ピンチベック   作:あほずらもぐら

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第74幕 : デスペラード

『…………何も知らないってか?お嬢は……マジで吸血鬼に攫われただけ?』

 

『曲がりなりにもあの少女は自治領の最高権力者の一人……そして何より、ピンチベックを脅迫する手段に成りうる。彼の体組織は異常よ……歩く事すらままならない寝たきり病人がAランク相当の冒険者に早変わり。そんなものが吸血鬼に渡ったら……!』

 

 

『マナ適性を得た吸血鬼か……奴の能力を何処で知ったか分からんが、吸血鬼の生命力なら奴の力を取り込んで多少反動があったとしてもリターンの方がデカイ筈だぜ……少なくとも、あのガキみたくモロに精神が削られる事は無い筈だ……まぁ、病人が元気になったのは素直に良かったと思うがな………奴の肉片を医者に売ったらどうだ?』

 

 

『大抵は変身後の彼と似た姿になる……適合率が低い者はもっと悲惨です。細胞に精神を食い尽くされて廃人になるか、膿だらけで触手を振り回す肉塊になるかの二択を迫られる………本格的に志願者を募る前にこちらでマウス実験をしたのは正解でした。』

 

 

『……死にはしないってのがまたエグいな………まるで奴の凶暴性や残虐性が肉片にまで乗り移ったみたいだ。』

 

 

 

『…………昔はね、虫も殺せないような優しい子だったんです。』  

 

 

『………過去の詮索はしねぇ。だが力を手に入れた人間は確実に変わる……単に増長するか、それとも理想の為に戦うか……どれだけ身体を鍛えようが、結局は脆い生き物なんだよ、人間は……』

 

 

ストゥーピストは水煙草の樹脂が入った小瓶を抱え、色付きの煙を吐き出しながら呟く……校舎の廃墟、堕落した神官の首、そして”親”の遺言。自分は没落と再生をいつまで繰り返すのだろうか?

 

 

『…………紙もあるぞ、吸うか?葉は二年くらい絶ってるが、中途半端に残ってるんでな。誰かに使って貰った方が良いんだ……』

 

 

『いえ………私は魔力回復用の酒があるので……それに、炎魔法に肺活量は重要ですから。』

 

『そうか、残念だなぁ………今はもう廃盤になった銘柄なんだ。確か……”季節風”だったか。』

 

彼は所々塗装の禿げた赤色の金属ケースに紙巻きタバコを仕舞うと、戦闘時に装着していた黒水晶の防塵ゴーグルを少しだけずらし、ギフトブレイズと目線を合わせた。

 

 

『俺ぁまだまだ不完全燃焼でな………バラバラにされて路地裏で死ぬのと、これから二人で吸血鬼のババアから牙を引っこ抜いて首飾りにするのどっちが良い?選ばせてやる……』

 

 

『…………これ以上脅威を増やすのは得策ではありませんね。合理的に判断するなら、互いに協力した方が良いかと。』

 

『そうだな。正直言ってペラドンナの野郎とやり合った後にここまでやるとは思わなかったぜ………俺も死ぬのは嫌なんでな、アンタが弾除けになってくれると助かる。奴は………毒が抜けたら飛んで来るだろ。』

 

 

『………私が言うのも説得力がありませんが、麻痺毒の被害者の救護とかは』

 

『金になるのか?俺ぁ戦争屋だからな、金にならない事はしない。そういうのは正義の味方に任せるさ…………餅は餅屋ってな………行くぞ。』

 

 

 

ストゥーピストは風を纏い、毒煙を掻き分けながら高速移動!跳び上がって低所に滞留するガスから逃れる!

 

『全く、空飛べば良いじゃねぇか………あ、アイツのでかい羽根だと風圧と衝撃波で更に被害が増すのか……』

 

 

ドォン!

 

 

『あ、起きたな……いや、アレは妹の方か?見た感じ、まだ16歳くらいか。本物の才能ってのは怖いねぇ……俺達も仕事を取られないようにしないとなぁ?』

 

ギフトブレイズは装束を裏返しにして、赤色に蛇の刺繍が入った面を表にすると、鬼を象った象牙の仮面で顔を隠し、完璧な別人と化した。

 

『今から私は………”ブラッドソル”です。ギフトブレイズ?知りませんね。』

 

彼女は血のような赤色に燃える両腕を突き合わせ、深く頭を下げた。

 

『中々洒落た名前だな……吸血鬼には縁起が悪いだろうが。』

 

『誤った力の行く先は破滅のみ。行きましょう……今回ばかりは同志です……』

 

 

ブラッドソルは炎を腕から噴射しながら跳躍、ストゥーピストと共に森へ飛び出した!

 

 

『吸血鬼は見つけ次第俺が殺す!奴を追いかけろ!何としても合流するんだ!』

 

『了解……こちらでも近くの者を呼んで捜索を要請します…二手に分かれましょう。』

 

『おい………』

 

 

『何ですか?手短に済ませるように。』

 

ストゥーピストは包帯に包まれた塊を投げ渡した。

 

『これは……!』

 

包帯に包まれていたのは、彼女が腰に下げたものと同じ短剣だった……かなり古びてはいるが、良く手入れされており鋭い。持ち主が大切に扱っているのが良く分かる………敵将から賜ったものなど、折り捨ててもおかしくはないというのに!

 

『莫耶か………また懐かしいものを。』

 

『……奴にも、中々おセンチな所があるんだな……義兄弟って所か。奴は剣を持って行って、代わりにコイツを置いて行ったんだよ、これ以上使うと原型が留まらないってな。』

 

 

『………詮索はしないと言っていませんでしたか?』

 

『俺にも義兄弟と組長(オヤジ)がいたんだよ……ったく、若が頑固だったばかりに皆…………散り散りだがな。物理的に散り散りになった奴もいた……あんな奴らでも、家族は家族だったからな………アンタに少しだけ…………重ねたよ。悪かった……』

 

 

『彼らは仲間を家族と呼ぶ……便宜上ですがね。』

 

『………憧れたんだ、悪いかよ。』

 

 

『……いいえ、無い物に憧れるのは分かりますから。』

 

ブラッドソルは短剣を眺めながら呟いた。何度も刃毀れ、歪み、血錆びたものを修理したのだろう……ドス黒い血が染み込んだ柄には墨染めの革が巻き直され、刃にも薄っすら血の色素が移って桃色になっている。10年どころではない……まるで100年間絶え間なく殺戮の限りを尽くしたような妄執が篭っていた。

 

 

『内臓の色素が少ない……拷問に使った形跡もない……戦いだけに、身を守る為だけに使った………無益な殺生をしない。私は裏切ったというのに、まだ約束を守っている………なんと………なんと………!』

 

 

仮面の隙間から涙が溢れる。

 

 

『………奴は狂人かどうかも怪しくなり始めたぜ?ヤバくなるとな、奴は人の形すらしていないんだ………』

 

 

『急ぎましょう、彼を……いや、弟を止めなければ。』

 

 

 

 

 

ーその頃ー

 

 

 

 

 

 

「ハハハハハハハ………ヒ、ヒィ、ヒ……キキキキキキキィ……!」

 

 

黄金の目を持つ悪魔が嗤う……彼は狂っていたが、同時に驚く程冷静であった。まるで溶けかけたチーズを裂くように、機械化された冒険者の胴体を素手で引き裂く!

 

「ヒヒヒヒヒヒィ………さぁ出て来い、血の匂いだぞ………俺は……私は悪魔だ!何も間違っておらぬぞぉ!出て来い……出て来ぉい!血を啜る豚が……叩き殺してやる!」

 

 

更に泡を吹いて死んだ冒険者の顔を食い千切る!

 

「鉄……鉄ぅ!貴様らが喰らう血と鉄の匂いだぞ……………クククク!」

 

(…………近いぞ……まだだ…………)

 

 

『キキキィッ!』

 

(……今だ!)

 

暗闇から……いや、突如現れた影から、大量のコウモリが飛び出し、ピンチベックに襲い掛かる!

 

「イヤァァァァァァァァァーッハッハッハッハッハッハッハッハ!」

 

だが、ピンチベックは血塗れの鉤爪を振り回してコウモリを全て引き裂いたのだ!並の冒険者でもこの不意打ちでは少なからずダメージを負う筈であるが、強大無比な悪霊の憑依者たるピンチベックは、恐るべき手練れの戦士は格が違う!バラバラにされたコウモリの死体が周囲に散らばり、影に溶け出していく……

 

 

『お見事………正直かすり傷くらいは与えられると思っていたのだが、いやはや驚いたよ。君、人間にしては相当だね……』

 

 

目の前に立ち塞がる女性は美しく白い肌、色が全て抜け落ちた短髪に、鋭く赤い血のような目……190センチ近い長身と、異常なまでに美しい容姿。典型的な吸血鬼だ……

 

「………私はピンチベック……ピンチベック………あの方を返して貰うぞ。」

 

『どんな汗臭い筋骨隆々の大男が来るかと思ったが……なんと若く可愛らしい……フン、フン、フン………!?』

 

次の瞬間、女性は目を見開き、激しく痙攣しながら舌舐めずりをした!その目はまさに羊に飛び掛からんとする狼そのもの!

 

『なんと、神はまだ私を見放していなかったか………この匂い……これだけ人を殺めていながら……君はぁ!あぁ!あぁ!……なんたる僥倖だろう!なんたる素晴らしい出会いだろう!』

 

「何だ………私の血はそんなに旨く見えるのか?」

 

 

『勿論だとも……あぁ、こんなに手を血で濡らしていながら、罪深い程に美しく、純粋無垢な君よ………私の手で、舌で……そして牙で……これから沢山汚してあげよう……どうやって汚して欲しい?何でもやってあげるとも………時間はたっぷりとある………退屈はさせないよ……』

 

 

「貴様……拷問官か?同業者は歓迎だ、後学の為に貴様の腕前を見ておきたいが……悲しいかな、貴様の腕はここで腐り落ちるのだ。」

 

 

『拷問?……君は………痛く、苦しい程に激しくして欲しいのかい?それとも……もどかしい程に優しくして欲しいのかい?勿論、どちらもやってあげるよ……私は慈悲深い………!』

 

「何の話をしている!長生きのし過ぎで狂ったか……?」

 

『狂った、そう!私は狂っているのだ!君も!この世界は狂っているぅ!一緒に狂ってみないか!きっと楽しいぞ………狂う程に……フフフフフフフフ!』

 

彼女は心から笑っていた……美しい顔が、更に美しく歪む。

 

 

(いや、揺さぶりか……知恵を付けた吸血鬼程恐ろしい物も少ないな………かなり高位、もしや始祖から血を直接与えられた純血種か…)

 

「例えギルドのAランク冒険者ですら苦戦は必至、腕のニ、三本は覚悟すべきだな。」

 

『……ギルドか、懐かしいね。まだあるのかい?私が最後に見たのは500年程前でね…………嬉しい事だよ。』

 

「500年……!」

 

『フフ……私ももう人間基準ならお婆さんだね。でも君のお友達は始祖様と同い年くらいかな……だから君の年齢でそこまで扱えるのは本当に尊敬する……』

 

「……ほう?始祖が仕切っているか、詳しく話を聞かせて貰うぞ……だが私がやる……手を貸すのはもう暫く待てよ、アブホース。私が奴を地獄に叩き落とす!」

 

ピンチベックは吸血鬼に小剣で斬り掛かる!だが吸血鬼はこれを指二本で軽々と受け止めたのだ!

 

『あぁ!大変失礼をした………私はね、デスペラードと言うのだ。』

 

 

デスペラード(無法者)?貴様程の猛者が名乗るような崇高な名前か?」

 

『君もピンチベック(紛い者)と呼ぶには個性が強いように思えるね……私の名はね、人間だった頃の名残だよ………君はまだ後戻りが出来る………勿論、始祖様に忠誠を誓い、私と永遠に過ごす事も可能だ!』

 

剣をへし折り、ボロボロの翼を広げて激しく羽ばたく!翼から大量の破片が闇を纏いながら機銃のように射出される!さながら破壊という概念が雨として降り注いでいるかのような威力で、辺り数百メートルが消し炭と化した!

 

 

「何という出鱈目な威力………始祖とやらはこれより強いというのか、全く嫌気が差すな。」

 

ピンチベック無傷!彼はボロ屑のような冒険者の首を握り、恐怖で無理矢理にシールドスペルを発動させていた……次の瞬間、ズタズタになった冒険者の肉体が崩れ落ちた。その様子を見て、デスペラードは大量に流れ落ちた涎を吸い込んだ。

 

 

 

『…………無慈悲!身勝手な正義を掲げて銀の矢を私に射掛けた一個師団より余程強いぞ君はァ!私も昂って来た………始祖様の祝福を受け取るに相応しい戦士よ、この氷の如く冷たい身体で奈落より深く愛してあげよう!』

 

デスペラードは握った杖から血のような色の長剣を引き抜き、美しい構えを取った。

 

『出血には気をつけるよ………君を味わう為だ……おいで、可愛がってあげよう……!』

 

「気味の悪い奴め……自分から女を斬る趣味は無い、来るなら自分で来て頂こうか。」

 

『成程、激しくされたいのだね?』

 

 

デスペラードはごく自然に、ピンチベックの背後から剣を繰り出す……つい先程までそこにいたかのように。単純に素早いだけなのだ……彼が見切るのが困難な程に!

 

「………!」

 

彼の首筋から血が流れた……傷口からは、僅かに赤い稲妻が発生している。

 

『浅いな……あれを見切るとはね。』

 

それと同時に、デスペラードの頬からも血が垂れていた……それを舐め取ると、彼女は牙を剥き出しにして笑った。

 

『………君の血は黒いのか。上品な色だ……少し喰らわせて給えよ、全身を……丁寧に、執拗に!損はさせないとも!』

 

「何故そうなる?吸血鬼の嗜好は理解不能だ……」

 

 

『ふむ……無知は罪ではない。知れば良いのだよ………これから100年程掛けて教えてあげるよ……その頃には君も素直になっているさ……』

 

「己の無力をか……言うだけはある。あと少し判断が遅れていたら、私の首は間違いなく地面に転がっていた……」

 

 

『欲の無い子だ……もう少しエゴを知り給え!』

 

デスペラードは呆れながらも正確な斬撃と電撃放射をリズミカルに繰り出して隙の無い攻勢を続ける……ピンチベックはこれを回避するも、電撃で徐々に体力を削られていく!

 

「ぬぅ……これが!」

 

『その若さで私の剣術とここまで打ち合うか……数える程の年数で、ここまで鍛え上げたその執念!そして才能!潰すには惜しい!』

 

遂に小剣が弾き飛ばされ、デスペラードの一撃がピンチベックの腹を貫いた!

 

「断る……あの人を返せ…………俺は……あの人の………」

 

仮面の下で激しく吐血しながらデスペラードに掴みかかり、一瞬の動揺を突いて剣を引き抜き、渾身の頭突きで自身の仮面ごと彼女の頭蓋を砕きに行く!

 

 

『ぬあぁっ!この痛み……久方振りの感覚だ!人によって人を思い出すとは………君はこんな苦しみに耐えながら、ここまで技を磨き上げたのか!素晴らしいと言う以外、言葉が見つからないな!』

 

 

「俺は!カラドリウス様の………従者!真の支配者に!仕えし者だ!」

 

『……忠誠心か……他に劣らぬ良いエゴだ!だがまだ青い!』

 

「その青い若造に何が出来るか、貴様はこれから知る事になる!」

 

傷口を自ら引き裂き、大量の血で視界を塞ぐ!そのまま自分の腸を引き摺り出してデスペラードの首に巻き付け、絞め落とす!夥しい量の血が巨大な水溜りを作り出すが、そんな事は些細な問題に過ぎない!

 

『これがっ!苦しみ……あぁ、酷く苦しい!これが君の覚悟か!』

 

 

「ぐぅあぁぁァぁぁァアア!これが!我が忠義ぃいい!この程度の痛みぃ!蚊が刺すのと何ら変わらぬぅぅ!」

 

 

『あぁ!私も全力だとも!手加減などしていないさ!』

 

「うぅぅぅあぁ!」

 

更に歯を剥き出してデスペラードの喉元に喰らい付き、肉を食い千切る!

 

『が……ぃ………ぐふぅっ!?』

 

だがデスペラードは恐るべき吸血鬼!凄まじい膂力で負傷したピンチベックを引き剥がしに掛かる!

 

「……殺す………殺す!あの方が望んでいる!故に!貴様を千度殺す!」

 

『……く………油断し……た!素晴ら……し、い………!』

 

ピンチベックは爪を突き立てて地面を転がる!血みどろの塊と化した両者は一歩も引かない!痩躯に見合わぬ筋力で爪をデスペラードの肉に突き立て、常人離れした脚力で暴れ回る!

 

「………う、ぐ…………!」

 

『このちから………ご……かく……か!よいぞ!もっと………みせてくれ………!』

 

「……言われずとも貴様は殺す!始祖も殺す!教団も!あの方を邪魔する者を!全て殺す!」

 

 

『あ………ぁ…………』

 

デスペラードはピンチベックを抱きしめ、首に齧り付いて肉を喰らう……狂気!

 

『………美味しいよ………もっ………と………』

 

「うぅ………動いてくれ!俺の身体!動いてくれぇ!」

 

 

ピンチベックは最後の力を振り絞り跳躍!尖った岩にデスペラードを叩きつける為に、全てを賭けた覚悟の一撃を見舞う!

 

『ん……うっ!今まで飲んだ血の中で…………一番だったよ………!』

 

 

「死ねぇ!デスペラードォ!ここで死ねえぇぇ!!うあぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

尖った岩が二人を同時に貫く!もはや手足の生えた肉塊と化したそれは、ゆっくりと立ち上がる………零れ落ちた臓物を無理矢理腹に押し込み、そこら中に散らばった冒険者の死体から剥ぎ取った血肉と骨で辛うじて命を繋いだ………歯が抜け落ち、鼻が削げ落ちて尚、ピンチベックは!執念のみでそこに立っているのだ!

 

 

『………こんなに………痛いのか………こんなに………怖いのか……もう充分過ぎる程生きたのに…………怖いなんて………不思議………ぶはぁ!』

 

 

「……オエェェェェェェッ!」

 

ピンチベックはあまりの苦痛に嘔吐しながらデスペラードに近寄る!鼻を付け直し、歯を歯茎に突き刺して!

 

『人間は痛がるって、聞いたのに……君は………』

 

「…………黙れ。俺の……勝ちだ…………勝ちなんだ………人間じゃないぞ、俺は!俺は………人間じゃ、ない…………」

 

 

『…始祖様ぁ…………こんな………私を………拾って………くれて………ありがとう………』

 

 

「俺もだ…………あの人に…………拾われた………中々……楽しかったぞ……いい準備運動…………に………」

 

デスペラードはピンチベックの頬を撫でた。そして笑った。

 

「な……ぜ………笑う…………!」

 

彼の身体を、再び槍が貫いた。

 

 

 

 

 

第74幕 完

 

 

 

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