白石競走記   作:華燈始

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今回はいつもより長めのお話になってしまいました。


38.プレゼント交換

「さあさあ! お待ちかねのプレゼント交換の時間だぜ! 」

 

尻尾をヘリコプターのプロペラのようにブンブンと振り回し、ハイテンションのゴールドシップ。

さっき、たくさんのパーティー料理を食べたばかりだというのに、彼女には食べ疲れというものがないのだろうか。

3人と比べて、あまり食べていない私でさえ腹部が少し苦しく、圧迫感を感じているのだ。 私の数倍の量を食べたマックイーンとライスシャワーはぽっこりと膨らんだお腹を服からはみ出させて、ぐったりと背もたれに寄りかかっている。

 

「どうしたんだよ? 皆プレゼント楽しみじゃねぇーのか? 」

 

そんな我々の状況を察していないのか、ゴールドシップはきょとんとした目で、不思議そうに頭を傾ける。

 

「なあなあ、マックちゃんよぉ。 どうなんだ? 」

 

今度は、マックイーンのお腹を後ろから太鼓のように叩きながら話す。

と言うか、ゴールドシップは完全に今の状況を理解した上で言っているだろう。 「お! いい音なるじゃねぇーか 」とマックイーンのお腹を叩きながら彼女をからかい続ける。

 

プレゼント交換が始まったのは、ある程度ぽっこりお腹を出している2人の状態が落ち着き、マックイーンがゴールドシップにお返しのチョップを入れた後だった。

 

「…なかなか…いいチョップが入ったぜ……ゴルシ瀕死ピンチ…… 」

「ふぅ…人が反撃できないのをいいことに全く…。 さぁ、プレゼント交換の説明をしてください 」

 

ゴールドシップに叩かれていたお腹をスリスリと優しくさすりながらマックイーンが説明を求める。

 

「まあ、簡単にそれぞれ買ってきたプレゼントをテーブルの上に出して、じゃんけんに勝ったやつから好きなのを取ってけばいいんじゃねぇーか? 」

 

「面白そうですわね。 お2人はどうです? 」

 

「ライスも、いいと思う 」

 

「私も、それでいいと思うよ 」

 

ということで、テーブルの上には4つの箱が並べられた。

私のプレゼントが入った高さ30cm程の小さな直方体の箱、長方形の形をした厚さのあまりない箱、縦が45cm程ある大きめの箱、横20cm高さ15cm程の箱の4つだ。

どれも購入したときにお店で包装してもらったのか、外見からはどれが誰のプレゼンとか見当もつかない。

じゃんけんで勝って、自分の直感で選ぶしかないだろう。

 

「さあ! 運命のじゃんけんタイムだぜ! 最初はグー! じゃんけん━━! 」

 

「「「「ポン!! 」」」」

 

ゴールドシップの掛け声に合わせて、ポンのタイミングで4人一斉に手を出す。

マックイーン→チョキ

ゴールドシップ→チョキ

ライスシャワー→グー

私→チョキ

 

「ちくしょう! ライスの1人勝ちかよ! 」

 

「わぁぁ、ライスこんなにはやくじゃんけんで勝ったのはじめてかも… 」

 

「さあ、ライスさん。 お好きなものを選んでください 」

 

頭を抱え悔しがるゴールドシップに、信じられないといった表情で喜ぶライスシャワー。

ピョコピョコと耳を動かし、ゆらゆらと尻尾を揺らしながら彼女は薄い箱を手に取った。

 

「これ! ライスこれがいい! 」

 

「それは私が買ったプレゼントですわ。 ライスさん、中を開けてみてくださいまし 」

 

マックイーンに促され、ライスシャワーは両手でゆっくりと蓋を持ち上げると

 

「これ…マフラー? 」

中からは、白とブラウンの2色で構成されたマフラーが取り出された。

 

「それは私行きつけのお店で購入いたしましたの。 これからの季節、ぜひ使ってみてください 」

 

「うん! ライス、このマフラー大切にするね! 」

 

両手で掴んでいたマフラーを胸元に引き寄せ、ギュッと抱き締めるように抱える。

ライスシャワーは高等部所属だから私とは1つしか年が変わらないはずなのだが、彼女の仕草を見ているとまるで、年の離れた子供を眺めているかのように感じる。

それほどまでに彼女は無邪気だということなのだろう。

 

さあ、勝ち上がったライスシャワーを抜いて、残りの3人でもう一度じゃんけんを行う。

「最初はグー! じゃんけん━━━! 」

 

「「「ポン!! 」」」

 

マックイーン→パー

ゴールドシップ→グー

私→グー

 

と今度はマックイーンに1人勝ちを許してしまった。

 

「やりましたわ! それじゃあ… 」

 

勝利への愉悦もほどほどに、マックイーンはすぐさまプレゼント選びを始めた。

「うーん 」と頭を悩ませ、じっくりと箱を観察した末

 

「これです! これに決めましたわ! 」

 

と私のプレゼントが入った直方体の箱を手に取った。

 

「はーい、私のプレゼントです。 どうぞ開けてみてくださいな」

 

正直なところ、メジロのお嬢様であるマックイーンに、あまり高価なものは買えない庶民の私が選んだプレゼントを気に入ってもらえるか心配なのだが

そんなことを知るよしもないマックイーンは、ニコニコ顔でプレゼント箱を開いている。

 

「これは…置時計ですか? 」

 

「そうそう、良さそうなのが売ってたからプレゼントにしてみました 」

 

私が買った時計は、商店街の骨董屋のようなお店で買った、確か6000円位のものだ。 おしゃれなローマ数字が入れられており、ドーム状の屋根がついているきらびやかな金色の時計だ。 しっかり時計としても使えるし、インテリアとしてもいいと思い購入した。

 

「すごい…古そうな時計ですのにちゃんと針が動いていますわ! 大切に使わせてもらいますね 」

 

マックイーンにも気に入ってもらえたようで、ほっと胸を撫で下ろす。

ただ、ここで私と一緒に2連敗を決め込んでいるゴールドシップが口を開いた。

 

「…残った2つのプレゼントのうち、1つはアタシの用意したやつだからよ、最後はじゃんけん無しで決まっちまったんじゃねぇか? 」

 

「…言われてみれば 」

 

彼女の仕草を言うとおり、テーブルの上に残された2つのプレゼントは、それぞれライスシャワーとゴールドシップが用意したものだ。 ゴールドシップことを考えたら、自分で用意したプレゼントを持ち帰るのは面白くないだろう。 なので、必然的に私は一口ゴールドシップが用意したプレゼントを受けとることになるのだ。

 

「じゃあ、アタシのプレゼント…受け取ってね! 」

 

語尾を女々しく変えて、まるで恋人への贈り物かのように小さい箱を手渡しされる。 ゴールドシップのことだから、中におかしなものを詰め込んでいる可能性もあるが……。 考えていても、箱の中身が変わるわけではない。 私は覚悟を決めて一思いに中身を取り出した。

 

「これは…? 」

 

中から出てきたのは、おぞましい虫の模型ではなく、ゴールドシップがよくイタズラに用いている激辛ソースでもなく、中に小さな帆船模型が入れられた1本のボトルだった。

 

「どうだ? ゴルシちゃんが端正込めて組み立てたボトルシップだぜ! 」

 

…なんと言うか……。

 

「意外とちゃんとしてるね… 」

 

「なんだと!? 何が意外だよ! 」

 

思わず心の声が漏れてしまった。 私が想像していたものではなく、ちゃんとしたプレゼントが出てきたことに驚きを隠せない。

私が1人、唖然とした様子で箱から出てきたボトルシップを眺めていると

 

「ふん! いいもんいいもん! ゴルシちゃん拗ねちゃったから、ライスのプレゼント勝手に開けちゃうもんね! 」

 

本当に機嫌を損ねているのか、はたまたそのふりをしているのかわからないが、ゴールドシップは残された大きな箱に手を掛けた。

 

「何が出るかなっと 」

 

箱を開け、中身を両手でしっかりと持って引き上げる。

中から出てきたのは

 

「ライスのプレゼントはね、クマさんだよ! 」

 

モコモコとしたクマのぬいぐるみだ。

入っていた箱もそこそこ大きかったが、頭を折って無理やり詰め込んでいたのか、取り出されたクマは箱よりも大きく、抱き枕としても充分使えるような大きさをしている。

 

「はぁ、傷心ゴルシちゃんはクマに心を癒してもらうことにするクマ 」

 

こうして、全員にプレゼントが行き渡ったためプレゼント交換とクリスマスパーティーは終了した。

部室の時計はもう10時に入ろうとしており、私達は急いで後片付けをして、寮と自宅へと帰った。

 

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