モルモットとふしぎな目覚まし時計   作:✿▽✿

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俺は今学園のターフを眺めている。

 

タキオンと色々話し合った結果、今はクールダウンが必要だと感じたと言っていた。なにやら色々実験したいらしいが……かくいう俺も現状を変える為の一手を考えなければならない。

 

(知見を広めるにはまず他のウマ娘を観察しなければ……)

 

ターフはいつもたくさんのウマ娘がいる。練習、練習、練習……揺らめく空気はもはやただの熱気ではない。気持ちや思いの残滓が見えているのかもしれない。

 

どんなウマ娘もここで走ってきた。ここで夢を追い掛けた。

 

夢とはなんだ───?

 

(目的なのか。目標なのか。幻想なのか。……はぁ……)

 

目に映るのはありきたりなフォーム、ありきたりな速度、ありきたりな───

 

「……わからない。」

 

どうして勝てない?何が足りない?

 

 

 

ここで練習する全てのウマ娘に劣っているとは思えない。

 

何が駄目なのだ。

 

 

 

俺は……酷い話だが少しだけあの時計のことを考えた。

 

超常の現象を使ってまでも───ああクソ……駄目だ。あれはどうしようもない時だけだ。

 

宝塚記念だって2着だった。一着ばかり持て囃されるが2着でも相当な栄誉だろう。

 

冠は取れなかったかもしれない。しかしそれでも栄誉は受けた。少ないかもしれないが名声は上がったのである。それじゃあ駄目なのか?

 

 

 

だが……心のどこかでタキオンが最も強いウマ娘だって証明させたいと思っている。

 

あれはこんなところで埋もれるモノではない。怪我に、立場に、どんなことであれ走らないのは損失なのだと。

 

3年間でいいのだ。ウマ娘のピークである3年───そこで最速の証明をすればいい。そしてそれを果たせるポテンシャルがある。

 

「……もう一度すべてを洗い流そう。合宿が始まれば授業の時間を練習に回せる。」

 

ダイヤモンドは掘り出された時から58面や114面にカットしたものが出てくる訳ではない。

 

秋の天皇賞までに残された最後の練習時間……合宿。そこでどこまで強くなれるかが鍵になるだろう。

 

俺は新しい発見のためにターフを眺め続けるのだった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

side タキオン

 

「ふぅ……一先ずはこれで大丈夫か……」

 

比較的接触の多い人物への検査が終わった。カフェは難儀したが見えない"お友達"が関与したのかバクテリアが死滅していた。スカーレット君も問題なく、弁当箱や箸からの感染が懸念していたトレーナー君も異物混入や細菌の類への対策が凄まじくなんとかなっていた。同室のデジタル君は彼女が使っている机やベットにはバクテリアが発見されることがなかった。念を入れて本人を検査しても見つからなかったので大丈夫だろう。

 

寮の浴槽は私はほとんどシャワー室のみで済ませるためそこからの感染は考えられない。食事もほぼ三食彼に作ってもらっている為に食堂での感染は無い。

 

「……ふむ……」

 

幸いにも学園内での感染は確認されなかった。しかし学園外ではどうだ?例えば飲料やゴミ捨てしたものをカラスのような雑食性の動物が漁ればバクテリアが広がるだろう。

 

しかし人間のように毎日食べる生活をするようには思えない。多少の飢えが続けばバクテリアが活性化し死に至るはずだからだ。

 

(野生動物の大量死なんてニュースが流れれば……)

 

人だってそうだ。なんらかの事情で感染すれば……少なくとも考えれる範囲の影響は空腹になりやすい、怪我がすぐに治る、排泄物が少なくなる、不妊になってしまう……こういった症状が多く出てくれば拡がった目安になる。

 

(一先ずはなんとかなるだろうが。)

 

ワクチンでも開発すべきか……なんて考えながら一息つく。しばらく奔走していた為か自分でも気付かないほどに疲れていたようだ。

 

「……そういえば合宿か。」

 

蝉が鳴き、喧しい夏の環境音と外のウマ娘の練習の声、室外機の駆動音などが聴こえる。あと一週間と迫る合宿までに荷造りをしていなくてはならない。

 

そういえば、と思い出した。トレーナー君から予定表が送られてきていない。いつもは一週間前には合宿全日程が組まれて渡されるはずなのだが……

 

(少し悩んでるみたいだったが……)

 

私が勝てないというのは仕方がない。薬を飲んで怪我の心配をなくしたとはいえ、私はさながら翅が歪んだ蝶々のような状態だ。肉体が完成されていない、あと少し───具体的には数ヶ月飲むのが遅ければというほどであったが私の身体は未完成なのだ。

 

(速さについては未練があるがプランBだってある。そうだ、彼のノウハウがあればスカーレット君にアドバイスをして……───)

 

 

 

レースのように思考が移り変わっていく。いずれも走っているのは私ではなく、別の誰かだ。

 

私の可能性は閉じたのだ。仕方がない。私の未来は潰えたのだ。

 

だが……

 

どうしてか、数々の思考の中一つだけ私が走っている光景が浮かんでいた。叶わぬ夢には未練が残るのだろうかと、私はなんてことのない感想を考えながらも別の『速さ』を追求する方法を探そうとするのだった。

この物語を進めていく上でトレーナーの名前を出した方が自然なシーンが出来たのですが皆さん的にはどう思いますか?

  • 出してもいいよ
  • 出したらダメ
  • 自分で決めてくれ┐(´д`)┌ヤレヤレ
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