マチカネフクキタルとの3年間 with ゴルシ   作:あぬびすびすこ

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 メイクデビュー戦です!
 新規メンバーはいかにして走るのでしょうか。

※予約投稿をミスして一度早めに投稿しちゃいました。
 先に読まれた方、内容は変わりません!


10、メイクデビュー!

 メイクデビューの日がやってきた。

 2日間の遠征で、1日目にスズカ、ソーラーレイ、フクキタルだ。

 そして2日目のメインレースは宝塚記念。つまり、ゴールドシップのレースになる。

 タイキは東京レース場で走るため、先輩にお願いして他の娘と一緒に引率してもらっている。

 

 というわけで、みんなで阪神レース場に来ているわけだ。

 スズカは芝の2,000m、ソーラーレイはダート1,800m。フクキタルもスズカと同じく芝2,000m。ただし、別レースになる。

 誰もが大なり小なり緊張していたが、ゴールドシップからの闘魂注入(ハリ手)を受けて気合を入れ直していた。

 

 スズカとソーラーレイはメンタルも万全で、楽しそうに行ってきますと答えていた。

 その結果がこれだ。

 

『サイレンススズカ! スタートで一気に前に出ました! 猛烈な勢いです!』

『1,000mを通過しましたが先頭は変わらずサイレンススズカ! しかしペースが速い! このまま逃げ切れるのでしょうか!』

『最終直線に入りました! 先頭はサイレンススズカです! 脚色は衰えません! 後ろの娘たちは間に合うのか!』

『サイレンススズカ、強すぎる! これはセーフティリード! 何バ身あるのでしょうか! そのまま逃げ切ってゴールイン!』

『勝ったのはサイレンススズカ! 2着との差はなんと7バ身差です!』

 

『スタートで少し出遅れたか、ソーラーレイ! 後方からのレースになりました!』

『コーナーを回っていきますが、ここでソーラーレイが進出してきました! じりじりと順位を上げていきます!』

『最終直線に入ります! ソーラーレイ! 後方から一気に上がってきました!』

『先頭集団のウマ娘たちを交わして一気に先頭に躍り出たのはソーラーレイ! 力強い走りでまだまだ加速していくぞ!』

『ソーラーレイが差し切ってゴールイン! 今後が楽しみなレースになりました!』

 

 スズカは一度も先頭を譲らずに走り切ってぶっちぎり、1着。

 ソーラーレイもスタートは出遅れたが、そこから追い上げていき、直線に入って一気に差し切った。

 2人とも強さを見せつけたレースだった。

 

 そしてタイキ。持ってきたタブレットで府中の中継を見る。

 府中のダート1,600m。ちょっと脚の調子が不安だったのでダートにしてみたが、どうなるだろうか。

 

『スタートしました! 先頭でポジション争いしていくのはタイキシャトル!』

『先行の位置を取ってコーナーを回ります! 少し集中できていないようですが大丈夫でしょうか!』

『コーナー回って直線に入りました! ここでタイキシャトルが一気に抜け出したっ!!』

『速い速い! タイキシャトル、どんどん後続を突き放していきます!』

『全員置いてきてゴールイン! 強い走りですタイキシャトル! 誰も追いつけませんでした!』

 

 大楽勝のレースだ。最後は少し力を抜いていた上、それでも他のウマ娘たちより速いなんていうおまけつき。

 やはりあの恵まれた体躯から出るパワーは凄まじいものがある。

 

 さて、こちらでは最後のメイクデビューとなるフクキタルだが。

 

「エコエコアザラシ、エコエコオットセイ……勝利よ、カムトゥミ~~ッ!!!」

「よしっ! 中吉です! いつも通りに走れそうですね!」

 

 相変わらずレースを占っている。今回は中吉なので、絶好調とまではいかないが好調の様子。

 とはいえ、先日のゲームセンターの一件から少し気持ちが変わったのか、占いの結果を見てもそこまで悲観しなくなった。

 大吉で喜び、大凶ではなんとか幸運を起こそうと考える。それだけでも、彼女にとっては大きな進歩だろう。

 

「トレーナーさん! 行ってきますね! ここで勝って、マチカネハヤスギルになりますよぉ~!」

 

 フンスと鼻息荒く気合を入れているフクキタルに、楽しんで走ってくるといい、と声をかけて控室の外に出る。

 外では先に話をして待っていたスズカとソーラーレイがいた。

 ゴールドシップは観客席で焼きそばを売っている。

 

「トレーナーさん、大丈夫でしょうか?」

「スズカさん、フクちゃんを信じよう」

 

 ソーラーレイの言うとおり、フクキタルを信じよう。

 緊張もそこまでしていないみたいだから、いいレースができるだろうからね。

 それに、作戦も教えてあるから。そう言うと、それなら大丈夫、かなと頷いた。

 どんなレースになるのだろうか。期待を胸に、2人と観客席へと戻るのであった。

 

 

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 ゲートの前に立って目を閉じ、ゆっくりと深呼吸します。

 きゅっと手を握ると、今日までやってきたトレーニングを思い出せますね。

 チェス将棋に野菜の収穫、あとは水上ゴザ走りにおみくじダッシュ……これってほんとにトレーニングとして正解なんでしょうか?

 でも、考えたのは他でもないトレーナーさんです! きっとすごく意味があるはずです!

 

 パッと目を開けて、ゲートに入ります。今日の私は7枠7番。7番は今日のラッキーナンバーです! と言っても、このレースは9番までしかないので、外枠ですけどね。

 いつも以上に体が動くような……そうでもないような……。でも、それだけ好調ってことですね!

 

『各ウマ娘、ゲートイン完了しました』

 

 全部のゲートが閉じたみたいです。

 この瞬間は、周りの音も、観客の声だって静かになります。

 集中して、グッと腰を低くして……。

 

 ――ガタン!

 

『スタートしました!』

『みんなキレイにスタートしていますね!』

 

 出遅れることなくスタートできました!

 私は外側ですからね、ゆっくりポジションを取ります。

 トレーナーさんから、直線が長いから枠順不利もないし好きなところを陣取るといいよと教えてもらいました。

 

『先頭は2番トモエナゲ! それに並んで4番リボンエチュードと5番テイクオフプレーン!』

『逃げウマ娘が不在のようですね。先行を得意とするウマ娘たちが引っ張る形になりそうです』

 

 事前に聞いた通り、逃げで走る娘はいないみたいです。

 一番前で走ってる3人がペースメイクしてくれそうですね。

 ちょっと早めのペースみたいなので、内側に入ってゆっくり行きましょう!

 

『後方では7番マチカネフクキタルが内に入りました。それに続いて8番コルネットリズムも隣につけました』

『メイクデビューのタイムとしては早いですからね。いい判断です』

 

 コーナーを回って向こう正面に入っていきます。

 変わらずちょっぴり早めのペース。掛かってしまっている……のでしょうか。

 それだと脚を使っちゃうので嫌ですね……でも、私じゃどうしようもありません。

 とにかく作戦通り行きます! 最後のコーナーまではぐっと我慢です!

 

『向こう正面に入りました。1,000mのタイムはメイクデビューとしては早めです』

『少し掛かってしまっているかもしれません。スタミナは大丈夫でしょうか』

 

 少しきつくなってきましたが、まだまだいけます!

 今日は中吉ですからね! シラオキ様が、今日は頑張ればやれると言ってくれた証拠です!

 応援してくれているトレーナーさんやスズカさんたちもいるのです! 負けませんよ~!

 

『第3コーナーに入りました! 先頭は5番テイクオフプレーン! 4番のリボンエチュードは少し下がってきましたね』

『距離適性でしょうか。しかしまだ諦めていませんよ! 直線で仕掛けるために息を入れているのかもしれません!』

 

 先頭にいた4番の方が下がってきました。

 あ、あれ? 私の前に下がってきたら、隣の方もいますし、どうやって抜け出したらいいんでしょう。

 もしかして、ピンチですか~~っ!?

 

『第4コーナーに入ります。ここから最終直線まで坂があります!』

『どこから仕掛けるのかが見所ですね!』

 

 ま、まだ大丈夫です! 作戦ではもっと我慢して、一気にいくんですから!

 ここからスパートはしません!

 で、でも、不安ですよ~~! 中吉だったのに、これじゃあ大凶じゃないですか~~!

 

「やあぁーーーっ!」

『ここで1番のクロニクルオースが仕掛けた! 一気に先頭の2人に追いつきます!』

『続けて9番アーケードチャンプ、3番エコノアニマルも追走!』

『6番のスノーフロストは最後方で苦しそうです。距離が合っていないのかもしれません』

 

 前のほうで一気に仕掛けましたね!

 それを見た周りの2人も、ペースを上げていきました!

 私も行きたいですが……しかし、トレーナーさんを信じます! 作戦通り、直線で勝負です!

 

『最終直線に入りました! 後ろの娘たちは間に合うかっ!』

『先頭集団は団子になっています! 誰が勝つか分かりません! 先頭はテイクオフプレーンとトモエナゲ! すぐ後ろはクロニクルオース!』

「いけー! つっこめー!」

「そのまま行くのよっ! そのままっ!」

 

 観客の皆さんや、それぞれのトレーナーさんが必死に応援しているのが見えました。

 そうですよね、みなさん応援してくれています。だって、勝ちたいし、勝ってほしいです。

 

「フクちゃーんっ!!!」

 

 坂を駆け下りている時に、ふと声が聞こえました。

 ゴール前で、必死に声を出しているのは……レイさん?

 

「フクキタルー! がんばってー!」

「フクーッ! おめーの力を見せてやれーッ!」

 

 スズカさんとゴールドシップさんも、身を乗り出して応援してくれています。

 あっ……トレーナーさん。

 

 ――フクキタルー! そこだぁーッ!

 

 トレーナーさんの声が聞こえてきたその時、目の前がパッと光りました。

 そしてターフの上に、光の道が見えるのです。

 それを見た私はハッとしました。

 トレーナーさんが言っていたのはこのことなのですね! つまり、今です!

 

「いきますよおぉ~~~っ!!!」

 

 体を低くして、一気に坂を駆け下ります!

 そしてスピードをどんどん乗せたまま! 最後の上り坂を駆け上がるのです!

 

『後方からマチカネフクキタル! とんでもない末脚で一気に突っ込んできた!』

『ごぼう抜きです!! 凄まじい末脚ですよ!』

 

 ふににぃ~~~! スタミナが少ないところでこの上り坂は辛いですね!

 ですが、とっても楽しいです! だって、走った先に幸運が来ているのですから!

 

『マチカネフクキタル! バ群を貫いて一気に上がっていく!』

『最後の上り坂も意にも介さないとてつもないパワーです!』

 

 あとちょっと! ほんのちょっとです!

 来てください、来てください幸運! トレーナーさんが起こしてくれたあのときみたいに!

 

『坂を上り終えて残り100m! 先頭はクロニクルオース! しかしすぐ後ろからマチカネフクキタル! さらに加速していくぞ!』

『差し切れるでしょうか! マチカネフクキタル! クロニクルオース少し苦しいか! マチカネフクキタルがぐんぐん伸びてくる!』

 

 光を辿ってどんどん走ります! この道の先には、大吉が待っているのです!

 そうですよね、シラオキ様!

 

「開運ダ~~~~ッシュ!!!!」

『マチカネフクキタルが並んだ! いや、抜け出した! 交わしたか!?』

『クロニクルオース苦しい! マチカネフクキタルはまだ伸びる! そのまま差し切ってゴールインッ!』

 

 ぜぇ……ぜぇ……ぶえぇ……。

 どうなったか、全然分かりません……。息を整えて、掲示板を見ます。

 一番上に輝いているのは、7番。ラッキーナンバー!

 

「や、やりました~~っ」

 

 両手を天に向かって突き上げると、おめでとう! よかったぞ! と観客のみなさんが声をかけてくれました。

 メンバーのみなさんとトレーナーさんも、よくやった! と手を振ってくれています。

 

 えへへ、こんな私でも幸運にありつけました!

 祝福してくれているチームメンバーとトレーナーさんを見て、にっこり笑うのでした。




 というわけで、なんとか1着でした。
 他2人は史実準拠のバ身差で勝利です。スズカは史実とアプリ版ではレース場と距離が違うんですけどね。

 次回はゴールドシップの宝塚記念です。
 フクキタルたちはそのレースに何を見ることになるのか……。
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