12月25日の夜。
本日分のトレーニングを終え、帰宅した私はすぐにシャワーを浴び、今日部室で行われるクリスマスパーティーに持っていく物を準備していた。
本来なら、寮生は門限があるため夜中は寮の外に出てはいけないのだが、マックイーンが生徒会と寮長に交渉を行い、あまり騒ぎすぎないという条件付きだが、特別に許されたのだ。
赤や黄色などのきらびやかな色で包装されたプレゼントに、レンジで温めておいた料理を持ち私は会場へと向かった。
※※※
部室の中は、風船や旗、大きな靴下などで赤、緑、黄色、白に飾り付けられていて、普段の物の少ない部室から様変わりした雰囲気を醸し出していた。
ゴールドシップ、マックイーン、ライスシャワーの3人もすでに着席して準備万端といった様子でいる。
「お! おせーぞ、先に始めようかと思ったぜ 」
ゴールドシップにそう言われ、壁掛け時計を見てみるが、集合時間より5分早い。 飾りつけは昨日の内に行ったはずなので、3人ともパーティーを待ちきれずにはやく来たのだろうか。
「ごめんごめん 」
と言いながら扉から1番近い席に腰かけると
「遅刻ではないので、気にすることはありませんわ 」
マックイーンからのフォローがはいる。
「おっし! 全員揃ったってことで、早速乾杯しようぜ! 」
ゴールドシップは4つのコップにオレンジジュースを注いでそれぞれ1つずつ手渡すと
「皆、飲み物は持ったな? そんじゃ、乾杯!! 」
と乾杯の音頭をとった。
カンッとコップがぶつかり合う音がなり、私は一口だけ注がれたオレンジジュースを飲む。
「なあなあ、皆どんな食い物持ってきたんだ? ゴルシちゃんお腹ペコペコだぜ 」
コップの中のオレンジジュースを全部飲み干したゴールドシップは、テーブルの上に置かれている皆で持ち寄った料理をはやく食べたいようだ。 目をキラキラ輝かせてはやくはやくと催促する。
「では私からいかせてもらいますわ 」
丁寧に小さく挙手をして、マックイーンが発言する。
「私はケーキを買ってきましたわ! 好きなだけ食べてください」
彼女は、自信の目の前に置いてあった白い箱を開ける。
中にはショートケーキやチョコケーキ、チーズケーキなど、様々な種類のケーキがびっしりと詰まっており、少し離れた私の席からもその甘い匂いが鼻に届いた。
「そんなに一杯食ったら太るぞ? 」
「私1人で食べるわけではないので平気です! 」
そんな2人のやり取りを尻目に、次はライスシャワーが足元からタオルのかかったバスケットを取り出した。
「ライスは、パン屋さんでパンを一杯買ってきたよ 」
バスケットの中を見えないように隠していたタオルをライスシャワーが取ると、そこからパンの香ばしい匂いが漂った。
「ライス、お前…自分へのアンチテーゼか? 」
「ち、違うの! クリスマスだから洋食がいいかなって思って…… 」
ライスシャワーの名前になぞらえて彼女をいじるゴールドシップ。 マックイーンから「やめて差し上げなさい 」と言われるまで彼女はあたふたと自らの言い分を主張するライスシャワーで遊んでいた。
「次は、シライシな! ゴルシちゃんはトリって決まってっからよ! 」
「はいはい、了解 」
私は自分の前に置いてある、料理皿を隠していたブランケットを取る。
「私が持ってきたのは無難にフライドチキンと、デザート用にたい焼きね 」
たい焼きの方はよく目にする物の半分程度の大きさの小さめサイズなので、大きめのお皿を半分ずつ使い、この2つを持ってきた。 中身は適当にそれっぽい味を入れてある。
「小さいたい焼きさんだ! ライスはじめて見た 」
「私もこのサイズははじめて見ましたわ。 どこで買ったんですの? 」
思いの外たい焼きにくい付く2人。 まあ、悪い気はしないかな。 なぜなら……
「これは私の手作りだよ。 焼いておいたのを温めて持ってきたの 」
それを聞くと、2人はさらに「すごい 」と反応をくれた。 少し照れくさくなりながらも、2人に合わせて盛り上がっていると
「おいおい! トリの前に盛り上がんじゃねぇよ! ゴルシちゃんだってパーティーのために頑張って作ってきたんだからな!」
そう言いながら、大皿に被せてあった風呂敷をガバッと勢いよく引き上げると
「見よ! ゴルシちゃん特製ゴルシちゃん焼きそばだ! 」
山のように盛り付けられた焼きそばが、目の前に現れた。
「この量をお1人で作ったんですの? 」
「すごい…美味しそう 」
「どうだ! これがゴルシ様の実力だぜ! 冷めない内にとっとと食っちまいな! 」
4人全員の料理が公開されたので、ようやく食事が解禁された。
最終的にはそこそこの量の料理がテーブルの上に並んだが、それらはみるみる内に私達……主にライスシャワーとマックイーンの胃袋に収められていった。
この2人は私より1まわり程体が小さいのにも関わらず、私の倍以上の量を平らげるのだ。 一体、食べたものはどこへ消えていくのだろうか。
そんなこんなで食事を終えた私達は、おまちかねのプレゼント交換へと移った。