呉爾羅ですが、なにか? 作:VSシリーズ
今回は逆転が唐突過ぎて困惑されるかもしれませんが、大目に見てくださると助かります。
まずい状況になった……。
まさか、こんな攻撃を受けるなんて……。
目に見える攻撃とかなら対処できるだろうけど、これは予想外過ぎる……。
上から目に見えない強烈な力で押さえつけられていて、それに押し潰れないようにこらえることはできてる。
けど、こんな状態じゃ移動速度はどう考えてもガタ落ちだ。
多分、私にかかる重力を強くされているんだと思う。
どんな方法でそんなことをしているのか全く分からないけど……。
大蛇は、そんな私をじっと観察するように見続けているだけのように見える。
だけど、その実、こうして私の動きを封じるためのナニカをしているはず……。
どうにかこの状況から抜け出すために、エルローバラギッシュに向かって熱線を吐き出してみる。
だけど、上から重力がかかり続けているせいで狙いがずれてしまい、相手に当たらない。
《熟練度が一定に達しました。スキル「重耐性LV1」を獲得しました》
新しいスキルを獲得した——ということは、この攻撃はシステムに基づくもので間違いない。
名前からして、やっぱり私にかかる下向きの力を大きくするような攻撃を受けているはず。
この攻撃への耐性になるスキルを手に入れたからか、いくらかマシに動けるようになったんじゃないかと思う。
そんな私の考えをあざ笑うかのように、エルローバラギッシュの尻尾攻撃が繰り出される。
多少は耐性ができたとはいえ、謎の攻撃のせいで体が重くなっていた私は回避しきれず、尻尾による攻撃に当たってしまった。
また体が痺れ始め、当たった箇所に猛毒と酸による痛みが走る。
尻尾による物理的威力はあまりなかったから、猛毒と麻痺、酸によるダメージが狙いだと思う。
衝撃を加えるのを控えてきたのは、私の体が押し出されて、この重力をかけてくる攻撃の範囲から外れる可能性をなくすためなのかもしれない。
エルローバラギッシュは、間隔を置きながらも尻尾を私に叩きつけてくる。
攻撃を受け続けている箇所からは猛毒と酸によるダメージが大きくなっていくのを感じ、身体を蝕む麻痺も徐々にダメージが蓄積されて侵食が進んでいくのが分かってしまう。
さっきの体内放射によるカウンターを警戒しているのか、この原理不明な私の動きを封じている攻撃といい、向こうも距離を空けて慎重にダメージを加えてくるようになった。
まずい。
さっきは不意打ちで受けた一撃分のダメージしかなかったから、毒も麻痺も酸も短時間で回復した。
けど、予想外の手で碌に動けなくなって、こうも何度も攻撃を加えられ続けたら、どうしようもない状況に追い込まれることになる。
呉爾羅の再生能力は強力だけど、こんな状況じゃ再生が追い付かなくなるのも時間の問題だろう。
こう考えている間にも、猛毒と酸によるダメージはたまっていって、重力に加えて麻痺が体に広がっていって体が動かせなくなっていく。
どうする?
どうすれば、この状況を打破できる?
耐性が早く上がるように強く意識する?
一か八かの賭けで、後先考えずに放射線流で攻撃を仕掛ける?
それとも、今持っているスキルの中に、何らかの対抗策がある?
考えろ。
考えるんだ。
限界まで思考速度を加速しろ。
今までの経験から、思いついた案をシミュレーションしろ。
頭の中を隅から隅まで――並列意思の並列思考を――「私」のすべてを、一片残らず使い切るつもりで考えつくせ――!
《熟練度が一定に達しました。スキル『思考加速LV3』が『思考加速LV4』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『高速演算LV4』が『高速演算LV5』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『並列意思LV2』が『並列意思LV3』になりました》
一瞬ともいえるような短い時間のなかで思考に思考を重ね、この窮地を脱する方法を自分の中からひねり出す。
その結果、頭に浮かんだ言葉は、たった一言。
――
考えに考えた結果として出てきたとは思えないほど、論理に欠けた案。
誰かに説明するにはあまりにも曖昧な内容で、思いついた私としても言葉だけでは何のことかさっぱりな言葉。
だけど、その言葉と同時に、この窮地を切り抜けるための方法を、私は
まるで以前使用したことがあるかのような感じで、どうすればいいかを体で認識した。
私自身が経験したことがないことを、あたかも経験したことかのように感じている。
平常時なら不信感を抱くこと待ったなしで対応することを、私は、命に迫る危機に対応するために自然と受け入れていた。
感じ取ったままに、呉爾羅のスキルを新しい形で発動する。
瞬間、私の身体能力が大幅に向上したのを感じた。
少しずつ体を蝕んでいた麻痺への抵抗が一気に高まり、体の痺れが完全になくなる。
上からの重力も、まるで気にせず動けるようになったのが分かる。
エルローバラギッシュの攻撃による負荷から解放され、それどころか通常時よりも能力が高まっていることが本能的に理解できた。
だけど、この効果は制限時間付きだ。
はやいところ決着をつける必要がある。
スキルの発動を確認した私は、大蛇に向かって駆け出す。
まさか重力と麻痺による束縛から抜け出けるとは思っていなかったのか、自分の方に向かってきた私に対して、エルローバラギッシュは慌てた様子で距離を取ろうと動きはじめる。
けど、麻痺して動きがぎこちなくなっている時ならともかく、今の私の攻撃を防ぐには遅かった。
両腕に火攻撃と土攻撃を付与。
まずは、一番近いところにある尻尾から、両手の鋭くて大きな爪で大蛇の体を切り裂いていく。
この一時的な身体能力の向上に加えて、斬撃強化のスキルのおかげか、固い鱗をも貫き予想以上に深く切り込むことができた。
火攻撃のスキルにより火炎を纏っている斬撃は、相手の体を切り裂くだけではなく、その炎で肉を焼いていく。
大ダメージを与えられたエルローバラギッシュは、その激痛によるものか、はたまた私の攻撃から少しでも逃れるためか、その巨体をのたうち回らせて暴れ出した。
その滅茶苦茶に繰り出される大蛇の攻撃を、思考加速・予見・高速演算などのスキルを意識しながら躱していき、大蛇の体を切り裂き続ける。
時には、自分に迫ってくるエルローバラギッシュの胴体を、熱線で弾き飛ばしたりした。
とにかく、攻撃を止めないようにすることに夢中だった。
この身体能力の飛躍にはリミットがあることを、本能的に私は理解している。
そのリミットが来る前に勝負を決めないと、今度こそ終わりだという確信があった。
それに、相手に何かするスキを与えてしまったら、またさっきみたいに動きを封じられる恐れもあるから、もう距離を取って慎重に攻撃していくなんて出来ない。
ここで、決着をつける。
両手の爪で、大蛇の体を、切り裂いて、切り裂いて、切り裂いて切り裂いて切り裂いていく。
不規則に自分に迫ってくる攻撃は、避けて、いなして、跳んで、迎撃して、回避していく。
とにかく、攻撃を途切れさせないことだけを考えた。
そうして、攻撃して、切り裂いて、熱線を吐いて、攻撃して攻撃して攻撃して……。
《熟練度が一定に達しました。スキル『土強化LV5』が『土強化LV6』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『火攻撃LV7』が『火攻撃LV8』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『土攻撃LV6』が『土攻撃LV7』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『魔闘法LV1』を獲得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『気闘法LV1』を獲得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『縮地LV2』が『縮地LV3』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『剛力LV2』が『剛力LV3』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『予見LV3』が『予見LV4』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『確率補正LV1』が『確率補正LV2』になりました》
《経験値が一定に達しました。大原 雅美がLV6からLV7になりました》
《各種基礎能力値が上昇しました》
《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『斬撃強化LV3』が『斬撃強化LV4』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『命中LV9』が『命中LV10』になりました》
《条件を満たしました。スキル『命中LV10』からスキル『確率補正LV1』が派生しました》
《『確率補正LV1』が『確率補正LV2』に統合されました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『確率補正LV2』が『確率補正LV3』になりました》
《スキルポイントを入手しました》
《経験値が一定に達しました。大原 雅美がLV7からLV8になりました》
《各種基礎能力値が上昇しました》
《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『打撃耐性LV2』が『打撃耐性LV3』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『痛覚軽減LV2』が『痛覚軽減LV3』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『堅牢LV2』が『堅牢LV3』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『鉱体LV1』を獲得しました》
《スキルポイントを入手しました》
《経験値が一定に達しました。大原 雅美がLV8からLV9になりました》
《各種基礎能力値が上昇しました》
《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『地竜LV7』が『地竜LV8』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『破壊強化LV5』が『破壊強化LV6』になりました》
《スキルポイントを入手しました》
《経験値が一定に達しました。大原 雅美がLV9からLV10になりました》
《各種基礎能力値が上昇しました》
《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『甲殻LV5』が『甲殻LV6』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『鉱体LV1』が『鉱体LV2』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『火強化LV9』が『火強化LV10』になりました》
《条件を満たしました。スキル『火強化LV10』がスキル『火炎強化LV1』に進化しました》
《スキルポイントを入手しました》
そのことに気づいたのは、レベルアップを知らせるアナウンスが何回か聞こえてから。
攻撃し続けていた対象であるエルローバラギッシュは、体の至る所に焦げ付く臭いのする斬撃跡を刻みつけられて絶命していた。
私は、大蛇との戦いに勝利したのだ。
以下、現時点の設定など
➀主人公のステータス
フェネグラッド LV10 名前 大原 雅美
・ステータス
HP:4815/4815(緑)
MP:4327/4327(青)
SP:4973/4973(黄)
:4934/4934(赤)
平均攻撃能力:4752
平均防御能力:5060
平均魔法能力:4175
平均抵抗能力:4239
平均速度能力:5015
・スキル
地竜LV8,龍鱗LV6,甲殻LV6,鉱体LV2,
HP高速回復LV7,
MP回復速度LV7,MP消費緩和LV5,魔闘法LV1,
SP回復速度LV8,SP消費緩和LV8,気闘法LV1,
破壊強化LV6,打撃強化LV3,斬撃強化LV4,貫通強化LV4,衝撃強化LV5,火炎強化LV1,土強化LV6,
火攻撃LV8,土攻撃LV7,
立体機動LV5,
集中LV10,思考加速LV4,予見LV4,並列意思LV3,記憶LV9,高速演算LV5,
命中LV10,回避LV10,確率補正LV3,隠密LV10,迷彩LV6,無音LV10,無臭LV5,
鑑定LV3,探知LV10,
影魔法LV3,
過食LV8,
暗視LV10,視覚領域拡張LV4,
破壊耐性LV3,打撃耐性LV3,斬撃耐性LV2,貫通耐性LV2,衝撃耐性LV3,
火耐性LV8,大地無効,重耐性LV1,
猛毒耐性LV5,強麻痺耐性LV4,睡眠耐性LV5,酸耐性LV7,腐蝕耐性LV4,
恐怖耐性LV4,外道耐性LV8,苦痛無効,痛覚軽減LV3,
視覚強化LV7,聴覚強化LV6,嗅覚強化LV6,味覚強化LV2,触覚強化LV5,
身命LV2,魔蔵LV1,瞬身LV2,耐久LV2,剛力LV3,堅牢LV3,道士LV1,護符LV1,縮地LV3,
呉爾羅LV10,
禁忌LV10,命名LV2,
n%I=W
・スキルポイント:96000
・称号
呉爾羅、悪食、魔物殺し、暗殺者
➁スキル「地竜」についてのオリジナル設定
説明:地竜種が有する特殊スキル。レベルにより特殊な効果を発揮する
・LV7:地竜ブレス。大地ブレス系統とは違い、光線状のブレス攻撃
アニメの地竜が使っていたような感じのイメージ
・LV8:大地纏。石纏の強化版で、より頑丈な土と岩の鎧をまとって防御を高める
名前に関しては、「岩石纏」や「岩盤纏」等の候補と、どれにしようか迷った
➂スキル「鉱体」について
原作では、「甲殻」と並んでスモールロックタートルという魔物が所持しているスキル
「甲殻→堅甲殻→重甲殻」のような感じで、「鉱体→鋼体→神鋼体」というように
進化していくスキルだと予想し、地竜が持つようになりそうなスキルだったので、今回
獲得した。熟練度については、地竜のスキルで使える「石纏」を使用していったら
たまっていったという感じで……
➃スキル「呉爾羅」によるステータス向上について
LV5での特殊効果「細胞活性」によるもの。MPとSPを消費することで、魔神法や闘神法、
竜力のように、攻撃・防御・魔法・抵抗の能力を底上げする。この効果を使用したことで、
同じ分類のスキルである魔闘法と気闘法のスキルの熟練度がたまり獲得したことになる
主人公が言っていたリミットとは、使用に必要なMPとSPの残存量のこと
今のところステータスの一時的な向上のみを恩恵としているが、呉爾羅のスキルに含まれる
技なので、熱線や地竜の技などのブレスを強化する効果もつけようかと考えている
➄主人公が「細胞活性」の効果と使い方を感覚的に理解できた理由
いちおう伏線……のつもり