モルモットとふしぎな目覚まし時計 作:✿▽✿
ゴルシウィークだっ!
……ってもう終わり……???嘘、私のGW短すぎ……?
今回はスポーツ漫画特有の超理論展開です。
波の音───そして痛いほどに刺してくる太陽光線。
合宿施設に俺とタキオンはやってきていた。俺の目の前にはジャージを着たタキオンが座っていた。
「さて、合宿が始まったが何をするか分かるか?」
「……わからないな。君から渡される予定表も無かったじゃないか。」
「今回予定表を渡さなかったのは作らなかったからだ。……いや、作れなかったという方が厳密に言えば正しい。」
「ふぅン……ではトレーナー君、一体どんなことをするのかい?」
「具体的に言えば走行フォームの変更だ。」
俺の言葉にタキオンは少し意外そうにした。そして自分のフォームは研究を重ねて辿り着いたものだと言った。
対して俺は主観と第三者の観測は違う。フォームだって成長した身体に合っているのか?と疑問を呈する。タキオンは納得がいかないといった反応だったが、フォームの再確認はする気になったみたいだ。
「じゃあまず走ってみてくれ。現状どんな走りだったのか再確認したい。」
少しストレッチをしたタキオンはウォーミングアップと言わんばかりの速度で走る。俺はそれを注意深く観察しながら見守る。
ある程度走ったところでタキオンにストップをかけた。
「良い走りだと思う。」
「……そうかい。」
「だがまあ、タキオン。どうしてお前を砂浜で走らせたと思う?」
「そりゃあ砂浜でのトレーニングが許可されているからだろう。あと、砂浜はターフやアスファルトに比べて負荷が大きいから筋力を付けやすいからだ。」
「まあ……そういう観点もあるかもしれないな。だが外れだ。」
「外れ?……トレーナー君、そろそろトレーニングの目的を話してくれ。何をしているのか不可解で堪らないからね。」
タキオンが少し不機嫌になっていた。
「……悪かった。流して走っていたからつい意地悪しただけだ。本当は砂浜に出来た足跡が目的だ。」
「足跡」
「ああそうだ。ここ数週間の研究の結果で足跡が重要だと分かったんだ。足跡を見れば課題がすぐにわかる。」
「……足跡でどうするんだい?正直さほど重要なものではないと思うが……」
「じゃあタキオン。走るということはどうやって行われている?」
「……地面を蹴って前へと。」
「その通り、走るには地面を蹴る。いくらフォームを見たって、真似したって完全に真似は出来ない。身体の大きさから始まり筋肉量や関節の可動域、柔らかさなどが違うからな。……だが、もう一つ大事な要素を忘れている。それは地面の足跡だ。今まで俺は80%程度の情報だけで推察していたのだ。」
「随分と大袈裟に言うじゃないか。何か根拠があるのか?」
「初めは俺も疑いかけた。着目したはいいが意味のないことでは?とな……だが、仮説は十分に説として成り立った。人の足跡は所詮ほぼ何も残らないが、ウマ娘の力は人の凡そ2から10倍と言われている。だから十分な情報が残り得るんだ。」
「ふむ……確かに言われてみれば十分に理に適っているように聞こえてくる。中々面白い着眼点じゃないか。」
「ありがとう。それでだ。少なく見積もっても約20%の情報はどういうものかと言うと……この地面に対して掘られた穴だ。これが厄介でな……まず、主に2つの走法が取られているから取るデータがかなり多くなった。だが2つの走法……まあほぼ全てと言っても構わないが、全てに同じ事が言えた。足が遅いと言われるウマ娘はこの穴が浅いか、深すぎるのかのどっちかだ。」
「それで、私の足跡はどういうものだったんだい?」
「……若干だが、深い……気がする。いや、すまない。砂の足跡のパターンは調べていなかった。」
マジかお前っていうような顔をされたが仕方がないだろう。コースに砂はないのだ。
……ダートはあるが砂浜とは似ても似つかない。
「確かに失念していた。……だが、ここにもターフはあるから大した問題じゃない。」
「はぁ……君は基本的に優秀だけど、たまにどうしても頭のネジが外れるどころかネジというものが無くなるのはどうにかならないかな……」
「準備不足だったのは認めるが何もそこまで……」
なんて言いながら浜の近くにあるターフへと向かう。そこには多くのウマ娘の姿があった。恐らくあの娘たちは夏合宿中にレースが多くあるスプリンターやマイラーなのだろう。
「ここには足跡のサンプルが大量にあるな……やりやすい。」
「今の発言、随分と変人、いや変態の発言にしか聞こえないから気を付けたまえ。」
失礼な。俺は変な実験なんてしないし、所謂グヘヘ……みたいな性根の腐った屑じゃあない。タキオンのためにただ痕跡を調べるだけだ。
「……とりあえずもう一回走ってくれ。そうだな……コースと平行にあの4ハロン棒くらいまで走って、帰りは少し外に広がって全力で来てくれると助かる。」
「なるほど、分かったよ。」
タキオンはジャージを脱ぎ、半袖の体操服となる。ウマ娘の体操服は風の抵抗を受けにくい特殊素材を使われているものが多く、GⅡ以下では体操服の着用が認められている。そもそもGⅠでのレースでは勝負服を着なければいけない規定があり、GⅡ以下は著しくレースを妨げるものでなければよいとされている。また、ライブ用の汎用勝負服でもレースには出て良いのだが、勝負服といえばGⅠってほどに染み付いた価値観があるらしいが、GⅡ以下で行う引退レースの際に勝負服を……というウマ娘も多かったらしい。
ちなみに汎用ですらレース用、ライブ用の洗い替え2着が基本であり、トレセン学園の特別料金とはいえ10数万する。個人の勝負服は指定の衣装を作る専用の店があり、そこでのオーダーメイドの為とんでもないほどのお金がいる。これもまた2着必要だし、一括で買えばそこそこの社会人の稼ぎの2〜3ヶ月分の金が消えていくらしい。クリーニングだって大変だ。まあトレセン学園内に理事長が作らせた無料のクリーニング施設もあるのだが……
こんな到底払えないような金を彼女たちはどのように捻出しているのかと言われれば、まず汎用勝負服までは入学と一緒にお金を払わなければならない。特待生を勝ち取ればかなり軽減されるらしいが一般的には大学並みの入学金が必要だという。俺個人としては中高一貫で寮かつハイレベルな施設を使えるのであれば安いくらいだと思う。まあ施設に関しては理事長がテコ入れしているからであって、先代のときは今ほど充実はしていなかったらしい。裏話として───……
……まあなんだ。かなり脱線したが簡単に言えば体操服は走りやすいってことだな。
さて、そろそろタキオンが帰ってくる頃だ。
(フォームが正解かなんてのは正解はない。一見空気の抵抗を受けにくい格好が大切だが、しっかり身体を立てて胸を張って走った方が速いと言われてるからな……)
まあ、あくまで誤差だ。背をピンと立てると体軸を意識しやすくなるが、所詮それまでだ。それどころか乗用車と同じレベルの速度で走るウマ娘は前傾姿勢でも風の影響を受けにくいために推奨されることもある。
「よし。」
「ふぅ……さて……どうだいトレーナー君。」
俺は足跡を観察していく。タキオンは地面を眺めている俺に着いてきている。一先ずは折返し地点で止まった。
「そういえばまだしていない話があった。どうせなら説明しながら話そう。まず、足跡が付くには歩かなければいけないってのは当然だろう。」
ポケットからペンを出して指し棒の代わりにする。タキオンの足跡には、ここで走っているどのウマ娘にも表れている特徴がある。
「ここだ。この話のキモはここにある。」
つーっと足跡の特徴的な溝をペンでなぞった。
「蹄鉄……ふむ、」
「ウマ娘の靴には何故蹄鉄がついているのか?という所から話は始まる。まあ、つまるところあれはスパイクの役割を果たしている訳だ。蹄鉄を装着した状態でのアスファルトの走行は禁止されている場所が多いのはアスファルトのキズやヘコみによる転倒防止の目的だが、それは蹄鉄の有無によって大きく速度が変わるということを意味している。」
ペンでグリグリと蹄鉄の跡を押し込みながら話を続ける。
「蹄鉄の有無で速度が変わるのか?今までの話は全て俺が思った疑問、そして事実だ。ここからが本題になる。さてタキオン、ここまでの足跡を見てどう思った?」
「……徐々に深くなっている。だが、ここは減速したから"浅い"。」
「ああ。踏み込みを深くする必要がない。言い換えれば"前に進む必要がない"ってことだ。走るからこそ足跡が付く。逆に、足跡が付かないということは走っていない。ここまでは大丈夫か?」
「……なるほどね。それなりに形にはなっている。だがまだ結論を聞いていない。そこから私の走りをどう変えるんだ?」
「じゃあ、タキオン。もう一回質問するぞ?一番効率よく前に進むにはどうすればいい?」
「……風の抵抗を受けずに走る……とかかい?」
「あ〜……悪い。質問が悪かった。これはベクトル的に考えてくれればいい。一番強く力が伝わるのはどうする?」
「そりゃあ、直線に……───ッ!」
ハッとした顔を一瞬、そしてその後は少し不安を覗かせるような顔だ。
「そう。走ることを例にして言うならば地面と平行になるように何かの壁を蹴れば良い。スタートなら壁を垂直に蹴れば最速で走れるだろう?」
俺は手で壁から垂直に線を伸ばすような仕草をした。
「随分と───巫山戯たことを言うね。」
「理解はできる。レース中に壁はない。あったとしても後ろのウマ娘だろう。だが、限りなく平行に近いものは蹴れる。」
「蹄鉄が刺さった地面……ということか?」
「その通りだ。ウマ娘の勝負服───その踵のデザインに遊びが多い理由は殆どのウマ娘が蹄鉄のみで走行しているからだ。つまり、この時点で地面に掛かる力は蹄鉄のみに集約されていると言っても過言ではない。もう理解しただろ?地面と平行に力を入れれるほどに……しかしすぐに引き抜けるように走っているウマ娘は速いのだ。綱引きで左右交互に引っ張り力を合成してまっすぐ引っ張るのと同じように、目的地に対してまっすぐ力を掛けることが出来るのはここだけなのだ。ここのアプローチを正しいものにすればタイムが上がるの十分に見込める。」
俺とタキオンは少し移動して目的地へと向かう。目的地とはそれは───……
「足跡のパターンからしてここまでのタキオンの走りは悪くない。特段変える必要も無いだろう。……だが、ここからだ。」
そもそもレースでは駆け引きがあり、走法に思考を割くリスクとリターンが釣り合ってないので殆どのウマ娘には俺の理論は必要がないという結論だ。
だが……タキオンならあるいは……という期待を込めて、俺はこの理論を説明する。この理論を実用まで持っていくのは駆け引きが唯一存在しない場所───そう、『逃げ』だ。それも同じ逃げと重ならない大逃げの類だ。
宝塚記念で負けた時は最後の200mで追い抜かれた。そこまでは誰にも近寄らせることなくリードを完全に守っていたのだ。もし、中盤途中に最適な走法で走れていれば勝っていた可能性は高い。
「……浅い、な。」
蹄鉄の跡は殆ど無いと言っても差し支えない。ほぼほぼ踏み込みが出来ていない証拠だ。だが、一体なぜ……
タキオンのフォームは走っているところを見ただけでは改善点が見つからない。それほど完成されているということだ。
(……もしや、脚部の脆さを考えてこの踏み込みになっているのかもしれない。前の世界だってタキオンは走りを
「…………タキオン。」
「なんだい?問題点が見つかったかい。」
「いいや……一つ、質問をしていいか?」
「……」
「お前は……満足に走っているか?いや、自身の限界まで走れているのか?」
「……そうだねぇ。この足跡が私の最大限の力ではないことは十分に理解していると思うが……確かに踏み込みが浅いと言われればそうだといえる。」
「覚えがあるみたいだな……?」
「……何、問題ないさ。」
「異常があればすぐに言え。怪我をすれば元も子もない。」
俺はタキオンに問いただした。帰ってきたのは問題ないという言葉だ。
「問題ないというのは必要がないってことだ。怪我の心配はない。そう言える。」
「……なら良い。兎に角───」
それから改善点を挙げていく。この日から俺とタキオンは本格的な矯正訓練が始まったのだった。
ウマ娘がいるからウマ娘用の走り方とか出そう。そもそも出力が違うし、引退後ウマ娘トレーナーなんてのが地元で教室でも開くとかありそう。そうして技術は繋がれていく。
血統主義なとこあるからウマ娘ってほぼほぼ一つの家系が繋がってそう。
……ウマ娘世界ではマスキュリズムの方が盛んなのか?それともフェミニズムなのか?ヒューマニズムに統合されてそうだが、ウマ娘は女性でしか産まれない点を考えればどっちとも活動が盛んそうだ。古くからいるし、ウマ娘たちの大体の性格を考えて優しいからヒトミミが劣等感拗らせでヒューマニズムって方向性だろうか。
それはそれとしてどこかで聞いた理子ちゃん純粋な人間説が好きです。だってトレーナーだいたい人外だし……
この物語を進めていく上でトレーナーの名前を出した方が自然なシーンが出来たのですが皆さん的にはどう思いますか?
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出してもいいよ
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出したらダメ
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自分で決めてくれ┐(´д`)┌ヤレヤレ