川神のブラウニー   作:minmin

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風間ファミリーの一般人代表モロから見た主人公のお話。(ちなみにキャップは外出中)


師岡卓也から見た主人公

 

 

 ――師岡卓也にとって、衛宮士郎は主人公のような存在だった。

 

 

 ぶっきらぼう、無愛想。でも優しくて、気がつけば誰かの手助けをしてる。中学どころか小学生の頃から、士郎に好意を抱く女の子は多かった。

 

 京以上の弓の才能、成熟した精神。機械いじりもできて、それでいて料理上手で家事全般も。どこのエロゲの主人公なんだって言いたくなるスペックだ。世界が違えば、きっとハーレムなんかも作れたんじゃないかと言いたくなる。

 

 

 ――風間ファミリーのお荷物。金魚の糞。

 

 

 そんな評判を耳にしてしまって、色々と病んでしまったこともある僕が、ファミリーの仲間じゃない士郎にコンプレックスを刺激されずに友だち付き合いを続けてこれた理由は、あの光景を見たからだ。

 

 

 ――後にも先にもあれだけだった。何も映してない、本当の空っぽな瞳を見たのは。

 

 

「―ロ!おい、モロロ!大丈夫か?」

 

 

 意識が現実に引き戻される。気がつくと、モモ先輩が僕の肩を揺すっていた。

 

 

「え、あ、うん。ごめん、ちょっとぼーっとしてて。それで、どうなったって?」

 

 

「どうもこうも、林冲ちゃんは相変わらず何言われてもだんまりだ。他の連中が奪い返しに来ること考えて、じじぃもルー師範代も気を張ってるが……まあ、林冲ちゃん自体は暫く戦えないだろ。どうやったのかはしんないけど、シロ坊も女の子にえっぐいことすんなー」

 

 

 モモ先輩が士郎を見やると、本人はあくまでファミリーじゃないからってことで、部屋の隅で腕を組んで壁にもたれかかっていた。滅茶苦茶気障なポーズなのに、なんだか絵になるのが凄い。しかもなんか今日はいつも自然なままにしてる髪をかきあげてるからワイルドだし。

 

 

「そうは言われてもな。罪のない川神市民を組織ぐるみで暴行して回ってる、海外の現役傭兵……いや、犯罪者集団相手に手心を期待されても困る」

 

 

「そうだけどさー。美少女はもうちょっと優しく扱えよ?」

 

 

「承知した。貴女と戦うことがあったら、もっと強力なのを撃ち込むことにするさ」

 

 

「いやなんでさ!?こんな超絶美少女に対してその言い草はなんでさ!?」

 

 

 モモ先輩相手によく言うなあ。肩をすくめる仕草までいちいちカッコいいのがなんか悔しい。それに……

 

 

「士郎、なんか口調変わった?」

 

 

 あ、セリフ京に取られた。

 

 

「変わった、というか変えてるんだ。意識を戦闘用に切り替えるためのスイッチみたいなものかな。まあ、これも『エミヤシロウ』だから受け入れてくれると助かる。……そうだモロ、調べてほしいことがあるんだが」

 

 

「え、僕?梁山泊にハッキングしかけろ、とか言われても難しいよ?」

 

 

 僕は――僕は他の皆と違って、なんの取り柄もないただの一般人なんだから。

 

 

「そうじゃない。史進、楊志、湯隆――水滸伝におけるこの3人について、できる限りの情報を調べてほしい。生い立ちから死に際まで。逸話や弱点、一般的に浸透しているなら、後世の創作によって付け足されたフィクションまで。そういう情報が、最後の最後で勝敗を分けることもある――頼んだぞ、モロ」

 

 

 僕と目を合わせて、真剣な眼差しで頼んでくる士郎。……かなわないなあ。昔から、どんなに自分と比べて惨めな気持ちになったって――士郎のことは、全然嫌いになれないんだから。

 

 

「わかったよ。任せておいて」

 

 

「史進、楊志……先程の林冲と合わせて、自分でも名前を聞いたことがあるくらいの梁山泊の豪傑だよな。最後の湯隆というのもそうなのか?」

 

 

「ええ、その通りですクリスさん。梁山泊第八十八位の好漢で、地弧星の生まれ変わり。渾名は金銭豹子。梁山泊の鍛冶担当で、英雄たちの様々な武器を創り出し貢献したと言われる職人です」

 

 

「ふぉぉぉぉ……なんか難しくてカッコイイ会話してるわ……」

 

 

 へえー、そうなんだ。

 

 

「で、なんで鍛冶師なんだ士郎?俺様たちの耳にゃ入ってねえが、そういうかわいこちゃんも川神に来てんのか?」

 

 

 ガクト、気になるのはやっぱりそこなんだね……らしいけどさ。

 

 

「いや、件の林冲によると、俺にはその湯隆の素質がある、と指摘した奴がいるらしい。スカウトするための人材を必要以上に傷つけるわけにもいかないから手加減されたおかげで勝てたというのもあるんだ」

 

 

「は!?あんな年上美人だらけの職場にスカウトされたってのか!?ずりぃぞちっくしょー!!」

 

 

 ガクト、気になるのはやっぱりそこなんだね……らしいけどさ。らしいけどさ!!

 

 

「あーまあシロ坊ならぴったりっちゃぴったりだろうなあ。わかるわかる」

 

 

 うんうん頷くモモ先輩。僕は士郎が鍛冶してるだなんて話聞いたことないんだけど。

 

 

「ワン子はなにか知ってる?」

 

 

「ううん、そんな話初めて聞いたわ」

 

 

 そうなんだ。モモ先輩、何か知ってるのかな。

 

 

「士郎が梁山泊に入ったら……ハーレム間違いなしだろうなぁ……」

 

 

 あ、大和がなんか言ってる。けどさあ。

 

 

「いやなんでさ。それにだな――」

 

 

「「「「「「「「大和にだけは言われたくない」」」」」」」」

 

 

 流石ファミリー(+1)。息ピッタリだね!

 

 

 




原作のAの梁山泊ルート、突き詰めれば何股いけてたんでしょうね軍師君は!(

源氏進軍!目標は――

  • 総大将!義経に進軍する!
  • ベン・ケーに決まってる!
  • 変態なお姉さんは好きですか?
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