モルモットとふしぎな目覚まし時計 作:✿▽✿
俺はとあるトレーナーに意見を通しにゆく途中であった。意見とはずばりダイワスカーレットのトレーナー───”安藤トレーナー”に練習を一緒にしないかという提案をしに行くのだ。俺だけが用意できる限界が分かってしまった為だ。勝手なのは分かるがより効率的な方法があるというのに行わないというのはなんだかもどかしい。だからこんな変な提案をしに行くのだ。
あんたのウマ娘と一緒にトレーニングしませんかってな。
いや、確かにチームではないからといって練習を同じくしないというのは無い。むしろ、強力なウマ娘であればクラッシックシニアや引退しているというのを問わず練習を共にするというのは日常茶飯事だ。
だが、その内容はあくまで並走程度のもの。チームトレーニングとはこれから日の目を見ることになり様々な開拓がされていくだろう。
(もっとだ……ああクソッ……考えれば考えるほどチームが欲しい……)
以前、タキオンの骨折した原因は限界以上の力を出したが為で……幸か不幸かそれはスピードの限界の先であった。ならば本気を出さずとも勝てるのであれば骨折などは起こらないのではないだろうか。という仮説の元にタキオンのトレーニングを考えている。
(最高速度が上がり、スタミナが大幅に上がったことでかなり長い距離でもスパートのタイミングが早めれることができるようになった……だが……)
足りないのだ。
俺は一応の目標として来年の───URAファイナルズ前の有馬記念を勝ちたいと思っている。
シンボリルドルフは今走れるウマ娘の中でも、そして日本のウマ娘……いや、世界中のウマ娘と比べてもトップクラスの速さである筈だ。要するに"皇帝"に勝つということは、速さの先に至れるということと同義なのではないかと思っている。実際
最も───アイツはその代償で走れなくなってしまったが。
楽勝で勝てるのであれば限界よりも力を出さないので怪我をしない。だからこそ怪我をしないんだ。(小泉構文)
「〇〇トレーナー、話とはなんですか?」
この優男風のトレーナーは安藤トレーナーだ。確か、GⅠレースを2勝も挙げたウマ娘を何人も育てたこともある確かな実力を持ったトレーナーだ。
「今日は貴方に提案───……私はお願いに来たんです。」
「”お願い”……とは?」
「貴方の担当しているウマ娘、ダイワスカーレットと私のタキオンと練習をご一緒させて頂きたいんです。」
「……練習……クラッシクも後半になろうというアグネスタキオンがデビューしたてであるスカーレットと……ですか?」
「貴方がチームを持っているトレーナーであることは重々承知しています。ですが何とかタキオンと練習をさせて頂けないでしょうか。」
「チームと言いましても今年でスカーレット一人になりますが……
彼の担当するウマ娘には短距離マイルのGⅠを合わせて4勝したウマ娘がいる。その子を目当てとするのならば納得きるが、タキオンの世代はレベルの高い強豪ばかりなのだ。いざとなれば彼女らに模擬レースなどを頼み込み実戦を積ませることで更に能力や技術を学ぶことができるのだが、如何に輝きを見せる宝石であろうとダイワスカーレットはまだ研磨前の原石なのだ。技も学べぬ上に実力も及ばないだろう。
以上の理由からこのトレーナーは温情で新人の俺を止める為にダイワスカーレットである理由を教えろと言っているのだ。
「安藤トレーナーはチームを持ったことがありますよね。……ならば、わかる筈です。私はタキオンを強くしたい。……その為に私がどんな目に会おうとも……」
知っている。傍から見ればトレーナー歴1年の若造程度がチームでの練習の効力というものを。
「お願いします。」
知っている。時にはプライドを捨てなければいけないことを。
過去の功績も、栄誉も、誇りも、全て棄て去れ。
必要なのはタキオンを救うという心とそれを叶えれる知識だけでいい。
これこそが───タキオンを救う道である。
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~side 安堵トレーナー~
つい4ヶ月ほど前……新たな担当であるダイワスカーレットを受け持つこととなった。
そのスカーレットから話を聞いた。一人のウマ娘と、一人のトレーナーについてだった。
ウマ娘───アグネスタキオンはただの先輩後輩ではなくデビュー前に同じく練習を共にした仲だと言う。1年という差があるが、自分はアグネスタキオンに追いつけるのか分からない。と
トレーナー───名は〇〇といい、アグネスタキオンと一緒にトレーニングをすることを提案してきた当人である。……そして、スカーレットから聞いた話によると随分な曲者らしい。
そんな彼に呼び出された。一体何なのかと思えばスカーレットと練習させてほしいというものだった。
この提案を受けた時、彼が理想主義者だということを思い出した。
スカーレットの話は大方、アグネスタキオンからの相談の話である。内容は〇〇トレーナーが抱えるトラウマについてだった。
ウマ娘の怪我を防ぐ為に強くするとはどういうことなのかと困惑した。彼はどうやら限界以上の力を出さなければ怪我は発生しないと考えているらしい。トレーナーになって10年余りであるがそんな理論はバカげているとしか思えない。現在最強のウマ娘とされている「シンボリルドルフ」でさえも怪我をしない程度に力をセーブして勝つというのは無理な話だ。過去の名バでも無理だろう。
そして私自身の体験もあった。実のところ、怪我による引退を余儀なくされたウマ娘を受け持ったことは多々あった。その子の人生を終わらせてしまったと思うし、申し訳なく思う。しかしそれは予期せぬものもあった。例えば、軽いトレーニングとして走らせると、ターフに会った僅かなくぼみに足を取られ骨折したこともあった。
ウマ娘の怪我とはいつ来るかわからない。そういう風に捉えていた。
だが彼は必ず来るものと考え、そしてこんなバカげた理論で怪我を防ごうとしている。
『貴方のウマ娘と一緒にトレーニングさせてください。』
普通ならば一蹴していた願いであった。デビューが一年ズレているとはいえ、シニアで相まみえることが無いとは言い切れない。同じくして練習するのであれば手の内をバラすということと同義だ。どのようなコース、どのようなバ場、どのような戦略が得意か───これらを知られるということは即ち敗北を意味する。この提案は自身の喉元を噛みつかせるような行為である。
だが……それ以上に彼の考えるトレーニングが気になった。
強くさせることで怪我を防ぐというバカな考えを実現できる程度には彼のトレーニングは効率を極めている。実際、スカーレットが練習を共にしていた時に勧められたというトレーニング、そしてモチベーションアップや今後の練習で役立つだろうと計測されたスカーレット自身の1600~2000mのタイムの推移を見てみると、たかが3ヵ月でかなりのタイムを伸ばすことが出来ている。2人という人数だがチームトレーニングの難しさを知る身からしてはここまで伸ばせるのは偶然ではないと思っている。少なくとも1年目の新人トレーナーには無理だろう。
そういった点からもしかすれば、彼のノウハウを得ることができるかもしれないと考えた。彼にスカーレットの弱点を晒すリスクよりも彼の考える効率的なトレーニングの方法を知れるのならばリターンは計り知れない。
彼に答えた回答はスカーレットに相談してから答えるというものだったが、彼女は拒まないだろう。
そういえば、彼は理想主義者だと聞いていたが……彼は強迫観念を抱えている。といった方が正しいのかもしれない。
呼び方は悩みに悩んだ末〇〇トレーナーとしました。
この物語を進めていく上でトレーナーの名前を出した方が自然なシーンが出来たのですが皆さん的にはどう思いますか?
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出してもいいよ
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出したらダメ
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自分で決めてくれ┐(´д`)┌ヤレヤレ