マチカネフクキタルとの3年間 with ゴルシ   作:あぬびすびすこ

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 マチカネフクキタルにとっての折り返し、ターニングポイントまでようやく来ました。


22、菊の舞台

 2度目の京都レース場。

 ここに立っているのは、未知の領域へと足を踏み入れるウマ娘たち。

 3,000mという誰も走ったことのない長い長い距離で、クラシック級最後の冠を賭けて競い合う。

 

 菊花賞。

 この菊の舞台は最も強いウマ娘が勝つレース。

 ここに立つだけでも、相当な強者なのだ。

 

『2枠4番。マチカネフクキタル』

 

 パドックにて、バサッとジャージを脱ぎ去ったフクキタル。

 ほぼ3連戦と言ってもいい短いスパンで菊花賞への挑戦。

 しかしその体は、これまで以上に仕上がっている。

 

「おい、すごい体だぞ……」

「京都大賞典でも思ったけど、さらに仕上がってる」

「トモも素晴らしいわね。人気があるのも頷けるわ」

 

 自信満々にキリッとした顔をして、胸の前で何かを撫でまわしている。

 ……水晶占いの動きだろうか?

 

「すげーなフク。この状況でCEOパワーを見せるなんてよ……」

「ろくろをまわしてるからかなぁ」

「オウ? ロクロ?」

 

 確かにそう見えなくもない。

 こちらに気づいてグッと親指を立てると、1つ頷いて戻っていった。

 

「うっし、速めに戻ろうぜ」

「そうデスネ! 久しぶりにお会いしたいデス!」

 

 そう言って俺たちも会場内へと戻っていく。

 

 いつものゴール板前に行くと、スズカと先客が3人。

 

「やあ、ゴールドシップ、タイキ。それにトレーナーたちも」

「こ、こんにちは! 初めまして!」

 

 シャインフォートと先輩。

 そしてスズカのルームメイトであるスペシャルウィーク。

 どうやら菊花賞を見に行くと言ったらスペシャルウィークも見たいとのことで、担当の先輩トレーナーに許可をもらって一緒に来たというわけだ。

 

「おう! おめーがスズカの言ってたスペシャルウィークか!」

「は、はい! ご、ゴールドシップさんに会えて嬉しいです!」

「見る目があるじゃねーか! うっし、スペ! 一緒にフクキタル応援するぞ!」

 

 こうだ! と言って謎の念をフクキタルのほうに送り出す。それを見てスペシャルウィークもこ、こうですか! と念を送り始めた。

 先輩に怒られるからやめなさい。

 

「はは、相変わらずだな」

「あはは……シャインフォートさん、脚はどう?」

「うん。もう歩いても大丈夫。来年の天皇賞に向けてリハビリ中だよ」

 

 やる気に満ちた表情で、グッと親指を立てる。

 かなり良い調子で回復しているみたいだ。先輩と目を合わせて、互いに頷き合う。

 

『今年もこの舞台がやってきました。京都レース場、芝3,000m、菊花賞! ウマ娘たちが続々と入場していきます』

「みんな入ってきマシタ!」

 

 出走するウマ娘たちが入場して来る。

 一番最初に入ってくるのはもちろん1枠1番のウマ娘。

 しかし、入場した瞬間、隣にいたゴールドシップが急に落ち着かなくなっていた。

 

『1枠1番、キンイロリョテイ』

「おぉーーーーいッ! 頑張れよぉーーー!」

 

 ゴールドシップがキンイロリョテイにぶんぶん手を振る。

 少し前からとんでもなく気に入っているウマ娘がいると聞いていたが、それがキンイロリョテイなのだろう。

 ゴールドシップは彼女に何を見出しているのだろうか……? 確かに、ゴールドシップに似た筋肉のしなやかさは素晴らしいから、俺も注目しているウマ娘ではあるが。

 

 ちらっとこちらを見たキンイロリョテイは、嫌そうな顔をすると完全に無視して準備運動をし始める。

 なんというか、ゴールドシップが気に入っている割には反応がマジだ……。

 

「相変わらずつれねーやつだぜ」

「困っているように見えるけど……」

「すごいなぁゴルシちゃん」

 

 そうこう話をしていると、フクキタルも入場してきた。

 こちらの存在に気づくと、力強く頷く。シャインフォートも頷き、お互いに親指を立てる。

 静かに闘志を燃やしながら、キンイロリョテイと同じように準備運動を始めた。

 

「この菊花賞、マチカネフクキタルは厳しいかもしれない」

「どうした急に」

 

 チラッと声がした方を見ると、以前にも見たことのある2人を見つけた。

 相当なウマ娘ファンのようだ。いや、レースのファンと言ってもいいだろうな。

 マナーもいいし、データもしっかり集めて観戦している。目が合うと、慌てて一礼された。こちらも一礼して、気にしないでと手を振る。

 

「うん……1番人気のキヌノセイギ、2番人気のメジロブライトは、どちらも長距離レースを目標にしてきたウマ娘だ。特にメジロブライトはメジロ家、天皇賞を目標に定めている。そんな中、マチカネ軍団の中にはステイヤーは存在しない。マチカネフクキタルは、彼女たち2人と同じ役者と成り得るだろうか?」

「確かに。マチカネタンホイザも長距離で走れるとはいえ、GⅠレースでは結果を出せていないからな」

「ノープロブレム! フクキタルなら勝てマース!」

「おぉ……!? た、タイキシャトルっ!?」

 

 データに裏付けされた事実を話す2人にタイキが笑顔で寄っていくと、驚いてわたわたしていた。

 別にタイキは怒っているわけじゃないんだが、ニコニコしながら詰められるとびっくりするんだよな。

 

「2人とも見ていてくだサイ! フクキタルがウィナーになりマス!」

「うん。ここにいる誰よりも、フクちゃんが強いよ」

「……うん。フナボシのメンバーがそういうなら、きっとそうなんだろうな」

「よし。俺たちも迷惑にならないように応援するぞ」

 

 イエーイ! タイキと一緒に、やや遠慮がちに拳を上げる2人。

 ……あ、もうフナボシで通ってるんだ、うちのチーム。

 

 

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「すぅ~……ふぅ~……」

 

 ゲートの前で、ゆっくりと深呼吸します。

 今日は菊花賞。京都大賞典と同じ、京都レース場です。

 つい先日走ったばかりですから、コースの流れはよくわかっています。

 

 トレーナーさんと取ったにゃーさんの紐をしっかり締めながら、ゴールドシップさんからの教えを思い出します。

 

『いいか、フク。淀の坂はよー、どんだけ遅れてても上りから攻めるなよ』

『坂からスパートってのはタブーだからな。下りで加速しながら最後の直線でかませよな!』

 

 菊花賞をちぎって勝ったゴールドシップさんからのアドバイス。

 しっかり参考にします! ゴールドシップさんは上り坂からスパートしてそのまま勝っちゃいましたけど!

 

 ゲートインして、準備が整うのを待ちます。

 キヌノセイギさん、メジロブライトさん。

 今日だけは、絶対に負けません!

 

「見ていてください、シャインフォートさん。あなたに幸運を、最高の菊花賞をお見せしますから」

 

 ふぅ~と息を吐いて猛る気持ちを落ち着けていると、出走準備が整ったようです。

 さぁ、いきますよ~!

 

『各ウマ娘、準備が整いました』

 

 ――ガタンッ!

 

『スタートです! 各ウマ娘好スタートを切りました!』

 

 スタートは上手くいきました! 特訓のおかげですね!

 ありがとうございますスズカさん!

 

 今のところ先頭争いです。私は今回の作戦だと先頭じゃなければ好きなところにいていいので、このまま好位につけていきましょう。

 逃げて前に出る2人のウマ娘さんたちにペースは合わせず、その後ろを走ります。

 最初から上り坂ですが、かの有名なミホノブルボンさんと一緒に走った坂路に比べたら!

 

『先頭は逃げウマ娘2人の競り合いとなった! すぐ後ろにマチカネフクキタル! 内にはキンイロリョテイ!』

『メジロブライトとキヌノセイギは後方からのレースとなりました!』

 

 まずは1度目のコーナーです。

 ここは全員小手調べ。隊列を崩さずにゆっくりと下っていきます。

 私は最内で脚を溜めながらペースを確かめます。シャインフォートさんのようにペースを握られるのは困っちゃいますからね!

 

『さあ第4コーナー抜けまして、1度目の直線です! 先頭は3番タケゾノイチバン! その後ろをトージンサイクロン! そして先団となります!』

『1,000mは61.8。かなりのスローペースですね』

「ちょっと失礼するわね」

 

 正面に入ると、私の外側に他のウマ娘さんたちが来ました。

 声をかけてきたのはヤマトユーロさんです。キタノロードさんが既に前に出ています。もう少し先に行くみたいですね。今のペース、確かに遅めでしょうから。

 私は脚を溜めたいのでこのペースで行きます。目を見て頷き、少しだけ内に寄ります。

 

 私の動きを見てくれたのか、少し微笑んで先にいきました。

 すぐ近くにいるキンイロリョテイさんの邪魔にならないようにして内側を走ります。

 リョテイさん、体は小さいんですけどオーラが強くてわかりやすいんですよね~。

 

 リョテイさんもゆっくり前に出て、私のすぐ左後ろぐらいに来たところで、次のコーナーに来ました。

 ここからが本番ですね。

 

『正面抜けて第1コーナー! 先頭は変わらずタケゾノイチバン! しかし後続が徐々に前へ来ているぞ!』

『マチカネフクキタルは先団のバ群の中に入っていきました。キタノロードとヤマトユーロが前に出ましたね』

 

 コーナーはゴールドシップさんに教えてもらった通りに回ります。

 全然体に負担もなく回れるので、思わず前に出そうになりますがなんとか抑えました。

 ヤマトユーロさんたちが少し前に空間を開けてくれているので、走りやすくて加速しそうになってしまうんです。

 

『第2コーナー抜けて向こう正面に入りました! ここからが本番だ!』

『高低差4mもの上り坂。そして坂を下れば未知の領域です!』

 

 じりじりと先頭のタケゾノイチバンさんに距離を詰めながらスタミナを持たせていきます。

 まだ坂前なので、私はかなり余裕があります。この坂でいかにスタミナを消耗せずに走れるかが大事ですね!

 

『タケゾノイチバンが上り坂に入った! 続いて先団のウマ娘たちも上り坂を駆け上がっていく!』

『2,000m通過タイムは2分8秒0! 超スローペースですよ! これは前残りがありそうです! キヌノセイギたちは大丈夫でしょうか!』

 

 上り坂に入りました。1,800m、駆け引きありきで全力で走ってからの上り坂は精神的にも肉体的にもかなり苦しいです。

 ですが、私たちチームフナボシには上り坂のスペシャリストがいますからねっ!

 少し辛いですけど、こんな坂! 開運パワーで乗り切れます!

 

「まだまだ、いけますよ~っ」

 

 しっかりターフを踏みしめて、ぐんぐん上っていきます!

 トージンサイクロンさんはかなり辛いのか、苦し気な声と共にゆっくりペースが落ちてきています。

 私の外にはリョテイさんがいて動けないので少し下がります。代わりに、リョテイさんに目配せして前のスペースへ先に出てもらいます。

 

「………」

 

 わかってもらえたようで、ちょっとだけ動いてくれました。

 少しだけ気にした様子の視線をもらいましたが、大丈夫です。私の勝負所はここじゃないですから。

 そうですよね、トレーナーさん!

 

『第3コーナーに入りました! ここから下り坂!』

『先頭を走っていたタケゾノイチバンとトージンサイクロンはかなり苦しい! 既に後続との距離が詰まっているぞ!』

「くっ……」

「うぅ……!」

 

 周りからかなり苦しそうな声が漏れ聞こえてきます。

 それもそうですよね、だってこれだけ走っているのにあと800mぐらいありますから。

 ですが! ラッキーナンバーの数だけ走り続けてきた私ですから! まだまだ走れますとも!

 

『第4コーナーに入りました! ここからは未知の領域だ! 2,400mを抜け、残り600m!』

「む、りぃーっ」

「むりぃぃ~!」

 

 周りのウマ娘さんたちが前に出れず、最後のコーナーで耐えきれずに膨らんでいきます。

 私も苦しいですが、なんとか曲がっていきます。

 

「うぐぐ……」

 

 ヤマトユーロさんやリョテイさんに前を渡したおかげで、目の間に壁があります。

 既にスパートをかけ始めて、みなさんが前へ前へとなんとか進出しています。私の目の前にはメジロブライトさん。もうここまで上がってきてしまいました。

 

 最後の直線で一気に行く作戦ですが……いえ、心配しなくても大丈夫ですね。

 トレーナーさん、あなたを信じます。

 

『最終直線に入った! ここから仕掛けどころだ!』

『抜け出すのは誰でしょうか!』

 

 最終コーナーが終わり、直線に差し掛かる手前。

 そこで私は、作戦通りの動きをしました。

 

 シラオキ様、お願いします! 勝利を、私に来させてください!

 

 コーナーを回る遠心力に従って、体を外に出します!

 目の前の壁から抜け出した先に見えたのは、勝利に向かって走る他のみなさんの姿。

 

 そして、その先まで続く、まっすぐな光の道です……!

 

「いきますよぉ~~~っ!!!」

 

 思いきりターフを踏み抜いて、今まで溜め続けたスタミナを全部吐き出しますっ!

 光の道へと全力で駆け出していくと、みなさんが止まったかのように私が前へと出ていきます。

 自分でも驚いてしまいますが、残りの距離はあと少し! このまま一気に! バ群の中から抜け出しますっ!

 

『先頭ではタケゾノイチバンまだ粘る! トージンサイクロンも粘るがかなり苦しい!』

『バ群から! 中からマチカネフクキタルだ! マチカネフクキタル驚異の追い上げ!』

 

 まだです! まだまだっ!

 ヤマトユーロさんの横から一気に上がって、そのまま行きますっ!

 

『メジロブライト先頭! ヤマトユーロも競り合っている!』

『マチカネだ! マチカネフクキタルだ! またまたマチカネフクキタルだ!』

 

 ヤマトユーロさんを抜きましたっ! 他には誰もいないはずです!

 メジロブライトも見えません! 抜け出しましたっ!

 

「ファイトー! フクキタルー!」

「おぉー! 行けーッ!」

 

 観客の皆さんからの声が聞こえます。

 脚が軽くなりました。

 

「フクキタルー! 頑張ってー!」

「フクちゃーん! フクちゃーん!」

「フクキタルっ! もっとデス!」

「フクー! 行けーッ! 粉塵爆発だぁー!」

 

 みなさんの声が聞こえますっ。

 体にもっともっと力がみなぎります。

 

「フクキタルーッ! 行けッ! 行ってくれーッ!」

 ――フクキタルッ! ぶち抜けェーーッ!!!

 

 シャインフォートさんとトレーナーさんの声が聞こえます!

 体が熱くなって! 光の道が、私を包みます!

 これが、大大吉状態なのですね! シラオキ様!

 

「大開運ダ~~~~ッシュ!!!」

『マチカネフクキタル! マチカネフクキタル! 福が来た京都ー! またまた福が来た! 神戸、京都に次いで、菊の舞台でも福が来たーっ!!!』

 

 ゴール板を駆け抜けて、思いきり息を吸います。

 でゅえっへ……つ、疲れましたぁ~!

 け、結果はどうなんでしょう? 私は? 1着は!?

 

 掲示板を見て、一番上に出た数字は4。

 私の数字は、4番です。

 

「あ」

 

 思わず口を開けて、ぽかんと立ち尽くしてしまいます。

 私……か、勝ったんですね……。

 

「や、やりましたっ~!!!」

 

 す、すごい! 私、やったんですね!

 大吉を越えた大大吉! スーパーラッキーウマ娘ことマチカネフクキタルっ!

 これはジャパンカップも有マ記念も勝ってしまうぐらいの幸運パワーですよぉ!!!

 

 

 

 

 

 

 なんとも言えないふわふわした感覚で歩いていたら、ウィナーズサークルまで来ました。

 トレーナーさんやメンバーのみなさんが待ってくれています。

 

「フクキタルーッ!!!」

 

 声がしたほうを見ました。

 シャインフォートさんが突撃してぐえぇっ!?

 

「うぎゃぃ~!?」

「フクキタル! すごいよ、すごかったよ!」

 

 思いきり抱き締められてすごい苦しいですっ!!!

 ……あれ、なんだか肩が温かく、濡れて。

 

「最高の菊花賞だ! くそー、なんでわたしは参加できなかったんだ」

「シャインフォートさん……」

 

 体を離したシャインフォートさんは、その目から大粒の涙をこぼしていました。

 思わず声をかけると、とてもきれいな笑顔を見せてくれます。

 

「フクキタル」

「スズカさん……」

「おめでとう。とてもすごい走りだったわ。思わず、私も駆け出したくなるような」

 

 スズカさんが褒めてくれました。

 穏やかに笑うスズカさんの後ろから、ニコニコしているタイキさんがひょっこり現れました。

 

「スズカはいつも走りたがってマス!」

「そうだねぇ。フクちゃん! おめでとう。すごかった!」

「オウ、そうデシタ! フクキタル! コングラチュレーション!」

 

 ソーラーレイさんとタイキさんも称えてくれます。

 なんというか、調子に乗ってしまいそうですねぇ~!

 

「フク! やったな!」

「ゴールドシップさん!」

「おめーもいい走りするじゃねーか! 3日目の佃煮ぐれーの仕上がりだな!」

 

 相変わらずの言葉をもらいました。

 これは……評価してくれているということでいいんですよね?

 

 みなさんが称えてくれると、シャインフォートさんがぎゅっと手を握ってきます。

 そしてブンブンと振られました。 

 

「一緒に走らせてくれてありがとう、フクキタル!」

「…ぁ……」

 

 ……そうでした。

 大大吉パワーだから勝ったとかじゃないですね。

 私、シャインフォートさんからもらった思いと一緒に走ったから勝てたんです。

 他にもゴールドシップさんやスズカさんに特訓してもらって、たくさんもらってばっかりです。

 

 運がいいから勝てたんだと調子に乗ってしまうところでした……。

 シャインフォートさんの想いをもらって、皆さんと一緒に頑張ったから、こうやって幸運を届けることができたのです。

 反省です。シラオキ様、怒らないでくださいね!

 

 ――フクキタル。

 

 トレーナーさんに声をかけられます。

 シャインフォートさんから離れて近づくと、頭を優しくなでてくれました。

 

 ――最高の走りだった! 楽しかったか?

 

 そう言われて。

 何もなかった私が、トレーナーさんと出会ってからたくさんのものを色々な人からもらって。

 スズカさんやシャインフォートさん、キヌノセイギさんたちと競い合って。そして、今日、がんばって走って。

 

 自分の中で、この菊花賞での勝利がじ~んと沁み込んできて。

 

「あ、ぅ。わ、私ぃ~!」

 

 思わずボロボロと涙がこぼれて。

 トレーナーさんをぎゅうっと抱きしめて。

 

「勝ちましたぁ~!!! 私、すごい楽しくてっ! やりましたっ! が、がんばりましたぁ~!」

 

 小さい子みたいに、わんわんと泣いてしまいました。

 トレーナーさんは私が泣き止むまで、ずっと優しく頭をなでてくれたのでした。




 菊の舞台で福が来た!
 というわけで、フクキタルが菊花賞を勝利しました。

 この小説のフクキタルはキャラクター性をキャラストーリー側に寄せていることと、明確にスズカやシャイフォートのような仲間とライバルを設置したので、育成ストーリーのように調子に乗らず、自分に悩む素直な女の子のまま成長したのでした。

 育成ストーリーの調子に乗りがちなおかしいフクキタルも面白いですが、できるお姉ちゃんとの差に悩んで、それでもがんばってがんばって走るキャラストーリーのフクキタルが健気でかっこいいのです。なのでそちらの成分多めですね。
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