神代くんの口調間違ってないかな..........
『悪の魔王を倒すため〜♪私は旅立つのだ〜♪』
天馬くんことペガサスは高々と拳を上下に振り下げて歌を歌いながらネネロボの方へと突き進む。
ショーが始まり、さっきまでの緊張がもっと大きくなってきた気がする。
何度も自分で心を落ち着かせるが、心臓の音が身体中に響いてしょうがない。
お腹も痛くなってきて、頭も痛くなってきた。
本当に大丈夫なんだろうかと頭の中で何度も問いかけてくる、失敗したらどうしよう、台無しにしてしまったらと。
「はあ............」
壁に寄りかかり、もう何度目か分からないため息をした。
「緊張、してるのかい?」
ふと声をかけられた。
「まあね......緊張しない方が難しいよ、不安すぎるしなんせ、ショーを大事にしたくない、本当に大丈夫かなあ........」
そろそろ出番が近くなってきた事を悟り、不安と緊張が大きくなり始めたのか、つい声をかけてくれた神代くんに本音をぶつけてしまう。
「おや、水上くんらしくない弱音だね、僕の実験の時は堂々としているのに」
「............」
彼なりに励ましてくれているのは分かるのだが、今はそれよりも『やりたくない』という気持ちが勝ってしまっている。
これはただの逃げだ、自分でも分かっている。
「怖いのかい?」
「うん.........」
そう答えると神代くんは僕の頭にポンと撫でるように置いた。
「じゃあ....そうだね。水上くん、別にミスをして来てもいいんじゃないかな?」
「......え?」
ミスをしても良い....?
「ああ、そうさ!ミスをしてもいい、そんな気持ちでぶつかって行けばいいだろう」
「で....でもそんな事したら.....」
「だが、僕には君が「ミス」と言う事を犯すには思えないよ、なんだって僕のたった1人の"相棒"だからね。例えミスをしたとしても、必ず僕たちがカバーをしてみせるから!水上くんは水上くんなりに自分が最高と思えるありったけの力で演技をしてくるといいさ!!!」
優しく頭を撫でていた手は僕の右手を掴みステージの入口へと導かれる。
そこにはやる気満々の鳳さんも居た。
「類くん!博くん!みんなが笑ってるよ!!」
鳳さんが笑顔でこっちを向きながら言ってきた。
「ああ。いい滑り出しだ。さあ、次はえむくんと着ぐるみさんと水上くんの出番だ。司くんと寧々が繋いでくれた分、2人とも頑張ろう!」
「博くん!一緒にお客さんの事、にっこにこにしようね!!!」
「頑張らさせて....いただきます!!」
なんだろう、このチームなら頑張れる気がする。
不思議と緊張は無くなっていた。
僕がこれから演じるのは魔王のドラゴンのお世話係・エムムの下に着いている剣士だ。
黒い長いマントにとにかく全身黒の服装をしている、めちゃくちゃ怪しいヤツだ。
名前は「ハクビシン」人の家の屋根とか地下に住む、猫みたいな見た目をしている動物だ。
ステージの上にでると眼に直ぐ映ったのは客席にいる満席のお客さん。
心の中で関心してるとセリフが始まった。
『あたしは魔王様のドラゴンのお世話係・エムム!王子なんて、ぺっちゃんこにしちゃうぞ〜!』
『くっ!あんな巨大なドラゴン、どう倒せばいい!?』
さぁ、次のセリフから僕のターンが始まる。
出番とシーン自体は少ないが....どれだけお客さんの眼に止まるか勝負所。
自分を押し殺せ....!!!悪役になりきれ!!
『ちょっとまてよ』
するりと背中から刀を取り出し、さっきまでドラゴンの後ろに隠れてた少年がゆっくりとドラゴンの前へとでた。
「っ!?貴様は...!!」
邪悪なBGMと共に現れた『ハクビシン』はペガサスの元へすたりすたりと歩いてくる。
「ここはドラゴンさんの出番はないですよエムムさん....。この俺がズタズタにしてあげましょう。」
不気味な顔と少し色気がある言い方をした瞬間、目にも留まらぬ速さで、ペガサスの首元へ刀を振り落とした。
「.......!!!」
「ほう....これを避けるとは。流石、王子という所ではあるではないか、じゃあこれはどうかなっ!!!」
今度は連続切りをお見舞いし王子に攻撃を許さない猛攻を仕掛ける。
ガキン!!カギン!!と刀と刀が削られる音がステージ中に響いた。
「くっ.....!!!」
「ほら、負けてしまうぞ!!王子ペガサス!!いいのか?こんな所で苦戦していては、魔王どころかドラゴンにも勝てないぞ?」
フハハと微笑んでいるハクビシンはペガサスに煽りを入れる。
「......私は!!絶対に負けないっ!!!魔王を倒し!そして世界を平和にするのだ!そのためには貴様見たいな邪悪な奴は倒してやる!!!」
強い意志と共に押されていた刀にも力が入ってくる。
さっきまで優勢だった、ハクビシンが今度は最初の王子ペガサス状態になっていた。
「だから...こんな所で負ける訳にはいかない....!!!ハアアアアアアアアア!!!」
「な、なぜだっ!!!さっきよりパワーがっ!!!押し負けるだとっ!!この俺がっ!!!」
「これで!!!終わりだ!!」
「ぐあああああああ!!!」
スパーンと体が刀で切られ、バタッ....と倒れるハクビシン。
「さあ!次はお前だ!!ドラゴン!!」
ペガサスのセリフが終わったと同時にハクビシンの命も尽きたのであった。
倒れた僕を回収するため1度ステージが暗くなり、天馬くんが裏まで運んでくれ、ボソリと声をかけてくれた。
「見事な演技だったぞ博、最初のセリフから別人だと思ってしまった。練習とは雰囲気が違かったぞ!お前には驚かされてばかりだ!後はフィナーレまで休んでくれ」
その言葉で安心感があり、照れくささと涙が出そうになった。
「お疲れ様、水上くん」
「うん」
「ミスはしなかっただろ?」
そう、にこやかに言われたので僕は満足そうに笑顔で「うん!」と答えた。
「さあ、この後は寧々のソロパートだ」
そう、このドラゴンを倒すには歌を歌って寝かせるのだ、そこで寧々さんの独壇場って訳である。
きっと大丈夫だ、寧々さんだって練習をしてたんだ。
そう考えながらショーの続きを見ることにした。
「.....ココは、ワタシにマカセテクダサイ。ウタをウタイマショウ」
「ーーーーー♪」
『わあ!綺麗な歌ー!』
よしっ!!めちゃくちゃ綺麗な声!!!子供たちもすごく喜んでるよ!!!
「いいぞ!ドラゴンがウトウトしている!」
「ーーーーー...........」
あれ?声が途切れっ.....!?
「動きが.....!?」
「な.....!」
「充電切れ?まさか寧々、あの後もずっと練習を!?」
「まずいよ....!どうすればっ!!!」
ネーネーが歌わないとドラゴンを眠らせて倒すことはできないっ....!!!
「ネーネーどうした!お前が先に眠くなってどうする?見ろ、もう少しでドラゴンが眠そうだ!みんな!ネーネーを応援しようじゃないか!」
天馬くんが何とか場を持たせようとするが時間の問題すぎる!!
しかし、僕は何も出来ないでいた。
ただ、今起こってる事を無言で見ることしか出来ない、ただの約立たずでで焦ってるだけのクソだ。
「ネーネーがんばれ!ほんとに......がんばれ......!!!」
「う、うわ〜!応援が凄くて、ドラゴンがビックリしちゃってるよ〜!」
いや....!鳳さんのスーパープレイでなんとか倒せるかもしれない!!!
「よし、みんなの応援でドラゴンが怯んでいるうちに倒してやる!」
これで一件落着と思ってしまった僕はバカだったのかもしれない。
トドメをさそうとした瞬間、ネネロボは天馬くんを潰してしまったのだ。
「うわ.....っ!?ぐええっ!!」
『えっ!?王子がネーネーに潰されちゃったよ!?』
「わわわーっ!?た、助けなくっちゃ!みんなー!司くんを助けて!」
「.....残念だけど、ここまでだ....」
「えっ...?神代くん?」
すると神代くんはマイクを持ち出し....。
『こうして、ペガサス王子はドラゴン達と仲良くなったのでした。しかし、王子の度は始まったばかり。王子が魔王を倒す日まで、度は続いていくのでした......おしまい』
..........終わって........しまった。
「な......っ!」
『え?どうなっちゃったの?ねー今ので終わっちゃったの?........つまんなーい!』
『なんだよ。王子、敵に助けられてるじゃんダッセー』
『なんだかよく分からないショーだったわね....』
『最初は良かったのに急につまらなくなったなあ。また、他のアトラクションに乗ろうか』
こうして、最初のショーは終わってしまった。
最後はみんなで笑顔で終わるショーではあったはずなのにお客さんは笑顔では無い。
天馬くんは手から血が出そうなほど握りしめて下を向いてしまっている。
鳳さんは『あ....っ』と言いながら困った表情でお客さんを見ていた。
神代くんな何やら考え事をしていて、寧々さんは泣いているし、僕に至ってはただ座っているだけの無能。
とにかくみんな最悪な状態であった。
今回も見て下さりありがとうございます!!!
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