トケイ   作:でち

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みんな実況苦労してるなって思ったけど、確かに辛い。本日、二話目です。ご査収ください。


2話「メイクデビュー」

 

東京第5レース・メイクデビュー芝2000m左。

これから私が走るレースだ。

 

チームカペラに入って1年と2ヶ月。

先輩たちやユキちゃんとたくさん練習もしたし、最初は足に絡んで走りにくかった芝にも慣れてきた。

鏑木トレーナーからは、足を踏ん張るためのパワーが足りていないからだって言われて、トレーニングルームで体全体の筋力をつけるためのトレーニングをずっと続けてきた。

メイクデビューが遅くなるかもしれないって話も合ったけど、いつしかそれは消えてなくなった。

レース前にはトレーナーさんからバ群中団の前目に付けて、道中無駄な足を使わないように言われた。

これも最初はバ群の中に入ると外に持ち出せなくてなかなか前に抜け出せなかったけど、小さい体を活かして、どうにかすり抜ける隙間を見つけることで解決したように思う。

あと、不安があるとすれば、この間、カナちゃんに言われた距離の不安。

体が小さいからか、スタミナ切れが速くていい足が長く続かないのが難点。

これはちょっとづつ距離を伸ばしていくしかない。

今の自分でやれるだけのことはやった。

もうレースはそこにある。

 

 

「本日の東京第5レース、メイクデビュー芝2,000」

「・・・3枠7番ユキノハナドケイ、入りました。続いて1枠2番・・・」

「ゲートイン完了。一斉にスタートしました。先行争いは6番マエノユーコン、続いて3番シロイナガレボシ、激しい先行争いです。それに続いて2番・・・」

「1コーナーに差し掛かったところで先頭は変わらず6番マエノユーコン。続きまして2番タカラショウジン少し空いて3番シロイナガレボシ・・・4番ナガノレディー最後方からの競馬となりました。」

「向こう正面、先頭に並びかけるように2番タカラショウジンが仕掛けます。中団は一塊のまま、3コーナーへ・・・4コーナー入りました、各ウマ娘一斉に仕掛ける。」

「上がってきたのは8番ショーナンバイアスロン。2番タカラショウジンも粘る。先頭は依然、2番タカラショウジン。さらに大外から5番アシタハミエナイが猛烈な勢いで突っ込んでくる。バ群を割って7番ユキノハナドケイも上がってきた。残り100mを切った。ここから追いつくことができるか。」

「タカラショウジンここで一杯か、先頭はショーナンバイアスロンに変わりました。アシタハミエナイとの叩き合いになった。二人もつれ合うようにしてゴールイン。続けて7番ユキノハナドケイ3着。」

「東京第5レース、メイクデビュー芝2,000。着順は1着5番アシタハミエナイ、2着8番ショーナンバイアスロン、3着7番ユキノハナドケイ、4着1番デバンガホシイノ・・・」

 

 

ひゃー。どうしようやっちゃったよ。

ゲート入りは大丈夫だったし、嫌がって暴れるような子もいなかったからみんな落ち着いたスタートを切った。

私もスタートちゃんと切れたし、逃げの子たちが結構やりあってたおかげで、中団以降は結構スムーズにまとまった。

鏑木トレーナーの作戦通り中団前目に付けることもできたし、前評判の良かった5番の子もマーク済みだ。

あとは最終コーナーからが勝負のはずだったんだけど、バックストレッチに入ったところで掛っちゃったのか後方から前に出た子がいた。

当然、道中無駄足厳禁の私はそれを追ったりはせずに自分のラップを刻む。

問題は、最終コーナーで前に抜け出せなかったこと。

抜け出すべきタイミングで私の前には逃げて垂れてきた子2人が壁になってしまっていた。

外に持ち出すにはパワーが足りないどうしようと考えてしまった一瞬の隙をつかれて、マークしていた5番の子には私の外から差されて上がっていかれてしまった。

逃げた子が外にヨレたのを突いて、間を抜けたけどさすがに届かないし、何よりバ群を抜けるのに迷っている間に思ったより足を使っていたらしく、全然前に進まない。

届く間もなくゴールされてしまった。

展開次第では私にも勝ち目が合ったレースだと思うけど、残念。

 

 

控室で制服に着替えた私を待っていたのはトレーナーさんだった。

 

「ユキノハナドケイ。今日のレースは勝てるレースだったはずだ」

ひぅ・・・はぃ。」

「4コーナーでなぜ差しウマより先に前に出なかった」

「あの、前が壁に」

「逃げウマが壁になるのは判っていただろう。なぜ外へ持ち出さなかった」

「でも道中で外に出しちゃうと距離が」

「今日の1着は外に出していたじゃないか。」

「それは・・・そうです」

「次は2ヶ月後の芝1,900未勝利戦だ。勝てるレースで勝てなかったせいでチーム勝率下げちまったし、無駄に未勝利戦になんかを走らせることになっちまった」

「すいません」

「次のレースはきちんと抜け出せ。いいな」

「はぃ」

 

言いたいことだけ言ってトレーナーは控室を後にした。

 

寮の部屋に帰るとカナちゃんと、私の同室のカエちゃんことミホノアマガエル、カナちゃんのルームメイトのサエちゃんことサツマナデシコがテーブル一杯の料理と一緒に待ち構えていた。

 

「えっと、みんなどうしたの?」

「メイクデビューしたんでしょ。みんなメイクデビューしました記念パーティだよ」

カエちゃんはそういうと私に抱き着いてきた。

 

「えっとね。わたし、今日負けちゃったからね。ごめんなさい。準備とかしてもらってたのに。」

「おユキ、それは私も一緒だ。先週のメイクデビューで一番尻だ」

「そのせいでサエちゃん、1ヶ月出走停止だもんね」

「うるさいぞカエル。仕方なかろ。ジュニア戦中はダートの中距離戦なんかまずないんだ」

「でも、あなた、それでもいい1,000でも構わんからレースに出せってトレーナーの前で地団駄踏んだんでしょ。やっぱりあなたのせいじゃない」

「カナ!?それを誰から聞いた!!」

「そんなのそこのカエルに決まってるじゃない」

「おのれ!!カエルそこへ直れ!!叩切ってやる!!」

「で、殿中、殿中でござるぞー」

 

騒がしい2人を呆れた顔で見ていたカナちゃんだったけど、振り返って私の目を見つめてくる。

「レース残念だったわね」

「ごめんなさい」

「何謝ってるの。中継で見てたわ。いい勝負してたじゃないの」

「でも、勝てなかったもん」

「そうね。でも、苦手なはずの距離のレースでもきちんと掲示板に乗せたわ」

「トレーナーさんにも勝てるはずだったって」

「そんな顔しないの。可愛い顔が台無しじゃない」

「カナちゃんも今日走ったんでしょ?」

「走ったわ」

「勝った?」

「勝ったわ」

「おめでと・・・カナちゃん」

「辛気臭い面で祝ってもらったところで嬉しくないわ」

「ごめんなさい」

「もういいから。顔を洗ってきなさい」

「はぃ」

「手洗いうがいもするのよ」

「ぉかぁさん」

なんか言った

「なんでもないでひゅ」

 

そう。

なんでもない。

今日は勝って、二人で勝って揃ってお祝いしたかっただけ。

 

 

 

6月1×日

 

きょうはカナちゃんといっしょにれーすでした。

とちゅうまではじょーずにはしれたのにさいごはまけちゃいました。

とってもかなしぃ。

とれーなーさんもおこってました。

おへやにかえったらカナちゃんとカエちゃんとサナちゃんがいてぱーてぃをしました。

さなちゃんがかったからうれしいけど、わたしはまけちゃったからかなしい。

うれしいでいっぱいじゃなくてごめんなさい。

つぎのれーすにはかてるようにがんばるよ。おー。

 

 




設定資料
登場ウマ娘
サツマナデシコ(サナちゃん)
出身:鹿児島
身長:177cm
体重:あかん
毛色:鹿毛
アレ:爆発しそう
チームアルデバラン所属。オニニカナボウのルームメイト。超ナイスばでー。

ミホノアマガエル)(カエちゃん・カエル)
出身:茨城
身長:155cm
体重:あかん
毛色:青毛
アレ:爪先が見えます
チームアルデバラン所属。ユキノハナドケイのルームメイト。よくユキノハナドケイを抱き枕にしている。

・ユキノハナドケイ メイクデビュー時能力(新馬2000芝良/1/6A)先行伸びず3/8
バ場: 芝D ダB
脚質:逃B先D差E追G
距離:短BマB中D長G
Sp155F+ St125F Pw130F 根160F+ 賢120F

悪くないんじゃないかな。レースを選べば勝てるさって感じ。
所属チームが悪いねんな。

MD戦 枠番と人気
1枠1番デバンガホシイノ    7番人気 4着 出番はあげません 
1枠2番タカラショウジン    5番人気 5着 ロングスパートだよホンとだよ。
2枠3番シロイナガレボシ    1番人気 7着 流星のごとく消えていった壁1
2枠4番ナガノレディー     8番人気 8着 優雅にお散歩
3枠5番アシタハミエナイ    2番人気 1着 明日が見えた結果
3枠6番マエノユーコン     4番人気 6着 名付けた記憶がない壁2
4枠7番ユキノハナドケイ    6番人気 3着 世紀の善戦マンここに参上
4枠8番ショーナンバイアスロン 3番人気 2着 トライなら走るけどバイはスキーと射撃なんだ

結構、投票券的には美味しそうなレース2-3-6とか穴党がにんまりしてそう。
ちなみに今回レース含めて全部で23戦する予定。ぐったりするね。話数的には90話+αになりそう。
そんなに書く時間あるの?ないです。

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