マチカネフクキタルとの3年間 with ゴルシ   作:あぬびすびすこ

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 シニア級での夏合宿!
 アプリだとこの時点で最終的なパラメーターがどうなるか大体わかりますよねぇ。
 スピードがBとかだともうやばいかなってなります。


32、夏合宿 前

 フクキタルたちの2度目の夏合宿が始まった。

 今回はタイキがフランスに行くまで、タイキの調整を優先してトレーニングを組むことになる。

 といっても、トレーニング内容を少し変えるぐらいだけど。

 

「行きマース!」

 

 毎年恒例の水上ござ走り。脚にあまり負担がかからないので、遠征前のタイキには丁度いい。

 タイキはゴールドシップからの教えをマスターしたおかげか、ふらつきもなくすいすい走っていく。

 そのまま50m先まで走ってUターン。帰りも落ちることなく帰ってきた。

 

「やりマシタ! どうデスカ、トレーナーさん!」

 

 踏み込みもそれをバネにした走りも仕上がりはバツグンだ!

 褒めるとニコニコしながらハグして来るので、甘んじてそのパワーを受ける。肋骨が折れる日は近い……!

 

「よ~し、次は私が行きますよ~!」

 

 フクキタルが助走をつけて一気に走り出す。

 フナボシの中ではスピードの最高速だけで言うとフクキタルがトップだ。上がり3Fの速さは随一。

 タイキ以上の速さで走っていくフクキタルを見て、その成長を噛みしめる。

 

「フクキタル、いい調子ね」

「うん。フクちゃん、宝塚記念のときよりも速くなってる気がするなぁ」

 

 スズカやソーラーレイもそう感じているようだ。

 元々フクキタルは占いの良し悪しでタイムが変わるところがあったからな。

 精神的な成長が、身体に影響しているみたいだ。やる気もあるし、いい傾向だな。

 

「遅くなりました~」

「こんにちは! トレーナーさん!」

 

 声をかけてきたのはグラスワンダーとエルコンドルパサーだ。後ろには先輩もいる。

 バスの中で2人が一緒に練習してみたい! と話していたため、こちらのトレーニングに合流することになったのだ。

 先輩、大事な時期によくこっちに合わせたな……大丈夫なんですか?

 

「お前のチーム滅茶苦茶強いんだから、トレーニングも理に適ってるだろ? なら大丈夫さ」

「それに、常にやる気が最高の状態でトレーニングできる方法を知りたいのもあるからな」

 

 流石はクラシックで大活躍の2人を指導しているだけあって、なんでも吸収しようとしている。

 先輩のそういうところ、本当に凄いと思います。

 

「俺はお前の方が凄いと思うけどな……いっぺん頭の中見てみたいぜ。なんだよ入着率8割以上って」

 

 何やらぶつぶつ言いだしてしまった。

 こうなると中々長いので、エルコンドルパサーとグラスワンダーにトレーニング内容を伝える。

 と言っても、ござの上を走るだけだが。

 

「ふぅ……もう少し速く行けそうね」

「なるほど……わかりました」

「最初はエルが行きマース! とーーーう!」

 

 調子よく戻ってきたスズカを見てメラっとやる気の炎が燃えたのか、エルコンドルパサーがござへと突撃していった。

 

「あわわ……うわーーーっ!」

「エル!?」

 

 そしてすぐに海へと投げ出された。

 うん、最初のころのフクキタルよりマシだけど、やっぱりこうなったか。

 俺がそうなるよなーと思っていたら、その顔を見ていたグラスワンダーがむっとして走っていった。

 

「っ!」

「オウ! グラス、いい走りデス!」

 

 タイキが褒めているように、グラスワンダーの走りはかなりいい。

 踏み込みが強いから海の上でもしっかり前に進める。エルコンドルパサーよりも1発1発の瞬発力はすごいかもしれないな。

 

「あっ!?」

「グラース!」

 

 ただし長くは続かない。少し体がブレたところで、海へとダイブ。

 真っすぐ着地していかないとござが斜めになってバランスを崩してしまう。体幹が大事ってわけだな。

 

「体幹ってわけか。なるほどなぁ……フナボシのウマ娘たちが安定して強いわけだ」

 

 ゴールドシップがみんなにコーナー加速を教え込んでいるからな。体が振り回されないよう、体幹はバッキバキに鍛えてある。

 だからみんな体の中心がしっかりしていて、走りが安定するのだ。そうすれば、いつもの走りをいつだってできるというわけで。

 

「2人とも大丈夫?」

「レイさん……大丈夫デース」

「くっ……もう一回、行きます!」

 

 グラスワンダーは悔しかったのか、海から上がってすぐにまた走っていった。

 彼女はケガをした復帰戦で毎日王冠ということだったから、あまり負担にならないござ走りは丁度いいかもしれないな。

 

「うん、いいトレーニングだな。体に負担もないし、もし転んでも外側は海だ。ケガの心配も少ない」

 

 先輩もうんうんと頷いている。

 一応体の動かし方を研究している人たちにトレーニング内容を見せて、大丈夫かどうかを確認しているからな。

 危険性はかなり少ない……と思いますよ。

 

「そこまでやってんのか、こんなので……いや、結果を出してるわけだからな」

 

 先輩は苦笑いして頭をかいた。

 ゴールドシップのやる気を出させるために色々なトレーニングを考えていたけど、それがかなり好評だったから今もこうして作っている。

 実際いい感じにみんな結果を残してくれているから、よしよしって感じだ。

 

「……うん。いいな、これ。合宿中使わなくなったら、貸してもらってもいいか?」

 

 いいですよ。楽しく使ってくださいね。

 そういうと、相変わらずだなぁと背中を叩かれた。

 

 後日貸し出したところ、その後のタイム計測で記録更新したウマ娘が増えたそうな。

 楽しんでトレーニングするって、やっぱり大事なんだな……と先輩から感心されたのであった。

 

 

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「それでは、行ってきマス!」

「おう! アタシの仇とってこいよな!」

「ゴルシちゃん、生きてるよぉ」

 

 7月後半。タイキはフランスへ行くため空港に来ていた。

 シーキングザパールもトレーナーやチームのウマ娘たち、エルコンドルパサーやグラスワンダーと会話を楽しんでいる。

 エルコンドルパサーも海外出走を目指しているため、一足先に先輩が暴れてくるというところだ。

 

「トレーナーさん! ワタシ、とっても楽しみデス!」

 

 タイキに海外遠征の要請が来ていたから、ちょっと行ってみない? と話したら、喜んでいたが少し不安そうだった。

 海外で日本のウマ娘がGⅠレースを勝つなんてことはまだなかったし、俺たちはついていけないから。

 でも、そんなワクワクすること、逃がせマセン! とやる気を見せてくれたのだ。

 

 先に走るのがシーキングザパールだから、彼女が勝てば史上初めての海外GⅠ勝者。タイキは2人目となる。

 俺はシーキングザパールが勝つと思っているから、タイキは2人目になるけどいい? と先に言ってある。だってあの娘、明らかに調子がいいんだもの。

 タイキは1人目でも2人目でも、それが偉大な1歩となるなら走りたいと言ってくれた。だからフランスへと送り出すことになったのだ。

 

 とりあえずフランスへ行ってからのトレーニングについて説明する。

 といっても、特別なことはしない。いつも通り、併走してもらったりするぐらいでいいよと話す。

 そもそもタイキは強い。ならば、同じようにマイペースに行ったほうがいいとだろうから。

 

 話し終わると、フクキタルとスズカがすっと前に来る。

 

「タイキさん! 応援していますよ! いつも通り走ってきてくださいね!」

「ええ、タイキなら勝てるわ」

「フクキタル! スズカ! センキュー!」

 

 いつものようにぎゅう~~っとハグされ、フクキタルもスズカもぺしぺしとタイキの腕をタップする。

 相変わらずのパワーだ……。

 

「レイもゴールドシップもハグしまショウ!」

「うぇっ、わ、わたしも?」

「おっしゃ、こい! サバ折り祭りじゃーー!」

 

 タイキに突撃していってぐわあああああと悲鳴を上げながら肋骨を締め上げられるゴールドシップ。

 ソーラーレイは控えめにタイキとハグ。

 うーん……これは俺もやられるな?

 

「トレーナーさん!」

 

 ニコニコしたタイキにぎゅむぎゅむといつも通り強めのハグをされて呼吸ができず、背中をタップする。

 解放されてふぅーと息を整えてから、頭を軽くぽんと叩いた。

 行ってらっしゃい。楽しんでおいで、フランス。

 

「ハイ! トレーナーさんに、ビッグなオミヤゲ、もって帰りマス!」

 

 ぐっと親指を立てたタイキは、シーキングザパールと一緒にフランスへと旅立った。

 

 後日2人がとびきりビッグなお土産を持って帰ってくることになるのは、また別の話。




 タイキ、フランスへ。
 エル、グラス、参戦ッ!

 水上ござ走りは脚に負担をかけず、ふとももや体幹を鍛えられるトレーニング解いて採用しております。
 あと楽しいからモチベーション上がるよね! っていうやつです。
 元々ゴールドシップ用でしたが毎年恒例の行事になりましたね。
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