戸口所属魔法使いは猟鬼と呪術師のせいで胃が限界   作:犬(ゆきいろ)

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第2話

もうヤダ帰りたい。

獏の作った異界から戻り、自分が表の顔として店長をしている漫画喫茶の、カラオケ付きファミリールームに場所を変え頭を抱えた。

 

正直成人男性(自分)、ラテン系男性(ギリギリ未成年)、人種不明な笑顔固定男性(年齢も不詳)と、本物の女子高生という組み合わせでの滞在は若干アレだがまあ、そこは魔法使い。いくらでも隠蔽のしようがある。

……隠蔽しなければいけないと言うのが、尚更後ろめたい。直ぐに人種不明男性は調査に向かったが……。

 

それはそうと帰りたい。この仕事したくない…なんかあった時の為にもっと交渉得意な人呼んで来て!書籍卿と呪術師が手を組んでるとか言うカオスでも!交渉して!取り込めるような奴!!!呼んで!!!!マジで!!!!

 

「えぇーそんなに面倒な人達なのぉ?」

 

厳つい黒の眼帯ではなく、真っ白な医療用眼帯に随分とラフな格好に着替えたパルドが力の抜けきった姿勢でふにゃりと尋ねる。

 

「ええ……はい……。パルドさんは異端者、なんですよね?」

 

「そうそう、所謂『魔女』でーす。ナナチ知らなかったっけ?」

 

魔女という名称に、風贄が不思議そうに見詰めるのに首を傾げる。

超自然的な力を扱う(人畜に害を成す)者、悪魔と契約し力を得た者を総じて『魔女』と呼んでいたので、今自分達が使う様な魔法を扱う女性、という意味ではない。

 

悪魔と?と、若干不審そうな表情をする風贄へ、パルドがひらひらと手を振る。

 

「『そういう生き物』なーの!ほら、日本の妖怪?脛擦り?とかいるでしょー?それに脛を触られたからって、痴漢だセクハラだなんて、訴えないじゃん?」

 

何だか腑に落ちない顔をしている一応の女子高生は、取り敢えずおいて、『魔女』へ向き直る。

 

「それで、パルドさん。周囲に同じ『魔女』……同種と言える方は居ますか?」

 

「んんん~?同種ぅ?俺の一族位じゃない?一人、愚者に『魔女』って呼ばれた友達居るけど、全っ然成り立ち違ったなぁ『魔女』とか『吸血鬼』とか、愚者共大雑把だからねぇ」

 

「……ふふふ……実はですね、この国で『呪術師』と呼ばれている異端者、同じ性質を持った者だけで文化を築き、独自に組織をする数が居る上に、人界で十世紀以上血統を御してしるんですよ……怖くないです?」

 

シーリーコートや血社、雷鳴亭などコミュニティを持ち、妖精や吸血鬼、神なんて大きな括りを持って居てもその個で性質は異なる。

しかし呪術師という種族は、愚者同様に血で『感情をエネルギー源として魔法を扱う』という同じ形質を継いでいく。

 

異端者としても魔法使いとしてもなかなかに異質な集団。

 

「なにそれこわい」

 

そうでしょう!?

と我が意を得たりと、全力で頷く。

既に組織と規律が出来上がってる上に、全くもって扱う『魔法』が違っては新たに交流を持つ、となった場合の厄介ごとが多すぎる。

 

そして戸口は見なかった事にした。

 

いくら人手が足りず、これまで見下し実験材料としていた異端者に報酬を出して雇い、これでもかと禁書に呪いをかけて働かせる段に成っても、そこに突撃する事はしなかった。

勿論、円卓も扱いづらさにそれを了承した。滅多な事が無い限り、魔法使いは呪術師に関わらない。

 

「ただいま」

 

すっと妙な空白の有った空間にジラーチ(仮)が降って沸く。

 

「お帰り。ほらジラーチ、ポテト食べな」

 

「それでどうだった?あ、コーラもあるよ~」

 

外典にせっせと餌付けしながらも調査結果を尋ねる。

 

禁書は確実に持ち出されて居るのに、魔法災厄の気配はない。そして持ち出した筈の魔法使いも所在不明。

唯一接触が有ったらしい推定『呪術師』と呼ばれる人物の死亡。辛うじてその場に居合わせた人物の特定のみが限界という現状。

 

分科会を収集した天涯の獏は、あまりにも情報が『見えない』という事実に首を捻っている。

 

【橘日歌】【虎杖悠仁】【伏黒恵】【呪術高専東京校】

 

たったそれだけの取っ掛かり。

 

「虎杖悠仁を調べました。ワタシは夢をみました。彼は確かに死を得ましたが、それこそが夢となりました」

 

「ええと……つまり死亡しての活動停止は確かだけれど、復活したという事で合っていますか?」

 

口元にもってこられるままに、もっもっとフライドポテトを吸い込んで行く外典が頷く。

 

書籍卿絶対殺すまんと化した風贄により、魔法使いなら死ぬぐらい問題ない。存在して居れば魔法使い。大法典に所属して居ないのなら、書籍卿。つまり即殺斬!とばかりに判じ、ばっと立ち上がり魔法戦おっぱじめようとする風贄を必死に止める。

 

「風贄さん!待ってください!お願いしますまってください!まっ、お客様ぁ!困りますお客様ぁ!!推定呪術師の方に喧嘩を売られるのは困りますお客様ぁ!!できるだけ穏便な解決をお願い致しますお客様ぁああぁあ!!」

 

「上中さんってそういう感じなの?ほらほらナナチ、リーダーに従おーね」

 

第四階梯司書で良かった……!心底!!!

ただ、一応この人達皆監査機関の人達だから、必要となったら位階とか無視してくるよね。こわいね。

 

へらへらと笑いながらも風贄を止めたパルドが立ち上がる。

 

「流石にこのままじゃさぁ、魔法戦も仕掛けられないから、俺がもうちょーっと深く調べてくるからさぁ、その結果で決めよー」

 

パチリと指を鳴らすとパルドの姿が消える。

 

 

 

 

魔法災厄自体は発生して居ないが、中々に不可解な状況。タイムリミット等は無いが、出来るだけ素早い解決を。

と言われ、パルドが調査に出たまま連絡を大人しく待っていた。

 

学院を全力で通過して来た殺意特盛の風贄に、雑談程度の講義とは呼べない物を行っていた時だ。

 

「あ」

 

と風贄が声を上げると同時に笑顔から顔の動かない外典も首を傾げる。

 

「パルド死んだ」

 

風贄は心底驚いたのか、ぼそりと呟いたのちに、みたいです…。と丁寧な口調が付け足される。

 

「はい!?調査で!?パルドさん、魔力に何か問題有りました!?」

 

猟鬼は密な情報共有(或いは相互監視)を行っている。構成員の死亡などの情報も一早く受け取ったのだろう。

 

「それはないです。ワタシが先程見た範囲ですが」

 

外典のお墨付きの後に、消えた時と同じにパチンと音がしてパルドが現れる。

 

「調査しただけで俺死んだぁ!?なぁんで~!?」

 

当人も心底混乱している様だが、ひとまず、復活は出来たようで安心する。

まさかこんな分科会結成して即、死亡者が出るとは思わんわ……こわ……。

 




第三階梯 異端者 猟鬼 男性
名前『マルコ・パルド』表の顔『フリーター』魔法名『』真の姿『』
信条:こーでっくすのてきをけす
性格やもろもろの事情により、傭兵ながら監視と粉骨砕身借りを返させる為、目玉を泉にボッシュートしてきた。
自称『魔女』の家系。具体的に『何』とは言わない。愚者が『魔女』と呼称しただけで、どちらかというと妖精の方が近いかもしれない。
最近日本のサブカルにじゃぶじゃぶ。
【虎杖悠仁】の二回目の調査で死んだ。何か死んだ。戦闘でも無いのに何か死んだ。心底意味が分からない。
マジでなんで死んだの???状態でちょっと混乱中。
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