押忍!クソ女飯   作:ヤマグティ

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続かなかけたので続かないです。


スーパーデラックスでジャンボなパフェ

 

今日の伝次は、職場で非常に気分が重かった。

 

何故なら、普段天使のように優しい間木が終始真顔で、時折此方をちらりと睨むかのように見てくるからだ。

 

俺が怒らせた。だから不機嫌なんだ。

 

伝次はそう確信する。

 

何故なら伝次には一つ心当たりがあったからである。

 

つい先日、やむを得ない理由があったとはいえ、エスコート的な事をしてたつもりの間木を一人置いていってしまったのだ。

 

女性を誘っておいて置いていくなんて怒られて当然の事だろう。

 

そこで今日伝次は間木にプリンを買うことにした。

 

只のプッチンな物では無い。少しお高めで本場再現の物だ。

 

 

 

 

 

 

 

今日の早川は、職場で非常に気分が重かった。

 

何故なら、普段穏健も穏健な間木がいつにない剣幕で黙々としていたからだ。

 

早川は間木がこんな雰囲気をしているのを今まで見た事が無かった。

 

怒こっているのだろうか?いや、これは警戒だろう。早川はそう思った。

 

何故なら早川には一つ心当たりがあったからである。

 

つい先週末の飲み会の事だ。早川は間木の命令形話術について触れた。

 

間木の話術については様々な憶測がなされ、謳われ、尾ひれがつき、最終的に、それについて触れるのはちょっとしたタブーのような事として扱われていた。

 

そして事実間木にとってこの専売特許は、自らを思考が壊滅する程泥酔させてまで守りたい秘密らしい。

 

早川はタブーに触れる事に覚悟を持っていたつもりだった。が、実際に徹底していなされ、今こうして警戒心を剥き出しにされると、事の重大さを軽視していたのだと思い知らされた。

 

早川は間木の事を時折妙とは思えど良い先輩だと思っている。仲良く仕事の出来る関係でいたい。

 

そこで早川は今日間木にロールケーキを買うことにした。

 

コンビニやそこらで買えるような物ではない、スイーツパン専門のお店の物である。

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の姫野は、職場で非常に気分が重かった。

 

何故なら、大きな感情の起伏なんて微塵も見せたことのない間木が見たこともない重い雰囲気でいたからである。

 

これは怒ってる。多分私のせいだ。

 

姫野はそう思った。

 

何故なら姫野には一つ心当たりがあったからである。

 

それはつい先週末の飲み会の事だ。

 

全く記憶にございないが、飲みすぎて盛大に吐き散らしたらしい。

 

自分が無理矢理頼んだような奢りだったのに、当の自分が台無しにするような事をしたのだ。

 

ちょっとこれは流石にキレられて当然だろうな。そう深く反省する。

 

そこで今日姫野は間木にビスケットを買うことにした。

 

丁寧な装飾の施された箱に入った、豪華な詰合せである。

 

 

 

 

 

 

 

今日の淵瀬は、職場で非常に気分が重かった。

 

何故なら、普段平然とした態度でいる間木がとても張り詰めた剣幕でいたからである。

 

ああ、僕が怒られてるやつだこれ…。

 

淵瀬はそう思った。

 

何故なら淵瀬には一つ心当たりがあったからである。

 

淵瀬は楽な立ち回りでいたいために、表面上は仕事に対して勤勉で誠実な素振りを見せているが、実際の所は怠け癖が抜けず、見えない所でかなり手を抜いている。

 

時期的に、多分禄な確認もせず納品したあの案件に不備が出てしまったのだろう。

 

僕も年貢の納め時か。せめて誠意っぽい事だけでもして情状酌量を促そう。

 

そこで今日淵瀬は間木に果物の詰合せを買うことにした。

 

旬の果物一杯の財布にキツイやつである。

 

 

 

 

 

 

今日の不理は、職場で非常に気分が重かった。

 

何故なら、年上として、社会人として、人間として尊敬する間木が、何かとても深刻そうだったからである。

 

間木様はストレスが溜まっている。不理はそう確信した。

 

何故なら、不理には一つ心当たりがあったからである。

 

間木様は年上である事への責任感が強い。と、不理は思っている。

 

そこから推察して、最近後輩が増えた事で更に重荷が増えてしまった事ではち切れてしまった。特に先週末の飲み会の奢りが決定打になったのではないか。

 

と考えたのである。

 

間木様を敬愛している身として、何かして差し上げるべきではないか。そう思ったので。

 

そこで今日不理は間木にごく一般的なチョコ菓子のセットを買うことにした。

 

ストレスの溜まった気の散りがちな状態には手軽さが必要。その観点から敢えて市販のチョコ菓子。という方向で行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

今日の破輪は、職場で非常に気分が重かった。

 

何故なら、間木が何か圧の強い状態でいたからである。

 

これはワシのせいじゃない。破輪は真っ先にそう思った。

 

何故なら破輪には一つ〔 も 〕心当たりが あっt ttt 。

な い からである。

 

しかし、己に決して非は無くとも、破輪はこの状況がとても辛かった。

 

そもそもとして、破輪は間木が苦手だ。

 

なぜかというと、それは破輪自身にもよく解っていない。

 

分かっているのは、間木と居ると普段は荒ぶる自分の血の気が、彼女を危険なものと警告して途端に萎縮する事である。

 

何というべきか、破輪にとって間木麻という女は何か得体の知れない危険人物なのだ。

 

そんな間木が圧の強い状態で居られてしまうと、破輪は直感に過敏な血がビクビクと怯え張り詰めて、落ち着かないのである。

 

そこで破輪は今日間木にホイップクリームを買うことにした。

 

嫌な事があった時は、何かのチューブの物を直吸いすると気分が良くなるという自身の経験に基づく物である。

 

 

 

 

 

 

_________

 

 

 

 

 

 

 

結局、伝次くんが何故あの名前を知っていたのか。それについて何も聞き出せず普通に帰ってきてしまった。

 

意気揚々と追求の覚悟を持って家を出たが、さてどうやって追求するかと考えると如何せん迂闊に何もできない。

 

凄く悔しい事に、私はあのデンジくんに知恵比べで負けた結果ここにいる。

 

もしや。まさか。あるいは。

 

なんて、深々と仕事そっちのけで考えていたら一日が終わってしまった。

 

ただ伝次くんの顔を見つめてみたら、何となく「……?」としたリアクションを見せた。

 

私は人間になってから、前世の反省を活かそうと人の顔は良く見るようにした。

 

その結果、人の顔をちゃんと覚えられるようにはなったか。と言うと微妙だが、人の表情に含まれた感情に対する高い観察眼は身に付いた。

 

多くの力を失って人間になった私が、数少ない人間になってから手に入れた力だ。

 

まぁそれはそれとして、あの「……?」とした顔は、一時期「私以外にも記憶がある人はいないのかな?」なんて思ってハッタリとかを部長に色々試して見た時に沢山見たリアクションだ。

 

あの感じだと、実は本当は何も知らないんじゃ無いかと思ってしまう。

 

けど、それだと。じゃあどうしてあの名前が出たのか。と謎は余計に深まる。

 

うーん……もしかしたら中途半端に記憶が残ってる。とか、最近になって少しずつ。なんて話かもしれない。

 

…まぁ、結局それは肝心の当人に聞いてみないと分からないんだけど………。

 

でも、迂闊には動けないし……。

 

「……もどかしいね…。」

 

そう口が自然にポツリと呟くと、小さくため息をつく。

 

…まぁ、あんまり深く気にしたってしょうがない。

 

もう少し前向きに考えて行こう。ストレスは社会人の天敵だ。

 

実際、今日は少し緊張が態度に出てしまっていたらしい。

 

部長から「何かあったのかお前。」と聞かれてようやく気付いた。

 

上の立場にいる人間として、私事が仕事に影響するような事は気をつけなくちゃ。反省だね。

 

こういうちょっとピリピリしてる時は気分を改めないと。気持ちのリフレッシュが必要だ。

 

 

そう一旦結論づけると、早速思考を切り替えて、食べ終わってから数分程放置されていた目の前のお茶碗をようやく片付ける。

 

それから、カバンの近くにある2つのドッシリとしたレジ袋をテーブルに持ってきて、ガソゴソとその沢山の中身を並べた。

 

 

こういう悩んでて頭がもやもやする時は、何か甘いものが食べたくなる。

 

そんな私のニーズにびっくりする程ピッタリに、何故か今日沢山甘いものを職場の皆から貰った。

 

みんな(これからも仲良くしましょうね。)って感じのニコニコした顔だった。うーん、今日って何かの記念日だったのかな。

 

一方的に沢山貰ってしまったが、とても丁度いいのでここは甘えて頂こう。きっと今日は上司の日か何かだったに違いない。

 

それにしても、豪勢な一覧だ。

 

伝次くんがくれたこのプリンは有名所の物を市販にしたアラモードのものだ。高いし少ししか売ってないので、コンビニでもそう気軽には買えない。

 

早川くんのはあの有名な菓子パン屋さんのだろう。包装の袋に独特なおじさんのキャラクターの印が入っているのでパッとみただけでわかる。

 

他にも色々、果物の詰合せまで貰ってしまった。

 

だがそんな豪華な物達よりも、やっぱり一番目を引くのは何の変哲もないホイップクリームだった。

 

凄くシンプルに、只のホイップクリーム。破輪ちゃんらしい発想だ。

 

けど、それにばかり意識が行くのは決してそれがシュールな絵面だからじゃない。

 

実はこのホイップクリームを貰った丁度その瞬間に、困惑するよりも遥かに早く、ちょっとした野望を胸に抱いたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 これでジャンボパフェを作ろう。と。

 

 

 

 

 

 

 

 

学生時代は、パフェとか、クッキーとか、とにかく色々、スイーツ作りに熱中していた。女子達の輪にいると自然とそういったものを口にする機会が多かったから。

 

思い返してみれば、人をキュゥッとしてビシャッ!とかやってた頃は血生臭い事ばっかであんまりスイーツとか縁が無かった。

 

そんな感じだったから、当時の私には多種多様なスイーツが何処か新鮮で、持て余した目的無き学生生活をそれに費やしていた。

 

最近ではすっかりやらなくなっていたな。

 

買ったほうが美味しいし楽。なんて冴えない大人になってしまったようだ。

 

気持ちのリフレッシュが目的なんだ。こういう時こそ童心に還ろう。

 

やる気に満ちてきてスクっと立ち上がると、さて何処に仕舞ったっけとキッチンの簡素な食器棚から奥深くからパフェグラスを探して取り出す。

 

就職が決まって本格的に荷物を実家からこっちにもってきた時、今後使う事なんてあるかな。と思いながらも何となくセットを保管してた事がようやく功を成したようだ。

 

ちゃんと全部のサイズを保管しといて良かった。ボウルで代用しても良かったが、やっぱり作るなら見た目も本格的な方が良い。

 

ジャンボ用サイズのグラスの光沢を眺め懐かしさに浸りながら着々と準備を勧めていく。

 

パフェの構造の構想は帰りながら考えておいた。

 

まずはロールケーキを均等に切っていく。パフェは下に重量のかかるスイーツだ。形が崩れないようにする為の支え兼層分けのスポンジとして使う。

 

3層分けにするので、切ったあと少し残った分は明日単品で食べる事にする。

 

 

次に、フルーツを着々と慣れた手付きでそれらしい形に加工していく。

 

フルーツは色々あるが、今回はイチゴとミカン、マンゴーを使おう。キウイは使うかどうか、電車に揺られた構想立ての7割くらいの時間とても悩んだが、甘さ重視で行くことにした。

 

最下層の部分はクッキーにしようと決めいたが、これはこのパフェの最後の一口になる物だ。姫野ちゃんから貰ったクッキーに色々な種類があるせいでどれを採用するか迷ってしまうな。

 

数十秒程の吟味の結果、ストレートなチョッコチップが栄えある採用を勝ち取った。欲張りに2枚入れちゃお。

 

それから、ホイップクリーム、先程切ったロールケーキ・フルーツ、偶に砕いたチョコを少々、と。順番に層を組み立てていく。

 

やはりパフェといったらホイップクリームだ。これを貰わなかったらパフェを作ろうという発送には至れなかった。運命は紙一重だね。

 

そんな感慨に浸りながらグラスを満たし終わらせ、一番感性の問われる上部の制作に取り掛かる。

 

クッキーと板チョコで丸く縁取ろう、クッキーにはホイップクリームをちょっと乗せて……クッキーとチョコで丸く区切られた中心を一旦ホイップクリームでたっぷり満たす。

 

そのクリームの山を少しずつ端から平らにする様にフルーツを載せていく……、そうだ、ブラックサンダーとポッキーもそこに刺しちゃえ。

 

そして最後に一つ小さく残された中心のスペースに、一番の目玉としての天辺にプリンを乗せて、そのプリンの更なる天辺に一緒についてたさくらんぼを、ホイップクリームを支えにチョコンと乗せて………完成だ。

 

……。いいね。我ながら良くできたんじゃないかな。プリンの配置は色々考えたけど、やっぱり真ん中に堂々と置くのが一番だ。

 

ああ、プリンのサイズ感が本当に丁度良かったね。いつもはお高めのプリンは量が少ないと嘆いていたけど、今回ばかりはこのサイズが天辺を飾るにふさわしい。

 

本当にいい出来だ。食べるのが惜しくなってきちゃった。うん、写真に撮っておこう。ラインで皆に自慢もしちゃえ。

 

フンフンと、達成感に満たされると、遂にスプーンを手に取る。

 

この一手を入れた瞬間、このパフェの完成されたビジュアルは終わる。

 

けど、食べるとはそういうこと。有終の儚さであり美だね。限りあるからこそまた美しく映る。

 

スッと、丁寧に、プリンの端を土台のクリームをと共に掬う。

 

「……ハム」

 

「……んふふっ。」

 

 

プリンの滑らかさとカスタードな甘さ、クリームの甘さ。甘い。とても甘い。それが私を幸せにさせる。甘さとは正義。甘さこそ全てだ。

 

頭のほんの片隅にか細く存在した体重への心配も、この瞬間に消滅した。

 

先程までの形を崩す抵抗感もすっかり無くなって、ヒョイヒョイと食べ進んでいく。

 

やっぱりスイーツ作りはいい。作るのも食べるのも楽しいし、それに懐かしい。

 

また本格的に始めてみようかな。ついでにsnsはじめてみようかな。作ったのを職場の皆にあげるのも良い。

 

あぁすっかり気分が良くなった。甘い物はやはり万物に通じる。

 

今度皆にちゃんとお礼言わないとね。

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

犬飼家

 

 

ピロン

 

ふと、テーブルに置きっぱなしの伝次の携帯が通知を鳴らした。

 

伝次は丁度風呂から上がった所だった。腰にタオルだけ巻いている。そんな兄に、妹が携帯を持ってきて何か通知が来たと知らせる。

 

 

「ライン鳴ってた。」

 

 

「ん?あ~これから服着んからそこら辺置いといてくれ、後で見るからよ。」

 

「…あ、そいや誰からだ?」

 

 

「あいだぎさんって出てる。」

 

 

「あいだぎぃ…?…間木さんっ!?」

 

 

送り主が間木と分かるや否や、伝次は迅速に妹から携帯をバッと受け取る。そのワタワタしさで腰のタオルが落ちたが、それすらも気にしていないようだった。

 

目の前で露わにされた兄のソレに妹は冷ややかな視線を送る。

 

だが兄はそんな自分を省みもしない。どうやら兄にとって、「まきさん」とやらはそれぐらいとても重要な人らしい。

 

だが兄、伝次はそんな間木からの通知を開けずにいた。

 

そもそも何故彼が間木からの通知に過敏なのか?

 

それは彼が自分が間木を怒らせたと思い込んでいる手前だからだった。誰だって好きな人を怒らせてしまったら、その後の反応が気になって仕方なくなるもの。

 

けれど、気になるが、伝次はメッセージを開けずにいた。

 

なにやら写真が送られてきたと出ている。何だろうか。予測がつかないと不安になってくる。

 

だが遂に意を決して通知を開く。

 

 

 

……、パフェの写真だ。手作りだろうか、スゴイなと思うほど精巧であり、また素人らしい粗さもある見た目からそう判断する。

 

下に何かメッセージが続いている。

 

 

伝次くんから貰ったプリンでパフェを作ったよ。(◠‿・)—☆

 

 

そうメッセージを見て、もう一度パフェの画像を見ると、確かに天辺にあるのは今日自分がお詫びのつもりで渡したプリンだという事に気づいた。

 

 

……。

 

 

伝次は、ばっと片手を振り上げて、顔も上げて、よっしゃー!っとした雰囲気になる。

 

機嫌を直してもらえた。

 

伝次はそう確信と安心を得たのだ。

 

そうして、裸のままに、ふんふんと上機嫌に伝次は飼い犬を撫でるのだった。

 

 

そして妹の那由多は、いいからさっさと服を着てほしかった。

 




クソ不定期に変わりはないです。頻度には期待しないで下さい(小声)
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