インフィニット・ストラトス~~ロボッツハート~~   作:ユウキ003

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大変遅くなってすみません。楽しんで頂ければ幸いです。


第7話

~~~前回までのあらすじ~~~

新たに学園に転校してきた一夏のセカンド幼馴染み、凰鈴音。彼女もまた一夏に思いを寄せる1人の少女だった。そんな中で、中條も中條でセシリアと仲を深めたりしていたのだが、一夏と鈴の認識の違いから2人は喧嘩をしてしまい、偶然その場に居合わせた中條は、涙ながらに一夏の部屋を走り去る鈴を慌てて追うのだった。

 

 

凰さんを追って寮を出た俺は、そのまま寮の周りを歩き回った。そして、見つけた。

 

敷地内を走る道の途中にある、街灯に照らされたベンチの下で彼女は静かに泣いていた。その姿を確認した俺は、一度寮に戻って自販機で温かい飲み物を買い、それを手に彼女の元へと戻った。

 

もう居ないかな?と言う不安を覚えながらベンチの側に行くと、彼女はまだいた。そして、今も肩をふるわせている。

 

「凰さん」

「ッ」

俺が声を掛けると、彼女は驚いた様子でこちらに視線を向けた。そして数秒戸惑った様子を見せるが、すぐに服の袖で乱暴の目の周りをゴシゴシと拭う。

 

「何よっ、何しにきたのっ?」

刺々しい言葉に、『私に構うな』と言わんばかりのオーラを感じられる。実際、今の彼女には近づいて欲しくないのだろう。けれど……。

 

「もう春とは言え、4月の夜は冷えますよ」

俺はそう言って彼女の傍に、さっき買った温かいカフェオレの缶コーヒーを置いた。……ブラックじゃ飲めるか分からなかったからこっちにしたんだけど、大丈夫だよな?

 

彼女は俺が置いた缶コーヒーを一瞥するだけで、手を付けようとはしない。い、いかんっ!会話が続かないっ!ど、どうにかしないと空気が重くなる一方だ。え~っとえ~っとっ。

そ、そうだっ!

 

「凰さん。一つ、聞いて良いですか?」

「…………何よ」

「凰さんと一夏の過去について、教えてくれません?」

「……はぁっ!?」

 

なんで今それ聞くのっ!?と言わんばかりに声を荒らげる凰さん。けれど……。

「もしかしたら、男の俺から何かアドバイスが出来るかもしれませんからっ!」

怒られるよりも先に、俺は言葉を続ける。

「ッ」

そして、アドバイス、と聞いて凰さんは少し息を呑んだ。それからしばらく凰さんは無言だった。……やっぱり怒らせてしまったか、と俯いて考えていた時だった。

 

『カチャッ』

缶コーヒーを開ける音がした。顔を上げて前を見ると、彼女がカフェオレに口を付けていた。

 

「……良いわよ。話してあげる」

そう、ぶっきらぼうながらも彼女はそう言って、静かに語り始めた。

 

俺は間隔を空けて彼女の隣に座り、彼女の話を聞いていた。

 

元々、中国という外国からの転校生であった彼女は、小学校において動物園のパンダのような物珍しい存在だったそうだ。周囲からのそんな扱いが嫌だった中、一夏と出会い、次第に打ち解けていったと言う。そして気づいた時には、彼女は一夏に恋心を抱いていたそうだ。だが肝心の一夏は、『当時から友人とか幼馴染みにしか思ってない』と彼女は愚痴っていた。

 

「そうだったんですか」

そして、ある程度話を聞き終えた相槌を打つ。すると……。

 

「…………アイツ、なんで約束忘れてるかなぁ。……こっちは、一世一代の告白のつもりだったのに」

そう言って、凰さんは再び目尻に涙を溜め始めた。思い出をリピートして、一夏との楽しい記憶を思いだしたおかげで怒ってこそ居ないが、やっぱり悲しいんだろうなぁ。

 

「……あぁ言う約束って、本人の認識の問題ですからね。一夏が、お味噌汁を使った告白の話を知らない可能性もありますし。知っていても、酢豚の一軒と関連付けていないのかも」

「そうなのかなぁ」

悲しくて、怒って、泣いて、怒って、また悲しそうな声を漏らす凰さん。

「ねぇ、一夏が約束の意味を分かる日ってくるのかな?」

「……それについては、俺の口からは何とも。ただ、一夏ってそう言う所鋭い方ですか?鈍い方ですか?」

「そりゃもう断然鈍いわよっ!あたしの約束を曲解している時点で鈍いに決まってるでしょうっ!」

唐突に怒り出す凰さんに俺は苦笑を浮かべる。喜怒哀楽の激しい人だなぁ、と感じつつも、俺は思ったことを口にした。

 

「じゃあ、やっぱり一夏に遠回しな告白とかは無理だと思います」

「無理?」

「はい。無理って言うか、効果が無い、ですかね。例えばの話ですけど、一夏が『月が綺麗ですね』って言葉を『愛しています』って意味だと理解出来ますかね?」

「あ~~。無理ね。そりゃ。アイツの事だから、『おぉ、ホントに月が綺麗だな~』って返すに決まってるわよ、絶対」

そう言って気怠げに俺の言葉に応える凰さん。

 

「やっぱり、ド直球で行くしか無いのかなぁ。あ~でも恥ずかしいぃっ!直接告白なんてっ!ただでさえあの時だって心臓が口から飛び出しそうになったのにぃっ!」

そう言って頭をかきむしる凰さん。

 

「う~ん」

その様子を見て、俺は考えた。遠回しな言い方は一夏が理解出来ないだろうからNG。かといって凰さんも直接は恥ずかしいのだろう。……となると。

 

「あっ。手紙なんてどうです?」

「えっ?手紙?」

「そうです。口がダメなら文章や手紙なんてどうですか?そうすれば少しは羞恥心も緩和するかと思いますけど?」

「う~ん、悪くは無い、と思うけど。一夏の性格を考えると皆の前で読みそうで怖いのよねぇ」

「あ、あ~~。確かに」

 

流石にそれは、と思いたいが、もしその時傍に箒さんでも居たら大変だ。

「う~ん、じゃあせめて、一夏がどうにか1人で手紙を読んでくれる状況になれば……。あぁでも一夏、箒さんと相部屋だからなぁ」

どうしよう、と俺は頭を抱えていた。が……。

 

「あっ!良い事思いついたっ!」

「えっ?」

「確かクラスの対抗戦が近かったじゃないっ!それを利用するのよっ!」

「利用、って?」

「簡単よ。一夏に約束させるの。私が勝ったら、あとでその手紙を1人で読む事って!」

「成程。確かにそれなら良いかも」

 

 

その後、なんやかんやで俺は凰さんと数十分ほど、二人きりで一夏にどう凰さんが告白するか作戦会議を行った。

 

やがて。

 

「ふぅ、そろそろ私も寮に戻るわ。ありがと、相談に乗ってくれて」

「いえ。俺も泣いてる女の子をそのままにはしておけませんから」

「そっ。お人好しなのね、アンタ」

「まぁ良く言われます」

 

どうやら凰さんも、ある程度は落ち着いた様子だ。と言うか、会議してる時は結構色々考えて、悩んでと言う感じだった。……それほどまでに一夏に恋をしてるって事なんだろうなぁ。

 

俺としては応援したい気持ちもある。ただまぁ、箒さんが居る以上どうなるかはまだ分からないが。

 

「ともかく、色々ありがとね。それとこれ、ごちそうさま」

「はい。それじゃあ俺も部屋に戻りますから。おやすみなさい、凰さん」

そう言って離れようとしたとき。

 

「鈴で良いわよっ」

「えっ?」

「名前、凰さんってのも堅っ苦しいし。鈴で良いわ。その変わり、私も中條って呼ばせて貰うわよ」

「はい。良いですよ、鈴さん」

 

と言う事で、何だかんだで俺は凰さん改め、鈴さんと仲を深めたのだった。

 

そしてその翌日。

 

「なぁ鋼司」

「ん~?」

朝のHRの前。俺が席に着くと、すでに来ていた一夏から声を掛けられた。

「昨日、鈴は何であんなに怒ってたか、お前分かるか?」

「あ、あ~~。その事か~」

うん。理由は分かってる。分かってはいるが……。

 

「すまん一夏。その事に関して俺の口から何か言う事は出来ない」

「え?」

「実は昨日、あの後鈴さんと少し話したんだ。流石に泣いてる女の子を放ってはおけなかったしな」

「そう、だったのか。……何か悪いな、俺の尻拭いさせちゃったみたいで」

「気にしてないって。まぁでも、ちょっとでも罪悪感とかがあるのならこれだけ言っておく」

「え?」

 

「今度、クラス別の対抗戦があるだろ?そこで多分、鈴さんはお前に勝負をふっかけてくると思う。内容は、負けた方が相手の言う事を一つ聞くって感じだろうな。だからもし、一夏が負けたら鈴さんの言う事をちゃんと守る事。良いな?」

「お、おぉ」

一夏は少し訳が分からない、って感じの表情で頷いた。

 

まぁ、俺が下手なことを言って鈴さんの計画を台無しにするのはダメだからな。言えるのはこれくらいか。

 

 

そして、そんな日の事だった。学校の廊下に対抗戦の日程表が張り出された。そこに書かれていた、一組の代表である一夏の最初の対戦相手は二組、つまり鈴さんだった。

 

 

それから数週間が経った。対抗戦が迫る中、鈴さんは一夏と積極的に接触を避けていた。と言うより、『怒ってます』という感じのオーラを放って一夏を寄せ付けなかったのだ。少し気になって理由を聞いてみたが、『これであの約束の事、ちゃんと思いだしてくれたら』って言う彼女なりの賭けだったみたいだ。

 

まぁ、肝心の一夏は『おっかしいな~。確かあの約束で合ってるはずなんだけど』と言って首を捻るばかりだったが。

 

 

ちなみに、鈴さんとは別に俺は箒さんにも少し話をしていた。理由はまぁ、贔屓にならない為だ。

 

まぁいきなり箒さんと二人っきりになった時に、『箒さんって一夏の事、好きですよね?』って切り出したら、『なっ!?なななななっ!?なんで知ってるんだっ!?』って顔を真っ赤にして驚かれたなぁ。

 

その後、俺は事の次第を説明した。鈴さんは一夏に気がある事。あの約束の意味。俺は男として鈴さんにアドバイスをする立場になった事。そして、対抗戦の勝負の結果を使って、一夏に告白するかも知れないこともだ。

 

この話を聞いた時、箒さんは……。

「やはりそうかっ。アイツも一夏をっ」

と、かなり険しい表情を浮かべていた。

 

「それで?お前はどうして私にその話をした?まさか、あの女に言われて、私に一夏から手を引くよう説得して欲しいとでも頼まれたのか……っ!?」

「ちっ、違います違いますっ!そんなんじゃ無いですってっ!」

今にも殴りかかってきそうな剣幕の箒さんを宥め、俺は事情を説明する。

 

「俺は鈴さんに、男性としてアドバイスを送ろうとは思ってます。でも、鈴さんだけじゃ箒さんが不利になっちゃうじゃないですか」

「私が、不利、だと?」

「はい。だってこの島に、一夏以外で男、しかも同世代って言ったら俺しかいない訳ですし。だから、もし一夏と同世代の男目線でアドバイスとかが欲しかったら遠慮無く俺に聞いて下さい」

そう言って俺は笑みを浮かべる。

 

「そ、そうか。確かに一夏と同じ男目線からアドバイスを貰えるのはありがたいが。良いのか?お前は凰の方を応援していたんじゃ?」

「いいえ。鈴さん1人を応援してる、って訳じゃないんです」

俺は静かに首を横に振ってから話始めた。

 

「俺にはまだ、頬を赤く染めるような甘酸っぱい恋なんて、した事なくて。それがどういう物なのかは分かりませんけど。……でも、俺の性格なんですかね。そう言うのを見ると、何だか無性に応援したくなるんです」

「そ、そうなのか?」

「はい。自分でもお節介だとは思うんですけど、でも……。誰だって好きな人と結ばれたいじゃないですか。だからこそ、2人には公平な勝負をして欲しいんです」

 

「だから、私にもアドバイスをしてくれると言うのか?」

「はい。でも俺がするのはあくまでもアドバイスだけです。どっちが先に一夏に想いを伝えるのかは、箒さんと鈴さんの勝負ですから」

 

その言葉に箒さんは、数秒目を瞑ってから、再び視線を上げて俺を見つめる。

 

「そうだな。分かった。ならば何かあれば中條に相談するとしよう。その時は頼むぞ」

「はい。喜んで」

 

こうして俺は、何だかんだで箒さんとも仲を深めながら、彼女のアドバイス役にもなったのだった。

 

 

そんなこんなで、アリーナを使っての練習が出来る最終日。明日から対抗戦の調整が入るため、アリーナを使用出来るのは今日が最後だ。

 

今日も今日とて、俺、セシリア、一夏、箒さんの4人で訓練だ。内容は一夏の強化が基本だが、俺も一夏の剣術の動きを見たり、セシリアの射撃技術を間近で見られるのはありがたい。

 

などと考えつつ、たどり着いたのは第3アリーナのピットの一つ。一夏が自動ドアを開いて俺達が中に入ると……。

「待ってたわよ一夏っ!」

 

なぜかピットの中に凰さんが先回りしていた。

「鈴さん?どうしてここ……」

「貴様何をしているっ!どうやってここに入ったっ!ここは関係者以外立ち入り禁止だっ!」

俺が問いかけるよりも早く、箒さんが声を荒らげている。

 

「安心しなさい。宣戦布告に来ただけだから」

「宣戦布告?」

鈴さんの言葉に首をかしげている一夏。しかし数秒して、ハッとなった様子で俺の方に視線を向けてくる。

 

その視線に俺は、小さく頷く。この前警告したとおりになったな、なんて俺は思いつつも周囲に目を向ける。ここには俺やセシリア、箒さんも居る。

「あの、鈴さん。俺達邪魔だったら席を外しますけど?」

「いえ。居て良いわよ別に。あたしも長居するつもりは無いし」

 

俺達の方に向かってそう言った鈴さんは改めて一夏と向かい合う。

 

「一応聞くけど一夏。アンタあたしとの約束の件、思いだした?」

「約束って、あれだろ?俺なんか間違えて覚えてたのかよ?」

「ッ。……やっぱダメ、か」

一夏の答えに鈴さんは一瞬息を呑んでから、どこか残念そうな表情をしている。まぁ彼女からしたら、あの約束の意味をちゃんと理解してくれた方が良いんだろう。なにせ一世一代の、って本人が言ってたし。

 

「ダメって何だよダメって。俺約束覚えてただろ?」

「だからっ!意味が違うの意味がっ!」

「意味?」

何と言うすれ違いだろう、と見てて俺は思った。一夏は首をかしげ、鈴さんはため息をついている。

 

「もう良いわっ!アンタの理解力に期待した私がバカだったっ!こうなったら対抗戦で勝負よっ!」

「勝負?」

「そうよ。あたしが勝ったら、あたしの言う事を一つ聞いて貰う。良いわね?」

「あぁ良いぜ。だったら、俺が勝ったらその約束の意味って奴、教えて貰うからな?」

「うぇっ!?そ、それは、その……」

 

途端に顔を赤くする鈴さん。どうやら今の一夏の話を持ち出されるとは思ってなかったんだろう。

「何だよ?出来ないってのか?だったら止めても良いぜ」

「ッ!だ、誰が止めるもんですかっ!」

すると鈴さんは別の意味で顔を赤くしている。今の一夏の一言がかんに障ったのだろう。

 

「アンタこそ、あたしにコテンパンにされて、負けて泣かないように精々頑張りなさいよ」

「誰が泣くかバカ」

「ッ!誰がバカよ誰がっ!この朴念仁っ!間抜けっ!アホっ!バカはアンタよっ!」

 

雲行きが怪しくなってきたな。それにこのままじゃどうなるか。

「鈴さん、流石にそれは……」

と、俺が止めようとするよりも早く。

 

「うるさい、貧乳」

 

『ピシッ!!!』

 

その時、俺はその場の空気が凍り付くのを肌で感じた。

 

「バッ!?おまっ!?」

今のは何でも言いすぎだっ!と俺も声を荒らげようとした。

 

『ドガァァァンッ!!!』

 

しかしそれを遮るように響いた爆音。俺は恐る恐る、後ろの鈴さんの方へ視線を向けた。見ると、鈴さんがISを部分展開し、腕を横に向けて振るっていた。拳は壁に届いていないのに、壁にはクレーターが出来ている。

 

 

「い、言ったわねっ!言ってはならない事を、アンタは……っ!」

殺気に近い怒気が鈴さんから溢れ出ている。この場合、第三者である俺が場を取りなすべきなのかもしれないが、今の彼女の気配の前に俺の足はすくんでいる。

 

この怒気の相手は一夏だ。なのに俺は気圧されている。

 

「す、すまん。今のは流石に、俺が悪かった」

「今の、『は』っ!?今の『も』よっ!何時だってアンタが悪いのよっ!」

そう言って、鈴さんは足早に去ろうとする。

 

「気が変わったわ。ちょっとくらい手加減してあげようと思ったけど、対抗戦は全力で、ボコボコにしてあげるから。首を洗って待ってなさいっ」

鋭い視線と怒気、殺気さえ混じらせながら鈴さんは一夏を睨み付けて出て行ってしまった。

 

 

「……こりゃぁ、大変な事になったな」

 

俺は困惑する一夏を見ながらも、俺は最悪な状況にため息を漏らしそうになった。

 

その後、一夏は箒さんとセシリア相手に訓練を。俺は、クレーターになった壁をそのままにもしておけないので、とりあえず職員室に居る織斑先生のところに行った。

 

「は?凰がピットの壁を殴って壊しただと?……どういう状況でそうなった?説明しろ」

「はい。実は……」

 

俺は織斑先生に事の次第、ピットでの出来事を最初から事細かく説明した。

 

「成程。……全くあの愚弟ときたら。いや、凰も大概だが織斑も同罪か」

「すみません。現場に居たのに、何も出来ず」

「お前が謝る必要は無い。が、すぐに知らせに来てくれて助かった。すぐに修理の手配を進める。……全く対抗戦が近いと言うのに。あの2人は仕事を増やしおって。あとで説教だな」

「そ、そうですよね」

「とにかく。もう良いぞ。下がれ」

「はい。失礼します」

 

そう言って俺は職員室を出た。さて、どうするか。一応練習の様子を見に行こう。と言う事で俺はアリーナに向かった。その道中。

 

≪ねぇねぇコージ~≫

『ん?どうした黄匠』

≪あのリンって子、イチカって男の子が好き、なんだよね?≫

『まぁそうだな』

 

≪じゃあなんであんな風に罵倒したりするの?胸のサイズを指摘されて怒るのは分かるけど、何かその前からもあのイチカって男の子に怒ってる時があったし。どうして?リンって子はイチカって子が大嫌いなんじゃないの?≫

『それは……。難しい人間関係って奴かな』

 

≪どういうこと?≫

『確かに鈴さんは一夏が好きみたいだ。でも、人間って言うのはそれぞれ感じる事や思う事がある。だから鈴さんにとっては『とても大切な告白の言葉』が、一夏にとっては『友人との約束』って思う時だってある。人間が10人も揃えば、考えた方、感じ方、思想、主義主張。ぜ~んぶバラバラになる。一つの言葉を同じ意味に捉えるのだって難しい。だから時にすれ違いを起こす。だから人間関係って難しいんだ』

 

≪複雑なんだね。人間って≫

『……複雑、か。確かに人間ほどこの世の中で複雑な生き物は居ないのかもしれないな』

 

俺は黄匠の言葉に、そんな事を思い浮かべるのだった。

 

 

そうして、何だかんだと時間は過ぎていき、迎えたクラス対抗戦当日。

 

1試合目は一夏と鈴さんの対決だ。注目の男のISパイロットって言う事もあってアリーナの観客席は女子生徒でいっぱいだ。俺は朝早くから清香に引っ張られ、運良く彼女と並んで席を取る事が出来たのだが……。

 

『『『『『『じ~~~~~~』』』』』』』

う~ん周囲からの視線が痛い痛い。

 

まぁそれも試合が始まるまでの我慢だ。などと思ってしばらくしていると、一夏の白式と、鈴さんの専用IS、中国の第3世代機、『甲龍』がピットから飛び出してきた。

 

う~ん、鈴さんは多分今も激おこだろうなぁ。しかも経験から言えば代表候補製の鈴さんの方が経験値は高いだろうし。これ、一夏勝てるのか?

 

なんて不安を感じながら俺は2人を見上げている。

 

 

これから、もっと大きな事件が起きるなどとはつゆ知らずに。

 

     第7話 END




今回は切りが良いのでここまでです。感想や評価、お待ちしております。
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