元世捨て人の気ままな旅路(艦隊これくしょん編)   作:神羅の霊廟

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 第六話、牙也sideです。




なんでいるの!?

 《火計!》

 

 『仮面ライダー零 絆アームズ』に変身した牙也。呼び出した『絆羽扇』のトリガーを引き、十の文字『火』『水』『風』『土』『雷』『環』『挑』『弱』『奮』『浄』が出てきた。その中の『火』の文字を扇ぐと、彼の周囲に火球が現れた。そして牙也が羽扇を振ると、火球は次々とシャドームーンに向かって飛んでいく。

 

 「小癪な!」

 

 対してシャドームーンは『サタンサーベル』で火球を次々斬り捨てていく。そして牙也に向け突き攻撃を加えるが、牙也はそれを羽扇で受け流す。再びトリガーを引いて火球を飛ばすが、それもシャドームーンは後退しながら斬り捨てていった。

 

 「あの程度の炎で、私を倒せるとでも思っていたのか?」

 「まさか。あの程度で倒れる程柔な体じゃないだろ?あんたの実力を推し量ってただけさ」

 「……その余裕は、貴様自身を滅ぼすぞ」

 

 シャドームーンはそう言って、両手を牙也に向ける。と、その両手から緑のビームが数発放たれ、牙也の足元に着弾、火花を散らした。それにより多少だが煙が上がり、牙也の視界を遮る。そして一瞬だが牙也が顔を背けた隙を見て、シャドームーンは再びサーベルを構えて一気に接近、サーベルを振るう。しかし牙也もまたこれを読んでいたのか、体を大きく捻って回避する。そして再び距離が取られる。

 

 「……なるほど。口先だけではないという事か」

 「あんたも『世紀王』なんて大層な名を背負ってるだけはあるな」

 

 互いに軽口を叩き合う二人。そして二人はほぼ同時に確信を得た。目の前にいるその者ーー仮面ライダーは、紛れもなく強いと。

 

 「良いだろう、貴様を認めてやる。そしてその上で、私は貴様を倒す!」

 「あぁ、俺もだ……あんたの実力は紛れもなく本物だ。だからこそ……俺は、あんたに勝つ!」

 

 《無双セイバー!》

 

 互いを認め合い、二人は再び刃をぶつけ合う。シャドームーンはサタンサーベルを、牙也は新たに『無双セイバー』を呼び出してそれぞれ構え、二人同時に接近して刃を交えた。と同時に、牙也は無双セイバーをガンモードにして銃撃を、シャドームーンは再び両手からビームを放ち、互いのアーマーから火花が上がり、よろめき後ずさる。しかし再び刃を交え、凄まじい剣劇の応酬が始まった。お互いの斬撃・刺突・居合い抜きにより火花は散り、アーマーは傷付き、それでもなお互いに一度も倒れる事なく刃の交わりは続く。

 

 「私は勝つ!そして示そう!私こそが、創生王であると!」

 「創生王だぁ!?また物騒な名が出てきたもんだなぁ!だが、最後に勝つのは俺だ!」

 

 二人の仮面ライダーの剣の交わりは五十合に及び、まだまだ続こうとしていた。すると、

 

 『何をもたついておる、シャドームーンよ。その程度の輩、貴様なら瞬く間に倒せるであろうに』

 

 周囲にシャドームーンとは違う別の人物の声が響き渡った。声色は老人のそれに近かったが、それにしては若々しさも感じられた。

 

 「……今私は、こやつと真剣勝負をしているのだ。無粋な真似はするな」

 『断る。このような下らない事でつまづいておる場合ではないのでな。ここで時間を掛けるようならば、私自ら実力行使させてもらうぞ……このようにな!』

 

 その時、蚊帳の外状態だったハイリア達四人の周囲に歪みが現れ、その中からカッシーンが四体出現した。それぞれが三又槍を構えて戦闘態勢をとる。

 

 「くっ、またこいつらか!」

 「もー、何がどうなってんのよ!?」

 

 「貴様ぁ!!」

 「折角の真剣勝負に水差してんじゃねぇよ!!」

 

 《挑発ノ計!》

 

 牙也は急ぎ絆羽扇のトリガーを引いて『挑』の字を扇ぐ。扇がれた『挑』の字は四つに分裂して飛んでいき、四体のカッシーンの体内に一文字ずつ張り付いた。すると四体のカッシーンは急に牙也に目標を変えて襲い掛かってきた。襲ってきたカッシーンの槍撃を、牙也は無双セイバーで防ぎカウンターで斬撃を当てていく。

 

 「はあっ!」

 

 よくみると、何故かシャドームーンも牙也に加勢してカッシーンに攻撃していた。サタンサーベルで槍を受け止めながらビームで応戦する。

 

 「おい、お前さっきの声の奴の味方だろうが。俺を手伝って良いのか?」

 「……私の楽しみに水を差す輩の味方などできるものか。確かに私は小細工を労する者は好かん。がそれ以上に、大事な勝負に水を差す輩が大嫌いなのだ。たとえそれが、味方であろうとな」

 

 シャドームーンはそう言い、カッシーンを斬り裂いた。

 

 「あぁそうかい!」

 

 牙也もまたカッシーンを斬り裂く。四体のカッシーンはスパークを上げて爆散した。カッシーンを片付け終え、二人は再び向き直る。

 

 「思わぬ邪魔が入ったが、続きと行こうぜ」

 「良かろう、決着を付けようーー」

 

 

 

 

 その時、突如シャドームーンがサーベルを取り落とし、その場に崩れ落ちた。

 

 「!?」

 

 地面に倒れ伏すシャドームーン。その背中には、何やらバルブのような物が付いた剣が突き刺さっていた。慌てて牙也は変身解除してシャドームーンに駆け寄る。

 

 「おい!しっかりしろ!」

 「ぐ……うぅ……」

 

 牙也がシャドームーンを抱き起こすと、シャドームーンの背中に刺さっていた剣が抜けて飛んでいった。そして飛んできたその剣をキャッチする者が、剣の行き先を目で追い掛けた牙也の、その目線の先にあった。

 

 「私の計画の支障になるのならば……最早貴様の存在意義はない。消えてもらおう」

 

 そこに立っていたのは、漆黒の装束に身を纏った60代くらいであろう男だった。その風貌は異質で、体の左半分が機械に置換されていた。その左手には先程の剣が、右手には何やら複雑な仕組みをした銃が握られている。その銃に牙也は見覚えがあった。

 

 「あれは『トランスチームガン』……?いや、あれとは色が違う」

 「これは『ネビュラスチームガン』。そして私の名は『最上魁星』」

 「最上……魁星?」

 

 聞いた事もない名前に、牙也は首を傾げる。

 

 「ただのしがない科学者だ。が……それは世間を騙す表向きの顔。私のもう一つの姿を、お前に見せてやろう」

 

 最上は懐から青いギアの意匠が施されたボトルのような物を取り出すと、ネビュラスチームガンに装填した。

 

 《ギアリモコン!》

 

 「カイザー」

 

 《ファンキー!》

 

 ネビュラスチームガンのトリガーを引くと、最上の全身はネビュラスチームガンから放たれた煙に覆われた。そしてその煙と共に、青の歯車のような装甲が現れて最上に装着された。

 

 《リモートコントロールギア!》

 

 「レフトカイザー……誕生」

 

 最上ーーレフトカイザーはネビュラスチームガンとスチームブレードを構える。

 

 「カイザーなんてまた大層な名前を……やれやれ、スケールだけはデカイ奴ばかりだな」

 

 《ブルーベリー》

 

 《ロック・オン》

 

 「変身!」

 

 《ソイヤッ!ブルーベリーアームズ!侵食者・Hell・Stage!》

 

 『仮面ライダー零 ブルーベリーアームズ』に変身した牙也は、薙刀『紫炎』を右手に、『無双セイバー』を左手に持ち、戦闘態勢になる。

 

 「これを見てなおも貴様は私に楯突くか……ならば、消すまで!」

 「じゃあやってみなよ」

 

 互いに軽口を叩き合い、最上はネビュラスチームガンの、牙也は無双セイバーの銃撃を相手に食らわせた。お互いのアーマーから火花が散り、銃弾同士がぶつかり弾ける。しかし互いに仰け反る事もなく、悠然とそこに立っている。

 

 「かかって来い」

 「言われずとも!」

 

 牙也は二つの武器を構えて一気に接近、最上に向けて紫炎を振り下ろした。最上もまたそれをスチームブレードで防ぎネビュラスチームガンの銃撃を当てようとするが、そこへ無双セイバーによる突きが襲ってきた。やむなく銃撃をせずそれを避け、続け様に襲ってくる紫炎の斬撃を再びスチームブレードで防いだ。

 

 「まだまだ!」

 

 牙也は攻撃の手を緩める事なく、更に紫炎で攻撃を続ける。今度は紫炎による突き攻撃をメインにし、常に一定の距離感を保った状態で攻撃している。もし最上が接近してこようものなら、紫炎の突きや無双セイバーの銃撃で近付かせず、接近戦を相手にさせない。

 

 「このカイザーを相手に、ここまで善戦するか……!私は貴様を見くびっていたようだな」

 「どんなに強い相手だろうが、常に相手が不利な状態に持ち込めば勝機は見出だせるものさ」

 「ふむ、難敵だな……ここらが退き時か」

 

 最上は遂に諦めたのか、一端牙也から距離を取った。

 

 「ここは退く。また会おう……仮面ライダーよ」

 

 そしてネビュラスチームガンから煙を撃ち出して視界を遮った。やがて煙が晴れると、最上はいなくなっていた。

 

 「不利を悟って撤退したか。敵ながらやるねぇ」

 

 牙也は変身を解除して、倒れているシャドームーンに駆け寄った。しかし牙也が生死を確認すると、シャドームーンは既に事切れており、最早手遅れであった。

 

 「駄目か……色々聞きたい事があったんだがな」

 

 せっかくの情報源を失い、牙也はため息をつく。と、シャドームーンの体が淡く光ったかと思うと、その体は小さな光の球に変わった。それはふよふよと空高く舞い上がっていき、やがてパンッと弾けて消えた。

 

 「……自分が本来あるべき場所に戻ったんだろうな」

 

 そう結論付けた牙也は、近くに停めてあったバイクに再び乗り込みヘルメットを被ろうとする。と、

 

 「待て」

 

 その背中に銃のような物を突き付けられた。振り向いてみると、先程まで蚊帳の外だったハイリア達四人がおり、その内の一人ーーアークロイヤルが艤装を牙也に突き付けていた。

 

 「悪いんだけど、貴方をこのまま帰す訳にはいかないわ。不法侵入者さん?」

 「大人しく私達について来い。そして知っている全てを話せ」

 

 アークロイヤルが艤装を更に牙也に押し当てながら言う。しばらくハイリア達を見ていた牙也だったが、逃げるべきではないと判断したのか、牙也は大人しくバイクから降りると、バイクをロックシードの形に戻してポケットに入れた。

 

 「……悪いが、話せる事はそれほどないぞ。それでも良いのか?」

 「今の私達は少しでも情報が欲しい状況なの。関連する情報があると言うのなら、それに越した事はないわ。レイス中佐、彼を拘束して」

 「分かりました」

 

 レイスがすぐさま牙也に走り寄って手錠を掛ける。牙也は抵抗する素振りもなく、大人しくそれを受け入れた。

 

 「彼を客間へ案内して。彼には色々聞きたい事があるわ」

 「客間にですか?大佐、それは危険な気がしますが……地下牢で充分なのでは?」

 「確かに彼は不法侵入者、罪人よ。でも同時に彼は、今回の件について何か重要な事を握っている可能性があるわ。作戦の途中で時間が限られてる以上、一刻も早く私は情報が欲しいのよ」

 「……そうおっしゃられるのでしたら」

 

 レイスは「こっちだ」と言って牙也を誘導すると、牙也は大人しく彼について行った。その後ろをプリンツとアークロイヤルが追い掛けて行く。その後ろ姿を見つめながら、ハイリアは先程の光景について考えていた。目の前で起こったのは、突如現れたカッシーンと呼ばれた謎の機械兵士による襲撃。シャドームーンを名乗った白銀の鎧の戦士。謎の科学者、最上魁星と彼が変身したレフトカイザーという機械生命体(と考えている)。そしてそれら全てを相手し、先程連行させた一人の青年。聞きたい事は山とあった。

 

 「……何かがおかしいわね。一体これから、何が起きようとしてるのかしら……?」

 

 疑問が尽きぬまま、ハイリアは先行した四人を追い掛けて行った。

 

 

 

 

 

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