呉爾羅ですが、なにか?   作:VSシリーズ

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進化しよう PART1

《経験値が一定に達しました。個体、フェネグルがLV5からLV6になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

 

いつものように、レベルアップを伝えてくるメッセージが、頭の中に響く。

蛇を倒したことで手に入れた経験値により、レベルアップしたんだ。

しかも、レベルアップは1回にとどまらず、いつもの機械的な音声は、何回にも渡ってLVが上がったことを伝えてくる。

 

どうやら、自分よりも強い生き物を倒すことで得られる経験値は、想像以上に多いようだ。

多くのスキルのレベルも、熟練度ボーナスで上がっていった。

 

そんなことを考えながらも、私は生まれて初めて自分よりも強い敵を倒すことができた喜びに浸っていた。

呉爾羅という非常に強力なスキルがあったからとはいえ、最後まで諦めずに戦えたことが誇らしい。

今までは自分よりも弱い敵ばかりを狙って戦ってきた自分の心が、大きく成長できたような気がする。

 

そんな感動に震えながらも、いちおう周囲の警戒を並列思考で行なう。

それはそれで、さっきの戦いでは、一番注意すべき敵から目を離すという大きな失敗をしてしまった。

そのせいで窮地に陥った身としては、今度は同じようなことがないように注意を怠らないようにしたい。

 

《条件を満たしました。個体、フェネグルが進化可能です》

 

……え?

ちょっと待って……今なんて?

 

《進化先の候補が複数あります。次の中からお選びください。

 フェネグラン

 フェネセブン》 

 

あー……うん?

選ぶって……なにを?

進化?

 

LV10にまでレベルアップしたと思ったら、進化可能とか進化先とか、フェネセブンとかフェネグランとか、理解が追い付かない単語が次々出てきたんだけど?

うん、一旦落ち着いて、まずは情報を整理しよう。

 

進化っていってたけど、これってもしかして、某世界的に有名なモンスター育成ゲームでおなじみの、アレと同じ現象かな?

なんかこう……進化すると、体が大きくなって、能力も上がる、みたいな?

で、今の私は、その進化を行うための条件を満たしていて、その進化した先が、フェネセブンという生き物かフェネグランという生き物で、選んだ方に進化をする――つまり、その生物になると。

今の私はフェネグルという生き物だから、頭についている語感からして、たぶんそういうことだよね?

 

……うん、もう少し考える時間が欲しい。

考えながら、倒した蛇やカエルを食べられるだけ食べちゃおうと思う。

 

 

 

カエルを食べ終わり、蛇もある程度食べて満腹になった。

蛇は、鱗が邪魔で外側からだと食べにくいから、強化した熱線であけた穴や口を足掛かりに、内側から食べていった。

でも、蛇の体は非常に大きいので、さすがに全部食べるまえにお腹がいっぱいになってしまった。

残りは後で食べるしかない。

 

で、進化のことだけど……正直どうしようか、まだ迷ってる。

進化すれば、おそらく、より強い生き物になることができる、と思う。

だけど、なにぶん初めてのことだから、本当にそうなのか、という不安もある。

まあ、この不安に関しては、そこまで重要じゃない。

進化、という言葉の響きは、プラスのイメージ寄りだし、あの声の言い方から「進化しないと先に進めない」というニュアンスが感じられたから、強くなるうえで進化するのは必須なんだと思う。

というか、トカゲより強い生き物になりたい、という気持ちがかなり……。

それで失敗したとしても、まあ、これはしょうがないんじゃないかなーと思ってる。

 

問題なのは、進化している最中。

いざ進化するとして、別の生き物へと変わっている真っただ中の私は、どんな状態なのか。

外敵がやってきても、迎え撃てる状況なのかどうかが、命に直結するのだ。

それに、そんな状態がいつまで続くのかも、気にする必要があると思う。

短時間で終わるものなのか、何日もかけることになるのか、それも重要な問題なのだ。

 

……う~ん、難しい。

他の生き物の進化事情を知っていれば、こんなに悩む必要はないんだろうけど……。

 

……うん、進化はいったん保留にしておこう。

 

 

 

進化するかどうか、その問題を後回しにした私は、スキルを検証していた。

蛇との戦闘では、呉爾羅というスキルが勿論大活躍だったわけだけど、その他にも、危険感知が大いに役に立ってくれて、おそらく回避や予測も勝利に貢献してくれたと思う。

だから、これからは、自分の持っているスキルをしっかり把握しておく必要があると考えたので、今まで意識していなかったスキルの中で検証できるものは検証してみることにした。

 

今回のレベルアップで存在を知ったHP高速回復は、体に傷がない状態で念じてみても、特に変化がなかった。

もしかしたら、呉爾羅の自然回復能力と同様、念じなくても常に発動するタイプのスキルなのかもしれない。

暗視に関しても、念じたら視界が明るくなるとかはなかったので、同じようなものなのかもと思った。

他には、過食や龍鱗、火強化、耐性系のスキルも試してみたけど、これらはそもそもスキルを使用できる環境になかったかもしれないと、よくよく考えてみたら発動しなくてもおかしくはなかった。

 

この検証で理解が深まったのは、地竜のスキルだ。

どうやらこのスキル、呉爾羅のように複数の技を内包するタイプだったらしい。

よく考えてみると、どっちのスキルも生き物の名称を表しているみたいだし、そういうものなのかもしれない。

生まれた時から持っているスキルだけど、他のスキルと違って効果が全く想像できないからという理由で使ってきてなかった……。

もっと積極的に使おうとすれば良かった。

 

どんな技が使えるのか名前からだけじゃ想像できなかったけど、このスキルを使おうとした瞬間、不思議なことに朧げに理解することができた。

もしかしたら、私は地竜という種族で、私の場合は使ってこなかったけど、普通の地竜はこのスキルを使って生きていくから、本能的に使い方を理解しているものなのかもしれない。

そう考えると、このスキルを使ってこなかった私って、種族としてのアイデンティティが崩壊していたのでは……?

まあ、自分のことを竜というかトカゲだと思ってたし、うん。

 

で、肝心の技の内容だけど、「地」竜というだけあって、土関連の技が多かった。

まずは、口から土をドバっと吐き出す技。

この体のどこにそんな量の土が入っていたのかってぐらい出てくるんだけど、まあ呉爾羅のスキルで熱線を吐き出すのも大概だし、スキルは物理法則を無視しているんだと納得するしかないのかも。

次は、体の表面を、これまたどこから出てくるのか不明な石で覆う技。

こっちの技は、敵の攻撃を防御する際に使えると思う。

ただ、この技と使っている時は体の動きがかなり阻害されるから、使い時は考えた方がいいみたいだ。

 

で、土を吐き出す技の方なんだけど、こっちは戦闘で役に立つかどうかは微妙なところ。

実際に攻撃手段として使ってみたわけじゃないけど、正直呉爾羅のスキルで使える熱線の方が強力だし……。

今のところ、無から土を生み出すための技ぐらいにしか思っていない。

 

だけど、この土を作り出すスキルは、私の頭の中に、あるアイデアをもたらしてくれた。

 

 

 

いま私は、地竜のスキルで出した土を固めている。

固めると言っても、中にある程度の広い空間を残した、いわば土で作るかまくらのようなものだ。

トカゲの身で作るのは非常に大変だけど、しっかり作っておかないと後悔することになる可能性が高いから、気は抜けない。

 

このかまくらは、進化するための安全地帯として利用するつもりだ。

少し試してみたけど、このかまくらは作ってみたら意外と丈夫で、私の攻撃に耐えられるぐらいの強度はあった。

だから、この中で進化すれば、私自身が無防備な状態だとしても、土の壁が外敵から私を守ってくれるはずだ。

それに、自然の素材で作られたシェルターだから、意外と他の生き物から気にされない……かもしれない。

一応このかまくらは、この洞窟内の目立ちそうにないところを探したうえで、そこの壁に接するように作っている。

 

実は、このかまくらの骨組みには蛇の亡骸を使用している。

だから、進化する期間が長くて、かまくら内部で空腹になったとしても、内側から食料を補給することができるようになっている。

今の私の身体能力なら、食べにくいとはいえ固い鱗も食い破ることができたし、たぶん大丈夫なはず。

 

そんなことを考えているうちに、かまくらを満足する出来に仕上げることができた。

熱線のように土を吐き出しすぎると苦しくなるし、四足歩行だと作ること自体が難しいから、それなりの時間がかかってしまった。

それでも、その分安全性は考慮することができたと思う。

 

中に入り、入り口の方も土でしっかりと固めていく。

空気が無くなると困るから、多少の穴は残しておく状態にはしておく。

これで、進化する準備は整った。

 

……正直、不安はまだ残ってる。

こんなかまくらは作ったけど、それでも外敵に襲われないか。

蛇を食料として確保しているけど、進化している最中はそれで足りるのか。

このかまくら自体に、気づいていない問題があるんじゃないのか。

そもそも、進化すれば本当に強くなれるのか。

 

それでも、私は今、進化しようと思う。

そんなこと言ったら、ここで普通に生きているだけで命の危険は常にある。

だったら、自分なりの最善を考えて、それを実行して生きていきたい。

進化をして今よりも強い生き物になったら、外敵に命を脅かされる危険は減るはず。

ゴジラのように……とはいかなくても、より強く、より大きな体を手に入れて、この弱肉強食の環境を生き抜いていきたい。

考えられるだけのことをしたうえで、そのためのリスクは、負おう。

 

私が進化する対象に選ぶのは、フェネグラン。

名前から考えて、今の私の種族であるフェネグルが成長したような感じになると思う。

 

覚悟は決めた、さあ来い!

 

《個体フェネグルがフェネグランに進化します》

 

その声が聞こえてきたと思ったら、私の意識は遠くなっていった……。

 

 

 

《進化が完了しました》

《種族フェネグランになりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度進化ボーナスを取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『地竜LV3』が『地竜LV4』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『集中LV3』が『集中LV4』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『記憶LV2』が『記憶LV3』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『隠密LV4』が『隠密LV5』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『過食LV3』が『過食LV4』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『暗視LV8』が『暗視LV9』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『毒耐性LV4』が『毒耐性LV5』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『気配感知LV4』が『気配感知LV5』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『呉爾羅LV4』が『呉爾羅LV5』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『禁忌LV4』が『禁忌LV5』になりました》

《進化によりスキル『甲殻LV1』を獲得しました》

《スキルポイントを入手しました》




以下、現時点の設定など

➀主人公のステータス(進化後)

フェネグラン LV1

・ステータス

 HP:1090/1090(緑)
 MP:990/990(青)
 SP:1045/1045(黄)
  :1060/1060(赤)
 平均攻撃能力:985
 平均防御能力:975
 平均魔法能力:905
 平均抵抗能力:905
 平均速度能力:955

・スキル
 
 地竜LV4,龍鱗LV3,甲殻LV1,
 HP高速回復LV2,
 火強化LV3,
 集中LV4,予測LV4,並列思考LV5,記憶LV3,
 命中LV2,回避LV3,隠密LV5,無音LV4,危険感知LV4,気配感知LV5,
 過食LV4,
 暗視LV9,
 火耐性LV2,大地無効,毒耐性LV5,酸耐性LV3,腐蝕耐性LV2,
 呉爾羅LV5,
 禁忌LV5,n%I=W

・スキルポイント:100600

・称号

 呉爾羅、悪食

➁今作オリジナルの種族の説明

○種族「フェネグラン」
概要:フェネグルの進化形であり、下位の地竜。主人公の進化先
   スキル「甲殻」を獲得し、防御力がアップした

○種族「フェネセブン」
概要:同じくフェネグルの進化形であり、下位の地竜。牛のような見た目
   火竜のゲネラッシュに相当するかのようにフェネラッシュという地竜が原作にいたため、通称ナマズに相当する地竜として進化先の候補とした

➂スキル「地竜」についてのオリジナル設定
説明:地竜種が有する特殊スキル。レベルにより特殊な効果を発揮する
・LV1:土ブレス。MPを消費して、地属性のダメージを与える土を吐き出す
・LV2;石纏。平均速度能力が下がるが、石を纏って防御力を高める
・LV3:生命変遷。火竜と同じ
・LV4:地恵。地面などに接することで、MPが少しずつ回復する
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