白石競走記   作:華燈始

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40.ホープフルステークス

シンボリルドルフが歴史的勝利を掴んだ有記念から数日後。

あの時の興奮冷めやらぬ内に、マックイーンとゴールドシップが出走するホープフルステークスの日を迎えることとなった。

 

ホープフルステークスは、デビュー後のウマ娘が1番最初に出走可能なGⅠということもあり、どのウマ娘が新しい世代を築き上げるのかとレースファンから多大な注目を集めている。

 

中距離以上で圧倒的な実力を誇ったシンボリルドルフと、短距離~中距離のレースを凄まじいスピードで駆け抜けるマルゼンスキーの2人が牽引したルドルフ世代。

中距離以上はタマモクロス、イナリワンなどが次世代の筆頭候補とピックアップされるなかで、颯爽と現れた瞬く間に世代の頂点へと登り詰めたオグリキャップに、桜花賞、オークス、秋華賞の所謂ティアラ3冠を達成したエアグルーヴなど強豪ひしめくオグリキャップ世代。

 

この2つに続く新しい世代を誰が制するのか、ネットメディアやレース雑誌では彼女らのデビュー以降、何人ものウマ娘達が世代の代表として推されているため、まだほとんどのウマ娘がデビュー戦しか闘っていないにも関わらず、“黄金世代”なんて呼ばれ方もしているのだ。

内のチームで、本日ホープフルステークスに出走するメジロマックイーンとゴールドシップも世代の代表格と目されている。 そのため、レースではマックイーンが1番人気、ゴールドシップも続く2番人気だ。

レースは、必ずしも人気=実力となるわけではないが、2人の注目度の高さは表れているであろう。

 

ホープフルステークスは、距離こそ2000mとそこまで長くはないものの、スタート直後とゴール手前に坂があるため長距離レース同様スタミナと、坂を登りきるだけのパワーが要求されるため、ステイヤーを目指す2人の第1関門にはもってこいのレースだといえよう。

マックイーンは5枠目にゲートイン、番号は9番でとなりには3番人気に推されているキングヘイローが入っている。

ゴールドシップは8枠、18番と1番外枠からのスタートなのだが……。 なかなかゲートに入らない。

目を凝らしてよく見てみるが、両手をあげて地団駄を踏んでいるように見える。 結局、整バ係の人になだめられながらゲート前をぐるっと1周歩くと、すんなりゲートに入った。

 

「ゴールドシップさん…大丈夫かな? 」

 

不安そうな声で私のとなりにいるライスシャワーが呟く。

 

「まあ…平常運転じゃないかな? 」

 

とは返したものの、ごねた後の素直な感じが妙に怪しい。

何かしでかさなければいいのだが…。

そんな嫌な予感を抱えたまま、ゲートは開かれレースがスタートした。

 

マックイーンは抜群のスタートを決め、先頭を走る。 ゴールドシップはというと、スタートで大きく出遅れて最後尾だ。 嫌な予感が当たってしまったということだろうか。

ゴールドシップの前を走っているのは……15番の娘だ。

携帯の画面に表示されている出走ウマ娘一覧のページで確認してみると、ナリタタイシンというウマ娘らしい。

マックイーンの後ろは、ぐちゃぐちゃの混戦状態といったところで、3番人気のキングヘイローは数人のウマ娘に前を囲まれてしまい少しずつ後ろに下がり始めていた。

 

向正面をぬけ、3コーナーに入るというところで最後尾を走っていたゴールドシップがスピードを上げ、ぐんぐんと伸びはじめる。 スタンドから見えやすくなる4コーナーの辺りに入るとあっという間に先頭を走るマックイーンの後ろにまで迫っていた。

まだ伸びる。 ついにゴールドシップがマックイーンに並んだ。

しかし、すぐさまマックイーンがかわして1歩前に出る。

もう1度ゴールドシップが並ぼうとするが間に合わず、マックイーンがゴール板を通過した。

 

1着はメジロマックイーン。 2着にゴールドシップ。 3着には終盤、鋭い末脚で前を走るウマ娘達を撫で切ったナリタタイシンが入り、4着は混戦状態となっていたバ群から飛び出したウイニングチケットというウマ娘が入った。 そのバ群に囲まれて一時順位を大きく落としたキングヘイローは最終的に5は着でフィニッシュという形になった。

 

そして、入賞ウマ娘のインタビューにウイニングライブを終え。

 

「ふぅー、走った走った! 」

 

私達は中山レース場を出て、トレセン学園へ帰る道すがら談笑を楽しんでいた。

 

「全く…一時はどうなることかと思いましたわ 」

 

マックイーンも、ゴールドシップのゲート入り拒否を心配していたようで、やれやれといった様子を見せつつもどこか安心したような口振りで話す。

 

「だってよぉ、スターティングゲートの中ってすっげえそわそわするし、あの狭い空間がなーんか気に入らねぇんだよなぁ 」

 

「あなたはそのゲート嫌いを直さないと私には勝てませんわよ? 」

 

「なんだとぅ!? 次走ったときは絶対ゴルシ様が勝つからな! 覚えとけよマックイーン! 」

 

2人の掛け合いを見ていると、いいライバル関係を築けているのだなと感心する。 憎まれ口も、お互いを信頼し合っているからこそ出るものなのだろう。

「ライスも! ライスも3人に負けないように頑張る! 」

 

2人に触発されてか、大人しいライスシャワーもこれから先の勝負へと意気込む。

こっちはなんと言うか、微笑ましい感じがする。

本人に直接言ったら流石に失礼なので、心の内に留めておくが小さい子供を見ている気分だ。

 

内のチームは、結構いい感じに切磋琢磨できているのかもしれない。

 




出走するレースについては、ゲームの目標になぞらえて書いていくつもりです。
ただ、今回のマックEーンはゲームネタということで特別です。
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