モルモットとふしぎな目覚まし時計 作:✿▽✿
今日も喧噪が止まないいつもの場所に来ている。子供から大人、果てには老人までもを魅了するトゥインクル・シリーズの主役達の陰には多くの"敗者達"が存在している。レースでは入着しても結局もてはやされるのは優勝した主役だけなのだ。
私もまたそれに魅了されたしがないレースファン。名前や経歴などはどうでもいいだろう。ただ、今年で42歳になるがまだまだ色々とやれると思う。
「今日勝つのはウィニングチケットだろー!」
「いいや!前回と違ってアグネスタキオンだね!」
早速だが、パドックでのお披露目前では通例の如く優勝予想が繰り広げられる。そうだ。
(ウィニングチケット……
彼女は間違いなく主役だ。……だが、もう一人主役がいる。
アグネスタキオン……私の見立てでは彼女は敗者ではない。むしろこの先を賑わせる存在だと感じていたのだ。だが、クラッシックからはまだ1戦とはいえ弥生賞を入着。その結果皐月賞は逃してしまったのだ。
(京都新聞杯に出るということはダービーにも出る。ということ……彼女はめぐり合わせが悪いように思えるから、運のいいウマ娘が勝つと言われているダービーでは果たして上手くいくのか……)
とか妄想しているうちにパドックでの紹介が始まった。
ウィニングチケット……皐月賞では惜しくも4位だったのだがダービーでは負けていられないと、ここをステップレースに選んだのだろう。
(最初の一人だとしてもわかる……勝ちそうだ。)
特にあのトモ……素晴らしい……他のウマ娘達もよい仕上がりだがやはりBNW3人の肉体は良くぞここまで育てたと言わんばかりの肉体を持っている。
(特にナリタタイシン……小柄なあの身体からあれ程のパワーを出そうとするには過酷なトレーニングが必要だろう……そしてそれを乗り越えたからこその根性がある。)
まだまだ他にも光りそうな子たちはいるが、クラッシックはBNW3強か───なんて決めつけるその刹那、問題は起こった。
『4番人気、アグネスタキオン。』
「───なんだ……あれは……」
件のアグネスタキオンが登場した瞬間会場の雰囲気が一変した。ここにいる大半はアグネスタキオンの異変に気付いていないだろうが、知識があるものは理解していることだろう。
(勝つ───アグネスタキオンが勝ってしまう。)
黒いストッキングを着用することでトモの観察をされ辛くしているが、明らかに光っている。いや、これは彼女のトレーナーのように物理的ではなく、あくまでもイメージ上であるものの。思わずして目を細めてしまうような美しい脚である。
このどよめきの発生源は恐らくは自分と同じような者たちやクラッシック三冠を目指す上での強敵であるウィニングチケットの偵察に来たトレーナーだろう。
再度繰り返すが"私たち"は揃ってこう思っているはずだ。
『アグネスタキオンが勝つ』───と。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜side トレーナー〜
アグネスタキオンとはこんな水準だったのか───!?
なんて、他の人たちは考えているのだろう。
『さあ最終直線!未だアグネスタキオンとの差は5バ身!』
(ウィニングチケットは差せない。あの差は十分な安全圏だとタキオンに教えている。)
『後方から一気に追い上げるウィニングチケット!しかし届かないか……!?アグネスタキオンには並べないか!?』
───そうだ。タキオンの水準はクラッシック級では推し測れない。
『もうゴールは目前!だがウィニングチケットは影すら踏めない!!今ゴールを越えた!!アグネスタキオン完勝!!アグネスタキオンが2バ身差で勝ちました!』
レース終了後、いつも通りライブをした後俺たちはトレセン学園への帰路についている。ライブではGⅠを勝ったときに置いておいてくれないかと頼まれていたのでオタ芸はせずにサイリウムを振るだけにした。
暫く寝るとだけ言って後部座席で横になっているタキオンをミラー越しに確認しつつ信号が青になりアクセルペダルを踏み込む。今、俺の頭の中にあるものはある一つの考えだけであった。
───それは菊花賞に出ないという選択肢だった。
トレーナーの数が少ないってことらしいので複数のウマ娘を同時に担当するんですよね……一人受け持った後は何人か受け持つようになりそう。
この謎のオッサンは一体誰なんでしょうかね。原作には登場していませんが、とあるキャラクターに関係があったりして……?
この物語を進めていく上でトレーナーの名前を出した方が自然なシーンが出来たのですが皆さん的にはどう思いますか?
-
出してもいいよ
-
出したらダメ
-
自分で決めてくれ┐(´д`)┌ヤレヤレ