呉爾羅ですが、なにか?   作:VSシリーズ

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VS蛇

カエルを食べ終わったので、腹ごなしがてらに散策する。

並列思考で、音を立てずに、気配を消しながら、感知系のスキルを使用して移動することを意識する。

スキルの鍛錬をルーティーンとして行えるようになってきたことを実感しながら、さっき使っていたスキル「呉爾羅」について考える。

 

今までは噛みつくぐらいしか攻撃手段がなかったけど、このスキルの存在に気づいてから熱線を使うようになったので、非常に戦いやすくなったと思う。

熱というのは大きな武器になるようで、さっきみたいに少し熱線を当てるだけで、たいていの獲物はすぐにしとめられるようになった。

しかも、噛みつきと違い距離が若干離れていても攻撃が当たるので、相手からの攻撃を避ける余裕も持つことができる。

おまけに、熱線で火をある程度通せば、まずい生肉もある程度はましになった。

 

さらに、「呉爾羅」の恩恵は熱線だけじゃないようだった。

このスキルがレベル2になってから、傷が治るのが以前よりも早くなっていた。

おそらく、原作のゴジラと同じような自己再生効果を、このスキルが多少なりとも再現してくれるのではないかと予想してる。

他の生き物は、自分のように短時間で傷が治っているようには見えないし。

まさに「呉爾羅」さまさまだった。

 

まあ、熱線を使い過ぎるのは、どうやら危険みたいだけど。

試しに熱線を限界まで使ってみようとしてみたけど、熱線が吐けなくなったと同時に、体がかなり苦しくなった。

しばらく安静にしていたら治まったけど、むやみやたらと使うのは控えようと思った。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル「並列思考LV4」が「並列思考LV5」になりました》

 

そんな考え事をしていたら、並列思考のレベルが上がった。

このスキルは、結構熟練度がたまるのが早いと思う。

前世から、複数のことを同時に考えることを日常的に行なっていたからかな。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル「予測LV2」が「予測LV3」になりました》

 

今度は予測のスキルレベルが上がった。

当たる外れるに関わらず、このスキルは予想するだけでレベルが上がっていく。

明確な効果は実感できてないけど、このスキルによって、敵の動きの予想が当たりやすくなっている……と思う。

きっと、たぶん、おそらく、メイビー。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル「無音LV3」が「無音LV4」になりました》

 

そんなことを考えていたら、今度は無音が。

3つのスキルが一気にレベルアップしたので、この流れをどうにか保ちたくなる。

よし、記憶のスキルでもあげるか。

私が今持っているスキルは、呉爾羅LV2に禁忌LV2、集中LV3、予測LV3、並列思考LV5、記憶LV1、命中LV1、回避LV2、隠密LV4、無音は……LV4、危険感知LV3、気配感知LV3、過食LV2に、あとは毒耐性LV4に加えて……。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル「記憶LV1」が「記憶LV2」になりました》

 

そこまでスキルを思い出して、記憶のレベルが上がった。

こうして自分のスキルを覚えておけるのはいいけど、そろそろ自分のスキルを確認できるようなスキルが欲しい。

基礎能力値だって、確認する方法がないわけではないと思う。

だけど、そのスキルが何なのか全くわからないし、どうやってそのスキルを獲得すればいいのかも不明。

ダメもとで、さっき自分にスキルのレベルアップを教えてくれた声に頼む形で祈ったりしてみたけど、まるで反応がない。

こういう時、多くのゲームをやっている人とかだったら、すぐにそんなスキルを手に入れられるんだろうか。

 

もしものことを考えてもしょうがないので、今後どうしようかという方向に考えを移すことにする。

今までは、他の生き物を狩って食べて、1日1日の命を繋いでいくことばかり考えていたけど、そろそろ中期的・長期的な目標が欲しい。

長期的な目標としては、この薄暗くて閉じた空間から出てしまいたい。

そのための中期的な目標だけど……まずは、自分を強くすることが第一にしたい。

 

この迷宮には、自分よりも強そうな生き物がたくさんいる。

ここから抜け出す際に、それらとの戦闘をすべて回避していくのは、困難だと思う。

だから、ある程度は戦えるように、より強い自分になりたい。

 

肝心の強くなる方法だけど、まずは「呉爾羅」のスキルのレベルを上げたい。

このスキルのレベルが上がる前と後で、身体能力に大きな差があることに気が付いた。

より強い攻撃が、より早い移動ができるようになっていた。

だから、このスキルのレベルを上げていけば、さらなる強さを手に入れることができると思う。

まずは、筋トレとかもやってみながら、「呉爾羅」のスキルレベルを上げる方法を見付けたい。

 

とりあえず、そろそろ腰を落ち着ける場所でも探そうか、と思った瞬間、危険感知と気配感知に反応が。

そちらの方を見てみると、そこには巨大な蛇が私の方に向かってスルスルと移動してきていた。

人と同じ大きさの私ですら一飲みにしてしまいそうなほどの大きさの蛇で、今まで避けてきた種族だ。

 

すぐさま反対方向に向かって駆け出す。

しかし、蛇の方が私よりも若干速いようで、感知している蛇との距離は広がることなく、少しずつ追いつかれていく。

 

ああ、くそ。

今まで倒せそうな生き物しか狙ってこなかったのに、今度は自分が狙われる対象か。

危険感知による警鐘が、じわじわと心に恐怖を与えてくる。

 

だけど、同時に自分自身に怒りを覚えてくる。

強くなろうと決めた矢先に、自分は逃げている。

「呉爾羅」のスキルレベルを上げれば体は強くなれるだろうけど、心が弱いままじゃ十分じゃない。

このスキルと同じ名前を持つ怪獣だって、体だけじゃなくて心も強かったじゃないか。

なのに、その怪獣の力を持っているであろう自分は、どうしようもないほど弱腰だった。

弱肉強食の環境で生き残るためには、体だけじゃない、強靭な心も必要なんだ。

 

さっきまでは怖かったけど、正直なところ、アイツから感じる危険度はそこまで大きくない。

蛇がどんなスキルを持っているのか全く分からないけど、冷静に戦えば勝てるかもしれない。

多少のダメージなら、低くはない自己再生能力でなんとかなるはずだ。

 

よし、覚悟は決めた。

格上を、倒そう。

 

私はすぐさま方向転換し、蛇に向かって走り出す。

私と正面から向き合う形になった蛇は、その大きな口を開けて私を呑み込もうとしてくる。

 

そんなに食べたいのなら、これでも喰らえ。

蛇の口に向かって、私は熱線を吐き出した。

 

「~~~~~~~!!!」

 

熱線をまともに受けた蛇の口内は炎上し、声にならない悲鳴を上げてのたうち回る。

暴れまわる蛇にぶつかることのないよう、予測と危険感知を活用して回避しながら、その胴体に少しずつ熱線を浴びせてダメージを与えていく。

鱗で覆われた体は、さすがに口のなかほど傷つけることができる訳じゃないけど、少しずつ火傷させていくことはできているようだった。

 

気配感知で感じ取れる蛇の存在が、少しずつ弱弱しくなっていく。

これは、いけるのでは……?

 

この戦いの勝利を予見したとき、体に何かをかけられるのを感じた。

それは、ジュウジュウと音を立てて私の体を少しずつ溶かしていく。

 

突然の事態に驚いてしまい、思考が混乱する。

気配感知で探ってみると、いつのまにか1体のカエルが私の背後にいた。

どうやら、蛇に夢中になっていた私は、カエルの酸をまんまと浴びてしまったようだった。

 

すぐさまカエルの方を向き、熱線で仕留める。

だけど、即座にそれが失敗だったと悟った。

 

意識をカエルの方に向けてしまった私のスキを、口内のダメージから立ち直った蛇は見逃さず、その長い胴体で私を巻き付き、締め上げていった。

い、いたい……くるしい……。

 

どうにか熱線を吐くけど、口のところにも胴体が巻き付かれていて、固い鱗に防がれてしまう。

ギリギリと締めつく力が強くなっていって、自己再生能力でも回復しきれていないほどのダメージを与えられていることが分かってしまう。

 

諦めずに熱線を吐くけど、今の私の熱線は、鱗の表面を軽く焦げ付かせるぐらいの力しかない。

熱は与えられるけど、物理的な威力はない、今の私の熱線。

最初のころのゴジラも、こんな熱線だったと思う。

後の作品になって、熱線はより強力に、破壊力を持つようになった。

私が使える熱線も、それぐらい強力になってくれたら……。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル「呉爾羅LV2」が「呉爾羅LV3」になりました》

 

《熟練度が一定に達しました。スキル「禁忌LV2」が「禁忌LV3」になりました》

 

その声が聞こえてきた瞬間、私は確信した。

今まで使ってきた熱線よりも強力な、あの多くの物を破壊してきた熱線をイメージして、私は熱線を吐く。

 

それまでの熱線とは比べ物にならないほどの勢いで出てきた一撃は、蛇の強固な鱗を破壊し、その中の肉を弾き飛ばす。

予想外の反撃に蛇は悲鳴を上げ、巻き付く力が一気に弱まる。

私は再び蛇の顔の方を向き、ふたたび口の中めがけて強力になった熱線を吐き出す。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル「命中LV1」が「命中LV2」になりました》

 

聞きなれた声が頭の中に響いてきた時、あらゆるものを破壊してきた熱線と同じ私の技は、蛇の口内に飲み込まれ、強敵の頭の半分を吹き飛ばした。

脳を失っただろう蛇の胴体は倒れ、その体から感知系のスキルでも何の反応も感じ取れなくなった。

 

もし、蛇とあまり違わない速度で私が逃げている時に、私との実力差がそう違わないことを感じ取って諦めていたら、あるいは私がカエルに意識を向けた時に撤退していたら、蛇がこうなることはなかっただろう。

私がこうなっていた可能性もあるとはいえ、この蛇がそうしなかったのは、そこまで考えていなかったのか、あるいは捕食者としての意地や慢心だったのか。

 

来世では、弱い相手でも逃げることを覚えた方がいいかもね。




以下、現時点の設定など

➀主人公のステータス(蛇を倒した際のレベルアップ込み)

フェネグル LV10

・ステータス

 HP:813/813(緑)
 MP:755/755(青)
 SP:794/794(黄)
  :794/794(赤)
 平均攻撃能力:726
 平均防御能力:716
 平均魔法能力:697
 平均抵抗能力:697
 平均速度能力:726

・スキル
 
 地竜LV3,龍鱗LV3,
 HP高速回復LV2,
 火強化LV3,
 集中LV3,予測LV4,並列思考LV5,記憶LV2,
 命中LV2,回避LV3,隠密LV4,無音LV4,危険感知LV4,気配感知LV4,
 過食LV3,
 暗視LV8,
 火耐性LV2,大地無効,毒耐性LV4,酸耐性LV3,腐蝕耐性LV2,
 呉爾羅LV4
 禁忌LV4,n%I=W

・スキルポイント:100270

・称号

 呉爾羅、悪食

➁今作オリジナルのスキルの説明

○スキル「呉爾羅」
概要:主人公の、転生者としての固有スキル
効果:ステータス全種にスキルレベル×100分プラス補正が掛かり、レベルアップ時にスキルレベル×10分の成長補正が掛かる。また、レベルにより特殊な効果を発揮する(LV1:白熱光、LV2:自己再生、LV3:放射熱線、LV4:螺旋熱線)
・放射熱線:白熱光よりも強力な熱線を吐き出す。単純にダメージ量が増加するほか、若干の衝撃属性の追加ダメージと、スキルレベルと同等の「破壊強化」相当の補正が入る
・螺旋熱線:放射熱線に、貫通属性の追加ダメージが加わる

➂今回の蛇について
LVを10台後半ぐらいとしているため、「蛇相手だと、主人公のステータスでは楽勝になってしまうのでは?」という不安は払拭できている……はず
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