男がその手にある槍を床に突き刺すと城が震え、広間に六つの黄金の骸が積み重なって出来たレリーフの彫られた柱が出現する。
それらからは最初の糸使いを除く今までのボスの術技が放たれる。
「動いてこないのは楽だが、影と薔薇が厄介だな。影の柱を破壊するぞ」
「合わせる!」
「応っ!」
盧生たちは柱を1つずつ破壊していく。
:動かないって言うけど、稼働範囲広いんだけど
:骨が組体操するなよ
盧生たちが全ての柱を破壊すると玉座に座り、戦いを眺めていた男が立ち上がり、優雅に拍手した。
「見事であった。俺は卿らを過小評価していたようだ。お前たちならば我が破滅の光にも劣らぬかもしれぬ。誇れ、そしてこの一撃を凌いで見せよ」
その言葉と共に床に突き刺さった槍が引き抜かれる。
槍は最初に目にした時よりも輝いていた。
甘粕は歓喜して獰猛な笑みを浮かべ、四四八とクリームヒルトは身構えた。
槍は盧生たちに向けられ、甘粕の超火力を凌駕する熱量の黄金の光線を放つ。
世界を砕くかのような光で画面は白く染まり、悲鳴のような軋みだけが響く。
画面に色が戻った時、『千呪棺王』は汚物でも見るかのような目で甘粕を、その手に持つ黄錦龍の棺桶を睨み付けた。
「そいつは、この地にあっては為らぬ者だ」
「ふっ、四四八のようなことを言う。こいつのような者の誘惑を断ち切れてこそ人は人で在れるのだろうよ!」
「否定はせんが、釈然としないんだが」
「勇敢なる者達よ、其れを此処に置いて出ていけ。邪魔立ては入ったが、この光を生き延びた時点で卿らには先に進む資格がある」
【この世界に
【メダル工房がアンロックされました】
槍を一振すると、システムメッセージと共に四四八とクリームヒルトの姿が消えた。
「置いていけ、と言ったはずだが?」
「何、俺も喧嘩に混ぜろと言うだけだ。追い出されるかとも思ったが、どうやら参加できるらしいな」
「良かろう。だが破壊の光の前に朽ちよ」
そんな甘粕と『千呪棺王』の会話に、己の知る世界こそが人類に幸福をもたらすと信じる白痴の妄言が割り込む。
「ああ。お前達は何故怒ってばかりいるのだ。己が内で好きに争っていれば良いと言うのに。何故態々、外を巻き込もうとする。なぜ争うのか?お前たちは馬鹿なのか?悲しいなあ。お前のような奴がいる限り、人類は永遠に夢が叶わない。だから――」
:長いよ、じんたん
:なんで今攻撃されないの?
「お前のような者を現世に還しはせぬ」
:死んでるんだよなあ
:HP0の先ってあるの?
「何故おまえたちはいつもいつも――自分が何より大好きなくせに、他人と関わらなければ生きていけないなどと嘘を吐く。他人などに関わらず、夢を見ていれば良いのだ。外の世界など苦しいだけだろう、世界を自分の形に閉じてしまえばあの阿片窟のみんなのように幸せになれるというのに。怒って悲しんで何故それを有難がる?なんて可哀想な者達だろう、俺が救ってやらねば。輝く世界を俺が与えてやろう」
『千呪棺王』の槍もまた、一度目よりも遥かに強く神々しく輝く。
「人皆七竅有りて、以って視聴食息す。此れ独り有ること無し。太極より両儀に別れ、四象に広がれ万仙の陣――終段顕象
「集束せし闘争の黄金光っ!」
「俺も混ぜろ!<切磋琢磨・破段『後の後』><権能召喚・破段『摩訶迦羅』>っ!!」
黄錦龍の鴻鈞道人が『千呪棺王』に黄金城諸とも光を夢で侵し、『後の後』によって2つの術技を越えるため威力が上がった甘粕の裁きの一撃が『千呪棺王』を打つ。
:待って、画像が乱れてんだけど
その
砕けた先にはのっぺりと平坦な闇に粒子のように細やかな緑色の点がびっしりと並んでいた。
:数字?
:バグった
:全部0と1か?
:よしやママっー!馬鹿2人がゲーム壊した!!
『千呪棺王を完全討伐しました。黄金城は消滅します』
『プレイヤー全員に術技<女神の抱擁>が付与されます』
システムメッセージの後、甘粕と棺桶はデータの海に投げ出された。
『error!存在しない座標です。初期転送ポイントに強制的に転送します』
甘粕と黄錦龍が町に送られると、数分で四四八とクリームヒルトが駆け寄る。
そして、甘粕の頭を四四八、黄錦龍の頭をクリームヒルトが力強く殴る。
「っ!分かっているぞ、四四八。強敵を二人じめにして済まなかった!!」
「違うわっ、馬鹿!何、プログラムにダメージ与えてんだ!!」
「止めろ、黄錦龍!誰も抱き締めろなんぞ言ってない!」
:さっきの何だったの?
:よっしーとクリームちゃん、頑張れ。超頑張れ