盧生たちは街道を塞ぐように存在する、エメラルドで出来た茂みに囲まれた大きな洞をもつ大木の前に居た。
「全て本物だな。これが生存圏を脅かす迷宮でなければ戦争が起きただろう」
「全くだ。こんなものがなくとも世界大戦は起きてしまったがな。二度目は御免だ」
「度し難いことよ!」
:また人類の上から目線で話してる
:そういいつつ、世界大戦に第一次つけるの止めてください。デスVR代理世界大戦はよっしーが止めたじゃん
「エメラルドなら硬度は大してないだろう」
そう言って四四八はバキバキとエメラルドを折って進む。
:ぁああっ
:ひえぇえぇぇ
:カラットってサイズじゃないけど何億!?
大木の前で立ち止まった四四八は後から来た甘粕の襟首を掴む。
「なんだ、どうした?」
「お前は直ぐに忘れるからもう一度言うぞ?
そこに呆れた目をして、ゆっくりとクリームヒルトが歩いて合流する。
「そいつもお前と一緒に保護出来んのか?そいつが魅了されると
「
「
「ボスのとき以外はお前たちの動きが落ちた時だけかけてたんだよ。蓄積毒でなければ出来ん芸当だ」
「なるほど、ならば甘粕の忘れんうちに進むか」
四四八が甘粕を放して、洞に入ると、中にはあらゆるものがエメラルドで出来た森があった。
木々の間から煌びやかな金細工のような蝶が飛んでいる。
「恐らくあの蝶が魅了を持つ
「もうここから甘粕に焼かせたらどうだ」
「俺は構わんぞ!」
甘粕が森を砕き尽くすと、緑色の瓦礫の山が残った。
「見当たらんな。下か?」
「そういえば、四四八よ。森はどうやって階層を分けるのだろうな。地続きの坑道でも線路が境界になっていたが」
「ここが全何階層かは書いてなかったのか?」
「クリーチャーは把握しているが、そこまでは読めなかったな。能力で押し切れないだろう序盤を重視していた」
「当然か。なら、再び蝶が出る前に手分けするぞ。合流するときは声の聞こえる距離でお互い止まろう」
「了解だ」
「承知した!」
3人はそれぞれ別の方向に進み、森だった瓦礫の中で次に続く道を探す。
甘粕が瓦礫の中を蹴り進んでいると何かが中でキラリと光った。
「ん?」
甘粕はそれを足の甲で掬い上げると、固まった。
:何みっけたの?
:見せて―
その直後、甘粕は辺りを見渡すと姿を消した。
:ゲームとは言え、何でこの人たちカメラ振り切れるの?速えよ
追いついたカメラに映ったのは、
「妙な真似をする前に、消えてもらおう!」
「ぐっ!魂たちよ、四四八を呼んで来い!!」
クリームヒルトに切りかかる甘粕だった。
:何かと思えば、ばっちりかかってらっしゃるー!
:カッス、ご乱心
:こんなこともあろうかとカメラ置いてった時点で四四八呼んだぜ
勇者からの知らせを聞いた四四八は、勇士に現在地を確認しながら、二人の下に向かっていた。
「あの、馬鹿っ!いや、あいつなら再出現なら発動までに倒せるか。瓦礫の中に何か居たな?何にせよ、間に合えよ!」
そんな四四八の視界に猟犬を召喚して、甘粕を牽制するクリームヒルトと、生き生きとした甘粕の姿が入る。
「甘粕がやらかす前に、届けっ!」
:あれ、有効距離あったのか
「何だ、なかなか骨のある奴が出てきたではないか!リトルボォォォイ!」
その声と共に四四八の体は動かなくなった。
正気を取り戻した甘粕の前には、2つの袋と2人の幽体がいた。
「甘粕、魅了を受けた時期と意識について訊きたい」
「魅了は瓦礫の中の細長い石だと思っていた蛹から出てきた蝶から受けたんだろうな。何か光ったと思った次の瞬間には、クリーチャーを倒すのが目的になっていた」
「俺は<権能召喚>は勝手に使うなと言ったはずなんだが、術技は制御出来なかったのか?」
「いや、目的とお前たちがクリーチャーだと思い込んでいた以外は俺の意思だったぞ。すまんな、急に強敵が現れたので盛り上がった」
「期待はしてなかったが、どうして防がなかった。黄錦龍」
「お前たちは本当に怒ってばかりだ。良い夢を見ていたのだろう?どうして邪魔する必要がある」
:流石すぎる
:阿片じゃなくても良いんすね
「ん?認識が入れ替わるだけで、害は無いだろう」
:阿片は毒物なんですけど
:じんたんマフィア論者は直ぐ阿片の話をするな(すっとぼけ)
その後一度撤退し、四四八とクリームヒルトだけが
森はすっかり元に戻っている。
:甘粕ェ
:出禁なむ
「悪いが、ここは2人で進ませてもらう」
:よっしーママとの約束を破ったカッス君が悪い
:宇宙で遊んでるんでしょ?どっち見ようかな
「ママは止めろ」
お互い距離をとり、クリームヒルトが接近する度に、四四八が<英雄の御旗・破段之壱『
節約のために主戦力はクリームヒルトだ。
:ここの敵が生き物ばっかで良かった。
蝶に加えて、蛇や蝉が襲い掛かるが、クリームヒルトに瞬殺されていく。
「相性はあるが、私も火力特化なのでな。ちゃんと対象選択も残している」
そうやって、森を進んでいると2人は瞬時に声を掛け合い背中合わせになり、<英雄の御旗・破段之壱『
直後、樹上から6寸の巨大な鴉が急降下して向かって来る。
中層ボス『
「つまり、ここははっきりとした階層分けが無い、と。面倒な」
カラスは一鳴きすると右足に『旋棍』を構える。
「なるほど。カラスらしい技だ。クリームヒルト、俺の術技は把握しているな?」
「当然」
2人は樹木に駆け上がり、カラスの翼を粉砕して地面にたたき落とした。
「使われなければ、真似できんようだな。このまま、押し切らせてもらおう」
「悪いが、黄錦龍持っている甘粕を置いてきて正解だったな」
「同感だ」
術技を使わずに畳みかけて、『
【
「これは便利そうだな」
「なら、同じものかもしれん」
2人が手に入れたのは『優性卵』、対象の一番高度な術技を記録し、任意に発動できるアイテムだった。
:これ、人数分貰えたのかな?
奥に進むと急にクリームヒルトの姿が消えた。
「転移?」
:魂です。クリームちゃん飛ばされました
「わかった。何かあればまた頼む」
:きんきゅうそくほー。勇者が馬鹿の
その言葉にはため息で答えた。
その後、落ち葉に埋まったキノコによるものと判明した強制テレポートと迷いの森を兼ね備えた森の中を再会と分断、<英雄の御旗・破段之壱『
:強制テレポートは術技で無効化するのズルくない?
「たまたまここの近くに飛ばされたようだ。ワープ無しでも辿り着けたようで安心したぞ」
そこにはクリームヒルトが待っていたので、合流して先に進む。
巣には7つの卵があり、その中に1つだけ一際大きな4寸ほどの大きなつるりとしたエメラルドの原石のような色の卵があった。
迷宮ボス『
それは、ぴきぴきとひび割れ、中から悪賢そうな鋭い緑眼の
雛は、瞬く間に他の卵をバリバリと噛み砕いて喰らい、ぼっこりとお腹を膨らませた。
そして、自身のテリトリーに足を踏み入れた四四八とクリームヒルトを見て大きく嘴を開けて突進した。
それを四四八は受け流し、巨木の外に落とす。
「あいつ、飛べるのか?」
「どうだろうな。今のうちに中心にでも行こう」
戻ってきた雛は叫んだ。
「<メメントモリ・破段『モート』>!」
「この迷宮では一度たりとも使ってないぞ」
「立ち悪い能力ばかりだな、ここは」
単調な動きの為に一方的に攻撃できているものの、雛はクリームヒルトの即死技や猟犬召喚、四四八の自己強化技を数分ごとに発動していく。
「一度に発動すればいいものの時間をかけるということは、クールタイムでもありそうだな」
段々と強くなっていった雛、
警戒して離れた位置で構える四四八とクリームヒルトに観察される中、艶やかな濡羽色の長い羽根を羽毛の間から羽織のようにびっしりと生やした。
そして、一鳴きすると、『
「おい、中ボスが騙されているぞ」
「奸計でもかけられたんじゃないか。全部抜いてやれば正気に戻るか?」
「討伐目指す方が確実だろう」
2人と3羽の戦いが始まるが、3羽分のコピー技が降りかかる中、2人は郭公に集中的に攻撃する。
「ダメージを肩代わりするらしいぞ、あの羽織」
:カッス居たら、地獄絵図だな
:鳥ってラリるの?
2人の攻撃で全ての黒い羽根が抜けると、急に仲間割れが起き、3羽は相打ちになって倒れた。
「予想通りの結果だな」
:最初に食われた卵の両親だったのかな
柊四四八って柊一から448人居るんだろうかと考えたんだが、四四七はきっと女で大和撫子で京都弁(゚∀。)y─┛~~
四四八人兄弟の柊一家の日常物はまだですか?