通信機越しに秘書官の金剛と盟友がなにやら話をしているようだ。盟友はこんな時間まで寝ておったようだな。だが真面目な盟友の事だ。昨夜夜戦でもしたのであろう。
「葛原だ。」
「おお!!待ちわびたぞ我が盟友よ!!なにやら秘書艦を変えたようだな?うむうむ、色々な艦娘を秘書艦にしたい気持ちは、我には深く理解出来るぞ。」
「・・・用件はなんだ?」
「うむ、聞いて驚くが良い!!ついに!!ついに我の時代が来たのである!!」
「そうか、では切るぞ。」
なんと!?相変わらず話をすぐに切りたがるのは、盟友の悪い所の一つである。もっと会話を楽しむ事を覚えるべきだ。
「待て待て待て!!大事な話であるから、そう焦るでない!!まずは我の話を聞いて貰おう。」
「私も忙しい。話を聞いて欲しければ5秒で興味を持たせろ。」
マズイ・・・盟友は切ると言ったら容赦無く切る漢だ。仕方ないから本題に移るか・・・
「我、長門鎮守府に着任す。」
「・・・ほう?」
ふむ、この「ほう?」は興味を持った時のやつだな。流石にこの話は盟友でも興味を持ったようだな。
「ふむふむ、流石の盟友でも驚いたようだな。つい先程命令を受けたばかりでな。大本営の奴等もついに我の実力を認めたという事だ。これで我の野望である艦娘ハーレムを作る事が可能となったのだ!!しかも長門鎮守府は盟友の鎮守府の隣であると聞く。ならば我等の勝利は約束されたも同然であるぞ!!」
「・・・そうか。」
ぬ?思ったよりも反応が薄いのう・・・寝起きで頭が回っておらんのか?盟友は寝起きは良いタイプだと思っておったが?
「ふっふっふっ。しかもだ!!今回は特例として士官学校所属の艦娘を一人連れて行く事が可能なのである!!大本営の連中は気に食わぬがここまで厚待遇ならば、我も寛大な心で受け入れようと言うものだ。」
「まあ、頑張れ。それで?誰を連れて行くのかもう決めたのか?」
「よくぞ聞いてくれた!!この第六天魔王織田信長の子孫にして、いずれはこの世界の覇権を握る漢、織田信雄の右腕となる者を紹介しよう!!」
そう言って霞ママへと通信機を差し出す。なんだか霞ママが頭を抱えておるようだが大丈夫だろうか?
「はぁ・・・葛原かしら?霞よ。」
「あぁ・・・霞か・・・」
「ええ、このクズに初期艦を頼まれてしまったのよ・・・本当にこのクズはあたしが居ないとなんにも出来ないんだから・・・とりあえず明日の朝には長門鎮守府に着任すると思うから、宜しく頼むわよ。」
「そうか・・・大変な仕事だとは思うが頑張ってくれ。何かあれば相談してくれて構わない。軍事的な話であれば私が協力出来るし、設備や財政面での問題ならば北条を頼ると良い。あいつも霞の頼みであれば聞いてくれるだろう。」
「そう言って貰えると助かるわ。申し訳ないけれど落ち着くまでは頼りにさせて貰うわ。」
「気にするな。霞には士官学校時代に世話になったからな。」
待て待て待てぃ!!我との対応の差がおかしくないか!?こういう話を我ともするべきではないのか!?
「あ、あの・・・盟友よ?なんか我の時と対応が違い過ぎではなかろうか?」
「では霞、北九州鎮守府の提督として長門鎮守府への着任を歓迎する。今後は協力して深海棲艦の脅威へと立ち向かおう。」
「ええ、こちらこそ隣の鎮守府として良い関係を築けるように、努力させて貰うわ。」
む、無視だと!?霞ママの横から話をしたのに完全に無視されてしまっただと!?・・・無視は寂しいのでやめて欲しいのだが・・・
「め、盟友よ!!我は!?我には何かかけるべき言葉は無いのか!?」
「そうだな・・・あまり霞に迷惑をかけないように頑張れ。ではこれで失礼する。」
「盟友ぅぅぅぅうう!!!!」
そのまま盟友は一切の容赦無く通信を切ってしまった・・・今日はあまり機嫌が良くないのであろうか?鎮守府に着任する前はわりと我の話を聞いてくれたものであるが・・・特に艦娘の話や深海棲艦の話は、かなり長時間付き合ってくれたものなのだがなぁ・・・まあ、盟友は気分屋だからそういう日もあるか。
「ふむ、盟友も忙しいようだし、次だな。」
「・・・ええ、そうね。ってどこ行くのよ!?」
「ん?盟友の次は北条様であろう?小森嬢は盟友の鎮守府におるし、たぶん我とは話をしてくれぬのでなぁ・・・だから我の知り合いなど後は北条様くらいのものであろう?」
「こ、このクズは!?鎮守府に着任するなら、せめて4大鎮守府と隣の鎮守府くらいには挨拶しなさいよ!!これくらいは常識よ!!」
「し、しかしのぅ・・・我ははぐれものゆえ、そやつらからは嫌われておるはずだぞ?なんせ派閥からの勧誘は全て断っておるからな。」
とは言っても誘われたのは最初の数日くらいなもので、その後は一切声をかけられておらんのだがな・・・
「そんな事だからあんたはクズなのよ!!あんたも一人前の提督になるなら、本音と建前くらいは使い分けなさい!!大人なら上部だけの付き合いでも上手くやりなさい!!」
「お、おう・・・霞殿がそういうのであれば致し方あるまい・・・」
「ならまずは一番近い舞鶴鎮守府の鶴野提督からかけるわよ。」
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その後四大鎮守府と益田鎮守府に挨拶をしたのだが・・・本当に必要であったのだろうか?横須賀の海原提督以外は塩対応であったぞ?舞鶴と益田鎮守府に関しては秘書艦が対応して、提督本人とは話をしておらぬし、呉鎮守府の提督からは「あまり舐めた真似すると潰すからな?」と脅されたし、佐世保鎮守府の提督からは「戦果を上げろ、クズとは付き合うな。」とだけ言われて切られてしまった。
「はぁ・・・分かってはいたけど、あんたの嫌われようも凄いわね・・・」
「我の志は理解されぬ事が多いから、多くの者から背を向けられるのは仕方あるまい。我は我を理解してくれる数少ない者達を大事にするつもりである。盟友に北条様に小森嬢と霞殿、そして艦娘達や妖精さん達。我にはこんなにも仲間がおるのだ。何一つ恥じる事など無い!!」
「そ、そう?まあ、身近な人を大切にするのは良い事じゃないかしら?とりあえずやることはやったから、北条さんの所にでも行くわよ。」
ふむ、霞ママは先程まで少々不機嫌のようであったが、我がちゃんと仕事をしたので少し機嫌が良くなっておられるようだ。北条様の私室に向かう足取りが軽く弾むようである。
カスミチャンチョロカワイイヤッター