モルモットとふしぎな目覚まし時計 作:✿▽✿
選抜レース───ウマ娘の身体が完成し始め、走力が花開き始める彼女達がトレーナー達にアピールする……いわば、俺達人間の
勿論だが、これにも有利不利はある。例えば名家メジロ家が出走するとなるとトレーナーからはとても注目されるのだ。ウマ娘というのは家柄が重視される……つまるところ親が強いウマ娘だと子もまた強いという定説がある。
また、地方からの引き抜きで来たウマ娘も注目される。最近だと『芦毛の怪物』オグリキャップだが……とまあ、説明はそこそこにこの選抜レースはウマ娘、トレーナーどちらにとっても大切なものなのだ。
「えっ、アグネスタキオン!?実力は高いけどかなり危険な子だって噂の、あの……!?」
どこかからそんな声が聞こえてきた。ありゃ新人だな……(自分も周りからすれば新人だが)
確かタキオンの母と祖母はそれぞれ「桜花賞」と「オークス」を制している。中央の、それもG1を制すということはとんでもなくすごいことだ。どちらもクラッシック級のウマ娘しか出走することができないので言ってしまえば実質その世代で一人だけしか得ることのできない称号を持っていることとなる。
……かの有名なトレセン学園生徒会長のシンボリルドルフはそんなG1レースを現在は5つ……未来では7つも制している。そりゃあ皇帝なんて言われる訳だよ……
「ん……タキオンはマンハッタンカフェに絡んでいるな……」
何かしら話して……あ、どうやら断られたらしく「えー!?」って言ってるなあれ。
(大方タキオンが勝負に勝てば薬を飲めとか言ったんだろう。そりゃあマンハッタンカフェも断るよな……)
俺が見ているのに気付いたのかタキオンはニヤリと笑みを浮かべこちらへ歩いてきた。
「やあやあやあ新人君。」
(このパターン、絶対に飲ませる奴だな……)
「なんだ?もう出走の準備を始めないといけないんじゃないか?」
「いやあ、まだ時間に余裕があるのでね。そんなことよりこれを飲んで欲しいんだ。ほら───」
やっぱりな、と思っているとマンハッタンカフェがこちらに来てタキオンを引っ張っていく。
「そこのトレーナーさん、タキオンさんの薬は飲まないほうが良いですよ。」
「失敬な!私はキチンと健康と安全を害さないように配合してるさ!」
ゼッケンを引っ張られているからか、引き裂かないようにジリジリと後ろへ下がるタキオンだったが、手にある試験管をポイッと俺に投げた。落とさないように両の手で受け取る。
「約束は約束だ!レースが終わった後で良いから飲みたまえ!」
喧騒の原因が去っていき、辺りの視線はもう
「あの……」
「ん?」
先程の新人だ。(俺もまだ新人の域だがそれはいい)
どうやら俺に渡された試験管をどうするのか気になるらしい。当然のように飲むと答えたらすごい顔をされた。……まあ、こんなのは目に見えた地雷だよなぁ……確かに怖いとか心配とかはあるがタキオンの薬はそこまで重篤な副作用はない。主作用としては大体が筋肉量の増量だったりするのでむしろ良いものでもあるのだ。
ここで注釈しておくが、タキオンの薬をドーピングなんて言ってはいけない。彼女曰く、短期的な増強作用のある薬はドーピングと呼び、永続的な効果が望める薬はドーピングとは呼ばないのだ。もし、ドーピングなんて言ってしまえば……まあ、数週間は眩しくて眠れなくなる。といえば分かるかな。
こうこうしている内に出走の準備が整ったらしい。全員がゲートに収まっている。タキオンは8番か。
ゲートのランプが赤く光っている……そして、不意に14つのゲートが開いた───!
(出遅れ無し……何人かは中等部だというのによくやるものだ。)
このレースの距離は9ハロン───1800mと短い。殆どマイルレースと言っても良いくらいに短いが、それはやはり中等部のウマ娘も走るが故だ。中盤には緩やかな坂があり、第3コーナーを曲がれば下り坂の短い直線を抜けてゴールとなる。
芝の状態も良好。走るにはうってつけの状況だ。
(タキオンはやはり先頭集団の後ろへ付いているな……)
2、3、6番の3人の逃げ……その後ろにピッタリとくっついている。恐らくだがタキオンはこの距離ならば体力は十分持つ筈だ。だから逃げのウマ娘の後ろへ付き、全体的なペースアップと疲弊を誘発させている。
(……
前にいるウマ娘を乱して、落として……指す。
俺も数度しか見たことが無いタキオンの本気の戦略。ああ、あの6番はもうスタミナが切れたのか。まだ第3コーナーまで行っていないというのに……
6番のウマ娘がタキオンに追い抜かれ、どんどんと順位を下げる。タキオンの顔はよく見えないが、きっと気分を良くしているだろう。何故なら前も後ろも支配しきっている。
(最終コーナーを曲がり切って……───来た。)
タキオンが姿勢を低くし、スパートを掛けた。
その途端、周囲から感嘆の声が発せられる。タキオンの末脚を見て自然と漏れ出たという感じだった。
続いてタキオンの後ろに位置した集団がスパートを掛ける。だが、ハイペースにレースが進んでスタミナが切れたのか一部のウマ娘以外はイマイチ本気を出し切れていない。タキオンが完全に追い越してから、2番と3番は気力を振り絞ってスパートを掛けた。
───だが、遅かった。
逃げ、先行、差し。全て合わせて13のウマ娘は最初から作戦など無かったかのようにぐちゃぐちゃに団子になっている。
その前で、最早牽引役にでもなったかのように一人ぽつんと走り続けるタキオンがゴールしたその刹那、ターフが歓声で包まれた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜sideタキオン〜
(これほど"力"を見せれば彼も満足してくれるだろう。)
レースの結果は概ね予想通り……いや、予想以上の結果であった。とはいえ、自身を過信しすぎるのはよくない。あとで入念にストレッチやケアをしておこう。とタキオンは考える。
「アグネスタキオン!君はスカウトされる気は───!」
「ウチで走らないか───」
「三冠も夢じゃない───」
「いやウチで───」
「こっちで───」
「…………はぁ。」
(……彼みたいな
聞き飽きた美辞麗句はいらない。それに自分には約束を結んだトレーナーがいるのだ。今更自ら進んで実験体になるくらいに協力的なトレーナーを捨てて、研究すらさせてくれないトレーナーに付かなければならないのか。
「───
「「───な……ッッッ!?!!?」」
(アッハッハッハ!とても動揺してるねえ!)
トレーナー君がいなければこの熱烈すぎる勧誘の対応に頭を悩ませたと思うが、いや実際悩んでいて今回の選抜レースをすっぽかすつもりだったのだが……まあ悩まないことはなんて素晴らしいことなんだと思いながら彼の回答を待つ。
「タキオンなりの本気を伺い知れた。だから……これを飲んで報いろう。」
渡した試験管───赤に染まる液体は自分で言うのもなんだが怪しさ満点だ。それを一瞬の躊躇いもなく飲み干した。私を含めて"彼以外"は目を見開いた。
「返すぞ。」
何でもない。ただ水を飲んだ程度の反応しか見せない彼のおかしさに堪えきれず爆笑した。ああおかしい、何故かって一度
モルモット以下なのか、モルモット以上なのかはさておき、こんな人間は中々いない。いや、居てはおかしいのだ!自ら進んで実験に参加するなんてことは一つしか知らない!そうホイホイ命を差し出す姿勢を見せるのは胡散臭い宗教の狂信者くらいだろう。
彼の
「……タキオンさん、あのトレーナーさんと契約を結んだんですか?」
「おやカフェ。そうだね、私は彼の担当ウマ娘さ。それがどうかしたのかい?」
「いえ……なんというか……色々"不思議"に思えたので。」
「不思議……?それは君の
「……そんなとこです」
「私は君のお友達に結構興味を持っていてねぇ。そうだ、これを機にお友達の実験をしたいんだが───「そうですか。」───行ってしまったか。」
実験になるとすぐこれだ。と手を上げて顔を横に振った。
(
なんて思いながらすでにカフェが開けた戸を遅れて開けるのだった。
トレーナー「報いろう!」ゴクリ
他トレーナー「なんだコイツ……」
タキオン「なんだコイツ……」
他ウマ娘「なんだアイツ……」
カフェ(なんだあのトレーナー……)
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追記7/1
イベントゴルシを完凸させる為に執筆にあまり時間を避けていない状況ですので次話投稿は以前よりも間隔が開いてしまいます。
気長に待っていただければ幸いですm(_ _)m
目覚まし時計を使ったあとのアフタートーク的なのいる?(BADENDと原作キャラ曇らせ)
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いる
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いらん
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自分で考えろハゲ