ピンチベック   作:あほずらもぐら

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はい、おかげさまでUA100になりました。予告通り記念エピソードを投稿させて頂きます。本当にありがとうございます。今回は、とある人物が主人公の番外編です。それでは、ご覧下さい。


UA100達成記念 特別エピソード 「死毒の華」

 

 

 

 

ずっと、この見た目が憎かった。

 

ずっと、自分の力が嫌だった。

 

 

もう、何年前だろうか。

 

「嫌!嫌だ!やめてよ!なんでこんな…」

 

『ウォー…ガオオォォォ…!!』

 

「痛い!痛い!痛い!」

 

 

自分の力を、制御出来なかった。あの時、自分がちゃんとしていれば…

こんなに怖い思いをしなかったのかな…

 

『やめろおぉぉぉ!!!』

 

『何で…体が…勝手に……痛い…』

 

僕がもし、「人間」だったら…あんな事、起きなかった。

 

 

所謂、魔族の「夢魔」には人を惹きつける力がある。その力を持つに至ったのは、人間を食べるのに誘き寄せる必要があるから、だとか、人間を欲望に負ける悪い生き物だと判断する為に、神サマがそう作ったとか、いろんな理由が考えられている。

 

だが、この魔族の少年の力は異常だった。高位かつ年を経た魔族に匹敵するレベルで人間の「悪意」を誘発する能力が生まれた時からあった。まさに神童。天才。彼の幼少期は、それは華々しく、多くの魔族から尊敬を集めた。それ程彼の能力は貴重だったからだ。

 

デミゴルゴア、魔族の国。戦争への不干渉を一貫する小国だが、多くの魔族の故郷でもあり、半ば地理を超越した一種の領域であり、近辺の魔物を倒せるレベルの、強力な冒険者でないと、辿り着いても帰れはしない。これは、ここに住む魔族の持つ強力なマナと魔力が影響している。このマナの力は、旧時代を僅か一年で崩壊させた。大国が揃って、マナに引き寄せられた魔物を討伐しようとしたが、全て失敗に終わった。全て突然に起きた。かつて世界を統べた人類種という種族は、有象無象の一つになった。もう、何百年も前の話だ。

 

「他の国を見てみたい」

 

年頃なら、無理もない。そして彼は、旅に出た。12歳はもう大人だ。そして、12歳より上の大人は皆、僕を尊敬する。強いマナの力があれば、誰にも負ける気がしなかった。

 

たくさん旅をして、そして、やっと女の人に会った、僕は友達になろうとした。でも、話しているうちに、段々その人は様子がおかしくなった。僕をねじ伏せて、そして…僕は嫌がって、でも怖くて魔法の唱え方を忘れてしまった。痛かった。

 

 

怖かった。

 

 

何で、自分はこんな姿で、この力を持ったのか、分からない。

 

 

『やめろおぉぉぉ!!!』

 

誰かが叫びながら、女の人を刺した。

 

女の人は刺されて死んでしまった。

 

『何で…身体が…勝手に……痛い…』

 

それが最期の言葉だった。刺した人は、女の人が蘇らないようにって、何度も死体を刺して、バラバラにしてしまった。とても怖かった。ひとが死ぬ所を見てしまったから。でも、他にも怖い事があった。刺した人は、顔がとても恐ろしかった。爛れていて、溶岩に顔を沈めたみたいだった。片方だけ、顔が真っ黒だった。顔に包帯を巻いていて、隠そうとしていた。そして、身 体 中 に 火 傷 を し て い た

 

バラバラを川に流すと、刺した人は、僕に大丈夫かと聞いた。僕は泣いていた。刺した人は、包帯を巻き直して、僕に何度も謝った。

 

刺した人は、僕に歳はいくつか、親はどこにいるか聞いた。親は遠くの町で、12歳だと話した。

 

刺した人は、また大丈夫かと聞いた。僕は、あなたこそ大丈夫かと聞いた。そうすると、刺した人は泣きながら、君は優しいね、と言った。

多分、僕を助けようとしてくれたんだろう。でも、優しいのはこの人も一緒だと思う。多分、辛い事があって、おかしくなっているんだろう。早く治るといいな。

 

雨が降ってきて、僕と刺した人は、近くの洞窟で雨宿りをした。しばらく話をしていると、その人は、自分のせいで大切な人が死んでしまったと言った。僕の方が耐えきれず、泣いてしまった。この人は、とても悲しくて、押し潰されそうなはずなのに、僕を助けてくれている。

 

しばらくすると、怒った人の声がしたので、刺した人はクロスボウを持って外に行ってしまった。沢山悲鳴がして、またしばらくすると、刺した人が帰ってきた。血だらけで、沢山怪我していた。そして、沢山荷物を持っていた。

 

僕は覚えたての回復魔法で刺した人を治した。僕は、お腹が空いたと言ったら、刺した人が干し肉をくれた。買ってきたらしい。

 

夜になると、刺した人は決まって、木や石に自分を縛りつけていた。変な人だった。僕に解いてって頼むなら、縛らなきゃいいのに。

 

朝になって、刺した人が、一緒に来ないかと言ってくれた。僕はついて行った。じちりょうと言う所に行けば、帰れるかもしれないと、刺した人は言った。

 

しばらく歩いて、僕が疲れたと言うと、刺した人が馬を連れてきた。貰ってきたらしい。刺した人は、かなり急いでいる気がした。

 

刺した人に、歳を聞いてみた。14歳らしい。立派な大人だね。親はいるのか聞かれて、いると言ったら、大事にしてあげなさい、なるべく一緒にいなさいって言われた。

 

刺した人は、馬には餌をやったし、僕には食べ物をくれたけど、自分はほとんど食べなかった。

 

一か月くらい、同じように、刺した人が水や食べ物を持ってくる事があって、その度に刺した人は急いでいた。たまに怪我をして帰ってきて、その度に僕が治した。

 

 

たまに、雨宿りやキャンプをする時、人の声がするといつの間にか居なくなって、よく叫び声や悲鳴がして、傷だらけで帰ってきた。

 

そしてついに、じちりょうに着いた。嬉しかったけど、刺した人が一番嬉しそうだった。

 

しばらくして、「ごみんかん」って人が来て、大掛かりな魔法で、僕は家に帰ってきた。

 

 

お母さんとお父さんがとても心配していて、僕にハグをした。出会った人に、助けて貰ったと言ったら、びっくりした後、名前は聞いたのかと言われたけど、聞き忘れてしまった。お礼したかったのに、残念だったな。

 

 

 

 

 

〜5年後〜

 

 

「じゃ、パパ、ママ、行ってくるね♡」

 

『自分の力も制御出来なかったあの子が…立派になって..ねぇ貴方!』

 

『どんな格好でも、お前は私の自慢の息子だ!強くなったんだ、胸を張りなさい!』

 

「張る胸が無いよ〜♡」

 

『ワハハハハ!冗談抜きで、お前はパパに似てイケメンだから、女の子に間違われるかもしれないな!』

 

『戦争も終わったばかりなんだし、気をつけるのよ!』

 

「はーい♡」

 

 

確かに、まだ女の人が怖い。でも、この格好なら、襲われないから少しは安心出来るし、何より似合ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜冒険者ギルドにて〜

 

 

『はい彼女!お茶しない?』

 

「えー、お兄さん、僕男だよ?まぁ、それでもよければ。」

 

『いやね?俺の新しい知り合いにさぁ、腕は立つんだけども、ちょっと訳ありな奴がいて、そいつ今怪我して入院してんだけど、リハビリがてら、人に合わせた方がいいと思うのよ?だから、性別関係なく、差別とかしない奴探してんだよね。』

 

「変わった人なら、会うのは楽しみだよ♡」

 

『そりゃ良かった!』

 

「特徴とかってあるの?」

 

『ちょーっと顔が変わってて怖いけど?シャイな奴なんだよこれが!酒もてんで駄目だし、人目をめちゃくちゃ気にしてる。ありゃ昔に相当ひでぇ目に遭ってると見たな。』

 

「…タダでいいから、寧ろやらせてくれない?」

 

『なんだ?知り合いか?話が早くて助かるぜ!』

 

『特徴はだな…お前さんと大して変わらん年齢なのに、白髪が酷くてな、顔はあいつが気にするだろうし…あ、めちゃくちゃ生命力が強いんだよ!家が爆弾かなんかで吹き飛んだ後、冒険者二人と殺し合って、俺がちょっと手伝ったら皆殺っちまいやがった。』

 

『病室はだな、○○号室のだな、で、この地図に載ってるから。』

 

「わかった、ありがとう、行ってみるね♡」

 

 

 

〜病室にて〜

 

 

 

『しかし、かなり腕が立つのですね…助かりました。』

 

「敬語禁止」

 

『す、すまない…』

 

『しかし、貴方はカードゲームが本当に強いな。』

 

「まぁ、実家で沢山やってたし…」

 

『そうですか…家族はご健在かな?』

 

「昔、家出してね…それで、危なくなった時、親切な人が助けてくれた。だから今も、家族に会える。」

 

『そうですか…私は薄情な男だ…子供の目の前で、悪人とはいえ、人殺しをするような、そんな男です。その人は…よい人ですね。』

 

「本当にいい人……」

 

「てか、敬語禁止って言った!」

 

『あ、申し訳ない!』 

 

『しかし、私の顔を見て、馬鹿にしないとは…心の広い方だな、貴方は。』

 

「…ありがとう」

 

 

 

 

死毒の華    完

 

 

 

 

 




はい、今回はドラマ重視のストーリーになりました。これからも、この無名粗製小説家を応援してくれれば幸いです。それでは、また次回、お会いしましょう!
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