モルモットとふしぎな目覚まし時計 作:✿▽✿
波の音
遠くからはウミネコとアブラゼミの声が聞こえる。しかし、それらよりも───強く
───熱く
───そして大きく。
このトゥインクルシリーズでも有数の強者達が練習をしていた。
(成長が早い……ッ!!!)
現在は7月の末。合宿からは凡そ2週間から3週間といったところだ。
たかが2週間。されど2週間。『ウマ娘、三日合わざるは刮目して見よ。』という言葉があるように彼らの成長は凄まじいものである。
例えば……あの、ビワハヤヒデ。
少し身体が大きくなった。というより脚が長くなったのか?身長は5〜6センチ大きくなっており、一歩一歩のストライドが更に長くなっている。より広いストライド走法はスタミナを温存しやすくなり、長い距離のレースではかなり脅威になりうると言えよう。
収穫は何も相手ばかりではない。
新人の俺では重要な点に気付かなかったタキオンを2回も担当したからこそ分かること。そんなものを見つけてしまった。
俺はタキオンの成長記録を記している。元々タキオンのモチベーションを高める為であったそれは、今でも続けている。元は一ヶ月───早くとも”半月”の周期で記していたが今ではなんと一週間……5日……2日……と短い間隔で記録するほど成長の幅が大きくなっていっていた。
筈だった。
確かにこの合宿ではタキオンの能力は確実に増えている。しかし、以前程の伸びはない。
何故かと考えた。ここ3ヶ月の異常な伸びは何だったのか?
答えは簡単だった。
(───ダイワスカーレット……彼女とトレーニングをしていた期間だけ異常な程の伸びがある……!)
確かに、ダイワスカーレットとトレーニングをしていたタキオンのモチベーションはかなり高かった。そう、実験で良い効果を獲れたかのような……───
(兎も角……ダイワスカーレットの穴は大きい……クソ、俺が新人じゃなきゃ二人をチームで見れるというのに……)
トレセン学園……その親元であるURAが定めている規定で『原則一人以上のウマ娘を担当しなければ複数担当する事を禁ずる。』ということがあるのだ。それは彼女らの未来を潰してしまわぬようにする為であるのだが、今ではそれが足枷でしかないという事実に苛立つ。
(9月後半……この程度では……)
秋の天皇賞は出走したことがあるがそのステップレースであるオールカマーには出走したことはない。オールカマーがどの程度の難易度であれ天皇賞のレベルはどれほどなのかは分かっている。だが……このままでは勝つかは怪しい所だ。少なくとも現状多くのレースで見せている逃げ"モドキ"では太刀打ちできないはずだ。かと言って先行で走らせても良いが……シニアのウマ娘相手に技術が通じるのか……
思わぬ収穫であった夏合宿。後半ではどれほど伸びるかがオールカマー、引いては天皇賞を勝つ為に起因する筈だ。そう考えて、俺はタキオンとのトレーニングを励むのだった。
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~side タキオン~
夏合宿というものは実力がとても伸びる。という定説がある。
事実、9月以降の出走できるGⅠが殆どシニア級も出れるものであり、あの皇帝シンボリルドルフはシニアを相手にして勝っているのだ。まあ、規格外なのであまり参考にならないが……それでもシニア相手にクラッシックが勝つというのは珍しくない。ということから、夏合宿というものはウマ娘に大きな成長を与える……筈なのだが。
自身の成長というものを私は実感することができなかった。
あの神懸ったタイムの更新劇は鳴りを潜めている───とは言っても、一般的な観点から見れば自身の成長は遙か大きいものだろう。要するに私たちはこの異常な成長速度に慣れてしまったのだ。
(彼もどうしてあんなにも更新が起こった原因が何なのかを判ったはずだ。……あとは……彼の纏めた資料を活用すれば……!)
唐突だが。
アグネスタキオンには目標が増えていた。
元来ある目標はウマ娘というものの可能性───特に速さの点でどこまで行けるかというものである。しかし、もう一つ目標───と言えるほど彼女の中では確かなものにはなっていないのだが、そうありたいというものが出来た。それは……
───怪我をしない身体というもの。
きっかけはあのノートを見た時であった。自身のトレーナーが集めていた一応という範囲を超えた代物。その中にはタキオンの興味を引いたものもあった。それが身体を丈夫にするというだけの研究の論文であるのだが、その一文には彼女自身では考えつかないようなアイデアが隠されていた。たった2ページに綴られていただけの研究がタキオンの閃きによりあと数歩で「永続的に身体を丈夫にする薬」というかのトレーナーが求めてやまないものが出来上がろうとしている。
何故、タキオンがここまでの熱意を持ってこんなものを研究しているのかと言えば、彼女自身には解らなかった。
ただどんな人体実験も嫌な顔をせずに随う意思を見せるトレーナーが自分の怪我で精神的なトラウマを掘り起こすのは……なんだか考えただけでもモヤっとするから───こんな曖昧で簡単な理由だけで、生きる為に必要な食事をする時間すらも無駄だと言い捨てる自分がわざわざ速さを研究する時間を割いているという状況が理解できないのだ。
それからして夏合宿でのメニューに少々変更が加わった。この合宿でのトレーニングで得られる効果が私がいつもやっているトレーニングと同程度の効果しか望めないからだ。
(それにしても
変えられたメニューの内容は身体の能力を落とさない程度の軽いトレーニングだけをし、その後は適当に遊んで良いというものであった。そんなことをして天皇賞を勝てるのかと聞いたら、どうやらトレーナー君は敵情視察に行くらしい。この休みはその為の一週間であるというのだ。
(実力を隠すことで勝率を少しでも上げる為とも言っていたが……ステップレースに出るのだからあまり意味が無いと思うがね……)
だがまぁ、休みは休みだ。存分に使わせてもらおう。
最近は滞っていた薬の研究を進める為に、タキオンは頭の中で理論を組み立てていくのであった。
効率的なトレーニングをすればゲームで言うところのLV5と同じ効果を得ることができるようにしてあります。
理事長が設備を強化しなくとも良いのです。
この物語を進めていく上でトレーナーの名前を出した方が自然なシーンが出来たのですが皆さん的にはどう思いますか?
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出してもいいよ
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出したらダメ
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自分で決めてくれ┐(´д`)┌ヤレヤレ