ピンチベック   作:あほずらもぐら

28 / 123
皆さんのお陰でUA300を達成しましたので、今回は世界観を詳細に説明する場を設けました。彼らが生きる世界がどういった物か、何となくでも理解して頂ければ幸いです。それでは、ご覧下さい。


UA300達成記念 特別ページ

旧時代について

 

言ってしまえば、我々の生きる時代に近い時期です。マナという概念が無く、勿論魔術や冒険者は存在しません。支配者が非常に広大な地域と大勢の市民を治めていました。科学技術が発展しており、第25幕でペラドンナ達を襲ったロボットも旧時代の設計図を基に、教団が復元した物になります。数が揃えばピンチベックのような手練れでも危なかったかも知れません。

 

 

何故人類が衰退したのか?

 

魔物による旧時代崩壊から暫くは大勢が生き残っていましたが、当時の銃火器などでは突如出現した飛竜や巨大昆虫、恐竜を倒すには至らず、結果的に”RPGにおける序盤の街や国”のような弱い魔物しか居ないような場所に逃れるしかありませんでした。ある程度数は戻りましたが、魔物と同時に現れた他種族が勢いを増し、結果的に人間は時代の支配者から転落しました。

 

魔物出現の原因

 

そこまで詳しくは説明出来ませんが、「支配者が更なる力を求めて物理的に手の届かない場所にまでコンタクトを取ろうとした」結果です。長命な種族の中にはこの事実を把握している人物がいるかも知れません。誰かに話すつもりがあるかは別として。

 

冒険者について

 

マナという万物に宿る命の源のような存在に対して、適応しやすい体質を持つ人間の事です。種族に関わらず一定数が存在します。例えば普通の人の”MP”が10だとしたら、冒険者の”MP”は最初から50くらいはあります。身体能力も高く、冒険者としての能力が発現したばかりの新人でもオリンピック級かそれ以上の身体能力を持っています。ただ全くの無敵ではなく、一般人でも数を揃えたり、不意打ちを仕掛けるなどして勝利する事は充分に可能です。ただ、ある程度戦い慣れた冒険者なら銃火器も視認して避ける事が出来るし、人体を素手で容易に破壊する事も可能です。勿論、この力を悪用したりする者も沢山いるし、それを防ぐために冒険者同士でお互いを監視、助け合う冒険者ギルドが存在します。秩序や利権を求めて政府に協力する冒険者もいるでしょう。ピンチベックもその一人ですし、彼が後継者に指名したペラドンナもです。

 

 

最高議会とは?

 

劇中でピンチベックやペラドンナが仕える組織で、事実上自治領を支配している勢力です。常に数十人が議員として在籍している上、多種多様な種族がその上である”議長”として活躍しています。彼らも一枚岩ではなく、戦争で死亡した父親に代わって議長になったカラドリウスを疎む古参の議員が彼女を蹴落とす為、厄介払いを兼ねて醜いピンチベックを部下につけますが、皮肉にも彼が予想以上に優秀だった為にカラドリウスの立場を確固たるものにしました。本来は後継者を指名や投票で選ぶのですが、彼女は戦時中だった為に特例で世襲して議長になっています。

 

 

護民官とは?

 

自治領を支配する最高議会に仕える冒険者や、それに準ずる実力者の集まりです。自治領への貢献を認められた人物や、ある程度の実力がある冒険者から選ばれます。例としてピンチベックは戦時中に数々の画期的な拷問方法を開発して最高議会の目に留まり、その後厄介払いを兼ねて戦場に送り込まれると斥候として参戦、敵将を討ち取るなどの大活躍をしました。また、身元がはっきりしないピンチベックが自治領の拷問官として取り立てられたのは彼が魔族の中でも位の高い、とある人物を救出し、戦時中に自治領が魔族達から多大な支援を受けたからだとされています。彼らはフットワークの軽い戦力として、検挙する為の証拠が揃っていない犯罪者の殺害や、憲兵隊や冒険者ギルドが関与出来ない宗教などのデリケートな問題の解決、有事には市民の混乱を防ぐ為の隠蔽工作など、必要悪とされる役割を担っています。

 

 

焔塔教団について

 

一昔前は小規模で、小さな村を拠点に細々と活動していました。段々と規模を拡大していましたが、ある時王国が送り込んだ内通者により不正行為の数々が露見。所謂ガサ入れの際に信者達が激しく抵抗し、彼らは邪教徒として処刑されてしまいます。しかし最近になり敗戦で不信感を買い、権威の落ちた正教に変わり台頭、王国の元老院、商人ギルドの一部高官とも癒着して、莫大な資本の力で電撃的に信者を増やし、知名度を増やしつつあります。資本の心配が無くなった為、以前とは違い寄進などを求めず、表向きは慈善活動や雇用拡大を行なっている為に市民から親しまれています。現在の活動拠点は王国で、旧時代の兵器を発掘し、王国を支援しているようです。

 

 

王国について

 

人類種がメインの王国です。数年前までは種族間差別廃止を謳う正教が主流の平和な国家でした。しかしながら、本編開始の2年前、異常気象によって大凶作が起き、これを克服する為に元老院主導で余った国土を急激に開墾、国境付近のウッドエルフが多く住む森まで開墾した結果、自治領の国土と国民を害する侵略行為だと見なされ、自治領に宣戦布告を受けます。開戦当初は優勢だったものの1年程で多種族国家である自治領の多彩な戦術や暗殺者による将校暗殺での士気低下、自治領が魔族の国、デミゴルゴアの支援を秘密裏に受けた事もあって次第に劣勢に立たされ、更に一年後に自治領の降伏勧告を受け降伏。国家運営が順調だった中での凶作と敗戦は、人類種屈指の強国を瞬く間に斜陽国家に変えました。失業者や職にありつけない若者が増え、国境付近の地方は自治領によって事実上の植民地になっています。また王国を囲む雄大な山々には軍縮により職を失った王国兵が山賊となって跋扈しています。現在の王は僅か11歳のレド7世ですが、元老院の傀儡になっていると批判が集まっています。

 

 

自治領について

 

広大な国土を持つ、自然豊かな多民族国家です。王国とは和平協定を結んだものの、油断は出来ない状況にあります。統治は順調で、腰が重くなりがちな上層部が独立した戦力を確保して迅速に問題の解決を目指す

など、政府が精力的に活動している珍しい地域でもあります。国土が広い上、戦勝国なので税金は安いですが、戦争の原因になった人類種に対しては差別的、批判的な意識が非常に強いです。宗教はその土地に昔からある精霊信仰や祖霊信仰が多く、これといって覇権を握っているような所はないです。地方では人類種の少数民族が暮らしている場所もあります。しかし、多彩な信仰が災いして争いの火種になる可能性を自治領は危惧しているようです。自然が綺麗なので観光目的で立ち寄る旅人も多いようです。

 

 

この世界の傭兵

 

ストゥーピスト(ルルド)のような傭兵として活動している人物も一定数おり、そのような人物は商人ギルドや自治領の最高議会など複数の勢力からの依頼を吟味しながら賢く立ち回っています。外注の戦力は特定される心配が比較的少ない為、非常に需要があるのです。どうやらストゥーピストは故郷から離れて商人ギルドや冒険者ギルドとの関係を深める為に自治領まで来ていたようです。ピンチベックに会うまでは借金の取り立てや盗賊狩りで生計を立てていました。彼の場合、戦争の際王国領で悪い意味で有名になり過ぎた為、戦争で肩入れしていた自治領に来たんですね。無名でも冒険者であれば稼ぎのいい汚れ仕事が入って来るので、殺人欲求と金銭欲を両方満たせる彼には天職だったのでしょう。報酬の交渉や後始末、依頼を取り付ける時など、傭兵には頭脳やマナーも要求されます。意外と彼もお金以外の事を考えて行動しているのでしょう。

 

 

 

魔物と魔族について

 

この作品では中々出て来る機会に恵まれませんが、スライムやワイバーン、コカトリス、大蜘蛛、大蛇などの魔物も存在します。低級な魔獣や巨大昆虫などは戦闘能力のない一般市民でも対処可能ですが、ドラゴンや白鯨、人喰い鬼などは冒険者でないと難しいでしょう。魔族は魔物と人間の特徴を併せ持つ種族です。しかしきちんと理性があるので少しイタズラ好きな程度で、しかも人里にはあまり降りて来ない事が多いです。勿論、ペラドンナのような変わり者が人間社会に興味を持ってやって来る事はよくあるし、修行の一環として旅をする魔族もいます。彼らは突出した能力を持つ個人を敬う風習があり、ペラドンナはその風習によって増長し、無茶な旅に出た訳ですね。戦闘能力に長けた者が多く、その割には歴史の表舞台に出てこない為、謎の多い種族です。

 

 

作中にまだ出て来ていない地域について

 

ジパング : 情報が少ないが、旧時代より更に昔の支配体制が採用されているらしい。ある歴史研究家曰く、ジパングの人類種程、同種で殺し合った種族はいないとの事。独自の魔術分野が確立されている模様。強力な魔物が多数生息している。

 

カイン大陸 : ジパングとは地理的に近く、国土が広い。人口の割に人類種の割合が多い。複数の派閥に分かれており、事実上の鎖国状態らしい。美しい工芸品が有名。

 

氷の国 : そもそも現在人が住んでいるかすら不明。明確な支配者も分からない上に、国かどうかすら怪しい。最後に外部の人が訪れた際の記録は50年前、カイン大陸の人間がたどり着いた記録しかない。近海に凶暴な海獣が生息しているために、生半可な船であれば帰還はおろか上陸もままならない。

 

アトランティス : 魚人が住む国家。様々な伝説が残る。海の底に存在する為、向こうからの接触で初めて存在が判明。国家としての規模は不明だが、現存する国家の中では技術水準がかなり高い。

 

エレマイア : エルフ達が暮らす森の国。宮殿すら全て樹木で形成されている。「娼婦のいない国」と呼ばれるなど、規律と風格を重んじる国であり、空気が特産品の一つと言われる程綺麗で、都会の喧騒から離れたい作家や詩人が訪れる事の多い場所で、美しい景色が特徴。

 

デミゴルゴア : 魔族が暮らす国。禍々しい紫色の溶岩が流れる火山の近くに入り口がある。空間自体が歪んではいるが、対策をすれば出入りに支障はない。一部界隈でカルト的な人気のある温泉地でもあり、毎年湯治に幅広い層が訪れる。付近の魔物が強い為、一般人が向かうには入念な準備が必要。落雷のような独特の音楽文化も特徴である。

 

 

他にも大小様々な国や地域が存在する。

 

 

この世界の学業について

 

基本的に学業は貴族や富裕層が修める事が多く、平民は農業や工業を学ぶ為に就学することがありますが、大抵は家業を継ぐ事が多いので家族や同業者に学びます。また、比較的若い段階で冒険者としての才能が発現した者は任意で養成校に通えます。低級な魔物との実戦を兼ねた訓練や魔術の研究を行う場所であり、ここを卒業すればギルドに信頼される

ので仕事がやりやすくなるでしょう。逆に貴族は史学や帝王学を履修する事が多く、科学や数学は専門家を目指す者が学ぶものです。勿論神学を学び聖職者を目指す者もいますし、商人ギルドに入って商売を学ぶ若者も多いです。士官学校で軍人や官僚を目指す者もいれば、読み書きが出来ない孤児が盗賊に身をやつす事もあります。

 

 

この世界の娯楽について

 

電子機器が時代から消え、羊皮紙に筆を使い会話する時代になっても、文化は残り、時代に合わせて変わっていきます。

 

 

観光

 

美しい景色は人の心を洗い流します。森や湖、古代の遺跡、豪華な宮殿などを鑑賞する家族連れがいれば、肝試しに廃城や夜の森、暗い洞窟に向かう無軌道な若者もいます。後者は遭難したり悪霊や魔物に襲われて冒険者の懐に入る金貨になる事が殆どです。

 

食事

 

食べ物はいい。ジャングルの中でさえ正気を保つ為の娯楽になりうるのですから。例えば竜の肉は弾力と旨みがあり、諸侯のパーティーに呼ばれた冒険者なら一度は食べるご馳走です。牛肉が毎日食べられるのは貴族の特権だが、そればかりでは飽きる。貴族が娯楽の一環として、或いは農民がたまの贅沢に外食に向かうのはよくある事です。立ち飲み屋では肉体労働者が談笑しながら強い酒をあおり、魔物の肉を焼いて食べる物好きな冒険者もいれば、虫を生きたまま食べるリザードマンもいます。楽しみ方は人や文化によるのでしょう。

 

祭り

 

子供にねだられ、見世物小屋や演劇をやっている舞台に向かう夫婦の姿は村祭りでの見慣れた光景です。演目も観客のニーズに合わせたものが沢山ある事でしょう。

 

 

 

音楽

 

森を歩いている時に、月桂冠を被った少年に、或いはサテュロスに一曲頼まれたという旅人は多いし、船の上でもセイレーンの歌声を掻き消すような陽気な歌を歌えば身を守れます。魔族の歌は変わっていて、殆ど慟哭や叫び声に近いですが、日頃のストレスを発散するには最適だし、何より人間、ただ歌うだけで楽しめるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回に…続く?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。