ありふれた世界からはじかれた   作:夜刀ノ神

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かなり好きな話です


八重樫流の秘密

  今日は南雲が雫に会いに来るらしい(本人が嬉しそうにしてた)勧誘してきたお爺さんこと鷲三さんたちが忙しそうにしている

 

「私はどうしましょうか、せっかくだから遊んでもらいましょう」

 

居間でお茶を飲みながら計画を立てていた夜架のそばを偶然通った門下生は夜架の狂気的な笑みを見て、慌てて鷲三に報告するために走って行った

 

夜架ももう10年以上八重樫流道場には通っている、門下生は知っていたあの笑みを浮かべてる羽々斬を放置するのはまずいと

 

ピンポーンと聞き馴染みのあるチャイムがなる、近くで待機していた雫の母親である霧乃のが出るようだ

 

  さて、南雲君も来たようだし準備しますか

 

 

 

 

~南雲ハジメ

 

 

「お邪魔します」

 

霧乃が開いているいう正門を押し開ける

 

垣根を歩いているときから感じていた”それ”に溜息を吐いた

 

直後 ヒュッという風を切ったような音!

 

「やっぱりか・・・」

 

事も無げに額の前にかざした手。その指の隙間には、いくつかの球が挟まれている。門を開けた瞬間に飛来したのを、ハジメが指の間に挟んでキャッチしたのだ。少し力をいれてみれば、パカリと割れたそれらの球の中からは、色とりどりの粉が出てくる。

 

 

 

 鼻を近づけてみれば、胡椒や唐辛子を含んだ複数の香辛料っぽい香りが、強烈に鼻腔を突いた。額に着弾して中身が撒き散らされていれば、普通の人間なら盛大に涙を流し、止まらないくしゃみに身悶えることだろう。

 

「いつの時代だとツッコミを入れたいところだが・・・この家はなぁ。それに、これも自業自得と言えばそれまでだし・・・しょうがない」

 

苦笑いしつつ、ハジメは八重樫家の敷居をまたいだ

 

普段なら大勢の門下生達の稽古に励む声が聞こえるはずのそこからは、不気味なほど音がしなかった

 

その静寂の理由を察して思わず溜息を吐きそうになったハジメが石畳を進み、鬱蒼と葉をつける木が枝を石畳の上まで伸ばしている場所へ差し掛かったそのとき、

 

不意に殺気がっ!

 

ハジメが視線を上げると、そこには木刀を振りかぶり、袴をなびかせながら頭上の枝より飛び降りてくる、老人の姿があった!、纏うオーラは異世界でも通じそうなほどの一撃必殺の意思が宿っている! 空から舞い降り、超威力の一撃を振り下ろそうとするその姿は、どこかの羽々斬をほうふつとさせる

 

そんな奇襲に対しても

 

「お久しぶりです、鷲三さん」

 

岩どころか岩盤おも粉砕しそうな一撃を、片手でパシッと受け止めたハジメは、普通に頭を下げてあいさつした

 

「うむ、久しぶりだ、ハジメ君、ゆっくりしていくといい」

「ありがとうございます」

 

全く無表情で、ギリギリと木刀を押し込みながら、何事もないかのように普通に歓迎の言葉を口にする鷲三。対して、ハジメもまた慣れたように挨拶を返した。

 

 

 

 しばらく無言で見つめ合う鷲三とハジメだったが、やっぱり何事もなかったように鷲三はスッと木刀を引いて踵を返した。

 

「雫は部屋にいるだろう。だが、学生の君達が二人きりで部屋に篭るというのは少々いただけない。美味しい茶菓子もあるのでね、居間に来なさい

それと、今日は姫も来ているせいぜい気を付けることだね」

 

「あ~、はい、どうもっ」めっちゃ顔が引きつっている

 

ハジメに背を向け道場へと戻りながら話す鷲三。が、その会話の途中という困ったタイミングで、新たな殺気が!

 

さっと、かがんだハジメの頭上を鋭くも荒々しい暴風が吹き抜けた、かがんだハジメの視界の端に袴の裾がが映る。ハジメの頭を狙って下段蹴りが急接近

 

それを横っ飛びで回避し、片手逆立ちの要領で、反転して着地するハジメ、視線の先に残心する、襲撃者姿が映る

 

 

「やぁ、ハジメ君。よく来たね。ゆっくりしていくといい」

 

「……どうも、虎一さん。お邪魔してます」

 

八重樫虎一。雫の父親にして、八重樫流師範代。いったいどこでつけたのか、頬にある切り傷がトレードマークの中々渋いイケメン中年である。父である鷲三と同じようなセリフを、やっぱり同じような無表情で口にしながら、何事もなかったように木刀を腰に収めた。

 

その後の襲撃者を対処しやっぱりここ忍者屋敷だろと、こぼしているハジメ

 

「ハジメ、いらっしゃい!」

 

と、その時、門下生たちをなんとも言えない表情で見送っていたハジメに少し弾んだ声音が掛けられれば、雫が小さく手を振っている姿があったが

 

雫のさらに後ろから、超高速で飛行物体が飛来!

 

「ちっ」

 

仕方なく、飛来してきたクナイを手のこうではじく

 

雫も驚いた様子で後ろを見るが、見えたのは靡びく黒髪の毛先だけだった

 

 

「もうっ!夜架まで」

 

「はは、あいつも思うところがあるんだろうさ」

 

あきらめたらしい、雫は近づいてくる初めに顔をほころばせる、近くで見れば、少しだが化粧もしているようだ、ハジメが御呼ばれに来るということで、おめかししてくれたらしい。

 

ハジメはおめかした雫を褒めその言葉に雫も顔を赤くしている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~夜架

 

  まあこれくらいは防ぎますよね

 

夜架にしてみれば、雫は初めてできた友達である、いくら最終的にハジメの嫁になるとわかっていても、別に強襲してもいいよねぐらいの気持ちである

 

次の仕掛けを用意し、ハジメたちがやってくるのを待つ

 

「なあ、あそこに正座してるの羽々斬だよな、ここ廊下だよな」

 

「そ、そうね夜架?そこで何を・・・・」

 

やがてやってきたハジメたちが廊下のど真ん中で正座して微動だにしない夜架を警戒しつつ話しかける

 

突如、ハジメが勘だけで振り返る

 

「っ!!!!!」

 

「ちっ」

 

 

背後にはいつの間に現れたのか真剣らしき刀を振りかぶった夜架の姿が

 

「ちっ、じゃあねえよ殺す気か」

 

「この程度では死なないでしょう?」

 

事態に気づいた雫も振り返り、目の前にいる夜架と後ろにいる夜架を見比べている

 

刀を納刀した夜架がすっと手をかざすと、座っていた夜架らしきものが音もなく消え失せる

 

「雫・・・認めようぜ、お前の家は、忍者屋敷だ、家族は忍者だ」

 

「この年まで、自分の家にあんな仕掛けがあるなんて知らなかった・・・っていうか夜架どっから真剣はだめでしょう!、明らかに本物でしょ!?、そんなのどこに持ってたのよ」

 

「にんじゃ?なにを言ってるか私にはとてもとても」

 

「・・・しってるからな、羽々斬が暗殺業始めたって、一部の界隈でジャパニーズ忍者の暗殺者がいるって、騒がれてるぞ」

 

「え、ちょっと夜架そんなことやってるの?相変わらず異世界に行った私たちより、ファンタジーしてるわね」

 

「まったくだ」

 

「うふふふ、まったくなんのことだか」

 

「はあ、いいや」

 

「なぁ、雫。やっぱお前の部屋じゃなくて居間にしないか? 鷲三さんもそう言ってたし。この分だと、お前の部屋に入った瞬間、どんな仕掛けが発動するか。俺は問題ないだろうが、お前の大切なぬいぐるみが大変なことになりかねないぞ」

 

「……うぅ。私の部屋には、あんな奇天烈な仕掛けなんてない、はずよ。居間には絶対に何かあるだろうし……っていうか、ハジメを襲っている時点で、私は凄く怒っているんだから! ハジメとは、食事の時間まで、私の部屋で過ごしてもらいますぅ! 邪魔したら、ぜ~ったいに許しませんからね!」

 

「では、お茶をお持ちしますね」

 

今は夜架の言葉に甘えることにした二人は疲れた顔をしながら、去っていく

 

準備してあったお茶をもって雫の部屋へ向かうとまたしても雫の叫び声が聞こえてくる

 

  大方霧乃さんが羊羹でも持ってったんだろうな、

 

 

「失礼しますわ」

 

ノックしてから音もなくドアを開けると、ちょうど霧乃が、ヒュパッっと天井に飛び上がっているところだった

 

「お前は普通に入ってくるんかい」

 

「趣向を凝らした方がよろしかったですか?」

 

「いや、なんでもない」

 

「そうですね・・・ではこれでいかがでしょう」

 

片手にお茶を乗せたお盆をそのままにくるっと一回転する

 

「・・・」

 

「夜架?それってもしかして」

 

「ええ、メイド服ですわ、魔王陛下はこういうのがお好きと聞き及びましたわ」

 

「否定できないのが、悔しい」

 

「ハジメ」ジト目で雫がハジメをにらみつける

 

「あら、では、あとで皆様の分もお送りしますわ、私はお相手しませんがどうぞ奥方たちとお楽しみくださいな」

 

「・・・」

 

そのまま、お茶を置き夜架は去っていく

 

去った後の雫の部屋から怒髪天をついた雫の声が聞こえたが誰も気にしていない

 

 やはり、雫をいじるのは面白いわね

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