」
「ママの?」
キョウコは幼いアスカと来日してユイとシンジと出会ったその日に、実験で弐号機へと吸い込まれてしまった。
その実験が無ければ、キョウコはゲヒルンの研究員としてこの部屋を使う予定だったのだ。
もちろん、ゲヒルンの上層部の人間はキョウコの運命を知っていたため、この研究室は形ばかりのものとなっていた。
「アスカにはキョウコさんの名代として独自にエヴァの研究をしてもらうわ。パイロット兼研究員として、型に囚われない自由な発想をしてみなさい。科学大切なのは空想力よ」
「でもアタシ、ドイツの大学で物理化学は勉強したけど、研究室の運用方法までは分からないわよ?」
「その点は大丈夫、アスカは博士なんだからネルフ技術班から助手を手配するわ」
リツコがそう言って研究室の中でアスカに説明していると、前髪を七三分けにしたおっとりとした表情のリツコと同じ白衣を着た1人の女性が入って来た。
「加賀ヒトミです。よろしくお願いいたします、惣流博士」
年はマヤと同じくらいか。
自分より年上の人間に頭を下げられると、アスカには茶番に思えて来る。
ヒトミはリツコの信頼も厚く、物腰柔らかで、アスカの第一印象は悪くなかった。
リツコも出来れば付き合いのあるマヤをアスカの助手に着けたかったが、マヤはもう『伊吹組総長』と呼ばれるほどネルフ技術部の中心的存在になっている。
「彼女は優秀な人材よ。3人分以上は働いてくれるわ」
リツコは薄笑いを浮かべてアスカにそう話した。
ヒトミの転属に伴って、駿河ハジメ、若岳ミツル、香取コウジの3人をリツコはネルフ技術部の正式メンバーに加えたのだ。
アスカが他の男性職員と部屋にこもって研究しているとなれば、シンジがヤキモキしてしまうと考え、ネルフの重要区画にある惣流研究室は男子禁制とされた。
「リツコ、忙しいところありがとうね」
「あら、アスカにお礼を言われるなんて、雨が降るんじゃないかしら」
ここまで優遇されて当然と言わずに、殊勝にお礼を言うアスカに向かってリツコはそうからかった。
でも内心はリツコはアスカも他人に素直に感謝できるまでに成長していると感心していた。
「みんなを驚愕させるような武器を開発してやるからね!」
「私もみょうちきりんな兵器を造らされずに助かるわ」
それはリツコやミサトの趣味だろうと思ったが、アスカは突っ込まなかった。
「惣流研究室とはアッと驚く〇〇郎、これはビックリ玉手箱!」
そんな時、部屋に入って来たのはマリだった。
「アンタ、まだネルフの中をフラフラしていたの!? 戦略自衛隊のデジタルフォース部隊にとっとと帰りなさいよ!」
アスカの言葉を受け流し、マリはリツコの肩に馴れ馴れしく手を掛けた。
「リッちゃん、このじゃじゃ馬姫の手綱を取るのは、ヒトミさん1人じゃ心細くないかい? 私も惣流研究室の研究員として雇ってくれないかニャ?」
「そうね、ヒトミだけに負担を掛けるわけにはいかないし……」
マリはゲンドウと謎の繋がりを持っていて、リツコからゲンドウへの電話1つでマリの惣流研究室への配属が決まった。
その経緯からアスカはマリをコネメガネと呼ぶようになる。
「先ずはこの部屋を研究室と呼べる部屋にしないといけないね、姫♪」
マリは部屋を見回すと、そうつぶやいた。
アスカやヒトミも触れないようにしていたが、古い機材の他にキョウコの私物……赤い球団グッズの山であふれていた。
「わおっ! スラッガーの山ちゃんや鉄人のサイン入りボールもある! そっか、あの頃キョウコちゃんは中学生だったから黄金世代かぁ……」
「アンタ、本当は何歳なのよ。ママより年上?」
アスカは呆れた顔でマリをジト目でにらみつけた。
<ネルフ本部 第一発令所>
それからしばらくの時間が経った。
ネルフは空中に浮遊しながら現れた使徒の圧倒的な強さに半ばパニックになっていた。
「使徒は駒ヶ岳防衛線を突破し、第三新東京市にビーム攻撃を実行しました! 深度500m!」
使徒ゼルエルは今までの使徒と同じように海上に現れたが、出現直後に近くに居た国連軍の艦隊にビーム攻撃を仕掛けた。
避ける間も無く海の藻屑となってしまった日本近海を巡回していた国連軍の戦艦。
「艦長さん、今までありがとうございました……」
過去に2度の使徒殲滅作戦に協力してくれたオーバー・ザ・レインボー艦隊。
こんなにもあっさりとした最期を迎えるとは……。
ミサトとしては彼らの冥福を祈るしかなかった。
使徒ゼルエルは人類を憎んでいるかのように、進路を妨害する国連軍の部隊以外にも必要以上の殺戮を行っていた。
戦略自衛隊が制空権を取れるはずもなく、第三新東京市への接近を許してしまった。
「特殊装甲板をビーム1発で18枚も貫通させるなんて、白旗でも上げて降伏しますか?」
「こんな時に笑えないジョークを言わない!」
腕組みをして厳しい表情でミサトはマコトをしかりつけた。
冗談でも言ってないとやっていられない恐怖を感じているのは解る、しかしチルドレンたちの前でふざけた態度を大人達が見せるわけにはいかないのだ。
「紫電・雷電・震電の3機は、直ちに出撃して第三新東京市から離れなさい! 決して使徒を刺激してはダメよ!」
威力偵察などしなくても使徒が危険な存在だとは目に見えている。
使徒に攻撃を加えてヘイトの対象になればマナ達の命は無い。
「そんな! 私達に逃げろって言うんですか!?」
「ここで意地を張っても、全員根絶やしになるだけよ。生き延びる事を最優先とします」
マナの言葉にミサトは反論を受け付けない強い口調でそう答えた。
第三新東京市の市民が一斉に脱出しようとすれば大行列となり、使徒の注意を引く事になってしまう。
せめてこの3人だけは逃がしてあげたいとミサトは思った。
「シンジ君、アスカ、レイ! みんな、死なないでね!」
「俺達だけ助かっても嬉しくないからな!」
「絶対、また後で会おうな!」
マナとムサシとケイタの3人は、素早く第三新東京市から離脱した。
「加持三佐、私のジェット・アローンは?」
「図体が大きくて目立ちすぎるわ。それに仮設伍号機に叩きのめされてエンジンが修理中なんでしょう?」
「そうですよね、ハハハ……」
シロウ博士はそう言って乾いた声で笑った。
使徒に侵食された仮設伍号機。
装甲の厚さが取り柄のジェット・アローンをタコ殴りにした結果、仮設伍号機の腕はもげてしまった。
殴られ続けたジェット・アローンの方も、英雄でありながら凹んだ装甲の修理は後回しにされている。
「ミサトさん、初号機を出撃させてください!」
勇ましい声でシンジがミサトに志願した。
下手にエヴァを地上に出撃させれば、使徒のビーム攻撃の的になる事は明白だ。
しかし直ぐに出撃させなければ、シェルターに避難している市民達にも被害が及ぶ。
「初号機に先陣を任せます! 他のエヴァは後方で待機! 危険を感じたら直ぐに後退するのよ!」
ミサトはそう命令を下しながらも、使徒は背中を向けて逃げるエヴァに向かっても容赦はしないだろうと考えた。
この使徒は自分の強さに絶対的な自信を持っている。
目に付いた人工物を全て破壊する暴力性もある。
今までの使徒による被害が直線的であったのに対して、この使徒は射程圏内を焼け野原にしている。
シンジ達の身の安全を考えれば、ダミープラグで出撃させるべきだろうが、強力なA.T.フィールドを持つこの使徒に対しては、ダミープラグで動かした起動指数ギリギリのエヴァなど粉砕されてしまうだろう。
「僕がこの使徒を倒します!」
初号機に乗ったシンジが他のエヴァパイロットや発令所のスタッフに聞こえるような大きな声で宣言すると、初号機の鞘からマゴロクソードを取り出した。
シンジは根府川先生の道場に通って会得したのだ、剣を振る勢いによって使徒に遠距離の衝撃波を与える技を。
この技をシンジは根府川先生に敬意を表して『ネブカドネザル・ストラッシュ』と名付けた。
『ネブカワ・ストラッシュ』だと少し語呂が悪いからと悩んでいたシンジに、世界史に詳しいレイがアドバイスしたのだった。
有名な自動車メーカーのロゴも、ゾロアスター教のアフラ・マズダが由来になっているのよと雑学も教えてもらった。
浮遊する使徒に向かってマゴロクソードを構える初号機。
「ネブ……」
しかし技が発動する前に、使徒のカミソリの様に伸びた両腕が、初号機の両腕を切り落とした。
マゴロクソードにA.T.フィールドを集中させていた初号機は、使徒の攻撃に対して大きな隙が出来ていたのだった。
「うぁぁぁぁぁっ!」
激痛の余り悲鳴を上げるシンジ。
後方で待機していたアスカ達は初号機の元に駆け寄りたかったが、そうなればシンジの二の舞を踏む事は目に見えている。
「惣流、あの武器を試してみいへんか?」
冷静に戦況を見守っていたトウジがアスカにモニターを通じてそう声を掛けた。
使徒の注意は射程圏内に居る初号機へと向いている。
「アンタバカァ!? あの武器は接近戦用よ! あの使徒に通じるワケないじゃない!」
「ワシと惣流なら出来る」
トウジにそう言われて、アスカはハッと気が付いた表情になった。
アスカはミサトから、トウジが松代の実験場でA.T.フィールドの力を圧縮したエネルギー弾を放ったと言う話を聞いていた。
それからトウジは学校でもカバディ部だけでなく野球部にも顔を出すようになっていた。
「ぶっつけ本番になってまうが、ええか?」
「もちろん、エースパイロットかつ赤ヘル軍団のアタシなら余裕よ!」
アスカはそう言うと、弐号機の背中からエヴァ専用バット『エヴァット』を取り出した。
もちろん、アスカのエヴァットのカラーは赤である。
(赤ヘル軍団って……アスカのお母さんは野球選手じゃなくてファンでしょう)
レイは冷静にそう思ったが、アスカとトウジのテンションを下げない為にも黙っていた。
初号機が使徒を引き付けてくれている今がチャンスだ。
失敗は出来ない。
参号機は弐号機と向かい合わせになるように移動した。
「空振りなんて許さへんからな!」
「アンタこそ、良い球投げなさいよ!」
トウジはA.T.フィールドを収束させて手のひらに球を出現させた。
そしてマウンドに立つピッチャーの様にA.T.フィールドを弐号機の方へ向かって投げた。
「行くわよ! エヴァ・ホームラン!」
アスカの振ったバットはトウジの投げた球をジャストミートして、使徒ゼルエルへと向かって飛んで行った。
使徒はガードを固めていた初号機のA.T.フィールドを突き破り、初号機の首を斬り落とそうと夢中になっていたが、自分に向かって飛んでくるA.T.フィールド弾の方に顔を向けた。
「しもた! 気付かれたか!」
「使徒に交わされたら元も子もないね」
トウジとカヲルが声を上げる。
しかし使徒は避けようともせずに受け止めた。
A.T.フィールド弾の直撃を受けた使徒は空中で爆発した。
こうして使徒は殲滅されたのだった。
<第三新東京市郊外 加持邸>
使徒を殲滅させた後、シンジ達は反省会とお疲れ様会を兼ねてミサトとリョウジの家へと集まった。
反省会ならネルフの作戦会議室や司令室でも出来るが、スタッフ達への慰労の意味も強まっていた。
初号機の両腕を切り落とされたフィードバックにより両腕に激痛を感じ続けていたシンジだったが、怪我はしていなかった。
それでも腕の痛みは残っているので、料理はヨシアキとミサト、さらにアスカ(!)とレイ(!)とヒカリが作っていた。
「私もそろそろ得意料理がレーションから卒業しないとダメかな」
「レーションは料理じゃないでしょ」
マナに向かってレイがそうツッコミを入れた。
今日の食事会にはシンジやトウジに指導してくれた事もあって、根府川先生と第壱中学校野球部のメンバーも招かれていた。
「根府川先生、どうして使徒はアスカの攻撃を避けなかったんですか?」
「まあ、使徒が油断してくれたお陰でアタシたちは助かったワケだけど」
シンジの疑問に対して、根府川先生はゆっくりと話し始めた。
「中国に生まれてから一度も負けたことのない無敗の天才格闘家が居たそうです。彼は一撃も相手の攻撃も食らう事無くまさに天下無敵だった。しかし彼は猛毒が塗られたナイフで刺されて暗殺されてしまった。どうしてだと思いますか?」
「私なら飲み水に毒を入れるけど」
レイがサラリとそう言うと、微妙な空気が流れた。
「グースカ寝ている時にでも刺されたんでしょ?」
アスカがそう言うと、根府川先生は笑って首を横に振った。
「その天才格闘家を暗殺したのは5歳の子供だったそうです。その子供が近づいても、その格闘家はまったく無警戒だった」
「敗北を知らぬ者は、真の強さを知らぬと言う事だね。あの使徒は誕生したばかりの赤子のようなもの。しかも初号機を圧倒した。付け入るスキはそこにあったのだよ」
根府川先生の言葉に、コウゾウはそう説明を付け加えた。
「シンジ君、あなた1人が焦って強くなる必要は無いのよ。みんなで力を合わせて使徒を倒せれば良いの」
「そうですね、ミサトさん」
シンジが穏やかな笑みで答えると、アスカとレイは以前のシンジが戻って来たと笑みを浮かべた。
「碇、ワシと惣流の協力技はどうやった? 中々のものやったろ?」
「そうだね、さすがトウジだよ」
シンジはとっさに作り笑顔を浮かべて答えたが、心の底から喜んでいる様子では無かった。
「もしかしてシンジ君、アスカを取られたみたいで、ヤキモチを焼いてるの?」
「そ、そんな事無いよ!」
マナにツッコミを入れられたシンジは慌てて否定した。
レイは自分が例えば……カヲルと協力技をすれば同じようにシンジはヤキモチを焼いてくれるのかしらと思った。
しかし今は自分から積極的に動くしかない。
「碇君、まだ両手が痛くて食べにくいでしょう? アーンして」
レイはそう言って自分の作った料理をシンジに食べさせようとする。
「レイ、抜け駆けは禁止よ!」
アスカも負けじとシンジに自作料理を食べさせようとする。
またレイとアスカのスプーン競争が始まってしまい、加持家のリビングは笑いに包まれたのだった。
実在の球団を詳しく描写するのはハーメルン様のルールに抵触するので、フィクションとして考えて下さい。
文章量少なめのハイペースで進めた連載ですが、補完した方が良いでしょうか? 最終話だけ別のアンケート(続編について)になります。
-
本文は今の量が読みやすいので外伝形式で
-
本文の量が増えても加筆修正が良い
-
外伝で活躍させたいキャラ(メッセージで)
-
第〇話の修正希望(メッセージで)
-
こんなifストーリーどう?(メッセージ)