監視施設にて、あの後何やかんやでくっついた両腕を無表情に眺めてる天使くんのいる部屋にノックと扉の開く音。咄嗟に視線を向けるがそこにいたのは只の公安の偉い人。
どうやら亡き早川の推薦状が受理されたようで、ある程度の自由行動が認められた天使くん。
「まぁ、なんだかんだあったけど結果オーライ。」なんて強がって早速ちょっと公園まで散歩に行くと、アイス屋があったのでソフトクリームを購入。
ベンチに座って一口かじろうとするが、そこでかつて早川にソフトクリームを買ってもらった記憶が意図せずフラッシュバック。
ソフトクリームが溶け始め冷たく手を濡らすが、全く食べる気が起きてこない天使くん。
その内ついにうずくまって、下唇噛んで泣きはじめてしまう。
そんな天使を心配して大丈夫かお前と声をかける偶々通りかかった一般学生デンジ。
顔を上げた天使はデンジの隣に少女がいる事に気づく。
その目は、あの支配の悪魔と同じ物をしていた。
その子は一体誰かと聞くと、デンジは家族と言うがそれ以外は濁す。
天使は考える。
あの支配の悪魔は死んだから、自分は支配から開放されている。
となると、じゃあ。
コイツは転生した支配の悪魔じゃないか。
「______2ヶ月使用。」
去っていく二人の背後で、かつて早川から吸い取ってしまった寿命から小さなナイフを生成してしまう天使くん_______。
が見たいけどきっと見れないから続かないです。
「間木。何かあったら何でも相談してくれていいからな。」
「間木。新しい恋愛をするのは悪い事じゃない。昔の男を引きずっても前には進めないんだ。」
「間木。心配しなくていい。性別なんてのは大した問題じゃない。直ぐに分かる。だから安心して私に身を委ねてくれていい。」
助けてチェンソーマッ
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「駆足だ。色々あって暫くここを持つ事になった。」
「岸辺の奴は死にさえしなければすぐ戻ってくるだろう。私の事は気にしなくていい。いつも通りに仕事に取り組んでくれ。」
オフィスにいる全員の注目の中、若年の顔つきにはおおよそ不自然な灰髮の女性はただ静かにそう話し終えると、ただ当然のように資料を手に取り始めて仕事に取り掛かり始めた。
「…誰あれ。」
今日も眠たい目を擦って出社してきたら見知らぬ女がいた動揺に、淵瀬は隣の席の早川に困惑を隠せない小声で話しかける。
「…名乗ってた通り駆足部長…なんだろう。前に姫野先輩から話だけだが、名前を聞いた事がある。」
「本社勤務の方で、姫野先輩は間木さんと部長とで、一回だけ駆足部長と仕事をする機会があったそうだ。」
「…その時に聞いてた話が合ってるそうなら…岸辺部長とは…同期らしいぞ。」
「え…。同期って…。いや、え。…見た目僕らと大差ない…。」
いつもはシワある男がいた筈の部長席に突如として現れた謎の若年女性に、何が何だか職場の者達は当然何も分からず、皆無言ながらも詳しい説明責任を欲する。
が、彼女のただ黙々と作業に取り掛かる姿を見ると「気にしても無駄。」という事を悟らざるを得ずいつも通りに彼らも仕事を始めた。
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「岸辺の馬鹿が急な事を言って悪かった間木。私から謝っておく。」
午後。お昼休みの始まりと共に駆足部長に呼ばれ、口頭にそう謝罪を告げられた。
「いえそんな。わざわざ代わりを請けてもらって恐縮です。私の方からお礼を。」
「…それで、岸辺部長は一体何の用で何処に転勤を?私はそこについては何も知らされていません。」
岸辺部長の件については、困惑より疑問の方が強い。
岸辺部長は確かにこう言ってた。「私的な用事で短期的な転勤をする。」と。
…多分、転勤ってそういうものじゃなかったと思う。
何処に何をしに行ったのか?とかそれ以前に、それ本当に只の転勤?という部分がどう考えても引っかかる。
岸辺部長には謎が多い。きっと今の私以上に。
その名前を少し話題に上げれば
「昔何か物騒な仕事をしていた。」とか
「子供の頃に見た警察官に似てる。」とか
「そういえば、ヤクザ抗争の野次馬いったとき現場にいたような気が…。」とか
「あの日ワシを山から攫った男じゃ。間違いない。」
なんていった話がわんさか出てくる。
少なくとも、岸辺『隊長』はあっちではトップレベルのデビルハンターをしていた人間だ。
そして、こっちとあっちとの違いなんて精々悪魔がいるかいないかくらい。
多分裏社会は相変わらず真っ黒な事をしてるだろうし、その抑止力も、形が違えど存在してる筈だ。
岸辺隊長。
いや、狂犬岸辺。
…。
岸辺部長って、絶対一般社会人じゃないと思うんだ。
「代わりを頼まれたのなら、駆足部長には何か伝えられてると思っているのですが。」
「…さぁな。私はもうアイツの関わることには興味ない。」
駆足部長は私の質問に静かに溜め置いてから、ため息ついて、意味ありげな言い回しでそう言った。
駆足部長。
駆足。
“クァンシ”。
狂犬岸辺の名を聞くとき、必ずその名も聞くことになる。
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「アイツに近づきたくはないな。」
「全人類が集まって素手で殴り合う競技があったなら一位がクァンシだ。」
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最強と言ってるデビルハンター、狂犬岸辺。
最初と言われたデビルハンター、クァンシ。
かの全盛期、デビルハンターの間でも、悪魔達の間でも、このバディコンビを知らない者はいない。
並のデビルハンターでも寸で死ぬような幾多もの死線をくぐり抜け、どれだけ歪で凶悪な異形にも恐れをなさず、幾多もの悪魔を狩ってきたあの二人はまさしくデビルハンターの名だろう。
あぁ、懐かしいね。全盛期は本当に凄かった。
…ん、遠い過去に浸り過ぎたね。
興味ない。かぁ。すごく含みのある言い回しだ。
普通に考えれば、自由奔放な事をする岸辺部長に対する呆れた意味合いの興味ない。
だろうけど、この人にもその普通は多分通用しない。
だって、私と大差なさそうなこの若年の見た目で、岸辺部長と同期らしい。
不老不死の武器人間であり、“最初のデビルハンター”と呼ばれたクァンシが一体何歳で、果たして人類史のいつ頃からいたのかは分からない。
けど、少なくとも駆足部長は普通の人間……の筈だ。
岸辺部長と同期が本当なら、これで最低でも55歳は優に超えてる事になる。
岸辺部長と違って物騒な噂を聞かないが、でも何か直感的に分かる。駆足部長も絶対一般人じゃない。
となると_____。
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「この世でハッピーに生きるコツは無知で馬鹿なまま生きること。」
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……。
興味ない。か。
確かに、そうかもね。本当にただそれだけの事。
部長達が何者なのか、なんて今の私が気にするような事じゃない。
私は只の一般社会人。一般家庭出身の、もう裏社会とは根本から何の関係もない一般人間。
そこに日本政府管轄・総理契約悪魔。の大層な遺恨は存在しない。
今の私にはもう裏世界に首を突っ込む理由も、まさしく興味なんて物もない。
彼女の言うとおりだ。何も知らず、気にしないでハッピーに生きていこう。知らなくていい。興味ない。
「間木。…間木?」
「あ、いえ。」
考える方に集中して視線が遠くに行ってたようだ。
「不満があるなら遠慮せず言ってくれていい。急な話なんだ。お前が一番迷惑被ってるだろう。」
そう言って、部長はその冷淡そうな表情とは反するように厚意的な態度を取る。
「…お気遣いありがとうございます。ですが私は大丈夫です。課長兼次長としての臨時責任は真っ当します。」
確かに不満が無い訳じゃないけど、不測の事態には前世で散々慣れてる。
部長のご厚意は大変ありがたいけど、多分問題は無い。私ならやれる。
…。
それに…色々あって失礼極まりないのは承知なんだけど…駆足部長とは…ちょっと距離を取っていたい…。
「そうか、間木は逞しいな。…だが。」
「間木。何かあったら何でも相談してくれていいからな。」
「ありがとうございます。」
部長のその寛大な親切心に対してなるべく礼儀ある普通の応対を試みたが、やはり嫌疑そうな気を含んでしまった。気づかれてないといいな。
「…そうだ。間木。夜は空いてるか?ここらに良い店があるんだ。」
「久々にこっちに来るから行こうと思ってるんだが、一緒にどうだ間木。前に外食が好きだって言ってただろう?」
「…今日はもう既に予定が入っています。ごめんなさい。」
…。
無いよ。
本当は、無い。無いんだけど、それ多分二人きりになるだろうから、無理なんだ。
「……そうか。」
ん。
そうシュンとされてしまうと…。心苦しいね。
…けど、その落ち込んでるのがどういう理由なのか考えるとやっぱり危機意識の方が勝っちゃうから許してください。
顔を落とした一瞬をついてそそくさと退散するようにその場を後にする。
「じゃあ、昼でも…。ん、いない…。」
______
社会人として失礼なのは百も承知だよ。本当に。
でもね、私なりにもちゃんとした理由があるんです。本当です。
…、ハッキリ言っちゃうとね。
駆足部長。手を出してきそうでこわいんです。はい。
駆足部長の元のクァンシがそういう人だっていうのは有名な話。だからそこは別にどうでもいいんだ。そういう人もいると思うよ。そこは何も関係ない。
問題はね。私がそういう目で見られてるんじゃないかなって思う節なんだ。
以前駆足部長の部署の方々とお仕事をした時があった。
なんだったかな。たしか地産地消を掲げた食品プロジェクトの連携だっけ。当時そんな風潮が社会に流行ってた。
それはそれとして、その時、その不死でも何でもない筈の若年の見た目にビックリして、「若さの秘訣って何ですか?」って何気なく聞いてみたら
「常に新しい恋を味わう事。」
って言って、私の事をチラリと流し目で見た気がした。
その時からずっと警戒してる。
昔からよく言われるんだ。顔立ちが良い。とか、美人だとか、スタイルが良いとか。
思い返してみれば告白された事も結構あったね。全部丁重にお断りしたけど。
私には見た目の話とかは自他共によく見てないから詳しくは分からないんだけど、少なくとも私は性的に見る分には見た目が理想的らしい。
それでクァンシの方でね、支配かけてた時の事なんだけど
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「皆不埒だ…。マキマは私が守るから…。」
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丹田辺りをね、凄いサワサワされたんだ。この時。
この時は別に気にしてなかったんだ。力関係が私のほうが上だったもん。最悪手を出されかければどうとでも従順にするように弄れば良い。
でも、今は違う。
役職的にも、身体能力的にも、完全にあっちに分がある。
クァンシはプレイボーイ(ガール?)な人だ。グイグイ来るし押し倒されたりでもしたらその時が最後。
素手の格闘技なんてもう20年はやってない、そしてこれからも使う機会は恐らく無い。
今の私はか弱い女子。ぱーんとか言って人をグッチャグチャに吹き飛ばしてたのは遠い過去の話。
だから失礼だろうが小手先だろうが使える物は何でも使ってこの貞操は守らせてもらう。
好意的に見てもらえるのは結構だけど、申し訳ないが私の体を滅茶苦茶(物理)にして良いのは後にも先にも「彼」だけだ。例えもう居なくたってここは絶対に譲らない。
そう固い決意を元に空を見上げると、ふと気付いてキョロキョロと辺りを見渡す。
あれ、自分の非礼を正当化する理屈を考えながら歩いてたら結構遠くまで来ちゃった。早くお昼を何にするか決めないと。
何かいいお店は無いかな。昨日ようやくお財布が復活したんだ。久々に良いものを食べたい。
そう思い360°くまなく見渡すと、その目に映った飲食店の数々に再び考え込む。
しまった。ここ飲食店が多いエリアだった。あぁ、そうそう。この前ここら辺で食べたカレーうどんがおいしかったんだ。
うどん。ラーメン。カレー。牛丼。……。
駄目だ。これ以上見たら悩みすぎて逆に決められなくなる。
ここら辺のお店はもう全て行き尽くしてしまった。ここ試しに行ってみようは出来ない。んん、知り尽くしてる故に悩んでしまう…。
でも早急に何か決定打を見つけないと。手段の多さを持て余して活かせないのは敏腕OLの名折れだ。
その誇りから思考を強くグルグル回すが、やはりいくら加速しても結論は出ない。
理性に頼るから良くないのかもしれない。頭で考えるな、お腹で感じろ。今日は何の気分だ。
……あー駄目だね。美味しいもの食べれば何でも良いの気分だ。なんて無責任なんだろう、胃の主が一体どんな責任感で生きてるのか是非見てみたいね。
何か下りてこい直感的インスピレーション。何でもいいから。切実に______
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「阿阿阿」
「戸体在悦活」
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______中華食べたい。中華食べる。
段々投稿ペースが落ちてきてないか…?(震え声)
長くなったので飯パートは次話になります。
駆足(くあし)部長
クァンシとの違いは眼帯の有無。
不老不死でも何でもない筈なのに見た目が若年。謎。怖い。
彼女の部署の女性社員は皆彼女の愛人だとかの噂が絶えない。