白石競走記   作:華燈始

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10.ラーメン

休日ということもあり、私達の入ったラーメン屋は多くの人々によってそこそこの賑わいを見せており、私達がテーブルにつくまで十分程の待ち時間があった。

 

お冷やを出す店員に各々の注文をしたら、先程まで続けていた雑談の続きを展開する。

学園の授業の話、教師の批評、最近のトレーニングの話や寮でのとりとめのない話などの会話に花を咲かせていると、ラーメンを二杯持った店員が「お待たせしました 」と配膳したため、会話を一旦中断してそれらを受け取った。

これらのラーメンはアグネスタキオンとゴールドシップが注文した醤油ラーメンで、タキオンが頼んだものが大盛り、ゴールドシップが頼んだものは大盛り+具沢山というオーダーらしい。

次に運ばれてきたのは私がたのんだ味噌ラーメンの中盛りだ。

これを受け取ったときに、ゴールドシップからは心配そうな顔で「足りんのか? 」と聞かれたが、私は元々ウマ娘にしてはあまり食べる方じゃないので問題ないと彼女に説明した。 それに納得したのか、ゴールドシップは「そっか 」と言うと自分のラーメンをズズッとすすった。

私達三人がそれぞれラーメンを食べ進め、どんぶりの半分ほどまで腹に入れた頃、ようやくライスシャワーの注文が運ばれてきた。

ゴールドシップのものよりもさらに盛られたラーメン(ライスシャワー曰くメガ盛り+具沢山というオーダーらしい)に、チャーハンが二杯と餃子3皿がテーブルに置かれたときは自分の目を疑った。

 

しかし、その後の彼女の食べっぷりを見て、これが妥当な注文量だったと納得できたが、初見でこんなにも小柄な彼女がこれ程の量を食べるなんて誰も思わないはずだ。

私が親だったら、エンゲル係数の計算だけで毎月頭痛を催すだろう。

彼女を見て、ウマ娘の養育の大変さを感じると共に、両親への感謝の気持ちがわいてきたので、心の中で静かに両手を合わせておく。 ありがとう両親。

 

結局、ライスシャワーは注文した大量の料理を二十分足らずでたいらげ、デザートにアイスクリームを注文して会計に望んだ。

私達4人の食べた合計金額は6000円を優に越し、7000円にも迫ろうとしていた。

ゲームセンターに向かう時から、昼食は割り勘と決めていたので皆で1700円程度を出しあったがそれによって元々軽かった私の財布はさらに重量を減らすことになってしまった。

 

その後、私達はラーメン屋を出たのだがここでちょっとしたトラブルが起こる。

ラーメン屋の店先で、ライスシャワーの靴の靴紐がきれてしまったのである。彼女はよくあることだと言うのだが、今月はこれも含めて三本の靴紐がきれており、寮にも予備がないらしい。

話し合いの結果ゴールドシップがライスシャワーを背負って近くの靴屋まで靴紐を買いに行くので、私とアグネスタキオンは少し進んだ先のベンチで待っていることになった。

 

 

さて、二人を見送って言われた通りベンチへと腰かけたわけだが、私はいつにも増して緊張していた。

それは彼女、アグネスタキオンからの視線を今日一日、ずっと感じていたからだ。

四人でいたときは特に気にせず話していたが、二人きりになったとたん彼女の視線を顕著に感じ始め、背中の方がぞわぞわとしてきたのだ。

 

この事をいつ切り出そうかと悩んでいると、なんと彼女の方から

 

「う~ん…実に素晴らしいね 」

 

と話しながら私の脚を触り始めた。

突然のことだったので私も驚いてしまい、声こそ出なかったが耳と尻尾は動揺から、あたふたと動かしてしまう。

 

「この脚…健康的で丈夫そうな脚だ…それでいて力強さも兼ね備えている…」

 

私の動揺をよそに、彼女はさらに続ける。

 

「シライシ君…後日理科室に来てくれたまえ。 日程や時間は後々連絡する、そこで有意義な話でもしようじゃないか 」

 

ある程度彼女の手付きにも慣れ始め頃、そのように話を持ちかけられる。

私としては、理科室に行くくらいなんてことはないので二つ返事で了承したのだが、その後に見せたアグネスタキオンの怪しげな笑みを見て、もしかしたら断った方がよかったかも知れないと思ってしまった。

 

また、彼女による脚撫ではゴールドシップとライスシャワーが合流するまで続き、その日は解散となった。

そして、帰り際に交換した連絡先から理科室に行く日時と時間が送られてきたのだった。

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