モルモットとふしぎな目覚まし時計 作:✿▽✿
そ、そんな……既に18日も経っているじゃないか!?
「やぁやぁやぁトレーナー君!突然だが早速実験をするよ!」
「はぁ……」
いつもの通り突然始まる実験には何も言うことは無いのだが、トレーナー室というのに何故か私服姿の登場であった。いや、どうして学園内なのに制服を着ていないのかというツッコミの前にタキオンから待ったが掛かる。
「君は今どうして私が制服を着ていないのかという疑問を感じているだろうが……これも実験に必要なのだよ。」
人差し指と親指を伸ばしてこちらを指し示す仕草を見せた。こちらへと歩いてきながら貴重な説明が始まる。
「まず一つ。そもそもこれは衣類による感情の変化のテストなんだが……まあ、資料によれば普段と違う雰囲気になると所謂"ギャップ萌え"という事象が発生するらしい。そこで普段制服と体操服と学園指定の水着しかないが、こういった服装をすることで君にどんな反応を得られるのかという所だ。」
さぁさぁ何か思うことは?としきりに聞いてくるタキオンであったが───
「……何か目的と実験が合ってなくないか?」
「そんな訳無いだろう。ほら、トレーナー君?何でも良いから言いたまえ。」
「……似合ってるな……とかでいいか?」
「ふむ…………あの薬はどこだったか……」
「……とても似合ってる。雑誌デビューも夢じゃないと思うぞ。」
「そうかい!そうかい!ただ私は雑誌には特段興味はないが……よし、これを付けたまえ。」
戯れはこの程度といった風に謎にメカメカしいヘッドギアを渡される。それを頭につけると、ヘッドギアから伸びているコードが繋がっている機械をタキオンが確認している。
「これは脳波を計測して感情や思考を読み取る装置さ。……とは言っても精度はよくないがね。精々が喜怒哀楽とその度合いを表す程度だ。」
「はぁ……」
「ふぅン……君、疑ってるね?試しにちょっと怒ったりしてみてくれよ。」
「いやそんなにホイホイ怒れって……」
「別に形だけでもいいさ。」
(怒れ……怒れって……?こうか……?)
「こ、こら〜〜!!!」
「……やはり計測機器に異常はないか。上辺ではなく心から思う感情じゃないと駄目みたいだねぇ。」
「えぇ……」
「ま、大丈夫さ。君が思わず泣いてしまったり笑ってしまったりするようなものを持ってきた。」
「DVD……?」
「そうさ!スカーレット君から借りてきたものでその効果は抜群───らしい。」
そう言いながらテレビとDVDプレイヤーを引っ張り出した。言われるがままにソファーへと座らされ、何故か横にタキオンも座る。
「こんな横に座らなくてもいいんじゃないか?」
「このコードが短すぎるのが問題でね……ほら、ここまでしか伸ばせないのだよ。」
「……そうか。」
タキオンが適当に一枚選ぶとDVDプレイヤーにディスクを入れる。ディスプレイに映ったのは『春のウララ』という題であった。これが中々泣けるものでトレーナーとウマ娘が離れ離れになるも奇跡的な再開を果たすラストは涙を堪えることはできなかった。
「ふぅン……どうだったかな?」
「久々にガチ泣きだよ……これで実験は終わり?」
「いや、まだだ。もう少しデータが欲しい。」
「……でも、もう5時だしなぁ……」
まだ昼過ぎだと思えばもう夕暮れである。いやはや時とは早いとは言うが……
「はぁ……君はどうしてそう……」
「何が?」
「どうしてそう勤勉なんだ?最近ちょっと恐怖を覚えるよ。」
「?????????」
タキオンが俺を心配しているだと……?
(どういう……ことだ……ッッッ!?)
「一昨日からの君の行動を言ってくれ。」
「一昨日……?うーん」
「まず朝起きてここに来てレースの資料を纏めて……えーと、確か一段落したから夜ご飯を食べたっけ?それからもう一回───」
「そこだよ!そこ!何普通に泊まろうとしてるんだい!?」
「いや……レースまであと3ヶ月だし……急がなきゃって」
「まぁ、百歩譲ってレースが近いから良いだろう。……その後は?」
「……タキオンの昼ご飯作る為に家に帰って作ったあとに戻ってきてまたまとめる作業を始めたんだっけ。ええとそれで……ああそうだ、タキオンの昼ご飯を作る為に帰ったんだ。」
「あのねぇ、トレーナー君。確かにレースで勝つことも大事だ。私も勝ちたいという気持ちくらいはある。だけどねぇ、限度ってものがあるだろう。なんだい?君は家に帰って私の弁当を作ったあとすぐにもう一回弁当を作るという不可解な行動の疑問を持たないのかい?」
「……いやまぁ、なんか朝早いなぁ……とは……」
「……はぁ……君のそれは大したものだが限度というものがある。それに今日は何日だい?」
「……1月4日だ。」
「そう。昨日一昨日は三が日だがトレーナーは原則休日らしい。なのにこれはどういうことかな?」
「……俺たちトレーナーには残業を躊躇ってはならない時がある……」
「ああそうそう。確か三が日が原則休日になった理由は何だったかな───?」
タキオンが俺の労働を咎めたいのは分かったが、一体どうして咎めるのか。今まで関心関心!とか言って推奨するかのような振る舞いだと思っていたのだが……俺は気になってタキオンに聞いてみることにした。
「なぁタキオン。どうして止めようとするんだ?」
「…………ふむ。」
「俺が今していることはタキオンにとって利だ。今までは止めこそはせずにむしろ勧めると思っていた。」
的確な質問にタキオンは更に頬に手を当てる仕草を見せた。
「確かに君が働く事は私にとって利になる。
所詮私も一個人であり一般的な感性を持ち合わせているのだよ───とタキオンは続けた。
「……そうか。」
(……なんだか、変わったな。)
以前よりも他人と接する機会が多かったからなのか、思いやりの気持ちでも芽生えたのだろうか。
「……分かった。別にこれらは今日しなくてもいい仕事だ。また明日にでも回せば良いだろう。」
「それが良い。」
「明日の分の弁当も作らなくとも───」
「……それは、困るねえ……」
心底困った様子のタキオンを見て今日は休もうと考えるのだった。
映画の元ネタはwinter sonataですね。見たことある人も多いのではないでしょうか。
タキトレは絶対にホーリーワーカーだと思います。
この物語を進めていく上でトレーナーの名前を出した方が自然なシーンが出来たのですが皆さん的にはどう思いますか?
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出してもいいよ
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出したらダメ
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自分で決めてくれ┐(´д`)┌ヤレヤレ