マチカネフクキタルとの3年間 with ゴルシ 作:あぬびすびすこ
年始ということで、みんなで神社へ行くことになった。
ゴールドシップと以前から来ているお馴染みの神社だ。天皇賞春の出走もここで決めたんだっけな。
「さあトレーナーさん! いきますよぉ~!」
フクキタルにぐいぐい引っ張られていく。
あまりにもやる気が満ちていて止められない!
「トレーナーさんが引きずられていくわ……」
「飼い主を引っ張りまくる犬みてーだな」
スズカとゴールドシップは遠目から見て全然助けてくれないっ!
諦めてされるがままになっていると、神前まで連れてこられた。
「いっしょに参拝しましょう! あれ、みなさんはどこに?」
フクキタルが夢中で進んでいたせいで置き去りにしていったぞ。
「なるほど~……あの、すみませんでした」
手をスリスリしながら謝ってきた。
頭をぺしぺし叩いていると、ゴールドシップたちが遅れてやってきた。
「フクキタル、ソーファスト!」
「気合入ってたねぇ」
「もちろんです! 年に1度のお参りですから!」
ささ、とみんなを引っ張って並ばせ、代表してスズカが鈴を鳴らした。
ルドルフが喜びそうだな。
「ゴルシちゃんの5円玉、ありがたく受け取りな!」
ゴールドシップが賽銭箱にお金を入れると、みんなも入れていく。
そして礼をしてから手を合わせ、願い事を想う。
みんなが楽しく走って、勝てますように。
あと、フクキタルの夢に出てくるシラオキ様、今後も一緒に頑張りましょうね。
しっかりと願ってから、ちらっとみんなの様子を見る。
真剣に祈ってるなぁ……特にフクキタル。タイキはニコニコしながら手をすりすりしてるけど。
祈り終わってから、ゴールドシップの提案でおみくじを引くことになった。
相変わらず好きだな、こういうの。
「いくぜ! おみくじの王にアタシはなる!」
「おみくじに王はないと思うけど……」
「ま、まさか……ゴールドシップさんは王のおみくじを狙っているのですか!?」
「うそでしょ……あるの……?」
スズカが困惑している中、みんなおみくじを引く。
そして棒に書かれた番号を見て、箱から紙を取り出して、確認。
「また凶かよーー! なあトレぴっぴ、交換しようぜー」
「交換していいものじゃないと思うんだけど……あ、大吉」
「私は吉ですか~……むむむ!」
「チュウキチ? デス!」
「わたしも中吉だねぇ」
みんな内容に一喜一憂している。
ゴールドシップがぐいぐい肩で押し込んでくる中、自分のものを確認する。
ふむ……大吉だ!
「おうおうトレーナーよぉー、アタシを差し置いて大吉たぁいい度胸じゃねーか!」
「トレーナーさん大吉だったんですか! むむむむむ! ふんぎゃろー! もう一回です!」
ゴールドシップにオラつかれていたら、フクキタルがまたおみくじを買いにいった。
多分大吉が出るまでやり続けるな、あれは。
フクキタルのおみくじガチャガチャを遠目で見ていたら、不意にお守りを売るところで目についたものがあった。
近づいて見てみると、それは神社にあるものにしてはかなりポップな見た目をしていた。
「お守り……じゃないんですね」
「ほんとだ。ミサンガかなぁ」
1つ手に取ってみると、どうやら身につけることができるお守りのようだ。健康運を高めてくれる……らしい。
見た目も可愛らしいお守りなので、みんなに買ってあげよう。それぞれの勝負服の色を考えて購入し、みんなに渡す。
「ありがとうございマス! とってもキュート!」
「綺麗……ありがとうございます」
タイキとスズカはその場で開けて腕につけてくれた。
緑色を基本にした神むすび。シンプルですっきりしているから、違和感を感じない。
ソーラーレイはストラップにしますと鞄につけている。
ゴールドシップはというと、取り出してじっくり観察をしている……そんなに見るものだろうか。
「へへっ、けっこういいな、コレ」
機嫌よさそうに腕につけた。赤と白だから、一番それっぽいお守りだ。
「大吉出ましたよぉ~! ふべっ!?」
「フクちゃーん!?」
フクキタルが大吉のおみくじを掲げながら走ってきたと思ったら、転んでしまった!
しかもおみくじが木の枝に引っかかって破けている。ああ、なんとも……。
とにかくケガはないか確認すると、顔が痛いだけらしい。むくっと起き上がって頭をかく。
「えへへ、つい調子に……はわ~~っ!? わ、私の大吉!」
「オウ……残念デスネ」
「せ、せっかく引けたのに~~!」
涙目になっているフクキタルの頭を軽くなでて、彼女の分のお守りを渡す。
受け取ってきょとんとしている彼女に、フクキタルにプレゼントと言うと、涙が引っ込んだ。
「と、トレーナーさんからですか!? なんと……! これはご利益万点っ! えーと、お守り……なるほど!」
早速封を開けて手首につける。フクキタルの勝負服に合わせた赤青白の神むすび。
それをじっくり見て、嬉しそうに頷いた。
「ありがとうございます! いやぁ、破けてしまいましたけど、大吉を引けたご利益はありましたね!」
「何度も引いたら意味がないんじゃ……」
「ラッキーがあったのでいいんです! あ、でも一応これも持っておきましょう」
破けたおみくじを拾い集めるフクキタル。
レースを頑張ったおかげで前向きになってきたが、こういうところは最初と変わらないなぁと思うのであった。
◆ ◆ ◆
はさみ跳びでの高跳びをやってもらい、周囲からの視線を浴びに浴びた本日。
トレーニング後にフクキタルから呼び出されたので、指定された場所に向かう。
「あ、トレーナーさん!」
フクキタルが先に待っていたようで、こちらに手を振っている。
「急に呼び出してすみません。でも、大変なんですよ!」
上を指さしたので、夜空を見上げる。
綺麗に星が見えている。どれがフォーマルハウトだろう。いや、見えないか。
「たくさん星がありますからね! だから、1つ落ちてきちゃったんです! ほら!」
そういってフクキタルが取り出したのは……箱?
受け取って開けてみると、中にはチョコレートが入っていた。
「今日はバレンタインデーですからね! やっぱり占い好きですから、行事は大事にしませんと」
楽しそうに話すフクキタル。なにやらデカいチョコが1つだけ入っている。
「私が改良に改良を重ねた十二星座チョコ! あ、その大きいのはふたご座です」
だから他のより倍大きいんですよね~と語る。
全部は食べきれないと思うぞと言うと、ダメですよ! と叱られた。
「こういうのは自分の星座を食べるからいいんです! ささ、どうぞ!」
勧められるが、なんだかんだでどれも大きい。
フクキタルも一緒に食べよう。そう言うと、私もですか? と不思議そうにしていた。
「私はふたご座なのでそのおっきいやつですね。で、トレーナーさん。2人で食べませんか?」
大きいから、仲良く半分こということで。
フクキタルからの提案に乗り、2人でゆっくりチョコを味わう。
想像以上に甘くて美味しい。しっかり作ってくれている。
「おいしい~! ね、トレーナーさん、おいしいですか?」
美味しいよ。そう言うと、嬉しそうに耳や尻尾を動かす。
「やっぱり私はこういう風に、円満甘々って感じがいいですね~。誰かに渡してドキドキしたりするより、トレーナーさんと一緒がいいです。感想も言えますし」
えへへ、と照れながら笑うフクキタル。
美味しい贈り物をありがとう、そう言うと、少し赤くなった頬をかいて笑う。
「ハッピーを上げようと思ったら、なんだか私までハッピーになっちゃいました!」
またハッピーをあげますからね!
楽しそうに体を動かして嬉しさを伝えてくれるフクキタル。
チョコの甘さを感じながら、2人でぽつぽつと話をするのだった。
年始からバレンタインまで一気に飛びました。
何故ならここからレースが沢山始まっていくから!
シニア級ではメンバーそれぞれの活躍を多めに書きますのでよろしくお願いします。