厨二病提督の崩壊鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 今回は過去編その2です。本編では書けないようなお話が書けるので、書いてて面白いです。


9話

 空港の休憩室で休んでいると北条様の挨拶とやらも終わったようで、車に乗り込んで盟友の鎮守府へと向かう。正門の前に到着すると憲兵共が慌てて出てくる。

 

「これはこれは北条様、本日はどのようなご用件で?」

 

「ここにいる織田が明日長門鎮守府に着任しますの。あと小森さんが実地研修で北九州鎮守に着任しましたから、今日はそのお祝いですわ。おーほっほっほっ!!」

 

「左様でございますか。すぐに連絡しますので少々お待ち下さい。」

 

 憲兵の代表らしき者は丁寧に一礼してから鎮守府へと取り次いでおる。嫌な態度の者が多い憲兵共が北条様の前ではペコペコ頭を下げておるのは滑稽である。

 

「お待たせ致しました。葛原提督が執務室でお待ちです。」

 

「ええ、分かりましたわ。本郷。」

 

「はっ、こちらお嬢様からです。勤務後に皆さんで楽しまれて下さい。」

 

 そう言って執事の本郷殿が憲兵の代表にお酒のビンを手渡す。

 

「おお!!ありがとうございます。我々のような者にもご配慮頂けるとは。」

 

「おーほっほっほっ!!貴方達は私の傘下の鎮守府を警備しているのですから、任務に忠実であれば差し入れの一つもしますわよ!!おーほっほっほっ!!」

 

「流石は北条様、懐が深い方でいらっしゃる。ならば我々も誠心誠意勤めさせて頂きます。」

 

「おーほっほっほっ!!では皆さん頑張って下さいまし。」

 

 憲兵共が正門を開けて我々を迎え入れる。盟友の鎮守府へと入るのは初めてだが、盟友が治める場所であるならば我等の領域。我も一国一城の主となる身である故、盟友の鎮守府をよく見ておきたいものであるな。

 

――――――――――――――――――

 

 ・・・どうしてこうなった?盟友の鎮守府へと遊びに来て客室へと案内されたかと思ったら、何故か営倉に閉じ込められた。なにかしら盟友を怒らせるような事をしたようだが、何故怒っておったのかは分からぬ。霞ママの件は誤解が解けたと思うのだが・・・

 だが盟友が言っていたようにこの営倉はきちんと掃除がされておるので、そこまで居心地が悪くないのも事実である。ここだけではなく鎮守府全体が掃除が行き届いていた。そういうところにまで気を配るあたり、盟友はやはり規律重視の艦隊を作っているようだな。

 それにしても暇である。盟友は食事の時間になれば迎えに来ると言っておったが、それまで一人で過ごすのも寂しいものだ。せっかく艦娘がたくさんいる場所なのに一人であるか・・・盟友は時間になるまで放置するつもりだろうし、北条様は任された仕事で忙しいし、霞ママはダウンしていて、北九州鎮守府所属の艦娘達は盟友の命令に従う。誰か他には・・・小森嬢がおられるが、我を怖がっておられるから助けには来ぬか・・・

 小森嬢は物凄く優秀なのだがなぁ・・・とりあえず布団もあるし寝るとしよう。我もやはり移動で疲れておるからな。これも疲労した我に対する盟友からの配慮からかも知れぬ。良い夢を見られれば良いのだがなぁ。

 

――――――――――――――――――

 

「はっはっはっ!!我が盟友よ!!ついにこの時が来たぞ!!」

 

「はぁ・・・そうか。」

 

「ん?どうした盟友よ?此度の演習は前回とは違うのだ!!盟友から授けられた策がある!!見事に圧勝して見せようぞ!!」

 

「はぁ・・・まあ頑張れ。」

 

 ぬぅ?せっかくの我の晴れ舞台だと言うのに盟友は乗り気では無いようだな?今回は我にとっては二度目の演習。前回はモブ教官に惜しくも敗北してしまったが、盟友がモブ教官を相手に大勝利をしたのだ。もちろん指揮を隣で見ていた我はその勝ち方を覚えておる。ならば負ける事などあり得ぬというものだ!!

 

「案ずるな盟友よ。今回も前回同様に駆逐艦6人による戦いである。そして我には盟友の秘策があるのだ!!負ける事など万に一つも無い!!」

 

「あの教官が相手なら勝てるかもな。あいつは学習能力がなさそうだからな。だが今回の相手は別だろう?」

 

「うむ、小森とかいう目立たぬ学生だな。物凄く可愛いらしい容姿をしておったが、我を前にして震えておった。あのように可憐な娘を怖がらせるのは本意ではないが、我の纏う覇気は抑えきれるものではなくてな・・・」

 

「そうか・・・小森が演習に参加するのは今回が初めてだそうだが・・・あいつは教官共とは違うからな?」

 

 ふぅむ?盟友はあの小森という娘をえらく評価しておるのか?いや、もしかすると可憐な娘をあまりいじめるなという事だろうか?盟友はこう見えて少女趣味であるのか?ならば多少の手心を加えるのも吝かではないな。

 

「うむ、万事我に任せておくが良い。」

 

「今回私は口出しをしないつもりだが・・・始まる前に一つだけアドバイスだ。」

 

「ふむ、聞こう。」

 

「敗北から学べるものも多い。自分が何故負けたのかを後で反省すると良い。」

 

「め、盟友!?まだ演習は始まってすらいないのだが!?」

 

 そういうと盟友はもう言うべき事は言ったとばかりに、指令室の壁際へと移動して黙ってこちらを見ている。まるで我の敗北が決まっているかのような口ぶりが気に食わぬが、これも我を奮起させる為の演技かもしれぬ。ならば盟友に我の凄さを見せつけてやらねばな!!

 

――――――――――――――――――

 

 今回は朝潮型対綾波型の戦いで戦力差は無いと言って良い。盟友の作戦ならば戦力差をひっくり返す事も可能なのだから負ける理由はない。朝潮型の艦娘達に前回の盟友と同じ命令を下す。多少の動揺はあったものの、我が自信満々に命ずれば安心して出撃した。これで勝利は約束されたようなものであるな。盟友はこのタイミングで教官を煽って冷静さを奪っておったが・・・そもそも小森という娘は我に怯えておったからのぅ・・・流石にこれ以上怖がらせるのは可哀想だな。

 

『両陣営初期配置に到着しました。それでは演習を開始します。』

 

「司令官!!駆逐艦朝潮、出撃します!!」

 

「うむ、勝利は我らの手にある!!作戦通りに行動して勝利せよ!!」

 

「はっ!!お任せ下さい!!」

 

 うむ、長女の朝潮に旗艦を任せたが、朝潮ちゃんは真面目で精一杯頑張るところが可愛い。次女の大潮ちゃんは元気いっぱいで可愛い。三女の満潮ちゃんは口が悪いが本当は寂しがり屋なところが可愛い。四女の荒潮ちゃんは駆逐艦とは思えぬ色気が堪らない。九女の霰ちゃんは大人しい性格だから構ってあげたくて堪らなくなる。十女の霞ちゃんは最高のツンデレで是非ともママとお呼びしたいものだ。そんな可愛い娘達が我の為に戦ってくれるのだ。もしかしてここが天国か?

 

「し、司令官!?敵の動きが予測と違いますがどうしましょう?」

 

「・・・なんだと!?」

 

 海を駆ける朝潮型の姿に見惚れていると、朝潮から焦った雰囲気の通信が入る。ど、ど、どういう事だ!?

 

「敵艦隊はこちらの側面に回り込むように、大きく円を描くような動きをしております!!」

 

 ど、ど、どういう事だ!?真っ直ぐ突っ込んでこないのか!?ええい狼狽えるでない!!おそらく我に恐れをなして逃げてしまったのだろう。そして距離を保つように円を描いて移動しておるのならば、艦隊の横腹を無防備に晒しておるという事ではないか!!

 

「さ、作戦変更である!!全速力で敵艦隊の横腹に襲い掛かるのだ!!」

 

「は、はい!!朝潮型!!突撃です!!」

 

「え、ちょ、本気!?」

 

「霞!!遅れないように!!」

 

 当初の予定とは異なっていた為に多少の動揺はあったようだが、朝潮達は単縦陣で敵艦隊を追いかける。敵艦隊も単縦陣で回り込もうとしているようだが、砲撃距離に入る頃にはちょうど敵の横腹を痛撃出来る位置を確保出来た!!これならば何も問題はあるまい!!

 

「砲撃戦開始します!!T字不利です!!」

 

「よし!!どんどん撃ちまくれ!!・・・T字不利?」

 

 T字不利とはなんだ?不利と言うからにはあまり良くない事のようだが?

 

「っ!!」

 

 こちらが敵艦隊を射程距離に入れようと近づいたら、敵艦隊が先頭の朝潮を目掛けて一斉に砲撃をした!!

 

「あ、朝潮!?だ、大丈夫であるか!?」

 

「ま、まだ沈みません・・・」

 

 い、いかん!?初撃で旗艦の朝潮が中破してしまっただと!?

 

「あ、朝潮を庇いながら応戦せよ!!」

 

 旗艦の朝潮を庇うように命ずると、朝潮型の娘達は大急ぎで朝潮の前に出ようとするが、次々と集中砲火を受けて削られていく・・・そしてついには・・・

 

『旗艦朝潮、砲撃により大破判定。これにより小森提督候補生の勝利です。戦闘終了。各艦隊は出撃港へと帰還してください。』

 

「ぬぉぉおおお!!なぜだ!?なぜ我が負けたのだぁぁあああ!?」

 

「はぁ・・・小森の実力が見れるかと思っていたのだが・・・こいつでは役者不足だったか。」

 

 壁際で盟友がため息を吐いておる!?すまぬ盟友よ・・・まさか盟友の作戦が通用しない相手だとは思わなかったのだ・・・




 営倉で良い夢が見られるとでも?またまたご冗談を。でもこの程度の夢なら可愛いものです。
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