戸口所属魔法使いは猟鬼と呪術師のせいで胃が限界 作:犬(ゆきいろ)
さて今回の件で最も意味わからんくて怖かった、禁書が見当たらず、魔法災厄がおきていない理由はまあ分かりましたね……。
魔導書の行方を、魔法使いが把握できないとかいう訳も分かりましたかね……。
憑依先が奇跡的過ぎたんですね……。
素の動きと断章の邪悪な意思さんが合致したんですね…結果、魔法でなくてこの世界の内の事象扱いで『魔法』災厄が観測出来なかったんですね……なるほどねぇ……。
どないすんねん!!!!!
はがせっ剥がせんのかこれ!?ねえちょっと!?ちゃんと取れる!?
思わずという様にる両手で顔を覆う。
断章は愚者以外にも、書籍卿にも、死体でも動物でも無機物にも憑依するから、おかしくは無いが前代未聞過ぎてどうすべきなのかが分からない。
突然『とても可愛い、可愛いの極致な可愛いの具現化みたいな可愛いものが居ました』とINTが解けて消滅した語彙でジラーチ(仮)が突然、初めて見る種族の異端者に抱き着きながら現れて、自分は飲んでいたインスタントのコーンスープを噴き出して咽、(表の顔の)職場のデスクにぶちまけた。あっちの方のデスクで無くて良かった。
ちょっともう、手が足らな過ぎて異境の何か白い耳から耳が生えてる生物の技術で、肉体と魂バラしての分業作業とあいなり、何ならあっちでもう二台位体借りてきて動かしたい感じで、ワイアレス状態だ。
物質化したモノをデスクに置いて来てる。流石にそこにコンポタぶっ掛けたら落ち込む。
すいません!少々お待ちくださいと、謝罪して机を拭き、濡れた書類を復元させていく。やっぱちょっとラグい……。
通勤時のごった返す人ごみで突然背後に振って湧いた外典に押し倒され、ひたすら『可愛い』を連呼され拉致られて来た、呪いまたは呪霊と呼ばれる存在に土下座する。
まじで!すいません!した……!
おあぁああんっ!その人!つい最近外典認定されたばっかりなんですぅ!見てのとおり禁書成分濃いんですぅ!語彙も人間らしい素行もちょっと間に合ってないんですぅ!猟鬼の所属だけど、分科会組んでる以上リーダーやってる自分の責任になるのでは!?ねえ!?
ねえぇ、ほんと止めて…まじで止めて…午後ににもさ、没交渉貫いてた呪術師に接触せなあかんのに、更に新しい種に関与させないで…お願い…お願い…。
などと見ず知らずの外典に拉致られてきた呪霊に平謝りをした後、感情の言語化が間に合って居ない外典とそれよりはるかに流暢に状況説明の出来る彼のお陰で何とか状況を把握し、調査をした結果、今回の意味わからん現象の一端が解明したに至る。
解明しても、どうしようもないとかいうクソ現状だが……。
事後処理に駆り出される事が多いとはいえ、一応外交窓口を務める戸口の人間だ。
様々な異端者と関りを持つ事がある(持ちたくない種類の存在や、上が関わるなと断じたモノは除く)が、正直呪いとか呪霊と呼ばれる種類の生物は初対面で、どういった特性があるのか分からない。
概念的な物が形を持った異端者は、多種多様に存在し、大法典の傭兵としても雇われている者に限っても、皆性質が微妙に違って下手な事は出来ない。
断章に憑依された際の影響など、全くもって聞いた事もない。
というか、呪いという種族と関わった記録が、多分ない。悪魔やゴーストなど、別の名称を持つ似た存在はそれなりに大法典にも居るが、呪いはさっぱり。
奇妙奇天烈摩訶不思議存在、呪術師だって全力で調べて阿房宮に二人だけ魔法使いに成った者が所属している事が分かった程度だ。
現在の憑依深度もさっぱりわからない。むしろ深度0レベルに姿が見えない。或いは馴染み過ぎてしまって居て見えない。
辛うじて『憑いては居る』と分かっただけ。
どないすんねんこんなん。
産まれは江戸だがそんな言葉を脳が行ったり来たりしている。
せめて異端者のパルドも一緒に来てもえば良かった…と思うが仕方ない。元禁書のジラーチ(仮)は、『元』で有るせいか、外典という形に押し込まれてるせいで逆に参考にはならない。自分が断章として憑依していた記憶とかあるのだろうか?
というか、今の状態は別の意味でも参考に成らない。恋は盲目とか言うし…いや?これ恋なの?
「ちなみに、なにかこう…違和感とか異物感的なものを感じたりは?」
「いや、全く」
「そうですか……あのー、ジラーチ(仮)さん、それ訴えられたら負けるタイプの奴ですから止めません?一応人型取ってるんで、止めましょう?お願い止めて?」
相変わらずの慈愛の笑みの形だが、目だけを甘ったるく蕩けさせながらべたべたと触りしきりに『可愛い』を連呼し続ける外典を華麗にスルーしながら、引っ付かれた件の断章が憑依(してるらしい)呪いという名の異端者は随分軽い感じに手を振って見せる。
あんまりにもな軽さに、再び両手で顔を覆い天を仰ぐ。手掛かりというか、断章自体は見つけたのに、剥がし方が分らんどころか、憑依されてる当人に何の変化もないらしい。だが禁書は回収しないと成らぬのじゃぁ~~~ファ~~~~~ッッッ!!!!
っていうか君たちに性別があるのか知らんけど、ぱっと見青年二人で(一方的に)イチャイチャしないで……どんな顔して正面に座ってればいいのかわっかんない……もはやどうすればええんか分からん。
……ほんと、出来るだけ穏便に人界に波風立てず…、なんて思ってたけどこれ終わったら阿房宮に移って大破壊前よろしく自分の研究に引籠ろうかな……大法典所属は変わんないから、何かあればまた招集されるだろうけど、こんな気を遣う要因は少しはなくなるでしょ。そうでしょ。そうしよ。
ふぅー……と深い息を吐き、脳溢血起きそうな脳味噌を宥める自分を、向かいに座った初見の異端者が、慣れて来たと思ったら変な方向へはっちゃけた外典に、こいつ大丈夫?と尋ねながら、面と向かって指を突きつけてくる。
むしろ大丈夫にみえるか?コレが????魔法使い何て皆こんなもんだ(多分)。大破壊からこのかた皆どっかヤっちゃってる。
大丈ばないけど、何とかするしかない…。あああ~~~~これ司書連中もかなりの数駆り出されて文献漁りなり知識の掘り起こしになるんだろうなぁああああ~~~~むしろ独自に(有体に言えば、己の分野にのみ力をいれ纏まりなくしっちゃかめっちゃかに)魔法の研究している阿房宮あたるべき???それこそ例の呪術師上がりの人達????
あれ?戸口所属で、この事件振られた分科会メンバーで司書の自分はどうなんの?
は???死ぬんだが????
まだ人間的コミュニケーションに粗が目立つ外典が、何とか会得した語彙の内で感情を表現しようと必死になっている。残念ながら相手には一切伝わっていない様だが…終始適当にあしらわれている。
……こんだけ上手くコミュニケーション取れるなら、ちょっと臨時のバイトとかしてくれないかなぁ~~~~。断章が憑いてる以上その方が安心だし…決して剥離を諦めている訳でも、魔法災厄が起きないなら、外典と変わらなくない?とか思っていない。ええ、決して。
「本っ当に突然の事で申し訳ないとは思って居るのですが……もう少し詳しくお伺いさせていただいてもよろしいでしょうか?今現在何の影響も無くても、今後どうなるか分かりませんし、万一という事もありますから」
妙な悪魔合体を起して、地域一帯の時間を凍結しての事後処理とか、本当にやりたくっ、やりたくねぇえっっ!!!!!大部分は掃除屋に投げるにしても、仕事が増えるのは確定なんじゃい!!!
お願いします。目の前の職務過多で死にそうな魔法使いを助けると思って…!と縋るような視線で見つめる視線の先で、物凄く面倒くさそうに、どんな傷があったのか(或いは『元』からそういう生き物なのか)継ぎはぎの有る顔をしかめる。
相変わらずジラーチ(仮)は熱心にアプローチ中で、こっちに協力しようとしない。外典さん、お仕事して?ね???
義眼で監視されてるはずだが、いいのか猟鬼?外典さんが仕事してないよ????おん????
「お願いします……!真人さん…!!(人界時間で)五分以下で済みますからっ!!」
最早救いは目の前の異端者のみだっ!お願い!!協力してっ!!!!
異境の何か白い耳から耳が生えてる生物
一応異端者枠。傭兵というより技術提供で大法典と取引している何か。
魔法使いの目にも映らない形で、訪問者、特に少女と呼ばれる年頃の魔法使について回っている事が多い。
この世界の人類(魔法使い)だいぶおかしいな、と思ってる。
戸口所属の魔法使いをコレに例えるのはある意味罵倒に当るのでやめましょう。
ある外典曰く『可愛いの具現化』の呪霊
大法典的には普通に異端者枠。
突然見た事もない生命体(?)に可愛いを連呼されながら拉致られて、社畜然としたコンポタ吹き出す人間(?)に凄い勢いで謝罪された。
(人界時間で)五分だけと言われて今度は異境に拉致られた。おまけで大法典でアルバイトしない?と胡散臭い人間だかなんだか分からない連中に囲まれた。
帰り際にまたコンポタ社畜に凄い勢いの謝罪をされてお高い煎餅の缶を渡された。
ちょっと意味が分からなかった。取り敢えず自分は『可愛い』という事は学んだ。
断章『呪い』に憑依されている。憑依震度 ?